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連載 - 花子さんと契約した男の話-29

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だれでも歓迎! 編集
 撃つ
 ひたすら、撃ちつづける
 花子さんの激流から逃れたパレードを、ひたすらに撃ちつづける

 …あの、パレードがどんな存在なのか
 それを、俺は知らない
 ただ……何故だろう 
 たとえ、あのパレードの正体が人間だった、としても
 あれは、もう二度と、人間には戻れないだろう
 そんな予感がして

 ………だから、撃つ
 それを言い訳にするように
 せめて、死なせることで、今の状態から解放してやるのだと
 そう、自分に言い聞かせ続ける

「み!あともうちょっとなの!」
「…あぁ、そうだな」

 パレードは、大分、数を減らしてきている
 再生能力が追いついてきていないのだ

 ……ただ
 少し、心配なことが

 ……○ティッチの着ぐるみの姿が、見えない
 まさか……花子様たちの方に、向かったのか?
 背中を、冷や汗が伝う
 あちらとて、花子さんと同じように、傍に個室トイレと言うテリトリーがあれば、かなりの戦闘力を誇るはず
 しかし…あの着ぐるみはパレードと違い、高い戦闘力を誇っているように思えた
 はたして、大丈夫だろうか?
 それに…傍にいた、花子様の契約者
 …俺と違って、単体で戦闘力、あるんだろうか?
 以前、赤いちゃんちゃんこ事件の時、共に行動した時から考えるに…

 ………
 …………
 ……………

 …あ、やばげ?

「急ぐぞ、花子さんっ!」
「うん!!」

 激流の威力が上がる
 俺も、銃を連射し続ける

 パレードは、次から次へと消えていく
 まるで、初めから存在していなかったかのように
 ダメージが一定以上蓄積されるたびに、消えていく
 ……あと、もう少しだ!
 そう、俺が気を緩めてしまった…その時

 ぞくり
 全身を駆け抜けた、悪寒

「----花子さんっ!」
「み!?」

 何時の間にか、花子さんの真横に居たのは
 紫にピンクのシマシマの猫の着ぐるみ
 ……アリスのチェシャ猫かっ!?
 距離が近すぎる
 花子さんじゃ、対応しきれない!?

「っく!」

 俺は、そちらに銃を向けた
 至近距離には、花子さん
 狙いを少しでも間違えば、花子さんに弾が当たる

 間違いなど、許されず
 しかし、即座に行動しなければならない


『坊ちゃん、男って奴はね、ここぞと言う時に迷っちゃあいけないんですよ。銃ってのは、威力がすげぇ。簡単に人を殺せる道具だ。だが……ここぞと言う時に、引き金を引くのを迷っちゃいけねぇんです』


 ハワイで、俺に銃の撃ち方を教えてくれた親父の部下の言葉を思い出す
 確か、あいつあと2,3ヶ月で刑務所から出てくるよなぁ、とかどうでもいい事もうっかり思い出したりしつつ

 …俺は、引き金を引いた

 発射された水の弾丸は、俺の狙ったとおり、チェ○ャ猫の目に命中し、猫はその衝撃で後方に飛ばされる
 ころん、とひっくり返ってじたばたしている様子は、どこかユーモラスですらあった

「花子さんは、パレードに集中しててくれっ!」
「う、うん!」

 パレードは花子さんに任せ、俺は○ェシャ猫の着ぐるみに銃を向けた
 じたばた、しばし痛そうにしていた着ぐるみだが…突然、すくっ!と立ち上がり、ポーズなど決めてみせる
 打ち抜いたはずの目は、既に回復していた

「…再生能力高いな、畜生」

 さぁ、どうする?
 どこを撃ち抜けば、行動不能になってくれるか?
 相手は、あくまで「着ぐるみ」と言う概念に基づき、動いているはずだ
 それを考えると、急所は人間と同じように思える
 しかし、目を撃ち抜いてもすぐに回復されるとなると…

『………』
「………?」

 ……うん?
 …何か
 何か、おかしい
 チェシャ○はポーズを決めたまま、動かない
 …と、言うか…何か、首をかしげて
 考え込んで、いるような?

 着ぐるみは、空を見上げる
 空には、いつの間にやら…ぽっかりと、月が浮かんでいた
 そんなに、長い時間戦っていたのだろうか

『………』

 ゆらん、ゆらんっ、と
 本来の着ぐるみならば、動かないはずの尻尾が揺れている
 思案しているような様子

「…来ないのか?」

 返答など来ないであろうことを承知で、そう尋ねて見る
 そうすると……表情など変わらないはずの着ぐるみの、顔が
 その、ニヤニヤ笑いが……さらに、強化されたように見えた

『終わる。終わるよ、もうすぐに。道化の時間はおしまいさ』
「………?」

 …あれ?
 チェ○ャ猫に…そんなセリフ、あったっけ?
 つか、こんな話し方だったろうか?
 俺が疑問に思っていることなどおかまいなしに、着ぐるみは放し続けている

『王様起きたよ「夢の国」。仮初の王様目覚めたよ「夢の国」。そろそろ、悪夢の時間はおしまいさ。もうすぐ僕等は解放される』
「……っ!?どう言う事だ!?」

 銃を向けたまま、俺は○ェシャ猫に尋ねる
 ニヤニヤ笑いを向けたまま…しかし、どこか、苦しそうに、着ぐるみは続けてくる

『これは全て仮初の夢。ゆっくりじっくり歪められた悪夢の時間。そろそろ、それはおしまいさ。誰かがそれを終わらせる。だけど、悪夢は尾を引くよ。僕等は死ぬまで解放されない』

 …気付いた
 あの着ぐるみは…自分の動きを、必死に押さえ込もうとしている
 今すぐにでも、俺や花子さんに向かってこようとするのを、必死に必死に、押さえ込んでいた

『王様倒れりゃ皆倒れる?いやいや、違うよ悪夢は続く。それまで僕等は解放されない。けれど、死ねば解放される。僕等は悪夢を作らない。死んでも死んでも大丈夫。だって、僕等は「夢の国」の住人。「夢の国」では誰も死なない』

 ……一歩
 チェ○猫が、こちらに近づく

『歪んだ物を直すには、一度壊さなきゃ駄目なのさ。壊して綺麗に元通り!普通は駄目だよ死んじゃうから。けれど、僕等は「夢の国」の住人。それで大丈夫』

 一歩、一歩
 ニヤニヤ笑いながら、しかし、苦しげに…着ぐるみが近づいてくる

『だから、壊しておくれよ、そこの坊や。一度、僕を壊しておくれ。そうすれば、僕は解放されるよ悪夢から。再生までは時間がかかる。直る頃には終わるよ悪夢。全ての幕が下ろされる』
「…………」

 一歩、一歩、一歩
 ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり
 それは、近づいてくる

『さぁ、迷っちゃ駄目だよお坊ちゃん。早く僕を壊すんだ。僕が君を壊しちゃう前に』
「…………」

 チェ○ャ猫の、言葉に
 俺は、静かに目を閉じた
 銃は、着ぐるみに向けたまま
 目を閉じ、静かに考え込む

 …すらりっ
 着ぐるみが武器を抜いたのが、気配でわかった
 それが、こちらに向かって振り下ろされ…


「御免な」

 目を開き、俺は引き金を引いた
 水の弾が、○ェシャ猫の心臓…と、思われる部分を撃ち抜いた
 続けざま、目を、喉を、次々と撃ち抜いていく

 撃ち抜かれる痛みに、着ぐるみは悲鳴をあげる
 けれど、俺は撃つのをやめない
 何度も、何度も、何度も撃ち抜いて


 …そして、着ぐるみの動きが、止まった


 ニヤリ
 最後にまた、着ぐるみは笑って


『ありがと、坊や。これで僕は解放される。元の○ェシャ猫に戻れるよ。ありがと、ありがと……』


 …ぱぁ、と
 その体が…光の粒子となって、消えていく

「…坊や、なんて呼ばれる歳じゃねぇよ」

 ぼそり、呟く
 …これで、あいつは本当に、救われたんだろうか?

「…けーやくしゃ?大丈夫?」

 きゅう、と
 何時の間にか、花子さんが俺の服の端を握ってきていた
 じ、と心配そうに見上げてくる

「花子さん…パレードは…」
「うん、もう大丈夫だよ」

 パレードは…もう、消えている
 花子さんが、全て倒したのだろう
 あとは…花子様たちの方だが…

 気のせいか?
 さっきから絶叫とか絶叫とか絶叫とかが聞こえてきているような…

「花子さん。花子様たちのところに戻るぞ」
「うん!花子様たちも心配なの!」

 俺は、花子さんと一緒に走る
 嫌な予感を、振り払いながら


 …この戦いの後、「夢の国」の住人たちが、本来のあり方に戻れることを
 ただ、祈りながら…



to be …?





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