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精算

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精算 04/12/18

  例えばスーパーで夕方ならば精算の列が長い。

  その場合、常連である人や観察力の鋭い人は最も速く流れるところを的確に選ぶことが可能との噂がある。速い遅いとは言ってもその差が一・二分程度ならば、速そうなところを選ぶのは無意味に思える。しかしながらどこを見ても数人以上並んでいる場合は本能的に速く進むところに並びたくなるのであって、その選択が迫られる場面での話だ。

  どの精算列も五・六人並んでいて非常に滞っている印象があり、どこに並んでも大差ない待時間を要すると察せられる。それでも精一杯状況を読もうとする。まず一列だけ飛び抜けて長い列は七人いる。まずそこは外すべきと思ったら、レジの中には品物を通す人と支払い釣りの人つまり二人居る。これはどういうことか。皆が皆二人居るから速いだろうと思って並び長くなったのか。それともたまたま長い列にたった今救助が入ったのか。よく判らないが他は全て一人で精算作業をしている。どうする?面倒だからそこで勝負をかけるか?

  八人目に並んでみた。並ぶとガムや煙草や電池の陳列に邪魔されてレジの中が見えない。それでも二人居るならば他と同じ程度か少し速いだろうとの期待を担ぐ。

  さて、並んでいる間は多少の時間があるわけで、あたりの文字を眺めていると「一個が85円、六個で498円」何だか安そうに見える。つまり六個纏めて買えばどのくらい割安になっているのか。計算してみよう。85×6は、80×6で480、5×6で30、足して510、つまり12円安いから、一個あたり二円の割引、たった二円を割引と呼ぶ度胸が信じられなくて何度か計算し直してみるが、やはり割引額はたった二円なのであって、これに騙されたら悔しいだろうなどと考えていても、列は全然進まない。

  他はすいすい流れているが、こちらはやっと六番目の位置まで来たところだ。著しく通行の邪魔になっているが、多分俺の責任ではないと思うぞ。後ろに三人ついているから計九人並んでいる。それにしても遅すぎやしないか?

  五番目まで来てついに真相が暴かれた。品物を通す人はレジ作業が本日初めてらしく、割引のシールでどこを押せばよいか混乱し、同じ品物が複数あればどこを押せばよいか混乱し、更には区切らずに次の人の品物を通してしまい、レジがぴいぴいと鳴り始めた。

  列が多くて救助に入ったのではなくて、研修中故の救助による二人作業であったことが判明した頃には既に四番目まで来ており、混乱したレジの復旧を待つしかなく、レジ一人作業の隣がすいすい流れるのを見て自らの観察力の至らなさに愛想が尽きた。
 
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