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歩く
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匿名ユーザー
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歩く 04/12/13
水上を歩いてみたいと思うのは本能なのか。
古来より様々な方法が試みられたが成功と呼べる形式は確立されていない。水面を歩いたとの伝説を残す忍者が用いた水蜘蛛と呼ばれる浮輪は、人間の体重を浮かすことは不可能であって、また残っている書には肝心の技術は口伝として明らかにされておらず、水蜘蛛の他に何かの道具が必要であることを示しているものの、最早口伝は途切れて話にならない。
確か西洋の古い問答で「沈むより早く足を前に出す、それを繰り返す」という理論が発見されてはいたものの、あくまでも理論上の話であって亀を追い越すことの出来ない兎と同じ類の小噺と思っていた。ところで円盤状の石を回転させつつ水面へ投ずると、石が水面を跳ねながら飛んでゆく水切りと呼ばれる遊戯があり、あれを見れば人間も高速で走り抜けたら多少は歩けるような気がするわけだ。当然これも理論上の話であるからまさか実践しようとは思わない。
すると先日衝撃の映像を見る機会があった。某巨大移民国家には多数の馬鹿が存在していることは知られている。その国のとある動画保管庫には、日本国内ならば規制されるような本能に訴える作品や、「カメラは見た、決定的馬鹿の瞬間」の如き動画が多数保存されており、ニュースなどで「今週の世界の馬鹿」のような特集はここから拾っているのではないかと疑うほどの充実ぶりであって、その中に唖然とする動画があった。
燦々と降り注ぐ陽光の下、ジェットスキーに興ずる奴が映っている。ジェットスキーとは小型の船やバイク式の船から綱を出し、その先にはスキーを履いた人間がしがみついて引き摺られながら水面を滑る遊びだ。スキーに限らずスノーボードなどを用いる場合もあるが、上級者は裸足で水面を滑る技術を有していて、その動画の男も裸足と笑顔で引き摺られていた。カメラは船尾から男を捉えており、画面には空と海と綱と男だけしか映っていない。
すると突然バランスを崩したのか意図的に手を離したのか判らないが、とにかく綱の先端から男が離れたわけだ。それまでは高速で水面を滑っていたから勢いは止まらない。すなわち沈まない。そして笑顔のまま裸足で二・三歩ほど水面を歩いたのだ!直後思わず手を付こうとしてそのまま腕から沈んでゆく姿を最後に映像は終了したのだが、これを見た時には感心しつつ呆れつつ、人間やる気になれば何でも出来るのだなとしみじみ思った。
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