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単発 - 我ら、口裂け女三姉妹3

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kemono

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「そうですか…ありがとうございます。」

 落胆した表情で係員に頭を下げる女性。
 きびすを返し、プールに向けて走り出す。

「お姉様、施設の方にも届いていませんでした…。」
「むぅ、そうか…。一体どこまで流されたんだ…。」

 見失った水着を探し、未だプール内を探し回っていた口裂け女三姉妹。
 もしやと思い係員に掛け合っても見たが、水着が届いたという知らせはなかった。

「…おねーさま大丈夫?寒くない?」
「私は大丈夫だが…すまんな三女、そろそろ飽きてきただろう。」

 くしゃくしゃと三女の頭を撫でてやる長女。
 しかし…本当にどうしたものか。
 長女はため息をつき、目を閉じる。

 プスン

「む?」
「えっ?」
「あっ!」

 ドポン!

 次の瞬間、三女が水の中に沈んだ。
 頭を撫でられている最中に浮き輪が破れ、そのまま水の中に落ちたのだ。
 次女があわてて三女を水の上に引き上げる。

「す、すまん三女!」
「三女ちゃん大丈夫!?水飲んでない!?」
「けほっ…おっ、おねーさま!おねーちゃん!水着見つけた!」
「何?私たちの水着か?」
「下の網の中に赤いの見えた!いっしょに買ったのと同じ色のやつ!」

 長女が潜って確認すると、排水溝の格子状の蓋の内側に赤い水着が引っかかっていた。
 これでは水面から見つけることは出来ないだろう。

「こんなところにあったのか!よくやったぞ三女!」
「でもこれ、どうやって取り出しましょう…。」

 排水溝の内部にギリギリ引っかかっている水着。
 蓋になっている格子の隙間は手が入るほど広くはなく、
 かといって蓋を外せば、勢いの増した水流に流されてしまうかもしれない。

「どうしましょう…。係員に言って取ってもらいましょうか?」
「いやその必要は無い、協力して取り出すぞ。まずはだな……」

*



   ・
   ・
   ・

 話し合いを終え、三姉妹は各々配置についた。
 長女は水着が引っかかっている排水溝の横に。
 次女と三女はプールサイドに上がっている。
 それぞれが目配せし、準備が出来たことを知らせる。

「じゃあ行くわよ。三女ちゃん、準備はいい?」
「大丈夫!気をつけてね、おねーちゃん。」

 次女と三女が、数メートルの距離を置いて正対する。
 次女はどこからか真っ赤な傘を取り出すと、三女に向けてふわりと跳んだ。
 ゆっくりと降りてくる次女の両足を、三女の両手が受け止める。

「いっけえええええええええ!!!」

 三女は両手を高く振り上げ、次女を空へと投げ飛ばした。
 傘を片手にした次女の体が、ふわりふわりと宙を舞う。
 位置を上手く調節すると、次女はパタンと傘を閉じ、代わりに大鋏を携えた。

「お願いします、お姉様ッ!!!」

 次女は大鋏を構えながら、遥か上空から落下する。
 そして水面に激突し、大きな水柱が立ち上がる。
 次女はかまわず大鋏を突き刺し、勢いそのまま地面を抉る。
 プールの底が砕け、瓦礫が水中に飛散する。
 その衝撃で排水溝の蓋と水着が、共に水中に舞い上がる。

「そこだァ!!!」

 水柱の中、長女の鎌が一閃、二閃。
 赤い二つの水着を鎌の柄が的確に捉え、空中に水着が舞い上がる。
 直後、砕いた瓦礫が排水溝に吸い込まれ、その穴を塞いだ。
 ぱらぱらと落ちる水しぶきと共に、脱げた水着が持ち主の手に収まる。
 長女たちはそれを水中で付け直すと、プールサイドで待つ三女の下へ泳いでいった。

「やったね、おねーさま!おねーちゃん!」
「ああ!三女もよく頑張ったな!」

 わしわしと三女の頭を撫でてやる長女。

「もしかしたら誰かが見ていたかも知れませんし、人が来る前に離れましょうか。」
「そうだな。三女、もう十分遊んだか?」
「うーん…ちょっと疲れちゃったから、もういいや。」
「そうか、じゃあ水着も戻ったことだし、さっさと帰……」

 ゴボッ
 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 唐突に地鳴りのような音が背後から聞こえ、三姉妹は振り返った。
 その視線の先では、先ほど壊した排水溝から物凄い勢いで水が流れ出し、水面に大きな渦を作っていた。

「ぐるぐるしてるのー。」
「…まぁ、流れるプールに渦潮があってもおかしくはあるまい。」
「ええ、全く問題ないと思います。」
「ぐるぐるで泳ぐー?」
「いや、今日はもうお終いだ。また今度な?」
「三女ちゃん、楽しかった?」
「うん!すっごく楽しかった!おねーさまも、おねーちゃんもありがとう!!」

 仲良く手をつなぎながらプールサイドを歩く三姉妹。
 水の渦巻く音を遥か背後に、更衣室へと入っていった。

*



   ・
   ・
   ・

 数分後。
 いつもの赤い服を纏った三姉妹が、施設の正面に立っていた。
 横一列に並び、施設を見据える三姉妹。
 そして告げる。

「喜悦の時は終わりを告げた!」
「今日という日を心に刻み!」
「我らは明日を歩み行く!」
「「「さらば夏よ!さらばプールよ!!また来年もあいまみえようぞ!!!」」」


今度こそ続かない


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