バトルロワイアル - Invented Hell - @ ウィキ

神への挑戦

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kyogokurowa

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神隼人が思考の末の答えを出す前に、放送が流れた。
辺り一帯に高揚感のある歌が流れ、それとは対照的に重苦しい空気が漂った。



「アンジュ……。」
彼女はそう一言呟いただけだった。
クオンとアンジュの敵と言い切れないし、また味方とも言い切れない関係など、隼人には知る由もない
隼人の言葉を聞かずとも、すぐにでも屋敷を後にし、チョコラータ達を倒しに行こうと息巻いていたクオンでさえ、立ち往生して、空を見上げている。
彼女にとって、重要な人物が呼ばれたのだとは嫌でも理解が出来た。


一方で、神隼人はさほど心の乱れはなかった。
敢えて言うならば、宿敵である清明が存命だというのは聊か残念だというくらいだ。
妖夢の名前が呼ばれたのも、予想通りと言えば予想通りだし、竜馬や弁慶が呼ばれていなかったのもまた予想通りだった。
どちらも、とりわけ安心することでも意気消沈することでもなかった。


「それで、どうするか決めたの?」
クオンが改めて隼人に問いかける。

「行くぞ。」

隼人の回答は極めて単純だった。
確かにリソースを多めに使ってでも、チョコラータと累は排除すべき相手だというのもある。
それだけではなく、彼の目線に、放ってはおけない人物が映ったからだ。


「行くぞ……奴等を殺す。」
足元もおぼつかない状態で、鬼のごとき形相の義勇が屋敷の廊下を歩いていた。

「ちょっと、寝てないとダメだよ!!」
その状態を見て、クオンは必死に止めようとする。

「止めるな。」
ただの一言と共にクオンを睨みつけ、立っているのもまだやっとという状態なのに歩こうとする。
それだけで、彼もまた妖夢だけではなく、別の大切な誰かを失ったことが容易に伝わった。
実際に彼は最初の同行者のみならず、同じ柱の煉獄と、旧友の錆兎を2度も失ったということになる。


「見ちゃいられねえ……ビルドの奴はどうした!?」
無視して屋敷から出て行こうとする義勇。
彼の治療をしていたのは、ビルドだったはず。
確か彼の知り合いは呼ばれていなかったはずだが、その彼は一体どこでどうしているのか気になった。
これから3人で倒しに行くことを決めたのなら、黙って出て行くのは忍びないこともあって、彼を探そうとする。


彼を見つけるのは、そこまで手間のかかることでは無かった。
屋敷の一室で、筆を走らせ、何かの図を描いていた。
隣には中庭からいつの間にか移動させていた炉が、赤々と火を放って燃えている。
畳や障子に引火しないのか、不安を覚えてしまう。
大きな黄ばんだ和紙の上に、真っ黒な墨で描かれたそれは、精密ながらも非常に大きく、どこか大砲を思わせるデザインをしていた。
部屋に入ると漂ってくる、墨と畳、そして煙が織りなす独特の臭気に顔を歪めながらも、ビルドに声をかける。



「患者をほったらかして、何してんだ?」
隼人の言葉も無視して、作業を進める。
その集中力は、ゲッターを自在に操縦できるほどの精神力を持つ隼人でさえ気圧された。
いや、彼から伝わってくる集中力だけではない。
彼の作業の速さと正確さは、ゲッター線研究の第一人者、早乙女博士にさえも劣らない。


瞬く間に、難解そうな設計図の作成を終えた後、ビルドが発したのは、予想外な言葉だった。


「奴等(チョコラータと累)を倒しに行くのは、諦めて欲しい。」
「てめえ!!あいつらをのさばらしておけって言いてえのか?」

怒りのままにビルドの胸倉を鷲掴みにする。
確かに自分も先程まで行くべきか行かざるべきか悩んではいた。
だが、いざ決断した以上、それをやめろと言われるのは無性に癪に障る。
それなら最初からやめろと言え、と言いたい気持ちになる。


「もういい。行くぞ、時間がない。」
隼人の後についてきた義勇も、向かうことを催促する。

「違う、これは、今やらないといけない……。」

足をばたつかせながら、抵抗しようとする。
舌打ち交じりにビルドを床に落とす。
「一応……聞いてやろう。」

そのままビルドは、残った紙に短い文章を書いた。


『主催を殺す』

      ――――――――――――――――――――――――――
     |  MISSION  μを倒せ!!    達成度0/1    |
      ――――――――――――――――――――――――――

「奴等(主催)を倒すためには、もっといい方法があるんだ。皆も力を貸してほしい。」
空気が一瞬にして、ビルドを中心に緊張状態になった。
確かに主催を倒して、帰ることが出来れば後は野となれ山となれ。
因縁をそのままにしてしまうのは惜しい話だが、あの2体か主催、どちらを倒すべきかと言えば満場一致で後者だ。
隼人は言わずもがな、後ろにいた義勇も、クオンもそれが書かれた紙に釘付けになる。
聞きたいことは僅かな間に山ほど出来たが、ここで言葉に出してしまえば、その時点で全てが台無しになる以上、無理矢理抑えた。


『先の放送 D-2 ふうさ きっと主催 来る』
必要最低限のことを書いていく。
そのスピードは、極めて時間を気にしている者の書き方だった。
確かに先の放送では8時から10時の間に、D-2が一時的に封鎖されるという話があった。
それは主催が何かしらの知られたくないことをする、あるいは直接やって来る可能性があるからだとは、容易に推測できた。



「悪い方法じゃないかもしれねえな。だが、どうやってそこへ行くんだ?」
話は通じる、だが、盗聴の可能性を考慮し、重要な部分を悟られないような質問をする。

「それについても、考えている。」
『隣エリア 高い場所 渋谷駅 狙い撃ち』

察したようで、ビルドもまた隼人と同じ言い方をしつつ、新しい和紙に文字を書き出した。
「大体あんたの言いたいことは分かった。だが、どうやって実行するんだ?」
『爆薬は?』


またしても隼人は重大なことをぼかして質問する。
しかし、辺りに破り捨ててある紙を拾って、何が気になるか書いておいた。

ビルドが「狙い撃ち」と紙に書いた点、および、和紙の上に置いた設計図から、大砲のような物で隣エリアから爆撃するのだとは分かった。
そのやり方は危険だが、可能ではある。


一体どんなことをしでかすのかは不明だが、立ち入り禁止にしたということは、参加者に知られたくない何かをするのは確かだ。
しかも場所が渋谷駅と決まっている以上、ターゲットを隣エリアから狙い撃ちするのには適している。
よしんば敵に通用せずとも、列車を壊すことで、主催に対する嫌がらせは可能のはずだ。
来るのがμなのかテミスなのか、はたまた別の存在なのかは分からない以上、攻撃が効くのか否かは不明だ。
だが、先の放送で『列車が壊された』と言う話があった以上は、少なくとも列車は壊すことが出来る。


しかし、それには大きな前提が必要だ。
つまりは、大砲の原動力である。
和紙に描いてあるだけでは、大砲がどれほどのサイズか分からないが、少なくとも隣エリアから渋谷駅目掛けて飛ばすほどのエネルギーが必要という訳だ。


知っている限りでは、エネルギー源になるようなものは、今自分が持っている拳銃ぐらいしかない。
一応、大砲の材料か何になるかと思って、紫色の拳銃を渡す。


「それは別の時に使う」
恐らく砲撃の要が拳銃になると思っていたので、渡すつもりだったが、にべもなく今は必要ないと言われる。

「使うのは、こっちの方だ。」
ビルドがザックをひっくり返すと、出るわ出るわ、ゴロゴロと大量の小型の塊が出てきた。
何だそれは、どこから出たのだ、と3人とも面食らったような表情になる。


『やしき かくしてた 爆薬』
物の試し、と庭目掛けて投げつける。
それは爆発をして、しかも辺りにまきびしのような鋭い何かが飛び散った。
1つだけ爆破範囲なら大したことは無くても、これが誘爆でもしたらさぞかし派手な爆発をするだろう。
元テロリストと言う職業柄、そのようなことは容易に想像がついた。


そう言えば、と今になって隼人は1つ気付いたことがあった。
義勇たちがやって来る前も、敵の襲撃の後も、ビルドはたびたび作業中に姿をくらまし、いつの間にか自分の目に届く場所に戻っていた。
その時は屋敷の至る所に隠されていた、爆弾を集めていたのだと合点がいった。


「御館様……一体何を?」
唯一元の世界の産屋敷邸のことを知っている義勇が呟く。
この世界の産屋敷邸にあったということは、現実の産屋敷邸にも、この爆薬はあったということだ。

「ったく、大物が頭おかしいのは何処の世界でも同じか。」
屋敷の主は誰なのか隼人は知る由もないが、恐らくこれほど大きな屋敷を持っているということは相当な身分の者だと推測した上でそう言った。
テロリストでやりたい放題していた自分をゲッターのパイロットに抜擢した早乙女博士といい、屋敷中に爆薬を仕掛ける屋敷の主といい、そう言った連中は常に自分の予想を上回る形で何かをしでかそうとする。


「御館様を卑下するな。」
「そういうつもりで言ったんじゃねえよ。」
どこかズレた義勇の反論に、苦笑いを浮かべて返す。


『組み立て 向こうのエリア』

続けてビルドは書き続ける。
そのついでとばかりに、炉から幾つかの鉄を取り出した。
普通の鉄には見られない、独特の輝きを放っているインゴットに、義勇だけが見覚えはあった。


「猩々緋砂鉄か?」
「何だソレは。」
「この剣の素材だ。これがないと鬼は倒せん。」
義勇の話によると、陽の光以外で、唯一鬼を殺すことの出来る日輪刀を作る材料らしい。
人を食らう鬼は、首を斬らねば殺せないという異なる世界間の共通点に、隼人も難しい顔を浮かべた。

産屋敷邸の奥に保管されていた鉄鉱石を全てインゴットにすると、今度は作業台がある庭まで走って行って、インゴットから大量の鉄ブロックを作る。


「これで装甲を作ればいい。」

ビルドの発言から、爆薬の塊の発砲にも耐えられる、大砲の装甲はこれだということなのだろう。
続いて爆薬を4:1の割合に分ける。
片側は砲弾として打ち出す用、もう片方が大砲の起爆剤だ。
さらにダメ押しとして、砲弾の中に先程採取した『危ないカビ』を混ぜる。

「ねえ、あなた……オシュトルって人を知ってる?」
「いや……知らないな。」

クオンはビルドに、同じように頭脳明晰な人物の名を訪ねた。


「材料は出来た。武器はここから離れた場所で造ることにする。」
時計を見ると、時刻は6時15分。
目的地の候補であるD-3、もしくはE-2は、近いと言えば近いが、遠いと言えば遠い。
主催がやって来る時間まで、途中に邪魔でも入れば最後、計画は水泡に帰すだろう。


「クオンと隼人は先遣隊として、先にD-3へ向かって欲しい。別の敵に襲われたり、他に問題があればその銃を一発撃ってくれ。すぐに作戦を中断する。」
「分かった。」
「任せな!」

ゲッターに乗る前のテロリスト時代を思い出し、興奮する。
ガードマン扱いなのがどうにも気に食わないが、ビルドの知識と正確さを認めた以上は、自分のやることをやるしかない。



「富岡さんは僕と一緒に来てくれ。」
「承知した。」

早速クオンと隼人の二人はかなりの速さで屋敷を後にし、それから義勇とビルドが屋敷から出て行く。

「怪我はどう?」
完治はしていない義勇に、ビルドは気遣う。
薬草や調理済みの料理で幾分か治ったとはいえ、万全な状態とは程遠い。

「問題ない、気にするな。」
それを簡単に返す義勇。


「それと……僕の頼みを聞いてくれて、ありがとう。」
「礼なら仕事で返せ。」
本当はこれから作るはずの大砲は、チョコラータ達を倒すために使っても良い。
特に同行者を殺された義勇としては、あの襲撃者を倒すことこそが鬼殺隊としての矜持だったはず。
いくら主催を倒すことが一番効率が良いとはいえ、その矜持を押し殺してくれたことは、感謝をすべきだ。
最適な効率ばかりを考えると、やがてチームは瓦解する。


ビルドがムーンブルクでの、ハーゴン軍との戦いで痛いほど学んだことだ。


(シドー……君はどうしている?)
屋敷の入り口から雲一つない、気味わるいほど清々しい空を見上げる。
この世界のどこかにいるはずの、あの戦いの勝利の先で、絶交することになってしまった親友のことを思い出す。
彼は今、何をしているだろう。
自分を探しているだろうか。
またあの時みたいに、物作りを1人でしようとして失敗しているのか。
もしかすると、誰かを傷付けてしまっているだろうか。

今はそんなことを気にしている場合じゃ無い。
時間は一刻一刻を争っている。
それなのに彼のことが気になって仕方が無かった。




 【F-5/産屋敷邸前/朝/一日目】


【ビルド(ビルダーズ主人公、性別:男)@ドラゴンクエストビルダーズ2】
[状態]:健康
[服装]:普段着
[装備]:ビルダーハンマー@ドラゴンクエストビルダーズ2
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、あぶないカビ 大量の鉄のブロック@ドラゴンクエストビルダーズ2、大量の爆薬@鬼滅の刃、大砲の設計図@製作
[思考]
基本方針: ゲームからの脱出。殺し合いをしない。
1:10時までにD-3(状況によってはE-2にするかも)へ向かい、そこでD-2の渋谷駅まで飛ばせる大砲を作る。
2:シドーや隼人の仲間たちを探す。
3:敵の襲撃や隼人からの合図など、問題が発生すれば、計画を中断させる
※幻想郷の大まかな概要を聞きました。



【冨岡義勇@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、憂鬱
[服装]:いつもの隊服
[装備]:サイコロステーキ先輩の日輪刀@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品一式、不明支給品2つ(本人確認済み)
[思考]
基本:テミスとμを倒す
0:D-3へ向かい、ビルドを守る
1:鬼舞辻無惨に会ったら殺す
2:仲間(妖夢、錆兎、煉獄)死亡による意気消沈
[備考]
※無限城に落とされる直前からの参戦です
※毒消し薬、消化促進薬を摂取しました。


【神隼人@新ゲッターロボ】
[状態]:疲労(小)興奮
[服装]:普段着
[装備]:ミスタの拳銃@ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風、はやぶさの剣@ドラゴンクエストビルダーズ2、ミスタの拳銃(ビルドの作った模造品)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考]
基本方針: ビルドの主催討伐作戦を手伝う
0:先遣隊として、D-3へ向かう。
1:もし問題が発生すれば、銃を撃つことで作戦を中断させる
2:ビルドのものつくりの能力を利用し有利に立ち回る。現状、殺し合いに乗るつもりはない。
3:作戦実行の前に、やはり首輪のサンプルが欲しい。狙うのは晴明、殺し合いに乗った者、戦力にならない一般人(優先度は低い)。
4:竜馬と弁慶は合流できるに越したことはないが、まあ放っておいても死なんだろう。
5:チョコラータは始末しておきたい。
※少なくとも平安時代に飛ばされた後からの参戦です
※幻想郷の大まかな概要を聞きました。



【クオン@うたわれるもの 二人の白皇】
[状態]:健康、葛藤中
[服装]:皇女服、面紗で顔は覆われている状態
[装備]:
[道具]:基本支給品一色、薬用の葉っぱ@オリジナル、不明支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いに乗るつもりはない。皆と共に脱出を。
0:先遣隊として、隼人と共にD-3へ向かう。
1:復讐、か……。
2:アンジュを失ったことによる、若干の喪失感
3:着替えが欲しいかな……。
4:オシュトル……やっぱり何発か殴らないと気が済まないかな
5:優勝……ハクを蘇らせることも出来るのかな……ううん、馬鹿なこと考えちゃ駄目!
[備考]
※ 参戦時期は皇女としてエンナカムイに乗りこみ、ヤマトに対しての宣戦布告後オシュトルに対して激昂した直後からとなります。オシュトルの正体には気付いておりません。

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第一回放送 投下順 人生は選択肢の連続だ

前話 キャラクター 次話
Awake and Alive 神隼人 It's My Life ーTir na nOg ー(前編)
Awake and Alive クオン It's My Life ーTir na nOg ー(前編)
Awake and Alive ビルド It's My Life ーTir na nOg ー(前編)
Awake and Alive 富岡義勇 It's My Life ーTir na nOg ー(前編)
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