「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

犬神憑きと怪人アンサー-15b

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匿名ユーザー

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姉妹の答えを聞いて、天地が口を開いた。
「…わかった、なら、記憶の消去は行わない」
記憶の消去は行わない、と言われて、少し安心した。

「それじゃあ、悪いが、今後の事について、いくつか伝える事がある」
「…はい」
「お願いします」
頷いた姉妹に、天地がゆっくりと話し始める。

「まず、お前達の今後の学費や生活費だが…それは、「組織」穏健派が、全面的に支援する。お前達が、「組織」に残る残らないに関わらず、だ」
「「組織」に残らなくても、ですか?」
「元々、「組織」には都市伝説事件被害者を支援する、と言う役目ももっている。表立って支援するかどうかはさておき、な」
紗江の疑問に、成り行きを見守っていた辰也が答える。

「…それと、もしかしたら…そんな事はさせないが、A-No.666の実験に強力していた残党が、お前達を狙ってくるかもしれないが…」
「そう言う連中からは、俺達「首塚」が護る」
襖が開き、翼が顔を出した。
翼の言葉に、天地が頷く。

「「首塚」とは、もう話がついている。こちらでも、そのような事態にならないよう努力するが、もし、万が一の事があったならば、「首塚」がお前たちを守護する」
「お前らが住んでる家も……もし、あの家に住み辛くなったら、こっちで住居を提供するぜ」
「でも…ご迷惑をかけるわけには」
「迷惑なんかじゃねぇっての。「首塚」は、「組織」に害された者の味方だ……絶対に、見捨てたりしない」

「本当、そうそう、追っ手は向かわせないけどな……必ず」
天地から、強い決意を感じた。

「もし、何かあったら、いつでも連絡しろ…今度こそ、力になる」
「…ありがとうございます」
「あぁ、それと」
天地が懐から何かを取り出し、紗奈に向けて放り投げた。
キャッチした、それは
「あ…私の…」
「破壊された、お前の携帯電話を復元した。中のデータも大体無事だとは思うが、後で確認しておけ」

「伝える事は、これで全部だ。何か、質問は…」

天地がそう言いかけた時、襖が開いて…直希を隣の部屋まで連れて行った獄門寺が戻って来た。
どうやら、翼は獄門寺に用事があったらしく、彼に声をかける。
「あ、龍一。将門様が、準備、できたってよ」
「…わかりました」
獄門寺は、翼の言葉を受けて部屋を出ようとして…紗江と紗奈に目を向けた。

「二人共、忘れないそうだ」
「……そうか」
目元を隠す長い前髪で表情は見えないが…天地の言葉に答えた声は、どこかほっとしたような、心配そうなものだった。

「あの、獄門寺君…」
「………もう」
紗江が、何かを伝えようとしたが、それよりも先に獄門寺が口を開く。
「…もう、お前達を、今回のような目には、あわせない」
感情を押し殺した、しかし、強い意志のこもった声。
「………もう。俺の周りの連中に、手は出させないから」
そう言って、獄門寺は部屋を出て行った。

「…紗江ちゃん、獄門寺君に何か伝えたいことがあるんでしょ?
 行っておいでよ」
「…え、でも…」
「大丈夫、私が天地さんに…徹兄への説明の事、聞いておくから」
「……うん…
 …すみません…少し、席を外します…」
紗奈に言われて、紗江は獄門寺を追って部屋を出た。

紗江を見送って……天地に向き直り、紗奈が口を開く。
「あの……私達、従兄が居るんです。その人も契約者で、私と紗江ちゃんが契約者だって事も知っています…でも、私達…「組織」に所属していた事までは、話してないんです…従兄が学校町に来たのは、天地さんや直希さんと知り合った後で……私達が「組織」に所属していた事を知って、巻き込ませたく、なかったから。

…先ほど、両親の、葬儀の手続きを…「組織」の方で行って頂ける、とおっしゃっていましたが…従兄に説明する時に…「組織」の人達の事、どう説明すればいいでしょうか…」

警察、と説明すればいいのか、葬儀屋と説明すればいいのか…昨日、紗江が悩んでいた事を聞いてみる事にした。

―――

廊下に出て、前を歩く獄門寺に声をかける。
「獄門寺君…!」
「……天倉、紗江?…俺に、何か用か?」
獄門寺は、立ち止まってこちらを向いてくれた。
これから話す内容が内容だけに、周囲を見やり、自分達以外に誰も居ない事を確認して、小声で話す。
「あの……ごめんね……私が犬神の能力を上手く使えなかったせいで…獄門寺君に、人を、殺させて」

謝って済むことではないし、謝ったところでただの自己満足に過ぎないのかもしれないが…このまま何も言わないままでいるのは嫌だった。

「…それと、こんな事を言った後で言うのもおかしいかもしれないけど……
 紗奈ちゃんを助けてくれて、ありがとう。
 ……引き止めて、ごめんね。どうしても…伝えたかったの」
どこかへ向かう途中だった獄門寺をこれ以上引き止める訳には行かない。
伝えたかった事を伝えると、天地達の居る部屋に戻る為に踵を返した。

続く…?

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