バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

戦々凶々(後編)

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kyogokurowa

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「――ぬぅんッ!!」
「……くっ……!?」

豪速を伴って、差し迫るヤマト最強の剛拳。
オシュトルは身を捻って紙一重で避けると、後方に飛び退ける。
豪風とともに右の拳撃が空振ると、間を置くことなく、巨躯が間合いを潰し、左の剛腕が振るわれる。

(……疾いっ!!)

回避が間に合わないと悟ると、鉄扇をかざして受けるが、凄まじい衝撃。
勢い殺せず、身体が浮かび上がると、後方の大岩に激突。
その衝撃たるや凄まじく、大岩にも致命的な亀裂が生じる。

「がはっ……!?」

背中を強かに打ち、肺の空気を押し出されるオシュトル。
一瞬、視界が明滅し、意識が飛びかけるも、間髪入れずに放たれた炎槍が、彼の意識を強引に引き戻す。
慌てて地面を転がり回避すると、オシュトルが張りついていた大岩は炎槍の直撃を食らい、爆散。

「どうした、オシュトルッ!!
よもや、手負い故、十全に戦えぬなどとは申すまいッ!!」

猛る、ヤマト最強。
第二射、第三射と炎槍が立て続けに投擲されると、その度に、大気が震え、大地が爆ぜる。

闘神の眼が捉えるオシュトルは、己と同じく満身創痍――。
手に持つ得物も、使い慣れた長刀ではない為、かつてヴライが敬った老将の元で研ぎ澄まされた剣技も、此処で発揮することはないだろう。
互いに十全の状態での果たし合いが本望ではあるが、此の地が戦場であるが故、致し方ない。
なればこそ、ヤマトの次なる支配者を決する闘争の担い手として、全力を以って屠るこそが己が務めだ。

「さぁ、我を愉しませよッ!!
汝が力、我に示せッ!!」

昂る感情のまま、地を踏み抜き、猛然と疾駆するヴライ。
両の手に生成した炎槍を投擲しつつ、その着弾からどうにか逃れたオシュトルを殴殺せんと拳を振り上げる。

「てめえ、この野郎ぉおおおおおおっーーーーー!!

その刹那――。

ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!

怒声とともに、弾丸の雨あられがヴライに迫る。

「--むぅ!?」

肉を削られる不快感と、それに伴う無数の灼熱感に、僅かに眉を顰めるヴライ。
咄嗟に己が内に宿る火神(ヒムカミ)を激らせ、豪炎を全身に纏うと、自身を襲う弾丸を灰塵に変えていく。
弾丸の飛来する方向に振り向くと、尚も機関銃を撃ち続ける、いつぞやの青年の姿が目に留まった。

「失せよッ!!」

漢の果たし合いに水を差されたヴライは、怒りのまま思い切り腕を振りかぶり、炎槍をカナメに投擲。

「カナメ様っ!!」
「――うおっ!?」

放たれた炎の槍に、いち早く反応したのは、ヴァイオレットであった。
咄嗟にカナメに飛びついて押し倒し、爆撃を回避。
数舜前まで彼がいた空間は、炎槍の直撃を受けて燃え盛り、さながら地獄の業火の如くとなる。

しかし、カナメに宿る闘志もまた、その炎に負けず劣らず、燃え滾っていた。
再び機関銃を手に取ると、ヴライにその照準を合わせ、再び引き金を引かんとする。
眼前の漢は、何を隠そう霊夢達の仇だ。絶対に許すわけにはいかない。

「これ以上の狼藉は許さないかな、ヴライっ!!」

だが、ヴライに対して因縁を覚えているのはカナメだけではない。

「…っ、クオン!?」

クオンが飛び出し、ヴライ目がけて疾走すると、カナメは慌てて機関銃を引っ込める。
今の位置取りでは、彼女に弾丸が当たってしまうと判断したからだ。

「――邪魔をするな、小娘がッ!!」

怒涛の勢いで迫り来るクオンに対し、ヴライは腕を振るい、灼熱の豪炎を纏う突風を巻き起こす。
炎嵐は、まるで意思を持っているかのように、クオンを吞み込まんと荒れ狂う。

「元はと言えば、貴方がいたから―――ハクはっ……!!」

その身に炎が触れる寸前、クオンは力強く大地を蹴りつけると、炎に対して垂直の方向に跳躍。
そして空中で身を翻すと、重力に引っ張られながらも、回転しながらヴライの頭蓋目がけて、渾身の回し蹴りを放った。

「はぁあああっ!」
「――ぬぅんっ!!」

旋風を伴う蹴撃と剛腕が激突し、轟音と共に大気が振動した。
地面が陥没し、クオンの身体が弾かれると、ヴライは更に追撃の一手を繰り出した。
右の拳に灼熱を纏わせると、それを撃ち下ろすように一気に振り下ろす。
灼熱の鉄槌は大地を揺るがし、爆発するように土砂が巻き上がるが、クオンはくるりと回転しながら、その間隙を掻い潜った。
そのまま、ヴライの懐に潜り込むと、その顎目がけて突け上げる様な形で掌底を放つ。

「――ッ!?」

ガゴンッ、という鈍い音を響かせ、ヴライの身体が僅かに浮き上がる。
そして続けざまにクオンの掌底が二発、蹴りを一撃、その巨体に叩きこまれる。
ヴライが後方に下がると、クオンは間髪入れず、地面を蹴りつけて追撃を仕掛ける。
しかし、ヤマト最強はこれしきで屈することはない。

「温いわッ!!」

咆哮と共に爆発を彷彿させる勢いで、体内より炎を噴出。
その衝撃波は、クオンの突進を簡単に押し返す。

「ぐぅっ……!?」

堪らず吹き飛ばされかけるも、宙で体勢を整えて着地するクオン。
そこにヴライの剛拳が容赦なく迫る。

「――させぬよっ!!」
「……オシュトル……!?」

しかしそこで、クオンとヴライの間に割って入ったのは、オシュトルであった。
クオンに意識を向けていたヴライの懐に潜り込むと、その首筋目がけて、鉄扇にて一閃――。
咄嗟にヴライは反応して、上体を後ろに反らして躱す。

「フフッ、流石だ、オシュトル……。
もう少し踏み込みが深ければ、この首、落とされていたやもしれんな」

ッ―――と、太い首の皮が、僅かに裂かれ鮮血が噴き出るヴライは、愉しそうに嗤う。

――そうだ……我が宿敵は、こうでなくてはならない。

不慣れな得物ですらも難なく使いこなす技量。
満身創痍の身であれど、その武技、器量、闘志は、紛うことなく仮面(アクルカ)に選ばれた武士のそれに相違ない。

ヴライは、眼前に立ちはだかる漢を、改めて己とヤマト――そして帝が認めた強者なのだと再認識。そして血肉が踊る様な高揚感が、己の内に湧き上がるのを自覚した。

「――オシュトル……どうして……?」

その一方で、オシュトルの機転に救われた形となったクオンは、困惑する。
クオンとしては、オシュトルの事を、ハクを切り捨てた悪漢と断定して、再三早苗とともに追いかけ回し、攻撃を加えていた。
まさか、その悪漢が、散々痛い目に遭わせられた自分を助けるだなんて、夢にも思わなかった。

「どうしても何も…。仲間の窮地を救わんとするのは、当然のことであろう」
「仲間……? 貴方はまだそんな事を―――」

クオンは眉を吊り上げ、怒りの声を上げんとするが、眼前のオシュトルの姿に、息を呑んだ。
こちらを完全に信頼しているのか無防備な背中を晒しつつ、鉄扇を開いてヴライと対峙するオシュトル。

ボロボロの状態でも、尚も眼前の強敵をどうにかせんと相対する、その姿勢、その背中――。
一見頼りなく見えなくもないが、それでも、きっと何とかしてくれるのではないかという
期待を抱かせてくれるような、その後ろ姿は――。

いい加減で、お調子者で、いつも楽ばかりしようとしていて。
だけど、いざという時は、心強く頼りにもなる。
そんな、在りし日の"彼"が、まるで乗り移ったかのようで――。

「――クオンさん、退いてっ!!」
「ッ……!?」

オシュトルの姿に、追憶に耽っていたクオンを現実に引き戻したのは、早苗の叫び声だった。
反射的にクオンが身体を横にずらした瞬間、煌びやかに光る弾幕が、彼女を横切り、ヴライとオシュトルに殺到した。

「ぐぅ……!!」
「蟲めがッ!!」

オシュトルは咄嗟に飛び退き、その光弾の雨を避けるが、完全に躱しきることはできず、何発か被弾し、顔を顰める。
ヴライもまた後方に飛びのき、光弾をやり過ごす。

「……早苗……?」
「――まだですっ!!」

弾幕の担い手たる巫女は、攻撃の手を緩めるつもりはないのか、再び無数の光弾を放出。
狙うは、今の攻撃で被弾し、体勢の崩れたオシュトルだ。

「止めろ、早苗!!」
「きゃっ!?」

カナメは猛ダッシュで早苗に駆け寄ると、その身体を抱きかかえる様にして押し倒した。

「カナメさん、邪魔しないで下さいっ!! 早く……早くあの人達を倒さないと……」
「ここは一時休戦だ!! まずは全員で協力して、あの化け物をどうにかするんだ!!
あのヴライって奴は、霊夢を殺した奴だぞ!!」
「霊夢さんの仇は取ります!! だけど、オシュトルさんもあの人と同じくらい危険で、倒さないといけないんです!!」

早苗は、自身に馬乗りになっているカナメを跳ねのける。
満身創痍のカナメは、その勢いに負けてバランスを崩し、地面を転がる。

「邪魔をするなら、カナメさんだって容赦しませんよ!!」

そんなカナメを見下ろしながら、早苗は五芒の印を切り、至近距離で弾幕を放たんとするも--。
ヒュン!!と風を裂く音を知覚するや否や、彼女は後方にふわりと浮遊。
彼女が元いた場所の地面には、三本の銀色が生えていた。

「早苗様、ここは――」
「カナメ君の言う通り、合理的にいかないかい?
まずは人間同士、手を取り合って、あの化け物を排除しようじゃないか。
その後は、君の好きなようにすればよい」

ヴァイオレットと臨也が、早苗とカナメの間に割って入るように立ちはだかる。

「そんな都合の良いこと、誰が信じると言うんですか!!」

しかし、早苗は聞く耳持たず。
躊躇なくヴァイオレット達に光弾を放った。

「くっ、早苗様……!!」

光弾の雨は、ヴァイオレットと臨也を容赦なく射貫かんとするが、二人は左右に散開して回避。
早苗は続けざまに弾幕を放ち、二人もさらにそこから距離を取って躱していく。
地面に着弾した光弾が次々と炸裂し、その度に土煙が高く舞い上がっていく。

「クソッ、やるしかねえのか……」

光弾を避けながら、カナメは現状に歯噛みする。
早苗は、紛れもなくカナメの仲間であり、恩人でもあり、自分のために涙まで流してくれた心優しい少女だった。なるべくなら、手を掛けたくない。
しかし、もはや、そんな悠長な事を言っていられる状況ではなくなっている。
反撃に転じる覚悟を決めると、カナメは宙より此方を見下ろす早苗に向けて、異能(シギル)で創成した手榴弾を投げつけるのであった。


「はぁあああああー!!」
「むぅんッ!!」
「ハァッ!!」

一方で、ヴライとオシュトルとクオン。
此方でも、炎拳と蹴撃と斬撃が交錯し、三者入り乱れての攻防が繰り広げられている。
しかし、その様相はヴライ一人に対して、オシュトルとクオンが共闘している形となっている。
特に示し合わせたわけではないが、クオンとしてもオシュトルに対して、何か引っ掛かる部分があるのか、まずはハクの直接の仇でもあるヴライを倒すのが先決だと、割り切ることにしたらしい。

バゴォン!!

「――っ……!?」

均衡が崩れたのは、ヴライの業火で燃え盛る茂みの向こう側より、爆音が響いてきた瞬間だった。
それはヴライによるものではなく、カナメが早苗に投擲した手榴弾によるものであったが、鼓膜を突き破るその爆音に、クオンとオシュトルは、一瞬ではあるが気を取られてしまう。

「死合の最中に、呆けるとは笑止!!」

ヤマト最強はその隙を見逃すような、甘い漢ではない。
仲間の安否を慮ったが故に生じた僅かな隙を突いて、ヴライは突貫--クオンを横殴りに跳ね飛ばすと、オシュトルの頭蓋に炎を帯びた剛拳を叩き込まんとする。

「ぐぅっ!?」

それを鉄扇で受け止めようとするオシュトルだが、闘神による渾身の一撃を殺しきれず―――

ボゴンッ!!

先の爆発音に負けず劣らずの轟音が木霊すると、彼の身体は砲弾のような勢いで吹き飛び、樹々をなぎ倒しながら森の奥へと消えていった。

「オシュトル……ッ!!」

身体を起こしながら、オシュトルが吹き飛ばされた方を見やるクオン。
そんなクオンに微塵にも興味を持たず、ヴライは己が宿敵が消えて行った方角へと、猛然と駆けて行くと、クオンも慌ててこれを追走していった。




ドォン!! ドォン!!

「……んくぅ……」

全身を伝う振動と、鼓膜を刺激する爆音が、オシュトルを覚醒へと促す。

ドォン!! ドォン!!

覚醒したオシュトルの視界に飛び込んできたのは、火の手が上がる中、戦闘を繰り広げるヴライとクオンの姿であった。
二人は吹き飛ばされたオシュトルを追跡し、意識を失っていた彼の元へ辿り着くと、再び拳を合わせ、一進一退の攻防を繰り広げていたのだ。

ヴライが炎槍を顕現しては、クオンに向けて、投擲していく。
クオンは持ち前の俊敏さを以って、爆撃を躱しつつ、ヴライに肉薄。
回転力を伴った蹴り技がヴライの顎を打ち抜けば、それとほぼ同時に彼女の腹部に、最強の拳が打ちつけられる。

「――かはっ!!」

乾いた声を漏らしながら、クオンの細い体が後方へと吹き飛ばされる。
その刹那、クオンは空中で姿勢を整えると、後方の大樹の幹に着地。
顔に塗られた自らの血を拭うと、間髪入れずに、その幹を蹴り飛ばし、再びヴライの元へと突貫。
ヴライは炎槍にて立て続けに放ち、これを迎撃。
辺り一面に火柱が上がっていくも、クオンはその悉くを躱していく。
謂わば、火力で勝るヴライを、クオンが機動性で凌いでいるという様相になっている。

「――クオンっ!! うぐっ……!!」

ヴライによる爆撃が絶え間なく大地を揺るがす中、オシュトルもまた駆けつけようとするも、先の一撃のダメージが抜け切っておらず、身体が悲鳴を上げる。

――ズキン、ズキン、ズキン

身体中の至る箇所が軋み、激しい鈍痛が脳天から全身を駆け巡る。
気が付けば、手に握る金色の扇は粉砕されて取手しか残されていなかった。
更に―――。

――ピシリ

己が面貌を覆う偽りの仮面にも、亀裂が生じるのを感じる。
仮面は割れることなく、その表面に蜘蛛の巣のような亀裂を走らせただけではあるが、これ以上損傷が進めば、崩壊してしまうのは明らかだった。

(どうにか持ち堪えてくれよ、仮面(アクルカ)……)

懐より、双扇のまだ壊れていない一方を取り出すと、ゆっくりと立ち上がるオシュトル。
全身が悲鳴を上げるのを堪えつつ、痛みを精神力で抑え込む。
血反吐を吐こうが、肉体に限界が訪れようが、今は立ち上がり、戦うしかない。
ボロボロの肉体を引き摺り、クオンに加勢をせんと歩を踏み出した。

その刹那――。

「鳴神よ!」

一閃の光が走ったかと思えば、質量を伴う雷撃がヴライの巨体へと突き抜けた。

「ぬぐおおおおおおおおおおお!!」

超電子砲(レールガン)を彷彿させる光速の直撃に、ヴライは本能的に防御姿勢を余儀なくされる。
電撃により全身が痺れる感覚と、肉が削ぎ落されていく感覚を味わいながら、耐え凌ぐヴライ。

「ぬぅうんッ!!」

しかし、『ヤマトの矛』とうたわれし漢は、ここで押し切られて終わるような凡将に非ず。
電撃を浴びながらも、全身の筋肉を隆起させ、咆哮をあげながら炎を噴出。
電光石火の如く襲ってきた衝突物を、跳ねのけた。
跳ね除けられた“ナニカ”は、そのままふわりと、空中で静止。

「汝は……」

月光の元に晒されたその姿に、ヴライの動きは止まる。
深紅の双瞼が見上げる“それ”は、白き翼を背中に生やした一人の少女―――纏うオーラも、髪色も異なれど、その面貌は確かに、かつて学園の地にて言の葉を交わし、亡き御方の忘れ形見の埋葬を命じた少女のものに違いなかった。

「――これ以上、殺戮を続けるのであれば…。
今度は、私が貴方を止めます…!!」

その姿は、まるで、下界の不届き者に裁きを下す、天界の使いの如く。
間宮あかりは、毅然とした態度でヴライと対峙するのであった。

「――凄い……、アレがあかりさんの力……」
「っ…!? 貴殿は――!?」
「えっ、麗奈っ!?」

対峙する二人の様子を、呆気にとらながら見守る、クオンとオシュトル。
その前に現れ、ポツリと言葉を漏らしたのは、二人にとって見知った少女。

しかし、その姿かたちは、二人の知る彼女とは、大きく異なっていた。
身に纏う衣装は、先刻まで着用していた学校の制服などではなく、花嫁を彷彿させる純白のドレス。
鮮やかだった黒い髪は、炎を彷彿させる、紅蓮の色彩へと変貌。
そして、アメジスト色だったはずの双瞼の片方は、蒼く妖しく輝いている。

「オシュトルさん、さっきぶりですね……。
そして、貴女は―――ごめんなさい、貴女とは初対面の筈だけど、どこかで会ったかしら?」
「えっ? どこかで会ったも何も――」

認識の齟齬に、クオンが困惑するのも束の間。

ド ォ ン !!

凄まじい衝突音が、三人の鼓膜を激しく揺らす。
視線を前方へと戻せば、紅蓮の炎の塊と、紫に発光する雷の矢がぶつかり合い、四方八方へと、その衝撃をまき散らしていた。
ヴライとあかり、絶大な火力を誇る二人が、正面衝突でしのぎを削り合っているのである。

「詳しい話は、また後で……。
あっちは私たちが何とかしますので、二人は下がっていてください!!」
「あっ、ちょっと!?」

麗奈は二人にそう告げると、クオンが止める間もなくヴライ達の元へと駆けていく。
残された二人はただ呆然と、その背中を見送る他なかった。




一方で、オシュトル達が去った戦線では――。

「おいっ、早苗!! もういい加減、止めにしないか!?
俺は、お前とは戦いたくないんだ!!」
「私だって、こんな事したくないですよ!!
だけど、カナメさんが邪魔するから……!!」

早苗は尚も臨也、ヴァイオレット、カナメをつけ狙い、弾幕で追い立てており、三人は各々どうにかして、それから逃れていた。
また三人とも、ただ逃げているだけではなく、臨也は投げナイフを、カナメは手榴弾を投擲し反撃を試みている。
元々二人とも、早苗を害そうという気は毛頭ない。
したがって、例え彼女が被弾しても重傷になりえないよう配慮して、反撃しているが、その悉くは早苗の放つ弾幕の物量差によって阻まれている。

「何で、そこまでして、オシュトルさん達を庇うんですか!?」
「話を聞く限り、オシュトル達が責められる謂れはないからだ」
「だから、それが罠だって言ってるんですよ!!
狡猾なその人達が工作した罠なんですよ!!」

爆音織りなす戦場で、カナメと臨也の攻撃を掻い潜りながら、早苗は尚も、自身の正当性を主張する。

「あれ? 早苗ちゃんが言った“その人達”って、ひょっとして俺も入ってる?
オシュトルさんや、ヴァイオレットちゃんだけじゃなくて?」

そんな早苗に、池袋の情報屋は、パルクールで培ったバク転や側転を以って、光弾を避けながら、口を挟んだ。

「当たり前じゃないですか!! 貴方はオシュトルさんとずっと連るんでいるし、クオンさんにも酷い事ばっかり言って、そもそも信用できません!!」

「おやおや、随分嫌われちゃってるようだね。
俺は早苗ちゃんのこと、結構好きだし、気に入ってるんだけどなぁ」

「私は、貴方のこと全然好きじゃないです!!!」

再度放たれた臨也のナイフを、弾幕で撃墜しながら早苗が叫ぶ。
臨也は、そんな早苗の表情を窺いながら、愉しそうに笑ってみせる。
そして、弾幕を躱しつつ、アクロバティックに回転しながら、木の上に着地すると、早苗
に指をさして、宣告する。

「自分の嫌いなもの、都合の悪いものは、とにかく敵だとみなして、排除する―――。
早苗ちゃんの今やろうとしている事は、実に愚かしいだけど、どうしようもなく、人間らしい。俺は好きだよ」
「……っ!?」

早苗としては、オシュトルやヴァイオレットから脅迫とも取れるような事を言われたのは紛れもない事実だ。
にも関わらず、目の前の黒コートは、事実に基づいて行動する自分を道化と揶揄する。
その笑みと、その言葉は、早苗を苛立たせていくが、臨也はお構いなしに言葉を紡いでいく。

「仮に、この会場にいる俺たち以外の参加者26人全員が、君ではなくオシュトルさんの肩を持ったとしよう……。
君は、それでも俺達の罠だと言い張って、邪魔するものなら全員を排除するつもりなのかい?」

「そ、そんなこと――、まず皆がオシュトルさんを支持することはありえません!!」

「何故そう言い切れるんだい?
さっきのやり取りを振り返ってみるがいいさ。
君の一貫していない証言に賛同する人は、誰一人いなかったじゃないか?
あのクオンとかいう、オシュトルさんのペットですら、最終的には、君の言動に疑問を抱いていたようだけど?」

「そ、それは……」

臨也の指摘に、早苗は言い淀む。
そんな早苗の反応に、目を細めると、情報屋はさらに攻勢を掛けていく。

「オシュトルさん達によって、切り捨てられる犠牲者が出ないようにという大義名分で、早苗ちゃんは、彼らや、彼らの肩を持つ人間を排除しようとしてるけどさ。
このケースだと、早苗ちゃんによる犠牲者の方が遥かに甚大なものになってしまうよね?
でも、そうなっても、結局君は自分こそが正しいと言い張るんだろうね、きっと。
都合の悪いことは、全部『罠です!!』なんて言っちゃって、さ。
プッハハハハ、実に滑稽じゃないか――」

「――……っ!! 黙ってください!!」

臨也の挑発に、激昂した早苗は、これまでとは比較にならないほどの弾幕を彼に向けて、放射。
臨也は、迅速に後方の木の上に飛び退くと、彼が元いた大樹は、弾幕によって削られ、倒壊していく。

「逃がしませんからっ!!」

顔を真っ赤にした早苗は、滑空。
臨也へと差し迫り、尚も追撃せんとするが――

「……えっ?」

不意に自らの眼前を横切った投擲物に、目を奪われる早苗。
地上に目をやると、物体を投擲したばかりのカナメの姿があり、その片手にはピンが握られている。
臨也はニタリと笑いながら、宙返りしつつ真横へと退避している。

バ ァ ン !!

瞬間、閃光が早苗の視界を白く焼き尽くし、爆音が辺りに響きわたった。

「ああああああああああああっ!! 目がっ、目がああああああああああああっ!!」

カナメが早苗に投擲したのはフラッシュバン―――殺傷を目的としたものではなく、主にターゲットの無力化を想定した非致死性兵器であった。
臨也の挑発によって、頭に血を上らせてしまい、周囲への注意が疎かになった結果がこれだ。
それによって齎された、凄まじい耳鳴りと眩暈に、早苗は絶叫を上げながら、地上へと落下する。

「早苗様っ!!」

すかさず、金色の自動書記人形が、駆け出す。
墜落した彼女の元にたどり着くと、少々手荒ではあるが、抑え込まんとする。

「いやぁ、触らないでくださいっ!!」

未だ視覚戻らぬ早苗は、その手を振り払うと、出鱈目に光弾を乱射し、必死に抵抗する。

「――かはっ……」

さしものヴァイオレットも、至近距離での砲撃を躱すことはできず、その躰は宙を舞う。
口から血を吐き出しながら、うつ伏せに地面へと落ちたヴァイオレット。
ようやく視力を取り戻した早苗は、よろよろと起き上がると、倒れ伏せたヴァイオレットに向けて光弾を放たんとする。

「――このっ…!!」
「ま、待て、早苗っ!!」

カナメと臨也は揃って、それを阻まんと反応するも、時すでに遅し。
早苗から、無情の光条が放たれ、ヴァイオレットの躰を貫かんとした、その瞬間――。

斬ッ!!

どこからともなく影が飛び出し、ヴァイオレットの前に立ち塞がると、その光弾を一閃。
光弾は二つに分かたれ、ヴァイオレットの両脇を掠めていった。

「――なっ!?」

予想外の展開に、早苗が息を呑んだ刹那――。
黒い影は早苗との間合いを瞬時に詰めると、手にする得物を彼女の喉元に突き付けた。

「よぉ…暫くぶりだな、早苗……」
「ロ、ロクロウさん……」

早苗の首筋に刃を突き立てるのは、紅の眼光を妖しく煌めかせるロクロウであった。

「ロクロウ様、何故こちらに……?」

早苗の動きを封じている夜叉の業魔の元に、ヴァイオレット、カナメ、臨也の三人が集まってくる。
ロクロウは、鬼気迫る表情で、早苗とヴァイオレット達を交互に見やる。

「こちとら引率の途中だったが、お前らが戦っているのが目に留まったから、飛んできたんだ。
なぁ、早苗……悪いが、まずは、事情を話しちゃくれねえか?
何がどうなって、お前とヴァイオレットが戦っている流れになっているんだ?」

有無を言わさぬロクロウの迫力に、早苗はただ従わざるをえない。
彼に唆されるまま、ヴァイオレット達が見守る中で、これまでの経緯を紡いでいくのであった。




時は少しだけ遡る――。

「おうおう、随分と派手に戦り合ってるじゃねえか」

眼前で繰り広げられる闘争に、ロクロウは、静かに己が闘志を昂らせる。
オシュトル達との合流のため、遺跡を発ったロクロウ達一行は、その道中にて、断続的に立ち昇る火柱を目撃。
何事かと思い、急いで駆け付けると、其処では二人のヒトが激しい攻防を展開していたのだ。

「――あれは、クオンさんですね……。
そして、彼女と戦っているのは――」
「……剛腕の、ヴライ……」

新たな獲物を見つけたと言わんばかりに、目を妖しく光らせるロクロウの傍ら。
琴子とあかりは、それぞれ見知った相手の姿を認めていた。

「麗奈、見て! あそこにも、変な仮面がいる!」
「……オシュトルさんだ……」

久美子が指差す先には、大樹の幹を背中にして、ぐたりとしているオシュトルの姿。
ピクリとも動かず、生きているか死んでいるかは、此処からでは判別できない。
その近くでは、今尚もヴライとクオンが、苛烈な戦いを続けている。

「――行かなくちゃ……」
「あかりさん?」

ポツリと呟くあかりに、琴子は背後を振り返る。
あかりは、琴子の車椅子のハンドルを握りながらも、俯き震えていた。

「このままだと、また誰かが死んじゃう――」

あかりの脳内に過るのは、此の地で散っていた友人たちとの記憶。

圧倒的脅威を前にしても、物怖じることもなく奮起し、自分たちを逃してくれた、アンジュ。
焼き爛れた状態でも、最期の力を振り絞って、自分への想いを紡いでくれた、高千穂。
此処ではないどこかの世界で、間違いなくエールを送ってくれた、かけがえのない親友、志乃。
今際の際にも、悲しみに暮れる自分たちを気遣って、弱弱しくも優しい笑顔をみせてくれた、カタリナ。
どうしようもないくらいに大好きで、懸命にその背中を追った、憧れの先輩、アリア。

もはや皆と同じ時間を過ごすことも、言葉を交わすことも、叶わなくなってしまった。
それが死別―――その喪失の悲しみは、今もなお、あかりの心に深く刻まれている。

『おんぼろ』となった少女の瞳が捉えるは、アンジュを亡き者にした漢が、別の誰かを葬ろうと拳を振り上げる姿。

――誰かが殺され、残された者は悲しみと絶望に暮れる。
――そんな悲しみを、繰り返させるわけにはいかない。

「――私が、止めないと……!!」

武偵として、アリアの姉妹(アミカ)として、そして何より、間宮あかり自身の想いとして。
覚悟と共に、面を上げたあかりは、その小さな背中にバサリと白き翼を顕現。
驚く一同を他所に、地を蹴って飛び立つと、戦禍の中心へと突っ込んでいった。

「……あかりさん……」

去りゆくあかりの背中を眺めながら、琴子は心の内で、己が失策を嘆く。
こうなる前に、彼女のケアを、しっかり行うべきだった、と。

今のあかりは、冷静さを欠き、自分の感情に突き動かされるままに、独断専行に走ってしまっている。
そんな彼女を一人で行かせてしまうのは、非常に危ういものがある。

「まぁ、あいつ一人で任せるのも心配だわな。
俺も行くぜ、オシュトルの旦那もいることだし。
お前らは、ここで待っときな」

琴子の思考を、知ってか知らずか。
ロクロウもまた、内より湧きでる闘争への欲求を滾らせつつ、あかりの後を追わんとする。

「待って、ロクロウさん」
「うん? どうした?」

麗奈の静止を受け、ロクロウは足を止めて振り返る。
すると、麗奈は神妙な顔つきで、ロクロウに語り掛ける。

「――貴方は残って、久美子達を護って欲しい。
あかりさんなら、私が追うから……」
「何っ?」
「ちょっと、麗奈っ!?」

麗奈の思わぬ発言に、ロクロウは眉を顰め、久美子は驚愕する。
麗奈は久美子に向き直り、真っ直ぐな瞳で彼女を見つめる。

「久美子、ここは私に行かせて欲しいの……。
私達の目的を達成するために、私はここで能力(ちから)を試したい……。
逃げてちゃ、何も始まらないから」

麗奈は、久美子の目を見据え、真摯に訴えかける。
そのアメジストの瞳には、確固たる覚悟に満ち溢れていた。

「で、でも……」
「……お願い。此処は私に任せて」

麗奈としては、紆余曲折を経て、得た異能の能力―――今のところ、道中で出会った珍生物にのみ行使しているが、実戦での有用性を確かなければならない。
そして、今後自分達の目標を達成するためには、この殺し合いに招かれた数多の猛者達との衝突も避けられない。
そういった者達と鎬を削るためには、実戦での経験が何よりの糧となるだろう。
故に、麗奈は自身が戦闘行為を行う意義を見出し、あの場に介入する決意を固めたのだ。

「……う、うん……分かった……」

その熱意に圧され、久美子は渋々頷く。
麗奈は一度こう決めたら、絶対に折れない性格だと、よく知っているから。

「ロクロウさんも、構わないわよね?」

「――俺は、お前らによって命を繋いでもらった恩義がある。
お前らが、そうして欲しいってんなら、俺はそれに従うが……。
大丈夫なのか? あの漢、手練れってレベルじぇねえぞ?」

「大丈夫――私もきっと強いから……。
久美子、お願い―――」

「あ、うん……」

怪訝な表情を浮かべるロクロウに、麗奈は淡々と語ると、久美子に合図を送る。
久美子はコクリと頷き、麗奈のもとに歩んでいく。
琴子とロクロウが頭の中に?マークを浮かべ見守る中、その視線に晒され、気恥ずかしさを感じつつも、自らの首筋を差し出した。

「――麗奈、いいよ」
「うん、ありがとう……」

差し出された久美子の首筋に唇を添えると、麗奈は躊躇うことなく歯を立てる。
プツリという感触が伝わった直後、久美子は一瞬顔を苦悶に歪めるも、すぐに表情を元の穏やかなものに戻す。

「っ!? これは……」

琴子は目を見開かせ、眼前の光景に驚愕する。
突如として、接吻を彷彿させるような、情熱的で甘美な光景が見せつけられたのもあるが、何より久美子から血を吸い上げる麗奈の身体が、みるみるうちに変貌していったためだ。
摂取する血の量に比例するように、麗奈の髪の色が、黒から紅色へと染まっていく。
同時に、欠損していたはずの左腕が、まるで時間を巻き戻しているかのように再生し、久美子の身体を優しく抱きとめていく。

「それじゃあ、行ってくる」

吸血を終えて「夜の女王」と化した麗奈は、久美子の首元からゆっくりと口を離すと、その口元に付いた真紅の滴をペロリと舐めとる。
久美子の首筋に残された吸血痕は、みるみるうちに薄れ、完全に消え去っていく。

「――麗奈」
「何?」

踵を返さんとする麗奈を、久美子は思わず呼び止める。

「絶対に戻ってきてね……」
「うん、絶対に戻ってくる」

懇願するように告げる久美子に、麗奈は短くも、力強く誓いを返す。

「約束だから……」
「うん、約束」

唯一無二の親友の両頬に手を添えて、その温もりを確かめる。
と同時に、彼女から受け取った血(あい)が全身に染み渡るのを感じ取る。
そして、暫くしてから名残惜しそうに手を離すと、麗奈は、久美子達に背を向け、今度こそ戦場へと駆けていった。




「――ひとつ訊かせよ、娘……」

夜天に君臨するは、裁きの天使。
己と対峙する乱入者をじっと見据えながら、ヴライは問いを投げかける。

「我は命じた……彼の者を弔えと――。
汝は、彼の者の葬送を成し得て、ここへ到ったか?」

ヴライにとっては、あかりがどういった経緯で、斯様な変貌を遂げたのか――。
何を思って、己が前に立ち塞がるか、など微塵も興味は湧かない。
ただ一点――。己が手で屠った皇女の骸が、その後、無事に葬られたか否か。
関心はそれだけだった。

「……アンジュさんなら、あの後、きちんと送りました……」

表情を曇らせながら、あかりは告げた。
その脳裏に、土に埋まっていった皇女の姿を、思い起こしながら。

「そうか。ならば、良し……」

ヴライはその答えを聞き受けると、再びその拳に炎を宿す。
これ以上の問答は不要。後は、立ちはだかる眼前の敵を屠るのみ。
そう言わんばかりに、ヴライは臨戦態勢へと入る。

「……。」

対するあかりもまた、その闘気に呼応し、構えを取る。
既に、会話が通じる相手ではないと悟っている。
故に、全身に気迫を漲らせ、ヤマト最強を、全力を以って迎え撃たんとする。

――刹那。

ヴライが動くと同時に、あかりもまた動き、両雄は正面衝突を果たす。

ド ォ ン !!

豪炎と豪風がぶつかり合い、周囲に激しい衝撃波が撒き散らされる。
その衝撃たるや、一帯の地面は陥没し、生い茂る木々はバッタバタと薙ぎ倒され、森林地帯は見るも無惨に切り裂かれていく。

「ぬぅん……!!」
「――ッ!!」

ヴライが、猛火を帯びた拳撃を振るえば、あかりは、自身を弾丸に見立てて、回転しながら突貫。
神風を彷彿させる勢いそのままに、雷撃を伴った螺旋の刺突を放つ。
絶大な力を誇る衝突が繰り返されるたびに、大地は悲鳴を上げて、空は割れて、戦場に破壊の爪痕を刻んでいく。
無論、これだけの破壊をまき散らしておいて、当事者達が無傷でいられよう筈もない。

既に、あかりの服はあちらこちらが焼け焦げており、露出した肌には火傷の痕と裂傷が散見される。
一方のヴライも、螺旋力を帯びたあかりの刺突を受けて、その拳は削られ、血に濡れている。

「ぬおおおおおおおおおおお!!」
「はあああああああああっ!!」

しかし、それでも両者一歩も引かず。
ただ、眼前の敵を打ち倒さんと、次なる攻撃を放っていく――。
もはや、二人の激闘は、他の誰にも介入できぬほどの領域に昇華されていた

豪ッ!!

――かのように思われていた。

「ぬッ…!?」

突如として、ヴライの側頭部に向けて高速で飛来してきたのは、触手の槍。
それを察知したヴライは、振り向けざまに業炎を振るい、それを灰燼へと変える。
第三者による奇襲を、咄嗟にやり過ごしたヴライ。
しかし、その対応によって、あかりへの突進は中断される。

「……そこ!!」

その隙を逃すまいと、あかりは出力を上げて、突貫。
己が身を光の矢と化して、ヴライの心の臓を狙う。
迫りくる必殺の刺突に、ヴライは本能的に危険を察知。
反射的に身体を反らし、これを躱さんとする。

「ぐぅ……!!」

しかし、完全に躱すことは叶わず、左胸の一部が削り取られ、鮮血が舞う。
ヴライは、顔を顰めながらも、後方を振り返ると、今しがた自分の脇を通過したあかりに向かい、炎槍を投擲せんとする――。

豪ッ!!

だが、再び、別方向より、触手の横槍が到来。

「おのれぃッ……!」

やむを得ず触手を迎撃し、焼き払うと、触手の射出元へと、炎槍を投擲。
次の瞬間には、爆音と共に、炎が巻き上がる。
爆炎と同時に、触手の主と思わしき一つの影が跳躍。
そのまま、ヴライの巨体を通り過ぎると、目を丸くしているあかりの横へと、着地した。

「加勢するわ、あかりさん」
「……えっ、 麗奈さん?」

あかりと並び立ったのは、琴子達と一緒に残してきたはずの、麗奈であった。
しかし、その容姿は先程までとは一変しており、どこか神秘めいた雰囲気を身に纏っている。
特筆すべきは、その背中に蠢く二本の触手――。明らかに、人の域を超えた姿である。

「まだ蟲が湧くか……!!」

その風貌に、先のオシュトルを騙った不届き者の姿を重ねたヴライは、憤怒の表情で麗奈を睨みつける。

――ビクリっ!!

真正面から注がれる、鬼神の如き、闘氣と殺意。
麗奈は一瞬、心の臓が跳ねる感覚に襲われる。

(……大丈夫……、私は戦える……)

しかし、麗奈は自分にそう言い聞かせて、その身を震わせる感覚を振り払う。

(……これは試練……。
久美子と共に、全てを取り戻すためにも、ここで退くわけにはいかない……)

決意を新たに、麗奈はヴライを睨みつけ、前屈みとなって、構えを取る。

「あかりさん、色々と気になることはあるでしょうけど、まずは、この場を切り抜けましょう」
「え、ええ……そうですね……」

麗奈の呼びかけに、あかりは戸惑いながらも頷くと、咆哮と共に襲い掛かるヴライを、迎え撃つのであった。


【E-6/夜中/一日目】
【ヴライ@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:ダメージ(絶大)、疲労(絶大)、額に打撲痕、左腕に切り傷(中)、火傷(絶大)、頭部、顔面に複数の打撲痕、右腕に複数の銃創、シドーに対する怒り、顔面に爆破による火傷、全身にガラス片による負傷、全身に銃弾と針による負傷、無惨に対する怒り(極大)、両拳にダメージ、胸に刺突痕
[服装]:いつもの服装
[装備]:ヴライの仮面(罅割れ、修理しなければ近いうちに砕け散る)@うたわれるもの3
[道具]:基本支給品一式、不明支給品2つ 、大量のヤシの実サイダー(現地調達)@とある魔術の禁書目録
[思考]
基本:全てを殺し優勝し、ヤマトに帰還する
0:目の前の二人(あかり、麗奈)を屠った後、オシュトルと雌雄を決する
1:あの男(シドー)もいずれ殺す
2:アンジュの同行者(あかり、カタリナ)については暫くは放置
3:オシュトルとは必ず決着をつける
4:デコポンポの腰巾着(マロロ)には興味ないが、邪魔をするのであれば叩き潰す
5:皇女アンジュ、見事な最期であった……
6:あの術師(清明)と金髪の男(静雄)とオシュトルの贋作(無惨)に再び会ったら葬る。
[備考]
※エントゥアと出会う前からの参戦です。
※破損したことで、仮面の効能・燃費が落ちています。
※『特性』窮死覚醒 弐を習得しました。


【間宮あかり@緋弾のアリアAA】
[状態]:覚醒、白髪化、痛覚が鈍くなっている、体温低下、情報の乖離撹拌(進行度34%)、全身のダメージ(大)、精神疲労(中)、疲労(絶大)、左中指負傷(縦に切断、包帯が巻かれている)、深すぎる悲しみ、久美子たちの計画に対する迷い、全身に火傷
[服装]:いつもの武偵校制服(破損・中、焼き焦げ・中)
[装備]:スターム・ルガー・スーパーレッドホーク@緋弾のアリアAA
[道具]:基本支給品一色、不明支給品2つ
[思考]
基本:テミスは許してはおけない。
0:この人は、私が止めなくちゃ……。
1:黄前さん達の計画については……。
2:ヴライ、琵琶坂、魔王ベルセリア、夾竹桃を警戒。もう誰も死んでほしくない
3:『オスティナートの楽士』を警戒。
4:もし会えたらカナメさんに、シュカさんの言葉を伝えないと
5:メアリさんと敵対することになったら……。
[備考]
※アニメ第10話、ののかが倒れた直後からの参戦です
※覚醒したことによりシアリーズを大本とする炎の聖隷力及び「風を操る程度の能力」及びシュカの異能『荊棘の女王(クイーンオブソーン)』、そして土属性の魔術を習得しました。
※情報の乖離撹拌が始まっており。このまま行けば彼女は確実に命を落とします。
※ 殺し合いの全てを無かったことにしようとする久美子達の計画を知りました。


【高坂麗奈@響け!ユーフォニアム】
[状態]:鬼化(無惨の呪い無し)、新月の花嫁、確固たる思い、左腕の肘から先が消失(現在は一時的に再生中)、『夜の女王』形態
[服装]:特製衣装・新月の花嫁(共同制作)
[装備]:
[道具]:高坂麗奈のトランペット@響け!ユーフォニアム、危険人物名簿@オリジナル
[思考]
基本:久美子の願いを手伝う。……人間に戻れたら、私は滝先生にもう一度――
0 : まずはヴライを倒す。その後は、久美子の元に戻る。
1:久美子、待っていて―――
2:なるべく久美子には無茶はしてほしくはない。
3:ヴァイオレットさんと話をしたい。……出来れば、仲間になって欲しいかな。
4:岩永さん……敵に回るのであれば容赦はしないから
5:無茶にもほどがあるけど、音楽勝負なら負けてやらないから。
6:水口さんや月彦さんとはいずれ決着を付けないといけない。
7:まずは、力の使い方に慣れたい。
8:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒

※『ビルダー』黄前久美子の血肉を喰らい、精霊ルビスの情報を取得した結果、無惨の呪いから解放されました。
これ以上無惨の影響を受けることは有りませんが、無惨の血による鬼化自体は治っておりません。
※首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。
※『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『006』が麗奈、『007』が無惨であることを認識しました。
※ 精神の安定に伴い、カタルシスエフェクトの発動が可能となりました。形状は後続の書き手にお任せします。
※己の『奏者』としての特別(ちから)を自覚しました。それがどう作用するか後続の書き手におまかせします。
※ビエンフーから記憶情報を読み取り、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。
※鬼化した身体の扱い方にある程度慣れました。現状では鬼舞辻無惨の『管』等や、対象によって可能不可能の差異はありますか血を介しての情報の読み取り等が可能です
※久美子の血を飲むことで一時的に『夜の女王』形態になります。この場合左腕が一時的に再生し、通常時を遥かに超える出力が可能です。



「――あれは月彦の……」

目と鼻の先で、あかりと共に、ヴライを相手に奮戦する麗奈。
壮絶な速度で駆け回り、背中から生やした触手を得物として、戦うその姿に、オシュトルは、先に遭遇した鬼の首魁の姿を想起した。
自分達と離別してから、“何か”があって、それを契機として、鬼化によって齎された力を使いこなせるようになったのだろうか――。
何れにしろ、あかりとともに、あのヴライを相手に互角以上の攻防を繰り広げている。

あわよくば、ここは彼女たちに一任して、自分はこの場所から早々に離脱したいのが本音ではあるが、そうも言っていられない。
眼前で、麗奈と共闘するあかりは、自分たちが探し求めていた覚醒者―――。
このゲームの打開のためにも、絶対に捨て置くことは出来ない存在だ。

(はぁ…、やることが多い……。
アイツの誤解も解かないといけないしな……)

憂鬱気味に、オシュトルはクオンの方をチラリと一瞥する。
クオンは未だ、呆気に取られた様子で、眼前で繰り広げられている激闘に釘付けとなっている。
先刻とは異なり、此方に敵意が向いていないだけでも、僥倖とも言える。
彼女とも、この後じっくり話し合う必要がありそうだが、まずは目下最大の脅威である、ヴライをどうにかせねばならない。

「……やれやれ、もはや追加労働手当だけでは割に合わんな……」

そんなことをぼやきつつ、偽りの仮面を纏いし青年は、満身創痍の身体を引き摺っていく。

「――えっ……?」

眼前の戦闘による衝突音が木霊する中、ふと耳に入ってきた、何気のない呟き。
かつて、自分の隣に在った青年が、時折口にしていたような、そんな言の葉に、クオンの意識は引かれ、思わず振り向いた。
視線の先には、傷だらけの身体を庇いながらも、あかり達の元へと歩みを進めるオシュトルの姿があった。

「……今、何て――」

全身が震える感覚を、覚える。
オシュトルの視界には、揺らめく自分の姿は映っていないようで、ただ真っ直ぐに、前進していく。
仮面(アクルカ)を装い、得物を手に取り、戦場へと歩んでいく、その姿はヤマト右近衛大将のそれに違わない。

「……まさか……まさか―――」

しかし、揺れる皇女の双眸には、かつて自分の隣に在った“青年”の姿としか映っていなかった。


【E-6/夜中/一日目】
【オシュトル@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:健康、疲労(極大)、全身ダメージ(極大)、全身打撲、強い覚悟
[服装]:普段の服装
[装備]:オシュトルの仮面(罅割れ)@うたわれるもの 二人の白皇、童磨の双扇(一方は破壊済み)@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品一色、工具一式(現地調達)、チョコラータの首輪
[思考]
基本:『オシュトル』として行動し、主催者に接触。力づくでもアンジュを蘇生させ、帰還する
0:まずは状況に対処する
1:クオン、早苗と話がしたい
2:レポートに記載されている『覚醒者』を確保する(優先はあかり、麗奈)
3:ロクロウを蝕んでいる毒(無惨の血)の治癒方法を探る
4:首輪解除に向けて、首輪の緊急解除コードを探る
5:ムネチカとも合流しておきたい
6:ヴライ、無惨を警戒
7:ゲッターロボのシミュレータについては、対応保留。流竜馬とその仲間を筆頭に適性がありそうな参加者も探してきたい。
8:殺し合いに乗るのはあくまでも最終手段。しかし、必要であれば殺人も辞さない
9:『ブチャラティ』を名乗るものが二人いるが、果たして……。
10:誰かに伝えたい『想い』か……。
[備考]
※ 帝都決戦前からの参戦となります
※ アリア、新羅と知り合いの情報を交換しました。
※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※ 首輪の説明文を読みましたが、「自分たちが作られた存在」という部分については懐疑的です。
※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読み、覚醒者『003』がミカヅチであることを認識しました。


【クオン@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:全身にダメージ(絶大)、疲労(大)、出血(絶大)、精神的疲労(絶大)、オシュトルへの怒り及び不信(極大)、ウィツアルネミテアの力の消失、早苗への不信(小)、混乱
[役職]:ビルダー
[服装]:皇女服
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、薬用の葉っぱ@オリジナル、不明支給品0~2、マロロの支給品3つ
[思考]
基本:殺し合いに乗るつもりはない。皆と共に脱出を。
0:――ハク……?
1:状況に対処する
2:早苗の様子に違和感。後でじっくり話したい。
3:オシュトルは絶対に許せない。
4:ヴライ……ハクの仇……!!
5:とにかく、あの臨也って奴はむかつくかな。
6:ムネチカを捕えた連中(ベルベット達)からムネチカを取り戻したい
7:アンジュとミカヅチとマロロを失ったことによる喪失感
8:着替えが欲しいかな……。
9:優勝……ハクを蘇らせることも出来るのかな……ううん、馬鹿なこと考えちゃ駄目!
10:マロロ...
[備考]
※ 参戦時期は皇女としてエンナカムイに乗りこみ、ヤマトに対しての宣戦布告後オシュトルに対して激昂した直後からとなります。オシュトルの正体には気付いておりません。
※マロロと情報交換をして、『いまのオシュトルはハクを守れなかったのではなく保身の為に見捨てた』という結論を出しました。
※ウィツアルネミテアの力が破壊神に破壊された為に消失しています。今後、休息次第で戻るかは後続の書き手にお任せします。
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。
※早苗から、オシュトルに対する悪評を聞きました。




「――成程な、概ねの事情は理解した……」

早苗の喉元に刃を突きつけたまま、彼女とヴァイオレットの双方から、事の経緯を聞きこんでいたロクロウは、ふーっと溜息をついた。

(――よりにもよって俺が、こんな立ち回りをする羽目になるとはな……)

慣れない役回りに、柄にもなく辟易するロクロウ。

元々は、ヴライ達の戦闘の余波が及ばぬよう、久美子と琴子の二人を引き連れて、らしくもなく、戦地から遠ざかっていたが、そこで知り合い同士が相争っている場面に遭遇――。
流石に捨て置くこともできず、らしくもなく、二人の戦いに介入し、戦闘を中断させ――。
まさにお代官様の如く、らしくもなく、両者の言い分を聞いて、これを裁かんとしているのだ。

「その上で、一つ、俺から言わせて貰えば―――」

ロクロウは、その場に居合わせるカナメ、臨也、ヴァイオレットの順に視線をやり、最後に早苗に目を向けて、口を開いた。

「なぁ、早苗―――。お前、本当に何があったんだ?
何故、わざわざ研究所でのオシュトル達とのやり取りをでっち上げる?」
「……なっ!? ロクロウさんまで何を言っているんですか!?」

ロクロウの言葉に、早苗が目を見開いて、声を荒げる。

「ロクロウさんだって、オシュトルさんに、シグレさんを殺害するよう強要されましたよね!?
それを巡って、私が、オシュトルさんとヴァイオレットさんに責められるのを見ていたじゃないですか!?」
「いいや、俺はオシュトルに頼まれるまでもなく、元々シグレを斬る予定だった。
それにお前が、オシュトル達に糾弾されることなんか、無かったぞ」
「――そんな……そんな……」

またしても、自身の証言を真っ向否定された早苗は愕然として、口をパクパクとさせる。
確かに、この身を以って見聞きして、体験した真実なのに、あの場に居合わせた人間は悉く、その記憶を否定してくる。
諸悪の根源たるオシュトルとヴァイオレットならまだしも、ロクロウまでもが、口裏を合わせたかのように、自身を異端として責めたててくる。
その異常な状況に、早苗が混乱しきった顔で、言葉を失っていると……。

ザザザッ――― ザザザッ―――

「――いぎぃっ!?」
「早苗……?」

またしても、脳天より突き抜ける痛みが早苗を襲い、彼女は頭を抑えて、よろよろと後退していく。
ロクロウは、そんな早苗の異変に眉を顰める。

「うっ、い”だいっ!! あ、たま……頭がぁっ!!」

己が宿主の混乱と不安を悟った蟲は、再び彼女の脳内にて工作を開始する。
彼女が確信をもって、オシュトルを敵対視できるように、と。

「これは、先程の……!? ――早苗様っ!!」
「何が起こっている? おい、早苗――」

脳を錐で掻き回されるかのような激痛に、悶絶する早苗。
尋常ならざるその様子に、ヴァイオレットとロクロウは彼女に駆け寄ろうとするが――

「わ”だじに、近寄ら"な"い"でく"ださいっ!!」
「「っ!?」」

早苗が、混乱と苦悶の入り混じる形相で絶叫した途端、彼女を中心に突風が巻き起こり、二人の身体は押し戻されてしまった。

「あ、ぐ……ううっ……!! 嫌っ、いやあ”ああああぁあああああっーーー!!」

早苗は、苦痛に頭を抱えながらも、一同に背を向けると、ふわりと宙に浮遊。
そのまま、フラフラと滑空しつつ、その場から離脱していく。

「ま、待てっ!! 早苗っ!!」
「お止めください、カナメ様!!」

逃亡を図る彼女の背中に、咄嗟に銃口を向けるカナメ。
しかし、カナメが発砲するより早く、ヴァイオレットがその腕を摑んで、制止した。

「離せ、ヴァイオレットっ!! このままだと、アイツに逃げられる」
「いいえ、離しません。ここで早苗様を撃っても、何の解決にもなりません!!」
「……だが、くっ!!」

ヴァイオレットと揉み合いになりながらも、早苗の背中がどんどんと小さくなっていくのを見て、カナメは歯噛みする。
苦痛に悶える早苗の飛行は安定せず、木の枝葉や幹に何度も衝突を繰り返し、低空で不格好な軌道を描いている。
割れんばかりの頭痛に悲鳴を上げながらも、懸命に森の奥へと突き進んでいく。

「――俺が連れ戻すッ!! 任せとけ!!」

カナメ達がもたついている間に、ロクロウが地を蹴り、飛行する早苗の背を猛追する。

「ロクロウ様っ!?」
「早苗には、恩があるからな--ここは、俺が追うッ!!
お前ら悪いが、あっち側にいる俺の連れと合流しといてほしい!!」
「えっ…? あっ、おい!?」

自身がやって来た方向を指差しながら、ロクロウはカナメ達に一方的に久美子達の事を押し付けると、風を切って、夜の闇へと消えていった。
困惑したまま立ち尽くすカナメ達を、置き去りにして。

「やれやれ……随分と好き勝手やってくれたね、彼は……」

ロクロウが来てからは静観を決め込んでいた臨也は、二人が去っていった方角を見つめ、肩をすくめる。
そして、カナメとヴァイオレットに向き直ると、真面目な面持ちで口を開いた。

「――早苗ちゃん……明らかに様子がおかしかったよね。
ヴァイオレットちゃんの時もそうだったけど、自分の正当性を疑っていないというか、確信的に行動しているというかさ……。
虚言を以って、オシュトルさんとヴァイオレットちゃんを嵌めているという自覚があれば、さっきの彼への供述にも、何かしらのテコ入れはする筈。なのに、それは無かった――」

これまでの早苗の言動を振り返りながら、臨也は己が考察を口にしていく。
その内容に耳を傾けながら、カナメもヴァイオレットも、深刻な顔を浮かべる。
二人とも、同行していた時間こそ短かったが、早苗の人となりは理解していたつもりだった。
そして、その人柄を鑑みれば、彼女が悪意を以って嘘を吐き、他者を陥れる真似をするとは到底思えない。

「つまり、早苗ちゃんの中では、嘘は言っていない――。
オシュトルさんと、ヴァイオレットちゃんに襲われたという『虚構』は、『真実』として刻み込まれているってことになるのかな……。
これはあくまで俺の推測だけど……彼女は、知らぬ間に自分の記憶や認識を改竄されている可能性がある」

この考察自体は、最初のヴァイオレットとのやり取りを観察した際に、可能性の一つとして、臨也は、脳内に留めていた。
しかし、今しがたのロクロウとのやり取りを鑑みると、臨也のそれは確信めいたものに変わっていた。

「――記憶や認識の改竄……だと? そんなことが―――」

「ありえないと、言い切れるかい? 
現に、このゲームには、様々な異能や人外、それに類する支給品が蔓延っている。
そういった洗脳能力を持った参加者がいたり、それを成し得る支給品があったとしてもおかしくはないんじゃないかな……?」

「――……。」

臨也の推測に、カナメは、険しい表情を浮かべる。
確かに、記憶や認識の介入によるものであれば、早苗の不可思議な言動も合点がいく。
そして、人を操る能力や支給品の有無という点においては、幾つか心当たりはあった。

「どうやら、その様子だと、思い当たる節はあるようだね……」

「ああ…確かに、二つ近しい能力を見たことがある……。一つ目は、異能(シギル)だ。
他人をラジコンのように操れるDゲームプレイヤーが、このゲームに参加していることを、俺は知っている。
だが、そいつは既に死んでるし、そもそも、操る対象の自我を奪っていたから、早苗の場合とは少し性質が違うな……」

ヒイラギイチロウ――通称「花屋」。
かつて、宝探しゲームにて、カナメ達を苦しめた彼は、植物の麻薬成分を相手の脳に行き渡らせ、リュージを含めた多数の参加者を、己が兵隊として操っていた。
既にヒイラギは死亡しているが、似たような芸当ができる参加者がいても、何らおかしくはない。

「早苗ちゃんの場合は、元の人格と自我はしっかり残っているようだからね……。
それで、もう一つの心当たりっていうのは?」

「人を斬って操る刀だ……。俺は北宇治高等学校で、それを駆使する参加者と、実際に操られている参加者に遭遇している」

「それって、罪歌っていう妖刀のことじゃないかい?」

「……っ!? アレを知っているのか!?」

「あの刀とは少なからず、因縁があってね……。まぁ、これは追々話すよ……。
だけど、罪歌にしても、今回の早苗ちゃんの一件とは、また違う感じがするんだよね…。
カナメ君も、アレの能力を観察したなら、何となく察してるんじゃないかな?」

臨也の指摘に、カナメは頷かざるを得なかった。
カナメも実際に、佐々木志乃が、罪歌を以って、ジオルトを操るところを目撃していたが、あれは一種の催眠術のようなものであった。

事実、罪歌による支配は、所謂0か100の電源スイッチのようなもの―――スイッチがオフの場合は、元の人格を保たせたままとなるが、これをオンに切り替えることで、子の人格を完全に掌握するものだ。
そういう意味では、自我を保たせた上で、部分的に早苗の認識ないし記憶を改竄されたと疑われる今回の件に、罪歌が絡んでいる可能性は極めて低いのだが――

「――とまあ、こんな感じだけど……理解したかな、カナメ君……。
少なくとも、この会場には、カナメ君が知りうる限りでも、二つ。他者を操る術が存在していた……。
そこから鑑みると、早苗ちゃんの不可解な言動を起こしうる、”未知”が潜んでいる可能性だって十分ありえるってことさ」

あの妖刀以外にも、それに近しい、他者の精神に介在するような支給品が手に渡っていると仮定すれば、例え洗脳能力を有さない参加者でも、今回のような改変は行使可能だといえる。

異能力にせよ、支給品にせよ、実際に、事例を並べられてしまった現状、臨也の考察を否定する要素はどこにもない。

「――もし、アンタの推測通り、早苗が何らかの方法で操られていたとしたなら……。
俺達はまんまと掌で踊らされてるって事か……。早苗を玩具にした、そのクソ野郎に!!」

「……カナメ様……」

悔しそうに歯噛みするカナメ。
もし臨也の推測の通りであれば、早苗もまた、黒幕による哀れな犠牲者に過ぎない。
そして、そんな彼女に対して銃口を向けてしまった、浅慮な自身の行動にも、後悔の念を滲ませていた。

「今のところ、犯人も手口も不明のまま……。
本当に、厄介極まりないよね――」

俯くカナメを観察しながら、臨也は言葉を続ける。
カナメやヴァイオレットの不安を煽るかのように口調で話したかと思うと、突如として、ふと何かを思い出したかのように、自身の拳で、もう一方の手のひらをポンと叩いてみせた。

「あぁ、でも、そうだ……。
改竄が行われる瞬間については、何となく見当はつくよね…」

何ともわざとらしく、そんなことを口にだした臨也。

「――早苗様が、頭痛に苛まれていた、あの時ですね……」

謂わんとしていることを察したヴァイオレットが、臨也の言葉を繋ぐと、彼は満足そうに首肯した。

振り返ってみれば、頭を抱えて苦しみだしたあの後から、早苗は「思い出した」という体裁で、過去の自身の証言とは異なるスタンスを取り、ヴァイオレットを完全に敵視するようになった。
まさに、この瞬間こそが、彼女の中にある”真実”が書き換えられたタイミングと見て間違いないだろう。

「――いや、ちょっと待て……。
もし、本当に改竄のトリガーが頭痛だとしたら――」

ハッとした様子で、カナメが声を上げると、臨也は間髪入れずに頷いた。

「気付いたかい……?
彼女は今まさに記憶の改竄の真っ只中って事になるよね……。
さしあたり、今度は早苗ちゃんを追っている彼を敵視するような改竄になるんじゃないかな?」

「事態は悪化する一方ってか……クソッタレ!!」

早苗とロクロウの二人が去っていった夜の闇を、一瞥する臨也。
カナメは、ギリリと歯を軋ませながら、その闇を睨みつけ、ヴァイオレットはその表情を更に曇らせる。
どんよりとした沈黙の後、臨也は二人の方へと振り向き、話を切り出した。

「さて、それを踏まえて、これから俺たちはどうするべきだと思う?
悪意ある何者かによって、頭をいじくり回されている可哀想な早苗ちゃんを救うに行くかい――?
それとも、早苗ちゃんはさっきの彼に任せて、頼まれている彼の “連れ”とやらを探すに行くかい――?
はたまた、化け物たちを相手にしている、オシュトルさんの応援にいくかい――?
これが、テレビゲームだったら、ここでセーブでもして、じっくり選択肢を吟味したいところだけど、あまり悠長に事を長引かせる訳にもいかないじゃない?」

口角を吊り上げつつ、選択を迫る臨也に、互いに顔を見合わせるカナメとヴァイオレット。眼前の二人の"人間"が果たしてどのような決断を下すのか―――人間を愛する情報屋は、好奇と期待に満ちた目で、その様を観察するのであった。




ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――

「い“だっ!! い”だい“っ―――!!」

脳内にノイズが反響する度に、鋭い頭痛が脳天を駆け抜ける。
早苗は、その激痛から逃れるように、全力で宙を駆けるが、脳内に流れ込むノイズは止まる事無く、頭痛も強まっていくばかり。
当然、そのような状態では、視覚情報から得られる情報を処理する余裕などあるはずはなく――

ゴ ツ ン !!

「カァッ――!?」

風を裂いて駆け抜けた先にあった大樹に、正面衝突。
鈍い衝撃と共に、か細い悲鳴を漏らしつつ、地面に叩きつけられる早苗。

ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――

「あ……ぁ、ぐ……がっ……」

しかし、そんな状態となっても、脳内を掻き乱すノイズと苦痛は、容赦なく続く。
地に伏した早苗は、両手で頭を抱えながら、断続的に襲いくる激痛に、呻き、身悶える。

「――早苗、大丈夫かっ!?」

ようやく彼女に追いついたロクロウは、地に蹲る早苗の姿を視認すると同時に、彼女の元へ駆け寄らんとする。

「た、助けて……。助けてくださいっ……!!
頭が、おかしくな―――あぐぅっ!?」

手を伸ばして、救いを求める早苗。
しかし、哀願の声も、不協和音と共に、鋭い頭痛が頭蓋を締め付けると、すぐさま苦悶の悲鳴に変わる。

ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――

「い"っ!? ぎっ!? い"あ"あ"あ"あああああああああああああああっ!!」
「早苗っ!?」

涙をこぼしながら、絶叫する早苗。
その脳内では、ノイズによってグチャグチャに乱された過去の映像が、断片的且つ無秩序に再生されていく。

ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――

映像が駆け巡る中で、新たな"虚構”が脚色されていく。



「――殺し屋を所望なら他所を当たってほしいんだがな、オシュトル……」

(えっ、あそこにいるのは、ロクロウさんと、オシュトルさん―――。
それに、ヴァイオレットさんも……? 『殺し屋』って、一体何を――)

「シグレの他に、手頃に殺せそうな参加者を見つけたら、斬る――。
ただし、他に徒党を組む連中とは、程よく付き合って、それを悟られぬようにする――ってか……。
ったく、随分と注文が多い同盟者さんがいたもんだぜ……」

(――っ!?)

「これは、私達が勝ち残る為に、必要なことなのです、ロクロウ様……」

「然り……。何も貴殿にだけ、面倒事を押し付けているわけでもない。
我らとて、道中で出会う参加者は推し量り、利用価値のない者、直近で邪魔になりそうな者については、適宜、間引いていく所存だ」

「――そういうことなら、まぁ、いいさ……。
だが、早苗とブチャラティに関しては、どうする?
ブチャラティの奴はともかく、早苗は、お前に反感を持ってるみたいだが……」

「いや…奴らについては、暫く泳がしておく。
我々三人が殺し合いに乗っていると悟れていない以上、他の参加者との橋渡しとして利用できるからな」

(そんな……。この人たちは、皆殺し合いに……)




ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――
ザザザッ――― ザザザッ―――

頭痛が引いていくと同時に、早苗は忌むべき記憶を“思い出して”いく。

(――そ、そうだ……そうだった……。
あの三人は皆、殺し合いに乗っていて――)

新たに早苗に刻まれた、偽りの記憶――。
それは、ドッピオとともに研究所を発つ前に、偶然にも、オシュトル、ヴァイオレット、ロクロウの三人の密談を目撃したというものであった。
そこでは、三人が、他の参加者を如何にして効率よく殺していき、勝ち残りを目指していくかの算段が話し合われていた。
無論、実際にそのような密談は行われてなどいないのだが、早苗の中では、それは「真実」として刻み込まれてしまった。

「――おいおい、早苗……。大丈夫か、お前――」

鎮まりかえった早苗を案じながら、近づいてくるロクロウ。
刹那、彼女はロクロウに向けて弾幕を射出。
ロクロウは、反射的にサイドステップにて、これを回避する。

「本当に、どうしたたんだ、お前?」
「……ロクロウさん、私”思い出しちゃった”んです……」
「――思い出した、だと……?」
「オシュトルさんと、ヴァイオレットさん、そしてロクロウさん――。
三人が、本当は殺し合いに乗っていて、私たちを利用していたということを――」
「突然、何言いだすんだ、お前は?」

早苗の突拍子もない発言に、ロクロウは眉を顰める。

「なあ、お前やっぱり変だぞ……一体何が――」
「五月蠅いッ――!!」

早苗は、ロクロウの言葉を遮って、再度弾幕を射出。
ロクロウは、あくまでも冷静沈着に、これを躱していく。

「だって、仕方ないじゃないですか!!
ロクロウさんが悪い人だったって、"思い出しちゃった"んですから!!
私だって、好き好んで、こんな事しているわけでは、ありませんよ!!」

尚も、機関銃さながらに、無数の光の弾丸を射出していく早苗。
だが、ロクロウは表情一つ変えることなく、これを躱し続ける。
夜叉の業魔の瞳は、ただひたすらに、荒れ狂う風祝をじっと捉えている。
そんな彼の態度が、早苗の神経を逆撫でしていく。

「――そんな目で、私を見ないでくださいよっ!!
私だって……私だって……!!」

眼前の漢は、殺し合いに乗っている超危険人物。
こちらを、殺そうと襲ってくるはず――。
自身に刻まれた"真実"に基づいた恐怖に駆られ、早苗は彼を撃退せんと、弾幕の出力を上昇させていく。
しかし、それと同時に込み上げてくるのは、正体不明の違和感。

――何かがおかしい……。

"真実"に基づいて、自分の取るべき行動を決めているはずなのに、何とも形容しがたい違和感が、纏わりついてくる。
既に恐怖と敵意で満たされている早苗の心が、その違和感によって、さらに掻き乱されていく。

「私は…、私は、どうすれば良いんですか……!!」

大粒の涙と共に、早苗は悲痛の叫びを上げた。

もはや、何が何だか分からない――。
"真実"に基づいて行動しているはずなのに、周りの理解は得られず、孤立していく。
不安、恐怖、焦燥―――ありとあらゆる負の感情によって蹂躙され、少女の心は決壊寸前であった。

「――そうか……お前、苦しいんだな、早苗……」

ロクロウは、静かにそう呟くと、手に握る刃を神速の如き勢いで振るい、弾幕を両断していく。

「……っ!?」

神業とも言えるその剣捌きに、早苗は目を見開き、思わず追撃の手を止める。

「俺は、一度受けた恩には必ず報いる――。
だから、お前の目を醒ませて、救い出してやる……」

唖然とする早苗に向けて、ロクロウは刃を向けて、高らかに宣告する。
月光に照らされたその刀身が、美しくも妖しい煌めきを放つと、ロクロウは地を蹴り上げる。

「――俺は、そういう業魔だからな……!!」

隻腕の夜叉は、刃を振るった。
眼前の少女を、斬るのではなく、救うがために―――。

【E-6/夜中/一日目】
【ロクロウ・ランゲツ@テイルズオブベルセリア】
[状態]:全身に裂傷及び刺傷(止血及び回復済み)、疲労(極大)、全身ダメージ(極大)、反省、感傷、無惨の血混入、右腕欠損、言いようのない喪失感
[服装]:いつもの服装
[装備]: オボロの双剣@うたわれるもの 二人の白皇、ロクロウの號嵐(影打ち)@テイルズ オブ ベルセリア
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0~2
[思考]
基本:主催者の打倒
0:早苗を救う。その後、久美子達と合流する。
1:出来れば久美子達はヴァイオレット達に面倒見てもらって、ヴライと戦ってみたい。
2:久美子達の計画に賛同するつもりはないが、久美子には借りがあるので、暫くは共闘するつもり
3:無惨を探しだして斬る。
4:シグレを殺したという魔王ベルセリア(ベルベット)は斬る。
5: 號嵐を譲ってくれた早苗には、必ず恩を返すつもりだが……
6: 殺し合いに乗るつもりはない。強い参加者と出会えば斬り合いたいが…
7: 久美子達には悪いことしちまったなぁ……
8: マギルゥ、まぁ、会えば仇くらい討ってはやるさ。
9: アヴ・カムゥに搭乗していた者(新羅)については……。
[備考]
※ 参戦時期は少なくともキララウス火山での決戦前からとなります。
※ 早苗からロクロウの號嵐(影打ち)を譲り受けました。
※ オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。
※ 垣根によってマギルゥの死を知りました。
※ 無惨との戦闘での負傷により、無惨の血が体内に混入されました。
※ 更新されたレポートの内容により、ベルベットがシグレを殺害したことを知りました。
※ 久美子が作った解毒剤によって、毒は緩和されており、延命に成功しました。
※ 殺し合いの全てを無かったことにしようとする久美子達の計画を知りました。


【東風谷早苗@東方Project】
[状態]:全身にダメージ(大)、疲労(極大)、精神的疲労(絶大)、臓器損傷、悲しみ(極大)、脳内にウォシスの蟲が寄生、記憶改竄(大)、オシュトルへの不信(極大)、ヴァイオレット、ロクロウへの不信(大)、錯乱状態
[役職]:ビルダー
[服装]:いつもの服装
[装備]:早苗のお祓い棒@東方Project
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0~1、早苗の手紙
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。この『異変』を止める
0:ロクロウさんを倒す?
1:オシュトルさん、ヴァイオレットさん、ロクロウさんは殺し合いに乗っているから、倒さないと!!
2:さっきの人が、ヴライ……。霊夢さんの仇……。
3:邪魔をするなら、カナメさんにも容赦はしません!!
4:オシュトルさんに協力している、折原臨也さんも倒します!!
5:ブチャラティ(ドッピオ)さん、信じていいんですよね……?
6:幻想郷の知り合いをはじめ、殺し合い脱出のための仲間を探す
7:ゲッターロボ、非常に堪能いたしました。
8:シミュレータにちょっぴり心残り。でも死ぬリスクを背負ってまでは...
9:魔理沙さん、霊夢さん……。
[備考]
※ 参戦時期は少なくとも東方風神録以降となります。
※ヴァイオレットに諏訪子と神奈子宛の手紙を代筆してもらいました。
※オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。 
※霊夢、カナメ、竜馬と情報交換してます。
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。いまはこのロワでビルドがやったことが出来るだけですが、今後の展開次第ではもっとできることが増えるかもしれません。
※ブチャラティ、九郎、ライフィセット、梔子と情報交換をしました。
※ウォシスの蟲に寄生されております。その影響で、オシュトルにまつわる記憶が改竄され、オシュトルに対する心情はかなり悪くなっています。今後も、記憶の改竄が行われる可能性は起こりえます。
※記憶の改竄による影響で、オシュトル、ヴァイオレット、ロクロウが殺し合いに乗っていると認識しました。




「――俺は、早苗達を追う……。
このまま、放ってはおけないからな……」

長い逡巡の後、カナメはそう宣言すると、臨也は「ほぅ…」と興味深げに声をもらした。

「それは、カナメ君が、彼女に恩義を感じているからかな?
もしくは、哀れな傀儡と化していることを知らず、彼女を傷付けようとしてしまったことに対する罪悪感からかい?
それとも、彼女に情があるからなのかな……?」
「――全部だ……」

試すかのように投げかけられた問いに、カナメは静かに答えを返す。

「カナメ様、私も―――」

「いや、ヴァイオレット。アンタは、来ない方が良い……。
オシュトルとアンタは、既にあいつの中で『悪』として認識されてしまっている。
下手に姿を見せたら、余計な刺激を与えかねない……。
その点、まだ俺に対する認識は、書き換えられていないようだからな……。
だから、アンタらには、オシュトル達と、あのロクロウって奴が言ってた『連れ』とやらのことを頼みたい……」

「うん、なるほど。至極妥当な着地点かな。
俺は、君の決意を尊重するよ、カナメ君。
ヴァイオレットちゃんは、どうだい?」

カナメの言葉に、臨也はうんうんと頷くと、ヴァイオレットに視線を向ける。
ヴァイオレットは目を伏せ、しばし沈黙――。
数瞬の後、ゆっくりと顔を上げた。

「承知致しました……。
カナメ様、どうか早苗様を宜しくお願いいたします……」
「ああ、任せろ……」

カナメが力強く頷く。
そんな二人のやり取りを上機嫌に眺めていた臨也は、「さて……」と言葉を付け足す。

「話はまとまったね。それじゃあ、早速―――」
「ヴァイオレットさんっ!!」

臨也の言葉を遮り、どこからともなく、女性の声が響き渡った。
呼びかけられたヴァイオレットをはじめ、一同は、声のした方向へと視線を向ける。
そこには―――

「……お嬢様……?」

息を切らして、肩を大きく上下させる麗奈の姿があった。

「やっと……やっと……見つけました、ヴァイオレットさん……」
「お嬢様……!! ご無事だったんですね……!」

髪が少し乱れており、額に汗を滲ませてはいるものの、別れた時のままの制服を身に纏い、五体満足の状態で現れた麗奈に、ヴァイオレットは安堵の声をもらした。
麗奈もまたヴァイオレットとの再会に、頬を緩ませる。

「ええ、私の方は何とか無事です……。
ヴァイオレットさんも、無事で本当に良かった……!!」

心の底から安心しきった様子で、麗奈はゆっくりとヴァイオレットに歩を進めていき、ヴァイオレットもまた、麗奈の元へと歩み寄ろうとした――その時。

「――そいつは、麗奈じゃないッ!!
騙されないでッ!!」

また別の声が、辺りに響き渡った。
声のした方へと視線を向けると、そこには車椅子に腰掛けるベレー帽を被った少女と、その後ろに立つ、メイド服を着込んだ少女の姿があった。

「黄前…久美子……?」

日中に学校で邂逅した少女の姿を見て、カナメは首を傾げる。
あの時は、特別に彼女と話し込むことはなかったが、着込んでいる装束が異なっているせいか、印象がまるで違っていた。
そんな彼女は、鬼気迫る表情で、ヴァイオレットの対面にいる麗奈を睨みつけている。

――刹那。

「チィッ!!」

麗奈は、その形相を一変させると、ヴァイオレットに向けて猛然と駆け出す。
瞬く間に肉薄すると、ヴァイオレットの整った顔面に向けて、青筋と爪を立てての貫手を放つ。

「――っ!?」

しかし、ヴァイオレットとて、かつては「ライデンシャフトリヒの戦闘人形」という異名を以って、うたわれた元女子少年兵。
即座に反応すると、繰り出された貫手を後方へ飛び退いてかわす。

「――死んじまえよ!!」

だが、その動きも読んでいたかのように、麗奈は獰猛な笑みとともに、懐より投擲物を放り投げる。

――瞬間、どかん、と。
その場の空気を震わす爆発が、巻き起こるのであった。




「はぁ……結局ロクロウさんは戻ってきませんでしたね……」
「仕方ありませんよ。そもそも、あの人になんかに、期待するのが間違いなんですから…。
あんな無責任で、奔放で、周りが見えてない人に……」

暗がりの森の中、久美子は琴子の車椅子を押しながらも、ロクロウへの愚痴をこぼしていた。
麗奈を見送った後、ロクロウは、ヴライ達の戦闘の余波を受けぬよう、自らが先駆けを務めるような形で久美子達を退避させていた。
しかし、道中でヴライ達のものとは異なる戦闘音を聞きつけると、様子を見てくると彼女達に一方的に告げて、飛び出していってしまった。
その後、暫く待機しても、音沙汰なし――流石にこのまま立ち往生するのも如何かと思い、こうして彼が消えていった方向へと向かっているのであった。

(やはり、久美子さんの、ロクロウさんに対する心象は良くないようですね)

久美子の愚痴に相槌を打ちながらも、琴子は二人の関係性について、思考する。
ロクロウは、久美子に対して引け目と恩義を感じているようで、彼女達の計画に対しては一応は協力するスタンスを取っている。
しかし、久美子はというと、ロクロウに対して、快く思っていない節があり、これを麗奈が間に介することで、二人の関係は保たれていた。
その仲介役の麗奈が不在となった途端、これだ。

この不安定な関係性を、上手く突くことが出来れば、今後自身が、久美子達の計画を真っ向否定する際に、優位に働くのではないかと、琴子が考えを巡らせていると―――。

『――ヴァイオレットさん!!』

ピタリ

前方より聞き慣れた声が、木霊すると、琴子が腰掛ける車椅子が止まった。

「……えっ……?」
「あれは――」

木々の隙間より、目に飛び込んできたその光景に、驚愕の声を漏らす、久美子。
琴子もまた、眼前の光景に釘付けとなり、思考の中断を余儀なくされたが、それも無理からぬことだろう。

なぜなら、二人の視線の先では―――

『やっと……やっと……見つけました、ヴァイオレットさん……』
『お嬢様……!! ご無事だったんですね……!』

先程別れたはずの麗奈が、息を切らせながら、佇んでいたのだから。

『ええ、私の方は何とか無事です……。
ヴァイオレットさんも、無事で本当に良かった……!!』

目を潤ませ、感極まった様子の麗奈は、ヴァイオレットと呼ばれた金髪の少女の元に、一歩、また一歩と歩んでいく。
それに呼応するように、金髪の少女の方もまた、引力にひかれるかのように、麗奈へと近づいていく。

(あの麗奈さんは、恐らく……)

―――身を包む、装束の変化。
―――吸血を以って変貌したはずの見た目が、元に戻っているという現実。
―――ここに居るはずがないのに、その姿を晒しているという矛盾。

眼前の『麗奈』について、違和感しか覚えなかった琴子は、一つの結論を導き出す。
そして、如何にして対処すべきかと、頭を働かせるも――

「――そいつは、麗奈じゃないッ!!
騙されないでッ!!」

怒気を孕んだ、久美子の叫び声が、琴子の思考と、『麗奈』とヴァイオレットの邂逅を、制止したのであった。




(――ビンゴッ!! うはぁ〜殺したい奴、大集合じゃん!!)

遠方より、断続的に立ち上がる火柱を視認してからは、まるで花火大会に向かう子供のように、ルンルン気分で森を駆けていた、ウィキッド。
高坂麗奈の姿に扮する魔女は、その道中で、三人の男女の姿を捉えて、胸を高鳴らせていた。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン――。
反吐が出るような綺麗事を並べ立てては、終始あのクソ女を庇い続けた、偽善に満ちた人形女。私の一番嫌いなタイプの人種。

スドウカナメ――。
私に弄ばれるべき玩具の分際で、生意気にも私を欺き、鉛玉をぶち込んできやがった、死に損ない。さっき見かけた時は、メス二人に手厚く介抱されていたが、どうやら私に殺されるために、わざわざ復活してくれたらしい。

折原臨也――。
『愛』だの『好き』など、耳が腐るような御託を並べながら、私を見下して、あたかも実験動物のように覗き込んでくる、最高にいけ好かない害虫野郎。殺すにしても、こいつだけは徹底的に痛めつけないと気が済まない。

「――ヴァイオレットさん!!」

眼前の三バカは、真剣に何やら話し合っていたようだが、そんな事は知ったことではなく、如何にも切羽詰まった声色で、声を掛けてみた。

「……お嬢様……?」

案の定、人形女はアホ面ぶら下げながら、こちらに反応。
その後も、月並みな台詞を並べて、再会に感極まる少女を演じてやると、人形女はホイホイと釣られて、こちらに近づいて来る。
此方も笑いを堪えながらも、いざ感動の抱擁へ向けて、歩みを進めていく。

(きゃははは、コイツは、どんな悲鳴聞かせてくれかなぁ)

無論、そんな反吐が出るような茶番を演出するつもりはない。
人形女が両手を広げた瞬間に、腹でも突き破って、絶望と苦痛に歪む顔を間近で鑑賞しながら、腸でも掻き混ぜてやろうとしよう。

――と、魔女が心中でほくそ笑んだ刹那。

「――そいつは、麗奈じゃないッ!!
騙されないでッ!!」

何処からともなく、女の声が聞こえた。
咄嗟に振り向いてみると、そこに居たのは二人の女。
一人は車椅子に搭乗する中学生くらいの小さな女で、もう一人はその車椅子のハンドルを握るメイド服を着込んだ女。
恐らく今声を発したのはメイド女なのだろう――憎々しげに此方を睨みつけている。

「黄前…久美子……?」

メイド女と面識があるのだろうか、カナメが、女の名前らしきものを呟いた。

(黄前……? ああ、こいつが……あのクソ女が言ってた――)

黄前久美子―――かつて遺跡に向かう道中で、麗奈と交わした数少ない会話の中で、彼女の友人として、ウィキッドはその名前を聞き及んでいた。
ウィキッドからすれば、へんげのつえによる変身も、高坂麗奈としての振る舞いにも、特に穴はなかった筈。
にも関わらず、久美子が、その真贋を見極めることが出来たのは、所謂友情が故の直感というやつなのだろうか。

(くっだらねえ……!!)

何れにしろ、目論みを台無しにされたウィキッド。
苛立ちとともに、舌打ちをかますと、大地を踏み抜く。
鬼化によって強化された脚力を以って、間もなくヴァイオレットに肉薄。
その頭蓋を貫かんと腕を振るう。

「……っ!?」

しかし、ヴァイオレットは超人的な反応で、後方に飛び退いて、これを回避。
だが、ウィキッドからすれば、その動きは想定内。

「――死んじまえよ!!」

間髪入れずに、手榴弾を放り投げ、彼女を爆殺せんとする。
しかし――。

ヒュン!!

「あん?」

風を裂く音とともに、銀色の光が奔ったかと思うと――

どかん!

殺意込められた爆弾は、標的に達する事なく空中で爆散した。
暗黒に染まっている森の中に、幾片の焔が飛び散る。

ザシュッ!!

続け様に爆炎の中から、再び銀光が迸れば、ウィキッドの額に、ナイフが生える。
その衝撃に魔女の身体は、ぐらりと大きく後ろに仰け反った。

「――痛ってえなぁ……」

しかし、ウィキッドはむくりと起き上がると、何事もなかったかの如く、額に刺さったナイフを引き抜き、投げ捨てる。
額からはドクドクと紅い雫が垂れ流しとなるが、特に気にする様子もなく、不機嫌気味にナイフの投擲元へと視線を送る。
額に空いた傷穴は、まるでビデオを逆再生しているかのように修復されていく。

「――成程ね……さっきの能力といい、その再生力といい、合点がいったよ……。
早苗ちゃん達が掴まされた偽情報のことが、ずっと腑に落ちていなかったけど、裏では君が暗躍していたんだね――」

その睥睨の先、折原臨也は目を細めながら、魔女の真名を紡ぐ。

「茉莉絵ちゃん……」
「――何だとっ!?」

静かに紡がれたその名前に、カナメとヴァイオレットは、目を見開いた。

「きゃはっ――」

その様を視界に収めながら、魔女は、グニィと『高坂麗奈』の仮面を歪ませてみせる。

「きゃははははははは……!! ピンポン、ピンポーン!! 大正解〜ッ!!
相変わらず、目敏いですね、折原さぁん♪」

高坂麗奈の外見を以って、高坂麗奈の声色を響かせて、高坂麗奈が決して浮べないような形相を張りつけて、高坂麗奈が決して口にしないような口調で、魔女は嗤った。

「――てめえ、ウィキッド……!!」
「あーあ、本当は、このクソ女の姿で、もっともっと掻き乱してやりたかったけど、バレちゃったなら、仕方ないかぁ。
まぁ、とりあえず--」

カナメの怒声を聞き流しながら、ウィキッドはやれやれと肩をすくめると、

「アンタら、全員まとめてブチ殺してやんよ――ッ!!」

狂気と殺意をその瞳に宿らせ、大地を蹴り上げるのであった。

これより、此の地は、破壊と殺戮を振り撒く、魔女の踊り場へと変貌する。


【E-5とE-6の境目/夜中/一日目】
【ウィキッド@Caligula Overdose -カリギュラ オーバードーズ-】
[状態]:高坂麗奈の姿(へんげのつえで変身済み)、鬼化、食人衝動(小)、疲労(極大)、カナメへの怒り(中)、無惨と麗奈への殺意(極大)、臨也への苛立ち、参加者の人肉(複製品)多数@現地調達
[服装]:
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、不明支給品0~2 、アリアの支給品(不明支給品0~2)、キースの首輪(分解済み)、キースの支給品(不明支給品0~1)、カタリナの布団@乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…、北宇治高等学校職員室の鍵、へんげのつえ@ドラゴンクエスト ビルダーズ2
[思考]
基本:自らの欲望にしたがい、この殺し合いを楽しむ
0:目の前にいる奴らを、全員殺す(臨也、カナメ、ヴァイオレットを優先)
1:無惨と麗奈を探しだして、殺す
2:壊しがいのある参加者を探す。特に『愛』やら『仲間』といった絆を信じる連中。
3:参加者と出会った場合の立ち回りは臨機応変に。 最終的には蹂躙して殺す。
4:舐めた真似してくれたカナメ君には、相応の報いを与えたうえで殺してやる
5:暫くは利用していくつもりだが、臨也はやはり不快。最終的にはあのスカした表情を絶望に染め上げた上で殺す。
6:私を鬼にしただぁ? 元に戻せよ、クソワカメ。
7:アリアの後輩達(あかり、志乃)に出会うことがあれば、アリアの最期を語り聞かせてやる
8:あいつが久美子―――クソ女の親友か……
[備考]
※ 王の空間転移能力と空間切断能力に有効範囲があることを理解しました。
※ 森林地帯に紗季の支給品のデイパックと首輪が転がっております。
※ 王とウィキッドの戦闘により、大量の爆発音が響きました。
※ 無惨との情報交換で、第一回放送時の死亡者内容を把握しました。
※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※ 首輪の説明文を読み、「自分たちが作られた存在」という可能性を認識しました。
※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読んでおり、覚醒者『006』は麗奈、『007』は無惨が該当すると認識しております。
※ 麗奈との距離が離れたため、太陽に対する耐性を失いました(認識済み)


【カナメ@ダーウィンズゲーム】
[状態]:疲労(大)、王とウィキッドへの怒り、全身打撲(小)、肋骨粉砕骨折(処置済み)、全身火傷(治療済み)、シュカの喪失による悔しさ、虚無感、ダメージ(大) 、胸部に刺傷(回復済み)、霊夢とフレンダの死による失意と罪悪感、精神的疲労(絶大)
[服装]:いつもの服装
[装備]:白楼剣@東方Project
[道具]:白楼剣(複製)、機関銃(複製)、拳銃(複製)、基本支給品一式、不明支給品2つ、救急箱(現地調達)、魔理沙の首輪、Storkの首輪、Storkの支給品(×0~2)
[思考]
基本:主催は必ず倒す
0:――ウィキッドッ!!!
1:洗脳されている早苗を救いに行くつもり――だったが……
2:出来れば、クオン達とオシュトルの仲介をしたい
3:回収した首輪については技術者に解析させたい。
4:【サンセットレーベンズ】のメンバー(レイン、リュージ)を探す。今は初期位置しか分からないリュージよりも近くにいるレイン優先。
5:王の奴は死んだのか……そうか……
6:ウィキッドのような殺し合いに乗った人間には容赦はしない。
7:無力化されたようだが一応ジオルドを警戒
8:折原は気に入らないが、利用はするつもり
9:絶対にウィキッドを殺す。
10:爆弾に峰があってたまるか!
11:ヴライを警戒。
[備考]
※シノヅカ死亡を知った直後からの参戦です
※早苗、ブチャラティ(ドッピオ)、霊夢、竜馬と情報交換してます。
※ブチャラティ(真)と梔子達と情報交換をしました。二人のブチャラティ問題に関しては保留にしています。


【折原臨也@デュラララ!!】
[状態]:疲労(中)、全身強打、右拳骨折、言いようのない喪失感
[服装]:普段の服装(濡れている)
[装備]:
[道具]:大量の投げナイフ@現実、病気平癒守@東方Projectシリーズ(残り利用可能回数0/10、使い切った状態)、まほうのたて@ドラゴンクエストビルダーズ2、マスターキー@うたわれるもの 二人の白皇、不明支給品0~1(新羅)
[思考]
基本:人間を観察する。
0:状況に対処
1:レポートに記載されている『覚醒者』を確保する(優先はあかり、麗奈)
2:首輪解除に向けて、首輪の緊急解除コードを探る
3:茉莉絵ちゃんは本当に面白い『人間』だったのに...残念だよ。
4:平和島静雄はこの機に殺す。
5:『月彦』とヴライは排除する。化け物風情が、俺の『人間』に手を出さないでくれるかな。
6:佐々木志乃の映像を見た本人と、他の参加者の反応が楽しみ。
7:主催者連中をどのように引きずり下ろすか、考える。
8:『帰宅部』、『オスティナートの楽士』、佐々木志乃、オシュトル、ヴァイオレット、カナメ、早苗に興味。
9:オシュトルさんは『人間』のはずなのに、どうして亜人の振りをしてるんだろうね?
10:ロクロウに興味はないが、共闘できるのであれば、利用はするつもり。
11:早苗ちゃんは、中々面白いことになってるね
12:オシュトルさんのペット(クオン)は、気に入らないね。邪魔。
[備考]
※ 少なくともアニメ一期以降の参戦。
※ 志乃のあかりちゃん行為を覗きました。
※ Storkと知り合いについて情報交換しました。
※ Storkの擬態能力について把握しました
※ ジオルドとウィキッドの会話の内容を全て聞いていました。
※ 無惨との情報交換で、第一回放送時の死亡者内容を把握しました。
※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※ 首輪の説明文を読みましたが、「自分たちが作られた存在」という部分については懐疑的です。
※ 『覚醒者』について纏められたレポートを読みました。
※ 無惨を『化け物』として認識しました。


【ヴァイオレット・エヴァーガーデン@ヴァイオレット・エヴァーガーデン】
[状態]:全身ダメージ(大) 、肩口及び首負傷(止血及び回復済み)
[服装]:普段の服装
[装備]:手斧@現地調達品
[道具]:不明支給品0~2、タイプライター@ヴァイオレット・エヴァーガーデン、高坂麗奈の手紙(完成間近)、岸谷新羅の手紙(書きかけ)
[思考]
基本:いつか、きっとを失わせない
0:状況に対処
1:レポートに記載されている『覚醒者』を確保する(優先はあかり、麗奈)
2:お嬢様……どうかご無事で...
3:主を失ってしまったオシュトルが心配。力になってあげたい。
4:麗奈と再合流後、代筆の続きを行う
5:手紙を望む者がいれば代筆する。
6:ゲッターロボ、ですか...なんだか嫌な気配がします。
7:ブチャラティ様が二人……?
8:早苗、オシュトルのことが、非常に気がかり。
[備考]
※参戦時期は11話以降です。
※麗奈からの依頼で、滝先生への手紙を書きました。但し、まだ書きかけです。あと数行で完成します。
※ オシュトルからうたわれ世界の成り立ちについて、聞かされました。
※ アリア、新羅と知り合いの情報を交換しました。
※ 首輪の分解・解析により首輪の中身を知りました。
※ 首輪の説明文を読みましたが、「自分たちが作られた存在」という部分については懐疑的です。


【黄前久美子@響け!ユーフォニアム】
[状態]:全身に火傷(冷却治療済み)、右耳裂傷(小)、右肩に吸血痕、確固たる想い
[役職]:ビルダー
[服装]:特製衣装・響鳴の巫女(共同制作)
[装備]:契りの指輪(共同制作)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~1、デモンズバッシュ@テイルズオブベルセリア、セルティ・ストゥルルソンの遺体、シグレ・ランゲツの片腕、クロガネ征嵐@テイルズオブベルセリア、点滴セット複数@現実
[思考]
基本:歌姫(μ)に勝って、その力を利用して殺し合いの全てを無かったことにする。……そうすれば、麗奈は人間に戻れるから。
0 : 状況に対処
1:麗奈、必ず戻ってきて――
2:もう、麗奈の事は裏切らない、――絶対に。
3:麗奈の為なら、この命だって捧げても良い。ただ今はまだ死ねない、麗奈を悲しませるから。
4 :ロクロウさんは好きじゃないけど、利用はするつもり。
5:例え隼人さん達を敵に回したって、もう私は迷わない。望みを叶えるまで逃げ切ってやる。
6:岩永さんとあかりちゃんも、仲間になってほしい
7:魔王ベルセリアという存在には最大限の警戒

※少なくとも自分がユーフォニアムを好きだと自覚した後からの参戦
※ロクロウと情報交換を行いました
※ビルドの『ものづくり』の力が継承されました。現状は麗奈と一緒に衣装やら簡単なアイテムを作れる程度に収まっています。
※麗奈がビエンフーから読み取った記憶を共有し、ビエンフー視点からのロワの記録を入手しました。
※μの事を「楽器」で「願望器」だと独自の予想しました


【岩永琴子@虚構推理】
[状態]:健康、新たなる決意、無意識下での九郎との死別への恐れ、義足損壊、車椅子搭乗中
[服装]:いつもの服、義眼
[装備]:赤林海月の杖@デュラララ!!
[道具]:基本支給品、文房具(消費:小)@ドラゴンクエストビルダーズ2、ポルナレフの車椅子(ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風)、電子タブレット@現実
[思考]
基本:このゲームの解決を目指す。
0:状況に対処
1:麗奈と久美子を警戒。彼女たちの計画を認めるわけにはいかない。
2:『ブチャラティ』を騙る青年(ドッピオ)を警戒。
3:魔王と琵琶坂永至、あの二人をどうにかする方法は……
4:あかりさん、貴方は……
5:九郎先輩との合流は……
6:紗季さん……
7:首輪の解析も必要です、可能ならサンプルが欲しいですが……
8:オスティナートの楽士から話を聞きたいですね
[備考]
※参戦時期は鋼人七瀬事件解決以降です。
※アリアから彼女が呼ばれた時点までのカリギュラ世界の話を聞きました。
※この殺し合いに桜川六花が関与している可能性を疑っています。
ただし、現状その可能性は少ないと思っています。
※リュージからダーウィンズゲームのことを知っている範囲で聞きました。
※夾竹桃・ビルド・隼人・リュージ・アリアと共に【鬼滅の刃、虚構推理、緋弾のアリア、ドラゴンクエストビルダーズ2、新ゲッターロボ、ダーウィンズゲーム、東方Project、とある魔術の禁書目録、スタンド能力、うたわれるもの、Caligula】の世界観について大まかな情報を共有しました。
※今の自分を【本物ではない可能性】、また、【被検体とされた人間は自ら望んだ者たちである】と考えています。
※カタリナとあかりのこれまでの経緯を聞きました。
※琴子、あかり、ドッピオ、メアリ、竜馬の五人でこれまでの経緯と、生存者についての情報を交換しました。
※ 殺し合いの全てを無かったことにしようとする久美子達の計画を知りました。
※電子タブレットにはこれまでの彼女の経緯、このゲームに関する考察が記されています。

前話 次話
戦々凶々(前編) 投下順 今、ここにある幸福

前話 キャラクター 次話
戦々凶々(前編) 高坂麗奈 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) 黄前久美子 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) 岩永琴子 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) 間宮あかり 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) ロクロウ・ランゲツ 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) 折原臨也 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) オシュトル 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) ヴァイオレット・エヴァ―ガーデン 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) カナメ 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) クオン 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) 東風谷早苗 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) ウィキッド 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
戦々凶々(前編) ヴライ 戦刃幻夢 ―Deadlines(前編)―
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