――――罪滅ぼしなのですよ、と少女は云った。
「僕はずっと見て観ぬ振りを――しているのです。昔も、今も。きっとこれからも。だからきっと僕は死に続けるのです。ずっと。ずっと。」
可憐で幼けな容姿にも関わらず老婆と話をしている錯覚に陥る。
――だからこれは御仕置きなのです。と老婆のような少女が結んだ。
何もせずただ見て居ることが罪ならば私だってずっと見ていた。ただ見ていた。
――――何もせず。
――――何もせず。
「貴方だって殺されていくのをただ見られるのは厭でしょう。」
厭だ。
否、本当に厭なのだろうか。
置いてきぼりにされるのは寂しい。
寂しい。助けて。
厭だ、厭だ、厭だ。
嗚呼でも独りは―――楽だ。
否、本当に厭なのだろうか。
置いてきぼりにされるのは寂しい。
寂しい。助けて。
厭だ、厭だ、厭だ。
嗚呼でも独りは―――楽だ。
私はわからない、と伝えると少女は激昂した。
―――馬鹿にするな
鬼の形相とは善く云ったものだ。
鬼の形相とは善く云ったものだ。
似合わない。入れ物と中身がちぐはぐだ。
まるで下手な声優が吹き替えた外国映画のようだとぼんやり思う。
まるで下手な声優が吹き替えた外国映画のようだとぼんやり思う。
ややあって少女が一息着く。
「余所見れば雛見澤は愚かしく、狂っているように見えるでしょう。しかし我々は田舎者だが阿呆じゃない。何人かの年寄りは外で暮らす方法を知っているのですよ―――誰ひとり行動に移さないし口外はしないですけれども」
「余所見れば雛見澤は愚かしく、狂っているように見えるでしょう。しかし我々は田舎者だが阿呆じゃない。何人かの年寄りは外で暮らす方法を知っているのですよ―――誰ひとり行動に移さないし口外はしないですけれども」
一体何故。知っていたならば今頃―――今頃あの人は。私は。
「ここの村人は皆子供なのです。幼いのです。親離れ出来ていないのです。親鳥から離れた雛は生きていくのは難しいでしょう。巣立ち方を知っていてもまだ巣立てる程成長できていない。」
じりじりと太陽が肌を焦がす。
少女は汗ひとつ掻いていない。
少女は汗ひとつ掻いていない。
「だから我々にオヤシロ様が憑いているのでなく、我々がオヤシロ様に憑いているのですよ。親子の情に理由がないように理なんてそこにはないのです。―――だから子を持たない者が親の気持ちを解せぬように、余所者には決して解せないのですよ。」
私はなんだか拒絶された気になる。
私も――私も仲間に入れてはくれぬだろうか。
私も――私も仲間に入れてはくれぬだろうか。
すると少女は困ったような顔になり懇願した。
「憑物を落とさないで下さい。この村に憑いているものは僕の大切なものなのです。」
――お友達に伝えてください。
そう括ると老婆のような少女は林の中に消えた。