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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

単発 - 白黒少女

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kemono

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白黒少女


 夕暮れの町を少女が二人、肩を並べて歩いている。
 その道沿いの塀の上では黒猫が、少女たちと歩みを合わせて歩いている。

「最近は帰る時間になってもまだ夕方だから、明るくていいね!」
「そうなんだけど……にゅうちゃん、わざわざあたしの都合に合わせなくてもいいのよ?」
「だって、にゃあちゃんと一緒に帰りたいんだもん。リナちゃんも飼い主さんと一緒がいいよねー?」
「にゃー。」(けーやくしゃ。ごはん、はやく。)
「あれは食い意地が張ってるだけよ……ん?」

 そのとき曲がり角の向こうから全身に包帯を巻いた男が姿を現した。

「もしもしお嬢さん方、今何時だい?」
「んー?えっとね、今……」
「にゅうちゃん、応えなくていい。あいつから目を離さないで。」
「へぇ、俺がわかるってことは契約者か?まぁ女二人ならどうってことねぇ……大人しく注射を打たせろぉ!」

 男は服の中から注射器を取り出して、少女たちに迫る。

「素直にやられる馬鹿がどこにいるかっての。行きなさい、リナ!」
「はっ、そのちっこいのがお前の都市伝説か?だったら先にそいつから――――」

 塀の上に居た黒猫は飛び出して注射男と少女らの間に立ちふさがると注射男を一瞥し、

「にゃー。」(おまえ、きらい。)

 と鳴いたのちその場から走り去り、反対側の塀にひょいと飛び乗った。

「……くはは!契約者のくせに己の都市伝説に見捨てられるとはなぁ!」
「いいえ。リナはちゃんとあたしの指示通りに動いてくれたわよ。にゅうちゃん、動けなくしてやって。」
「うん!じゃあ注射男さん、私のミルク飲んでね?」

 直後、少女が持った牛乳パックから牛乳があふれ出し、宙をうねり注射男へと迫る。

 あれは牛乳か?ただの牛乳ではないと思うが能力がわからん。ここは一旦避けて――――。

 注射男が動き出すと同時に、その服の裾から注射器が転がり落ちた。
 そして不運にもその注射器は、足を踏み出そうとしていた注射男の太股に突き刺さった。
 予期せぬ痛みに気を取られた注射男の眼前に牛乳が迫り、そのまま口の中へと流れ込んでいった。
 足の痛みと流れ込む牛乳から逃れるように地面を転がる注射男。
 咳き込みつつ体を起こそうとするが、途端に全身の骨が今にも折れそうにミシミシと軋むのを感じた。

「動かない方がいいわよ。全身ボロボロになりたくなかったらね。」
「げほっ!かはっ…お、俺の体……いや骨がッ!?何をしやがった!?」
「牛乳を飲むと、こつそしょーしょーとかになりやすいんだってー。そんなことないのにね、にゃあちゃん。」
「『牛乳有害説』にも色々あるけど、これで勘弁したげる。心筋梗塞とかにならなかっただけありがたいと思いなさい。」
「はっ、メスガキが偉そうに『勘弁してやる』だと?俺を殺さなくていいのか?俺はまた人を襲うぞ?きっと誰かが死ぬだろうな……お前らが俺を見逃したせいでなぁ!」
「……できるもんならやってみなさい。行こ、にゅうちゃん。」
「いけないことしちゃ、めー、だよ?おいでリナちゃん、帰るよー。」
「にゃー。」(だっこして。)

 注射男の捨て台詞を意にも介さず、二人の少女は猫と共にその場を後にした。

 



 日の落ちた町を少女が二人、肩を並べて歩いている。
 片方の少女の腕の中には黒猫が抱きかかえられ、宙に浮いた白い球体――――猫用ミルクをぺしゃぺしゃと舐めている。

 ――――俺を殺さなくていいのか?

 その様子を眺める少女の脳内に、先ほどの言葉がよみがえる。

「……にゅうちゃんには見せたくないのよ。」
「んー?にゃあちゃんなにか言った?」
「なんでもない。それより、さっきからリナ抱きっぱなしだけど、重かったら下ろしてね。」
「だいじょぶだよー。リナちゃん軽いし、かわいいからずっと抱っこしたいもん。」
「あんまり甘やかさないの。リナも、甘えてないで自分で歩きなさい。」
「にゃー。」(やだ。ここがいい。)
「あんた、あたしに抱かれるのは嫌がるくせに、にゃあちゃんには抱かれたがるのね。」
「にゃー。」(けーやくしゃ、やわらかくない。こっちのがふにふにしてきもちいい。)

 さくっ

「……リナ、あんたちょっと汚れてるわね。帰ったら一緒にお風呂入ろっか。」
「!?にゃー!にゃー!」(やだ!おふろやだ!ボクかえらない!)
「あ、リナちゃん危ないから暴れちゃだめー!」

 黒猫は少女の腕をするりと抜けると、遠くへと走り去っていった。

「あっ、リナちゃん!……にゃあちゃんごめんね、リナちゃん逃げちゃった……。」
「いいのよ。お腹空いて帰ってきたところを取っ捕まえて風呂にぶち込んでやるわ。」
「にゃあちゃんにゃあちゃん、乱暴なのは、めー、だよ?」
「大丈夫よ。全身くまなく隅々まで余すところなくとことんきれいに洗い尽くしてやるだけだから。」

 ふふふふ、と笑う少女から黒いオーラのようなものが漂っているが、傍らの少女はそれには気付かず首を傾げている。

「あ、ねえねえにゃあちゃん。さっきの注射男さん、ホントにあのままでいいの?」
「大丈夫よ。今あいつは動けないし、悪い奴には天罰が下るって決まってるの。」
「うーん……そうだね、にゃあちゃんがそう言うなら信じるよー。」

 にゅうちゃんはいい子ね、と笑顔で答えながら、少女は心の中で呟いた。

(……不吉補正最大開放)

 



 注射男は未だ地面に横たわっていた。

「くそっ、あいつら俺をコケにしやがって……。覚えていろ、次に会ったら命はない――――」

 グシャッ

「……ん?今、何かに乗り上げた気がしたが……気のせいか?」

 運転手は何も映っていないバックミラーを見て首を傾げつつも、何事も無かったかのようにその場を走り去った。



【終】




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