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裏目

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裏目 04/12/19

  静かに落ち付いて振舞おうとすればするほど裏目に出る。

  目測を誤って足の小指で何かの角を蹴るのは当然の儀式である。場合によっては肩をぶつけて体の方向が一瞬に変わり、しかし慣性の法則に従う結果斜行するのであって、およそ気障とは程遠い。

  「何もないところで躓く」も相当な屈辱感が残る。自らの踵に躓く場合は内股になっていたことが判明するし、何もない平坦で磨き上げられた床に爪先が引っ掛かるのは腿上げの力が衰えていることを示している。

  セルフサービス式の喫茶店で飲物を買う列に並んでいると、目の前に冷蔵ショーケースがあり、中にパンやサンドイッチなどが並んでいる。セルフサービスならば自ら摘み上げ提出精算するのであろうと考えて卵サンドに手を伸ばすと、ケースのこちら側はガラス張りになっていて突指する。余りにも磨き上げられていて、また天井の照明が反射しないような角度になっているから困る。

  自動ドアとは言っても「ここを押してください」もしくは「ここに触れてください」という表示がなされた半自動ドアの類があり、押すことに気付かず数秒突っ立っていると、出てくる人が押すのを見てやっとそうだったのかと合点する。照れるから一旦道を譲り、入るべく一歩進んだ瞬間に閉まろうとしたドアに挟まる。

  電車の中で立ちながら本を読んでいて、乗降により位置が流される場合、吊革から一旦手を離す。各々の場所が確定してから発車寸前に再び吊革に手を伸ばすわけだが、本に集中しながらなので吊革に伸ばした手はその辺を必死に探っている。一度で吊革を捕まえればよいが、幾度も空気を掻いている状態は恥ずかしい。

  多少格好をつけて海岸で煙草を吸おうと試みても、風が強すぎて火が点かない。こちらが歩行者として車に道を譲ったら調子に乗りやがった七・八台が通り過ぎるまで待たねばならない。毎度毎度「手前だけが特別に不幸ではない」と自己暗示をかけるのは疲れる。
 
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