「質問は既に『拷問』へと変わっているが、話す気は無いか?」
「貴方のような人に答えることなど何一つありません!」
「そうか。頼むぞ、累」
「分かったよ、父さん」
「貴方のような人に答えることなど何一つありません!」
「そうか。頼むぞ、累」
「分かったよ、父さん」
キリキリと音を立てて、結びつけられた糸が少女の手足を自由自在に動かす。
関節の位置や可動域、彼女の意志すらも無視して。
力任せにあらぬ方向へと引っ張られ、折り曲げられ、捻じ曲げられる。
手足の皮膚は破けて出血し、筋肉は断裂する。
本来関節でない部分が折れ曲がり、骨は木の枝のように割れて、皮膚を突き破って飛び出す。
その姿は、さながら赤いインクを零した壊れたパペット人形といったところか。
関節の位置や可動域、彼女の意志すらも無視して。
力任せにあらぬ方向へと引っ張られ、折り曲げられ、捻じ曲げられる。
手足の皮膚は破けて出血し、筋肉は断裂する。
本来関節でない部分が折れ曲がり、骨は木の枝のように割れて、皮膚を突き破って飛び出す。
その姿は、さながら赤いインクを零した壊れたパペット人形といったところか。
「あっ………ぐっ……」
「これで、もう立つことも出来んな」
「これで、もう立つことも出来んな」
森の中のとある廃家。
長年放置され、手入れもされていない一室にて、チョコラータと累の外道二人による、魂魄妖夢への猟奇行為が行われていた。
妖夢を照らすのは月明かりと蝋燭の火。僅かな光が白い肌と赤い血のコントラストを映えさせて、妖艶な雰囲気を作り出している。
彼女は両手両足を糸で拘束され、一切の身動きを取ることはできない。
その糸は拘束のみならず、ときおり身体を痛めつける拷問器具としても使われる。
今の魂魄妖夢は『生殺与奪の権』を握られている状態だ。
長年放置され、手入れもされていない一室にて、チョコラータと累の外道二人による、魂魄妖夢への猟奇行為が行われていた。
妖夢を照らすのは月明かりと蝋燭の火。僅かな光が白い肌と赤い血のコントラストを映えさせて、妖艶な雰囲気を作り出している。
彼女は両手両足を糸で拘束され、一切の身動きを取ることはできない。
その糸は拘束のみならず、ときおり身体を痛めつける拷問器具としても使われる。
今の魂魄妖夢は『生殺与奪の権』を握られている状態だ。
累の母親役の鬼は、糸を使って相手を操り人形のように使役する血鬼術を使っていた。
現在累が妖夢に対して発動しているのもそれと同様の力だ。
彼女にその血鬼術を与えたのは彼自身であり、本来であれば累はもう使う事が出来ない。
しかし、彼女を含め、家族に分け与えた血鬼術が戻っていた。
彼の主である鬼舞辻無惨が、身体に撃ち込まれた薬を取り除かれた状態で参戦しているのと同様に、この殺し合いを盛り上げる為の主催の細工である。
本来の力を取り戻した累は下弦の壱、弐に並ぶ強さを発揮するため、この殺し合いの場においては喜ばしいことであるが、彼にとっては家族との絆を否定されたようで気分が悪かった。
現在累が妖夢に対して発動しているのもそれと同様の力だ。
彼女にその血鬼術を与えたのは彼自身であり、本来であれば累はもう使う事が出来ない。
しかし、彼女を含め、家族に分け与えた血鬼術が戻っていた。
彼の主である鬼舞辻無惨が、身体に撃ち込まれた薬を取り除かれた状態で参戦しているのと同様に、この殺し合いを盛り上げる為の主催の細工である。
本来の力を取り戻した累は下弦の壱、弐に並ぶ強さを発揮するため、この殺し合いの場においては喜ばしいことであるが、彼にとっては家族との絆を否定されたようで気分が悪かった。
「おっと、分かっていると思うが、妙なことはするなよ」
妖夢の首には糸が絡みついている。下手に動いては首を刎ねられ、即座にあの世行きとなる。
反撃に半霊から弾幕を撃つことすら出来ず、加虐を受け続ける事しか出来ない。
反撃に半霊から弾幕を撃つことすら出来ず、加虐を受け続ける事しか出来ない。
「君は剣を使っているが、累が言ってた鬼殺隊とやらの一員か?ならば次は二度と剣を振るえないように、その腕を切り落とそう。どんな顔になるかわたしに見せてもらおうか」
「……外道が」
「君の主は悲しむだろうなあ、こんな役立たずの護衛を雇うんじゃなかったって」
「勝手な、ことを……」
「……外道が」
「君の主は悲しむだろうなあ、こんな役立たずの護衛を雇うんじゃなかったって」
「勝手な、ことを……」
かつて老人達を自殺に追い込んだように、言葉攻めを繰り返す。
誰も助けてはくれない。もう主の所へは帰れない。帰ったところで何の役にも立てないと。
悔しさと激痛に歪む顔をじっくりと観察して、自身の好奇心が満たされていくチョコラータは妖夢を見下ろすようにに嗤う。
だが、そんな彼にも一つ懸念がある。それは妖夢の傍にふわりふわりと浮かぶスタンドだ。
チョコラータは誤解しているがスタンドではなく妖夢の半身である半霊である。
誰も助けてはくれない。もう主の所へは帰れない。帰ったところで何の役にも立てないと。
悔しさと激痛に歪む顔をじっくりと観察して、自身の好奇心が満たされていくチョコラータは妖夢を見下ろすようにに嗤う。
だが、そんな彼にも一つ懸念がある。それは妖夢の傍にふわりふわりと浮かぶスタンドだ。
チョコラータは誤解しているがスタンドではなく妖夢の半身である半霊である。
(あれがノトーリアス・B・I・Gのように、死によって発動するスタンドかもしれんしな)
相手のスタンドの能力を知らないままに殺してしまうのはリスクが高い。
出来ることなら生かさず、殺さず、何もさせず。そんな方法で彼女の顔を観察したい。
出来ることなら生かさず、殺さず、何もさせず。そんな方法で彼女の顔を観察したい。
「父さん、あの子の鞄だよ」
「む、あの小娘と違って累は気が利く良い子だなあ~。良ぉ〜しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし……ほう、これは」
「む、あの小娘と違って累は気が利く良い子だなあ~。良ぉ〜しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし……ほう、これは」
累を頬ずりし、妖夢のデイバッグの中身を確認する。
中身の詳細を知ったチョコラータの頭脳は即座にそれを使った加虐方法を思い付き、欲求の満たされた下衆な笑みを浮かべる。
累に耳打ちし、これからの指示を伝えた。
中身の詳細を知ったチョコラータの頭脳は即座にそれを使った加虐方法を思い付き、欲求の満たされた下衆な笑みを浮かべる。
累に耳打ちし、これからの指示を伝えた。
「まずは右腕からいくか、累」
「あ、あああああッ!」
「あ、あああああッ!」
糸の締め付けを強くなったかと思えば、気づいたときには右腕が切断されていた。
妖夢の脳裏に浮かぶ感情は二つ。
二度と剣を持つことが出来ないという絶望。
そして、主である西行寺幽々子の護衛がもう出来ないという喪失感。
妖夢の脳裏に浮かぶ感情は二つ。
二度と剣を持つことが出来ないという絶望。
そして、主である西行寺幽々子の護衛がもう出来ないという喪失感。
だが、その想いも一瞬。
即座に左腕、右足、左足が切り離され、痛覚のみに思考が埋め尽くされる。
切り上げられた断面は、即座にカビにより止血される。
出血で即死することは出来ず、そのぶん痛みを長く味わうことになる。
手も足も無くなり、彼女のシルエットは芋虫のようである。
いや、胴体のみを糸でぶら下げれたこの状態は蓑虫と呼んだほうが適切か。
即座に左腕、右足、左足が切り離され、痛覚のみに思考が埋め尽くされる。
切り上げられた断面は、即座にカビにより止血される。
出血で即死することは出来ず、そのぶん痛みを長く味わうことになる。
手も足も無くなり、彼女のシルエットは芋虫のようである。
いや、胴体のみを糸でぶら下げれたこの状態は蓑虫と呼んだほうが適切か。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!」
「ふむ、非常に素晴らしい切れ味だな、累よ。どうだ?ここから帰ったらわたしのアシスタントにならないか?」
「父さん、一人しか生き残れないって忘れたの?」
「ふふ、冗談だよ」
「ふむ、非常に素晴らしい切れ味だな、累よ。どうだ?ここから帰ったらわたしのアシスタントにならないか?」
「父さん、一人しか生き残れないって忘れたの?」
「ふふ、冗談だよ」
少女が激痛と絶望に悶え、悲鳴を辺りに響かせる。
加害者二人はその光景を眺めて悪趣味なジョークを言い合う。
この光景を一言で表すなら地獄であろうか。
虚偽の家族が作り出した地獄。『虚獄』とでも呼ぶべきかもしれない。
加害者二人はその光景を眺めて悪趣味なジョークを言い合う。
この光景を一言で表すなら地獄であろうか。
虚偽の家族が作り出した地獄。『虚獄』とでも呼ぶべきかもしれない。
「累、次は首輪が欲しいのだが頼めるかい」
「……分かったよ、父さん」
「……分かったよ、父さん」
妖夢の首の糸に力が入る。
手、足と来たら次にどこが切られるなど考えなくても分かる。
そこを切られて生きていられるものは居ない。
鋼鉄並みの硬度を誇る細糸が肉に食い込んでいく。
手、足と来たら次にどこが切られるなど考えなくても分かる。
そこを切られて生きていられるものは居ない。
鋼鉄並みの硬度を誇る細糸が肉に食い込んでいく。
「あ”、ぇ……」
ごとり。
魂魄妖夢の首は切り離された。
その断面図は非常に美しかった。
支えを失った首輪が滑って地へと落ちる。
最後に言おうとした言葉は、言葉にすらならなかった。
その断面図は非常に美しかった。
支えを失った首輪が滑って地へと落ちる。
最後に言おうとした言葉は、言葉にすらならなかった。
【魂魄妖夢@東方Project 死
「良い切れ味だ、本当に綺麗な断面だよ、累。『グリーン・デイ』」
一瞬だった。
カビによる止血。
頸動脈、呼吸器、骨、脊椎、神経、毛細血管、その他生存に必要な器官との縫合。
カビによる止血。
頸動脈、呼吸器、骨、脊椎、神経、毛細血管、その他生存に必要な器官との縫合。
首を斬られたら死ぬ。どんな生物であれそうである。頭部と身体を離しては生きられない。
妖精デュラハンや悪の救世主、ろくろ首の怪奇のような存在はあるが、それらは例外だ。
首を切られたら死ぬのは何故か?
答えは脳機能が維持できなくなるからである。
頸動脈を切られては、脳へ栄養を送ることができず死ぬ。
気管を切られては、脳へ酸素を送ることが出来ず死ぬ。
当然だ。
だが、その維持さえできたとすれば?
妖精デュラハンや悪の救世主、ろくろ首の怪奇のような存在はあるが、それらは例外だ。
首を切られたら死ぬのは何故か?
答えは脳機能が維持できなくなるからである。
頸動脈を切られては、脳へ栄養を送ることができず死ぬ。
気管を切られては、脳へ酸素を送ることが出来ず死ぬ。
当然だ。
だが、その維持さえできたとすれば?
心臓が停止しても脳は数分程活動を続けているとされている。
つまり、首を断ってから完全に死ぬまではタイムラグがあるということ。
理論上の話になるが、そのラグの間に適切に素早く繋ぎ直せば死なない。
脳の働きを維持させる人工心肺装置や、一時保管する冷凍庫も無いこの場では、非常に難易度が高い手術となるが不可能ではない。
神がかり的な手術速度と人体の構造を知り尽くしたチョコラータであれば可能だ。
つまり、首を断ってから完全に死ぬまではタイムラグがあるということ。
理論上の話になるが、そのラグの間に適切に素早く繋ぎ直せば死なない。
脳の働きを維持させる人工心肺装置や、一時保管する冷凍庫も無いこの場では、非常に難易度が高い手術となるが不可能ではない。
神がかり的な手術速度と人体の構造を知り尽くしたチョコラータであれば可能だ。
「…………あ”」
【魂魄妖夢@東方Project 生存確認】
妖夢の首と胴体は再び再開した。
死ぬことすら許されなかった。
現実 は続く。悪夢は覚めない。
外道は高らかに嗤う。
死ぬことすら許されなかった。
外道は高らかに嗤う。
「……い”ぇ……」
延命治療を自分の加虐欲求を解消する為の手段に使う。
好奇心を満たすためなら、他者がどれだけ苦しもうが知ったことでないチョコラータにしか出来ない発想。
生殺与奪の権はチョコラータに握られている。
死ぬ権利も無く、救いは与えらない。
もっとも、幾多の加虐を受けたその身体は、生きたとしてもあと一刻も持たない。
その残された僅かな命は、主を守るためでなく、下衆を楽しませる為に使われる。
好奇心を満たすためなら、他者がどれだけ苦しもうが知ったことでないチョコラータにしか出来ない発想。
生殺与奪の権はチョコラータに握られている。
死ぬ権利も無く、救いは与えらない。
もっとも、幾多の加虐を受けたその身体は、生きたとしてもあと一刻も持たない。
その残された僅かな命は、主を守るためでなく、下衆を楽しませる為に使われる。
「さあ、これで首輪を手に入れたわけだが」
チョコラータが握るものは彼女の首輪。
首輪が欲しかっただけなら治療する必要はないのでは?と疑問に思い累は問う。
首輪が欲しかっただけなら治療する必要はないのでは?と疑問に思い累は問う。
「その子をどうするの?」
「なあに、ちょっとした実験でもしようか」
「………い……ゃ”」
「なあに、ちょっとした実験でもしようか」
「………い……ゃ”」
その言葉を理解出来ているのか、いないのか。妖夢は口元から空気を零すのみ。
「邪魔だな」
ぶちり。白いシャツが力づくで剥ぎ取られ、僅かな膨らみを宿した胸が顕になる。
実験動物に衣服など邪魔でしかない。
実験動物に衣服など邪魔でしかない。
「累、学校でカエルの解剖はしたことあるかな?」
「無いよ、父さん」
「ようし、じゃあパパが理科を教えてあげよう。よォ〜〜〜く見るんだよ累」
「無いよ、父さん」
「ようし、じゃあパパが理科を教えてあげよう。よォ〜〜〜く見るんだよ累」
胸部上側からメスを入れ、真っ直ぐに下に動かす。当然、麻酔なんてものは無い。
良く手入れのされた白くきめ細やかな肌は弾力を持ち、メスを持つ手に反動が返ってくる。
鍛錬で引き締まった胸筋の裏にメスを入れるように手首をひねると、胸部の肉が捲り上がる。
同時にぷつんぷつんと血管がちぎれる音は、楽器のようにチョコラータの耳を楽しませる。
まるで人体模型のように胸部が開かれ、肋骨に隠れた綺麗なピンク色の臓器が顔を出す。
理科室の標本になりそうな程につやつやとした光沢を放っている。
不衛生な場所。消毒も麻酔も無し。生き残ったとしても感染症になりうる出鱈目な手術である。
良く手入れのされた白くきめ細やかな肌は弾力を持ち、メスを持つ手に反動が返ってくる。
鍛錬で引き締まった胸筋の裏にメスを入れるように手首をひねると、胸部の肉が捲り上がる。
同時にぷつんぷつんと血管がちぎれる音は、楽器のようにチョコラータの耳を楽しませる。
まるで人体模型のように胸部が開かれ、肋骨に隠れた綺麗なピンク色の臓器が顔を出す。
理科室の標本になりそうな程につやつやとした光沢を放っている。
不衛生な場所。消毒も麻酔も無し。生き残ったとしても感染症になりうる出鱈目な手術である。
「ふむ、観察の邪魔だな」
「あ”、あ”、あ”、あ”」
「あ”、あ”、あ”、あ”」
肋骨とは衝撃に弱い骨である。
肋骨と胸骨の間を繋ぐ肋軟骨、その内一本を医療セットにあった肋骨剪刀で器用に摘み、力を入れる。
肋骨と胸骨の間を繋ぐ肋軟骨、その内一本を医療セットにあった肋骨剪刀で器用に摘み、力を入れる。
ポキリ。
そんな耳あたりの良い音が聴こえそうなほど、あっさりと折れた。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
ポキリ。
左右の第一肋骨から第七肋骨まで折られ、観察に邪魔な胸骨が取り外された。
出血は即座に止血処理され、血に邪魔されることなく臓器の観察が出来る。
出血は即座に止血処理され、血に邪魔されることなく臓器の観察が出来る。
「あ”、が……ぐぇ……」
「いいかい累、このドクドクと脈打ってるのが心臓、生きながらえようと必死に身体へ酸素を送っているのが肺だよ」
「へぇ」
「で、ここでちょっとした悪戯だ。『グリーン・デイ』」
「いいかい累、このドクドクと脈打ってるのが心臓、生きながらえようと必死に身体へ酸素を送っているのが肺だよ」
「へぇ」
「で、ここでちょっとした悪戯だ。『グリーン・デイ』」
ぴくぴくと、震えを帯びる肺にカビを添付する。
そして妖夢の胴体をぶら下げる糸を少し緩め、数センチほど『下げる』。
肺に宿ったカビは先端に筒状の細胞を増やしていき、薙刀のように伸ばして肺胞に絡みついていく。
そして妖夢の胴体をぶら下げる糸を少し緩め、数センチほど『下げる』。
肺に宿ったカビは先端に筒状の細胞を増やしていき、薙刀のように伸ばして肺胞に絡みついていく。
一般的にカビが生える条件は水分、栄養、温度の3種類である。
酸素を合わせて4種類とする研究者もいる。
条件が揃えばどこにでもカビは生える。それが体内であろうが例外でない。
半分が水分である人間の身体、栄養豊富な健康的な肉体、常人より体温が低めな半人半霊の身体、酸素と湿気を豊富に含んだ森の空気、条件は揃っている。
カビが活動的になるのは20℃から30℃。やや冷たい身体は苗床として最適である。
栄養となる餌は有機物だ、特に糖分を好む。カビも『甘いのがほしい』のだ。
人体中にも糖分は存在しており、ブドウ糖として血液中を流れている。
薙刀状に伸ばしたカビは肺胞を切り裂いて、奥深くまで到達すると菌糸を張り巡らせる。
これは栄養を得るのに適した形状である。
カビに栄養を取られ腐敗していく肺はその機能を失い、身体に酸素欠乏を引き起こす。
酸素を合わせて4種類とする研究者もいる。
条件が揃えばどこにでもカビは生える。それが体内であろうが例外でない。
半分が水分である人間の身体、栄養豊富な健康的な肉体、常人より体温が低めな半人半霊の身体、酸素と湿気を豊富に含んだ森の空気、条件は揃っている。
カビが活動的になるのは20℃から30℃。やや冷たい身体は苗床として最適である。
栄養となる餌は有機物だ、特に糖分を好む。カビも『甘いのがほしい』のだ。
人体中にも糖分は存在しており、ブドウ糖として血液中を流れている。
薙刀状に伸ばしたカビは肺胞を切り裂いて、奥深くまで到達すると菌糸を張り巡らせる。
これは栄養を得るのに適した形状である。
カビに栄養を取られ腐敗していく肺はその機能を失い、身体に酸素欠乏を引き起こす。
人間の身体は血中の酸素濃度が低下すると、脊椎からの命令により反射的に呼吸を引き起こすように出来ている。
だが、身体が酸素を求めても、腐った肺で満足な呼吸が行えるわけが無い。
体内外での処理にズレが生じる。パニックになる。
いくら呼吸しようとも肺に酸素が入っていかないのは、どんな生物であれ本能的恐怖を抱くもの。
加えて外敵であるカビへの免疫反応によるアレルギーの苦しみや、身体が腐っていく視覚的恐怖。
生きながら地獄の苦しみを味わうことになる。
だが、身体が酸素を求めても、腐った肺で満足な呼吸が行えるわけが無い。
体内外での処理にズレが生じる。パニックになる。
いくら呼吸しようとも肺に酸素が入っていかないのは、どんな生物であれ本能的恐怖を抱くもの。
加えて外敵であるカビへの免疫反応によるアレルギーの苦しみや、身体が腐っていく視覚的恐怖。
生きながら地獄の苦しみを味わうことになる。
「か………あが、け”……う”ぇ」
「良いッ!実に良い顔だッ!」
「良いッ!実に良い顔だッ!」
外的刺激により嘔吐中枢が反応する。
びちゃびちゃと胃の中身を撒き散らし、辺りにツンとくる胃酸の香りが漂う。
ぴくりぴくりと筋肉が収縮を繰り返し、けいれんを起こす。
低酸素状態となった身体は一部にチアノーゼが起こり青紫色に染まる。
元々白味を帯びていた顔面は死人のように生気を失い蒼白する。
びちゃびちゃと胃の中身を撒き散らし、辺りにツンとくる胃酸の香りが漂う。
ぴくりぴくりと筋肉が収縮を繰り返し、けいれんを起こす。
低酸素状態となった身体は一部にチアノーゼが起こり青紫色に染まる。
元々白味を帯びていた顔面は死人のように生気を失い蒼白する。
人間は死の直前に走馬灯を見る。
死に瀕した鬼殺隊や鬼達がそうであったように彼女もそれを見る。
一説によると今までの経験や記憶から迫りくる死を回避するための方法を探すのだという。
しかし、探せど探せど解決手段は見つからない。
結果として無駄に脳味噌を活性化させただけに終わる。
それは、僅か数分のこの地獄を何日、何ヶ月、何年という時間に感じさせるのであった。
死に瀕した鬼殺隊や鬼達がそうであったように彼女もそれを見る。
一説によると今までの経験や記憶から迫りくる死を回避するための方法を探すのだという。
しかし、探せど探せど解決手段は見つからない。
結果として無駄に脳味噌を活性化させただけに終わる。
それは、僅か数分のこの地獄を何日、何ヶ月、何年という時間に感じさせるのであった。
「さあ、累よ『これ』を実験するぞ。おっと、カメラはそのまま顔に向けておくんだよ」
胃にメスを入れ、チョコラータは彼女の支給品にあったものをねじ込んだ。
○○○
…
………
………………
………………………………
………………………………………………………………
「あ、れ」
いつのまにかいたくなくなっていますね。
もしかして、わたしいきているんでしょうか。
手を握りしめてみます、うん、しっかりと感覚があります。
よかった、これで幽々子様に剣術を教えられます。
もしや、と思って首を触ってみます。あの首輪の感覚はありませんね。
もしかして今までのは悪夢だったんでしょうか。
そうです、殺し合いなんて無いのが一番いいんです。
嫌な夢を見てしまいました。幽々子様に笑われてしまいます。
急いで朝の支度して、庭の見回りをして、うん、幽々子様が起きる前に終わらせないと。
今日もやることはいっぱいあるわね。
手を握りしめてみます、うん、しっかりと感覚があります。
よかった、これで幽々子様に剣術を教えられます。
もしや、と思って首を触ってみます。あの首輪の感覚はありませんね。
もしかして今までのは悪夢だったんでしょうか。
そうです、殺し合いなんて無いのが一番いいんです。
嫌な夢を見てしまいました。幽々子様に笑われてしまいます。
急いで朝の支度して、庭の見回りをして、うん、幽々子様が起きる前に終わらせないと。
今日もやることはいっぱいあるわね。
じゃあ、目を開けないと。
「実験成功だァ~~~~~~~~ッ!」
夢じゃなかった。
○○○
チョコラータが彼女の中に入れたもの、それはある世界に存在する妖怪変化の肉である。
食べると不死になるという人魚の肉。日本の伝承で聞いたことがあった。
食べると不死になるという人魚の肉。日本の伝承で聞いたことがあった。
「ローレライを食べて不死になる……正直眉唾ものだったが、ホントの話だったとはなァ」
伝承通りでなくても別に良かった。それはそれでチョコラータは妖夢の絶望した顔を見ることが出来たであろう。
半人半霊である妖夢は生への執着と死への羨望が無い。生きてもいるが、死んでもいる。
不老不死を与える人魚の肉が支給されていたのも、ある種の因果か。
そういえば日本には健康になる料理を出すレストランがあると噂で聞いたことがある。あの店もこの肉を出しているのかな?などと、嬉しさのあまり、チョコラータはそんな取り留めの無いことを考えた。
半人半霊である妖夢は生への執着と死への羨望が無い。生きてもいるが、死んでもいる。
不老不死を与える人魚の肉が支給されていたのも、ある種の因果か。
そういえば日本には健康になる料理を出すレストランがあると噂で聞いたことがある。あの店もこの肉を出しているのかな?などと、嬉しさのあまり、チョコラータはそんな取り留めの無いことを考えた。
「どれだけ殺しても死なない実験動物の出来上がりだ!さてどんな風に痛めつけようか!」
「嫌、……来ないで……ください」
「嫌、……来ないで……ください」
ゲスな笑顔を浮かべ、悪魔が近づいてくる。
地獄はまだ始まったばかり。
恐慌に歪んだ妖夢の顔は、チョコラータの加虐欲求をますます高めるのみであった。
地獄はまだ始まったばかり。
恐慌に歪んだ妖夢の顔は、チョコラータの加虐欲求をますます高めるのみであった。
○○○
それからどれだけの時間が経ったか。
「累よ、次はどんな苦痛に歪む顔が見たい?目か?耳か?鼻?もうやったな」
魂魄妖夢は生きている。正確には死ぬことが出来ないといった方が正しい。
死んだほうが楽になる。誰もがそう思うであろう光景である。
死んだほうが楽になる。誰もがそう思うであろう光景である。
「目玉をほじくり出した。腹を切って内臓を引き摺り出した」
常人なら数十回も死ぬほどの加虐を受け、もはやその心は再起不能である。
「そうだ、脳味噌をカビで腐らせたらどんな顔になるか興味は無いか?累よ」
腐り落ちた肉片がグズグズと膨らんでいき人の形を取り戻す。
再び五体満足となるが、妖夢の顔は張り付いた恐怖と苦痛に歪んでいる。
ただの少女である妖夢にとって、好き勝手に身体を弄くり回される苦痛は耐えられるものでは無いだろう。
再び五体満足となるが、妖夢の顔は張り付いた恐怖と苦痛に歪んでいる。
ただの少女である妖夢にとって、好き勝手に身体を弄くり回される苦痛は耐えられるものでは無いだろう。
「だが、さすがにもう飽きたな。お開きにしよう。限られた時間を無駄にするのは良くない。少し休んだらその実験動物は簀巻きにして埋めてしまうか」
疲れが来たのか、チョコラータは背負っていた彼女のデイパックを乱暴に投げ捨てる。
中身が溢れるのも気にせずに。
それを合図に妖夢の手足は糸で吊られ、再び身動きが取れなくなる。
中身が溢れるのも気にせずに。
それを合図に妖夢の手足は糸で吊られ、再び身動きが取れなくなる。
「ゆゆこ、さま」
呟いた言葉は主の名。
その内心は依存か、忠義か。
陵辱の限りを尽くされても壊れず、正気を保っていられたのは、主のことを強く思っていたからだろう。
その内心は依存か、忠義か。
陵辱の限りを尽くされても壊れず、正気を保っていられたのは、主のことを強く思っていたからだろう。
「わたしは……ゆゆこさまの……ところへ……かえらないと」
「その人は、君とどんな関係なの」
「その人は、君とどんな関係なの」
不意に累が尋ねる。その動機は純粋な『好奇心』であった。
「答えるわけ……ないでしょう」
「そう」
「そう」
魂魄妖夢は生まれたときから西行寺幽々子に使えている。
その二人の関係性は家族以上と言っても過言ではないだろう。
血のつながりは無くとも、その思いは絆と呼んでも過言でもない。
その二人の関係が絆を求める累に興味を惹かせたのは当然か。
その二人の関係性は家族以上と言っても過言ではないだろう。
血のつながりは無くとも、その思いは絆と呼んでも過言でもない。
その二人の関係が絆を求める累に興味を惹かせたのは当然か。
「君さ、助けてほしい?」
「……」
「僕の頼みを聞いてくれるなら、助けてあげるよ」
「……何、を」
「僕の母親になってもらうよ」
「…………え?」
「累よ、本気か?」
「僕はね、自分の役割を理解していない奴は生きる必要がないと思ってる」
「……」
「君の役割は僕の母親だ、これから何があっても命を懸けて僕を守ってもらう」
「……本当に、貴方の母親役になれば……助けてくれるんですか?」
「そうだね、助けてあげるよ。まずは顔を変えさせてもらう。そうして僕たちと絆を結ぶんだ」
「……」
「僕の頼みを聞いてくれるなら、助けてあげるよ」
「……何、を」
「僕の母親になってもらうよ」
「…………え?」
「累よ、本気か?」
「僕はね、自分の役割を理解していない奴は生きる必要がないと思ってる」
「……」
「君の役割は僕の母親だ、これから何があっても命を懸けて僕を守ってもらう」
「……本当に、貴方の母親役になれば……助けてくれるんですか?」
「そうだね、助けてあげるよ。まずは顔を変えさせてもらう。そうして僕たちと絆を結ぶんだ」
妖夢の心は壊れる直前にある。
追い込まれた者は救いを求める。
ここで頷けば心が壊れる心配は無い。
追い込まれた者は救いを求める。
ここで頷けば心が壊れる心配は無い。
「でも……お断りします!」
だが、妖夢は断る。
累の家族になったところでその絆は紛い物。偽物の絆。恐怖の絆。
『父さん』チョコラータと『弟』累による家族ごっこ。
そんなものは、恐怖と憎しみと嫌悪の匂いで作られた出来損ないの絆だ。
累の家族になったところでその絆は紛い物。偽物の絆。恐怖の絆。
『父さん』チョコラータと『弟』累による家族ごっこ。
そんなものは、恐怖と憎しみと嫌悪の匂いで作られた出来損ないの絆だ。
私を舐めるな。幽々子様を舐めるな。
先代より続く魂魄家と西行寺家との関係が、幽々子様との絆が、そんなものに引き裂かれるわけにはいかない。
ただ、その想いだけで魂魄妖夢は再び闘志を取り戻した。
悪しき者たちを滅し、絶対に主の元に帰るという強い想いが半霊に霊力を集める。
決意が、みなぎった。
先代より続く魂魄家と西行寺家との関係が、幽々子様との絆が、そんなものに引き裂かれるわけにはいかない。
ただ、その想いだけで魂魄妖夢は再び闘志を取り戻した。
悪しき者たちを滅し、絶対に主の元に帰るという強い想いが半霊に霊力を集める。
決意が、みなぎった。
「それは、何?」
魂符「幽明の苦輪」
累の目の前には魂魄妖夢が立っている。その両手には楼観剣と白楼剣を携えて。
これは半霊の姿を変化させ、もう一人の『魂魄妖夢』を作り出す技。
その身を束縛されようと、半霊は自由に動かせることを利用した彼女の切り札。
これは半霊の姿を変化させ、もう一人の『魂魄妖夢』を作り出す技。
その身を束縛されようと、半霊は自由に動かせることを利用した彼女の切り札。
「私は幽々子様に仕える身!貴方達のような人と家族になるなんて先代に顔向け出来ませんッ!」
「累、離れろ!『グリーン・デイ』ッ!」
「累、離れろ!『グリーン・デイ』ッ!」
その言葉と同時にチョコラータはスタンドを発現する。屋外へと繋がる仕切り戸を叩き壊し、累と共に家から飛び出す。
家から地面は土台で離れている。つまり、外に出ると『下りる』ことになり、『グリーン・デイ』のカビが襲う。
これでは妖夢が二人を追いかけることは出来ない。チョコラータはそれを狙った。
家から地面は土台で離れている。つまり、外に出ると『下りる』ことになり、『グリーン・デイ』のカビが襲う。
これでは妖夢が二人を追いかけることは出来ない。チョコラータはそれを狙った。
「何ッ!」
チョコラータは驚愕する。
妖夢が一切の躊躇をすることなく飛び降りたこと。そして、その身体に一切カビが生えていないことにッ!
これは死んでいる状態であったブローノ・ブチャラティにカビが生えなかったのと同様。
『生きているもの』にカビを生やす『グリーン・デイ』の能力は、『死んでいる』半霊相手には発動しないッ!
妖夢が一切の躊躇をすることなく飛び降りたこと。そして、その身体に一切カビが生えていないことにッ!
これは死んでいる状態であったブローノ・ブチャラティにカビが生えなかったのと同様。
『生きているもの』にカビを生やす『グリーン・デイ』の能力は、『死んでいる』半霊相手には発動しないッ!
カビが効かなければチョコラータは怖くない。先に狙うべきは累だ。
彼を見定めて踏み込んだ半霊に、累は再び糸を伸ばし切り刻まんとする。
彼を見定めて踏み込んだ半霊に、累は再び糸を伸ばし切り刻まんとする。
だが、糸もカビも初見殺しの技。タネさえ分かってしまえば、対処するのは難しくない。
魂魄妖夢は当たりどころが悪ければ死ぬこともある『弾幕ごっこ』をやってきた。
ナイフやレーザーのような多種多様な弾を相手してきた彼女にとって、目の前から迫りくる糸を対処するのは容易いもの。
魂魄妖夢は当たりどころが悪ければ死ぬこともある『弾幕ごっこ』をやってきた。
ナイフやレーザーのような多種多様な弾を相手してきた彼女にとって、目の前から迫りくる糸を対処するのは容易いもの。
「糸の強度はこれが限界だと思ってる?」
血鬼術・刻糸輪転
鬼の血を吸って赤く染まった糸は今まで以上に強度を増した。
蜘蛛の巣状に編み込まれた糸が渦を巻き、相手を寄せつけぬ壁となる。
台風のような塊となり、その身を砕かんと叩きつけられるッ!。
蜘蛛の巣状に編み込まれた糸が渦を巻き、相手を寄せつけぬ壁となる。
台風のような塊となり、その身を砕かんと叩きつけられるッ!。
「先代より受け継いだ剣術は、誰にも負けません!」
半霊の間合いに入った途端、糸がばらけた。
それがどうした、とでも言わんばかりに。
累の糸は一本も届くことはない。
魂魄妖夢は、剣を握らせれば幻想郷でも1、2を争う腕前だ。頑張れば弾幕だって斬れるほどに。
そして、妖怪が鍛えた『斬れぬものなどあんまり無い』と称される楼観剣。
その二つが合わされば、鋼鉄以上の強度を誇る累の糸であろうと両断できるのは当然の話。
そのまま真っ直ぐに累に向けて駆け出す。
それがどうした、とでも言わんばかりに。
累の糸は一本も届くことはない。
魂魄妖夢は、剣を握らせれば幻想郷でも1、2を争う腕前だ。頑張れば弾幕だって斬れるほどに。
そして、妖怪が鍛えた『斬れぬものなどあんまり無い』と称される楼観剣。
その二つが合わされば、鋼鉄以上の強度を誇る累の糸であろうと両断できるのは当然の話。
そのまま真っ直ぐに累に向けて駆け出す。
侮るなかれ。人の想いを。
先代白玉楼庭師、魂魄妖忌の300年を受け継いだ剣技は誰にも負けない。
先代白玉楼庭師、魂魄妖忌の300年を受け継いだ剣技は誰にも負けない。
「その『絆』、欲しかったよ」
山の四天王と称される鬼を斬ったこともあるその特別な刀で、累の頸を斬り飛ばした。
「『グリーン・デイ』ッ!」
残るはあと一人。
糸のコンビネーションも無くなり、カビも発動しない今、もはや妖夢の相手にならない。
チョコラータはグリーン・デイを構える。半霊にカビは生えない。もはや単なる気休め行為だ。
近接戦闘になったときグリーン・デイは非常に不利である。
それは先ほど三人を相手したときに分かっていたことだ。
糸のコンビネーションも無くなり、カビも発動しない今、もはや妖夢の相手にならない。
チョコラータはグリーン・デイを構える。半霊にカビは生えない。もはや単なる気休め行為だ。
近接戦闘になったときグリーン・デイは非常に不利である。
それは先ほど三人を相手したときに分かっていたことだ。
駆ける。胴体を斬り飛ばしては即座に繋ぎ直されてしまうことは分かっている。
ならば狙うはチョコラータの首だ。そこを切られては自分で手術することも叶わない。
ならば狙うはチョコラータの首だ。そこを切られては自分で手術することも叶わない。
半霊がチョコラータの目の前まで肉薄するまで、あと5秒。
半霊がチョコラータのグリーン・デイを蹴り飛ばすまで、あと4秒。
半霊がチョコラータが構えようとした日輪刀を弾き飛ばすまで、あと3秒。
半霊がチョコラータを斬らんと剣を構えるまで、あと2秒。
半霊がチョコラータの首を剣筋に捉えるまで、あと1秒。
半霊がチョコラータの首を刎ねるまで、あと―――。
「幸せだ……こういうとき本当に幸せを感じるよ……」
「こんなときのために用意しておいた策にまんまと嵌って……勝てると希望を抱いた奴の顔が絶望に染まっていくのを見ることはなァ~~~~~!」
【魂魄妖夢@東方Project 死亡】
【残り65人】
【残り65人】
○○○
勝てる。
妖夢はそう思っていた。
拘束され、武器も無く、2対1という圧倒的不利な状況。
ここから逆転するには不意を付くしか無かった。
カビは生きたものにしか生えない。
だからこそ、既に死んでいる半霊を向かわせればカビを受けずに攻撃できる。
狙い通りに動いていた。
妖夢はそう思っていた。
拘束され、武器も無く、2対1という圧倒的不利な状況。
ここから逆転するには不意を付くしか無かった。
カビは生きたものにしか生えない。
だからこそ、既に死んでいる半霊を向かわせればカビを受けずに攻撃できる。
狙い通りに動いていた。
シュボッ。
不意に、糸に身体を操られる感覚があり、床に転がっていた何かを握らされた。
操られる感覚?あの鬼は倒したはずなのに?何故?何故?何故?まさか。
嫌な予感がした。手に握らされているものを確認する。
持っているのは『ライター』。
確か外の世界で使われる着火器具だ。
そういえば、支給品にそんなものがあった。
確か、点火したものを襲うという効果が説明書に――――――。
操られる感覚?あの鬼は倒したはずなのに?何故?何故?何故?まさか。
嫌な予感がした。手に握らされているものを確認する。
持っているのは『ライター』。
確か外の世界で使われる着火器具だ。
そういえば、支給品にそんなものがあった。
確か、点火したものを襲うという効果が説明書に――――――。
「おまえ……!『再点火』したな!チャンスをやろう……向かうべき『2つの道』を……!!チャンスには…『おまえが向かうべき2つの道』がある。ひとつは、生きて『選ばれる者』への道。もうひとつは!!さもなくば『死への道』……!!」
「貴方……は……ッ」
「『再点火』したのだ!受けてもらうぞッ」
「貴方……は……ッ」
「『再点火』したのだ!受けてもらうぞッ」
何処からか現れた怪人の仮面の奥がギラリと光り、矢が放たれる。
避けようにも身動きが取れない。
半霊を戻そうにも間に合わない。
そうして、何も出来ないままに妖夢の魂は破壊され、半霊も後を追うように消滅した。
避けようにも身動きが取れない。
半霊を戻そうにも間に合わない。
そうして、何も出来ないままに妖夢の魂は破壊され、半霊も後を追うように消滅した。
「この『魂』。『選ばれるべき者』では……なかった!」
チョコラータは彼女の支給品に見てから考えていたことがある。
それは不死者を生み出す人魚の肉を出しては殺し合いが成立しないという点だ。
チョコラータ自身はまだ知らないが、この場には死なない身体を持つ桜川九郎が存在する。
彼はその身に主催からの細工を受けて、首輪を外せないという弱点を与えられているのだがチョコラータは知るよしもない。
それは不死者を生み出す人魚の肉を出しては殺し合いが成立しないという点だ。
チョコラータ自身はまだ知らないが、この場には死なない身体を持つ桜川九郎が存在する。
彼はその身に主催からの細工を受けて、首輪を外せないという弱点を与えられているのだがチョコラータは知るよしもない。
彼のその懸念は、もうひとつの支給品でかき消される。
『ポルポのライター』。
パッショーネの入団試験を受けたときに見たものと同じだ。
ライターを点火した者と点火を見たものに襲いかかるスタンド『ブラック・サバス』。
相手の魂を引きずり出して弓矢で攻撃するスタンド。
矢に刺された者はスタンドに目覚めるか、死亡するかのどちらかだ。
どれだけ丈夫な身体していようが関係ない。
不死の肉体を持っていようとも、魂を破壊されては生きていられる訳がない。
『ポルポのライター』。
パッショーネの入団試験を受けたときに見たものと同じだ。
ライターを点火した者と点火を見たものに襲いかかるスタンド『ブラック・サバス』。
相手の魂を引きずり出して弓矢で攻撃するスタンド。
矢に刺された者はスタンドに目覚めるか、死亡するかのどちらかだ。
どれだけ丈夫な身体していようが関係ない。
不死の肉体を持っていようとも、魂を破壊されては生きていられる訳がない。
チョコラータは妖夢をスタンド使いと誤解していたが、彼はスタンドの次のステージである『レクイエム』を知らない。
既にスタンドに目覚めた者が使えば、そのまま死亡するのではないかとチョコラータは予想した。
だからこそ、弓矢をいざという時の罠として使うことを思いついた。
先程デイバッグを投げておき、その中身、ライターを妖夢の近くに転がしておいたのはその布石。
累に糸で操ってもらい、ライターを点火させれば自殺装置の完成だ。
再点火を見てしまうリスクは妖夢を視界から外し、見えない位置から操れば問題ない。
先ほど累に『離れろ』と叫んだのはその作戦を行う合図であった。
累を妖夢から守るためでなく、自分達が巻き込まれないための台詞である。
既にスタンドに目覚めた者が使えば、そのまま死亡するのではないかとチョコラータは予想した。
だからこそ、弓矢をいざという時の罠として使うことを思いついた。
先程デイバッグを投げておき、その中身、ライターを妖夢の近くに転がしておいたのはその布石。
累に糸で操ってもらい、ライターを点火させれば自殺装置の完成だ。
再点火を見てしまうリスクは妖夢を視界から外し、見えない位置から操れば問題ない。
先ほど累に『離れろ』と叫んだのはその作戦を行う合図であった。
累を妖夢から守るためでなく、自分達が巻き込まれないための台詞である。
「『相手が勝ち誇ったとき、そいつはすでに敗北している』……アメリカの不動産王がそんなこと言っていたな」
「父さん、大丈夫?」
「ああ、問題ない。それにしても、あのスタンドの顔が絶望に染まっていくところは非常に素晴らしかったッ!まあ、ビデオに撮れなかったのは残念だが、後でテミスから貰うとするか」
「父さん、大丈夫?」
「ああ、問題ない。それにしても、あのスタンドの顔が絶望に染まっていくところは非常に素晴らしかったッ!まあ、ビデオに撮れなかったのは残念だが、後でテミスから貰うとするか」
先程、頸を斬られた累が声を掛ける。その頸と胴は繋がっている。
本来であれば鬼は頸を斬られたら死ぬ。ただしそれには抜け道がある。
先ほど妖夢に頸を斬られる瞬間、累は糸で自らの頸を切り離していた。
後から頸と胴を繋ぎなおせば、鬼の再生能力で治癒できる。
累にとって少し先の世界で、竈門炭治郎を相手に行ったのと同様の手段だ。
この世界において、鬼のような回復能力のあるものは首輪を破壊しない限り死ぬことはない。
本来であれば鬼は頸を斬られたら死ぬ。ただしそれには抜け道がある。
先ほど妖夢に頸を斬られる瞬間、累は糸で自らの頸を切り離していた。
後から頸と胴を繋ぎなおせば、鬼の再生能力で治癒できる。
累にとって少し先の世界で、竈門炭治郎を相手に行ったのと同様の手段だ。
この世界において、鬼のような回復能力のあるものは首輪を破壊しない限り死ぬことはない。
もしも、妖夢が頸ではなく首輪を狙っていたならば、この戦いの勝者は逆であっただろう。
だが、神隼人より『首輪を集める』という話を聞いていたが故にそれは行わなかった。
この殺し合いを終わらせる為の策が裏目に出るとは何たる皮肉か。
だが、神隼人より『首輪を集める』という話を聞いていたが故にそれは行わなかった。
この殺し合いを終わらせる為の策が裏目に出るとは何たる皮肉か。
「伝えてあった作戦通りとはいえ、助けてくれたのは感謝するよ。ごほーびは何本欲しい?」
日輪刀で妖夢の四肢を切り落とす。
その肉体はもう回復性を失い、二度と結びつくことは無い。
その肉体はもう回復性を失い、二度と結びつくことは無い。
「……まだソルベとかいう奴の肉が残ってるよ、父さん」
「累、もっと欲張ってくれんと張り合いが無いぞ。まあいい、4本ともあげよう!」
「……ありがとう父さん」
「不死者の肉だ、喰ったら御利益でもあるかもなあ。良ぉ〜しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」
「累、もっと欲張ってくれんと張り合いが無いぞ。まあいい、4本ともあげよう!」
「……ありがとう父さん」
「不死者の肉だ、喰ったら御利益でもあるかもなあ。良ぉ〜しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」
累を撫でながら、チョコラータは床に転がった遺体の顔を一瞥する。
絶望とも激怒とも悲哀とも受け取れる彼女の最後の顔を見ても、好奇心が動かされることは無い。
グリーン・デイは生きている者にしか発動しない。
彼の精神性を表すように、チョコラータは遺体となった妖夢にはもう興味が惹かれなかった。
絶望とも激怒とも悲哀とも受け取れる彼女の最後の顔を見ても、好奇心が動かされることは無い。
グリーン・デイは生きている者にしか発動しない。
彼の精神性を表すように、チョコラータは遺体となった妖夢にはもう興味が惹かれなかった。
こうして半人半霊の半人前の少女は、何も成すことなく、この物語から退場した。
その誓いも、その絆も、その想いも、その命も、何もかもを踏みにじられて。
その誓いも、その絆も、その想いも、その命も、何もかもを踏みにじられて。
※E-5に累とその家族の鬼達が住んでいた家@鬼滅の刃(アニメ版)があります。
※家の中に魂魄妖夢の遺体と衣服が残されています。
※ポルポのライターの説明書はチョコラータの手により破棄されました。
※家の中に魂魄妖夢の遺体と衣服が残されています。
※ポルポのライターの説明書はチョコラータの手により破棄されました。
【E-5/早朝/一日目】
【チョコラータ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
[状態]:健康、疲労(小)、気分はハイ
[服装]:普段の服装
[装備]:簡易的な医療セット、冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃、はがねの盾@ドラゴンクエストビルダーズ2
[道具]:ポルポのライター@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、魂魄妖夢の基本支給品、魂魄妖夢の首輪
[思考]
基本:殺し合いを愉しむ。優勝できれば主催者から参加者全員の死に様を記録したビデオを貰う。
0:最高に幸せな気分だよ、μよ。
1:累の『パパ』としてじっくり調教する。使い物にならなさそうなら切り捨てる。
2:ジョルノ、ブチャラティを殺す。
3:累の言う『あのお方』と『鬼』に興味。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
【チョコラータ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
[状態]:健康、疲労(小)、気分はハイ
[服装]:普段の服装
[装備]:簡易的な医療セット、冨岡義勇の日輪刀@鬼滅の刃、はがねの盾@ドラゴンクエストビルダーズ2
[道具]:ポルポのライター@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、魂魄妖夢の基本支給品、魂魄妖夢の首輪
[思考]
基本:殺し合いを愉しむ。優勝できれば主催者から参加者全員の死に様を記録したビデオを貰う。
0:最高に幸せな気分だよ、μよ。
1:累の『パパ』としてじっくり調教する。使い物にならなさそうなら切り捨てる。
2:ジョルノ、ブチャラティを殺す。
3:累の言う『あのお方』と『鬼』に興味。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
【累@鬼滅の刃】
[状態]:右手にカビによるダメージ(食事によりほぼ回復)、疲労(小~中)
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:輪切りのソルベ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、からっぽ島の動物セット(猫・牛・犬・羊)@ドラゴンクエストビルダーズ2、ハンディカム@現実、魂魄妖夢の手足
[思考]
基本:無惨様の為に戦う。家族も増やしたい
0:チョコラータが新しい父さんに相応しいか見定める。
1:無惨様と合流し、チョコラータを鬼にしていいか尋ねる。
[備考]
※参戦時期は姉以外の鬼が全滅したあたりです。その為、義勇の存在を知りません。
※チョコラータに着けられたカビは解除されました。
※支給品の一つである【にわとり@ドラゴンクエストビルダーズ2】を投げつけたことで消費しました。
※家族に分け与えた能力は主催の手により戻されています。
[状態]:右手にカビによるダメージ(食事によりほぼ回復)、疲労(小~中)
[服装]:いつもの服装
[装備]:
[道具]:輪切りのソルベ@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、からっぽ島の動物セット(猫・牛・犬・羊)@ドラゴンクエストビルダーズ2、ハンディカム@現実、魂魄妖夢の手足
[思考]
基本:無惨様の為に戦う。家族も増やしたい
0:チョコラータが新しい父さんに相応しいか見定める。
1:無惨様と合流し、チョコラータを鬼にしていいか尋ねる。
[備考]
※参戦時期は姉以外の鬼が全滅したあたりです。その為、義勇の存在を知りません。
※チョコラータに着けられたカビは解除されました。
※支給品の一つである【にわとり@ドラゴンクエストビルダーズ2】を投げつけたことで消費しました。
※家族に分け与えた能力は主催の手により戻されています。
【支給品紹介】
【人魚の肉@虚構推理】
魂魄妖夢に支給。
その名の通り、妖怪の一種である人魚の肉。調理済みの状態で一切れ支給。
食べたものに不老不死の肉体を与える。
桜川九郎はこの肉とくだんの肉を食べたことで未来確定能力を手にした。
【人魚の肉@虚構推理】
魂魄妖夢に支給。
その名の通り、妖怪の一種である人魚の肉。調理済みの状態で一切れ支給。
食べたものに不老不死の肉体を与える。
桜川九郎はこの肉とくだんの肉を食べたことで未来確定能力を手にした。
【ポルポのライター@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風】
魂魄妖夢に支給。
パッショーネの幹部「ポルポ」が所持するライターであり、彼のスタンド『ブラック・サバス』を発動させるスイッチ。
魂魄妖夢に支給。
パッショーネの幹部「ポルポ」が所持するライターであり、彼のスタンド『ブラック・サバス』を発動させるスイッチ。
- 『ブラック・サバス』
【破壊力 - E(押さえつける力はA)/スピード - A /射程距離 - A /持続力 - A /精密動作性 - E /成長性 - E】
ライターを再点火した者と、それを見た者の魂を引きずり出して口内の矢で突き抜くスタンド。
矢に突き抜かれた者はスタンド使いに目覚めるか、そのまま死亡するかのどちらかである。
影から影へと高速で移動して自動追跡するが、日光にに非常に弱く、当たると消滅する。
ライターを再点火した者と、それを見た者の魂を引きずり出して口内の矢で突き抜くスタンド。
矢に突き抜かれた者はスタンド使いに目覚めるか、そのまま死亡するかのどちらかである。
影から影へと高速で移動して自動追跡するが、日光にに非常に弱く、当たると消滅する。
ただし、このスタンドは支給されたカタルシスエフェクト同様にμの力により再現されたものであり、矢によるスタンドの発現効果はありません。
メビウスにおけるNPCとか残滓みたいなものです。
チャンスをやろうとか偉そうなこと言ってますが、そんなものウチにはないよ……。
メビウスにおけるNPCとか残滓みたいなものです。
チャンスをやろうとか偉そうなこと言ってますが、そんなものウチにはないよ……。
前話 | 次話 | |
緊急!バトルロワイアル特別番組『エイスチャンネル』後編 | 投下順 | 異文化交流会 |
前話 | キャラクター | 次話 |
爪爪爪 | 魂魄妖夢 | GAME OVER |
爪爪爪 | 累 | 病院へ行こう |
爪爪爪 | チョコラータ | 病院へ行こう |