我らがさだめは猫のしもべ
某所にひっそりと立つ施設。
その施設の風呂場と洗面所には、マスクとゴーグルで防備した二人の男と二匹の猫がいた。
一人は風呂場の中で手になにか薬品を塗ったかと思うと、それを激しく猫に擦りつける。
みるみるうちに泡まみれになる猫。それをしばらく続けた男は、続いてその泡をぬるま湯で洗い流す。
その男は手を休めることなく、洗面所にいる男に声をかける。
その施設の風呂場と洗面所には、マスクとゴーグルで防備した二人の男と二匹の猫がいた。
一人は風呂場の中で手になにか薬品を塗ったかと思うと、それを激しく猫に擦りつける。
みるみるうちに泡まみれになる猫。それをしばらく続けた男は、続いてその泡をぬるま湯で洗い流す。
その男は手を休めることなく、洗面所にいる男に声をかける。
「悪いな、いつもいつも手伝わせて」
「別にいいよ、俺も猫大好きだし。それにここの猫はよく手入れされてるから、こちらとしても助かるし」
「お互いに苦労するな。ほれ、かえで一丁上がり」
「おう。ほらヤマト、お前の番だぞ」
「別にいいよ、俺も猫大好きだし。それにここの猫はよく手入れされてるから、こちらとしても助かるし」
「お互いに苦労するな。ほれ、かえで一丁上がり」
「おう。ほらヤマト、お前の番だぞ」
びしょ濡れのトラ猫を逃げ出さぬように布にくるみつつ、足元に寝転がる黒猫を風呂場へと差し出す。
ざらざらした布によって全身を荒々しく擦り上げられるトラ猫と、ぬるま湯責めと泡責めのコンボを喰らう黒猫。
猫たちは抵抗しても無駄というようになすがままにされ、目を細めてただ与えられる快楽を享受している。
トラ猫に温風責めを行っていると、黒猫のほうは再びぬるま湯責めへと移行していた。
ざらざらした布によって全身を荒々しく擦り上げられるトラ猫と、ぬるま湯責めと泡責めのコンボを喰らう黒猫。
猫たちは抵抗しても無駄というようになすがままにされ、目を細めてただ与えられる快楽を享受している。
トラ猫に温風責めを行っていると、黒猫のほうは再びぬるま湯責めへと移行していた。
「おーい、こっちもうすぐ上がるぞ」
「おーらい。次、ひめでいいよな?今連れてくるよ」
「おーらい。次、ひめでいいよな?今連れてくるよ」
トラ猫を抱えて洗面所を後にし、今度は別の白猫を抱えて洗面所へと戻る。
そして再び風呂場の中の猫と交換し、猫へのぎゃくたいはよどみなく進んでいくのだった。
そして再び風呂場の中の猫と交換し、猫へのぎゃくたいはよどみなく進んでいくのだった。
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兄の営業する猫カフェの手伝いを終えた俺は、大きな買い物袋を両手に自宅の門をくぐる。
門を抜けた先にある広い庭には、数十匹はくだらないであろう我が家の猫たちが、思い思いに猫らしさを発揮していた。
その中の数匹が俺に気づいて出迎えてくれた。
門を抜けた先にある広い庭には、数十匹はくだらないであろう我が家の猫たちが、思い思いに猫らしさを発揮していた。
その中の数匹が俺に気づいて出迎えてくれた。
「ただいまー、ってコラもずく!ビニール破れるから触っちゃだめ!きなこもちょっと待って!あとで遊んであげるから!」
騒ぎを聞きつけた他の猫たちが、遊んでくれるのかと勘違いして俺に近づいてくる。
ビニール袋に興味津々な猫を追い払い、背中によじ登る猫をいなし、足に擦り寄る猫を……って無理!この数は無理!
なんとかその場から逃げ出そうとするが、足元に猫がまとわりつくせいで上手く歩けず、体のいい猫のおもちゃと化している。
ビニール袋に興味津々な猫を追い払い、背中によじ登る猫をいなし、足に擦り寄る猫を……って無理!この数は無理!
なんとかその場から逃げ出そうとするが、足元に猫がまとわりつくせいで上手く歩けず、体のいい猫のおもちゃと化している。
「……何やってるの兄さん」
「よく来たぞ妹よ!とりあえず助けてくれ!」
「よく来たぞ妹よ!とりあえず助けてくれ!」
猫にもみくちゃにされながら、俺を迎えに来たであろう妹に助けを求める。
妹は呆れたようにため息を吐くと、俺の体にまとわりつく猫たちを手際よく引き離していく。
口を覆うマスクがずれて猫の毛が鼻をくすぐり、思わずくしゃみがでる。
マスクを口に当てなおしながら顔を上げると、そこには俺と同じマスク姿の妹が、全身猫まみれになって立っていた。
肩や頭の上に猫を乗せ、腕の中には数匹の猫が抱きかかえられ、足にじゃれつく猫をうまくかわしている。
相変わらずこいつは猫の扱いが上手い。
妹は呆れたようにため息を吐くと、俺の体にまとわりつく猫たちを手際よく引き離していく。
口を覆うマスクがずれて猫の毛が鼻をくすぐり、思わずくしゃみがでる。
マスクを口に当てなおしながら顔を上げると、そこには俺と同じマスク姿の妹が、全身猫まみれになって立っていた。
肩や頭の上に猫を乗せ、腕の中には数匹の猫が抱きかかえられ、足にじゃれつく猫をうまくかわしている。
相変わらずこいつは猫の扱いが上手い。
「すまん、助かった……」
「まぁ兄さんはうちの中でも一番猫に好かれるから。ご愁傷様」
「難儀な体質だよまったく……。じゃれあうのはほどほどにしておけよ。家に入る前に猫の毛はしっかり払ってな」
「わかってるって。兄さんはこれからお供えでしょ?もうすぐご飯だから早めにね」
「まぁ兄さんはうちの中でも一番猫に好かれるから。ご愁傷様」
「難儀な体質だよまったく……。じゃれあうのはほどほどにしておけよ。家に入る前に猫の毛はしっかり払ってな」
「わかってるって。兄さんはこれからお供えでしょ?もうすぐご飯だから早めにね」
さんきゅ、と短く告げて、俺は縁側に買い物袋を下ろす。
その中から数個の猫缶をとりだし、それを持って家の裏手へと回った。
その中から数個の猫缶をとりだし、それを持って家の裏手へと回った。
そして俺は目的の場所、我が家では通称「猫塚」と呼ばれている石碑へとたどり着く。
この石碑が建てられる前、俺のご先祖様が誤って一匹の猫を殺めてしまい、夢枕に猫が立ってこう言ったそうだ。
この石碑が建てられる前、俺のご先祖様が誤って一匹の猫を殺めてしまい、夢枕に猫が立ってこう言ったそうだ。
『貴様の血筋を祟ってくれようぞ。猫の恨みを思い知るがいい』
信心深いご先祖様は猫の怒りを静めるため、この「猫塚」を建てて猫を手厚く葬った。
しかもそれだけではなく、身寄りのない野良猫の世話をしたり、猫を飼うために土地を広げたりと、猫に尽くす人生を全うしたそうな。
だがご先祖様の努力もむなしく、「猫を殺せば七代祟る」といわれるように、その祟りは今現在まで引き継がれている。
しかもそれだけではなく、身寄りのない野良猫の世話をしたり、猫を飼うために土地を広げたりと、猫に尽くす人生を全うしたそうな。
だがご先祖様の努力もむなしく、「猫を殺せば七代祟る」といわれるように、その祟りは今現在まで引き継がれている。
なぜならば俺の家系は、全員が猫アレルギーなのだ。
俺の知る限りでは祖父、父、母、叔父、兄、妹、そして言い伝えでは件のご先祖様も猫アレルギーだったらしい。
母さんにいたっては、この家に嫁いだ途端に猫アレルギーを発症したという。
それに加えて俺の家系はなぜか猫に好かれやすく、一人残らず猫が大好きだ。
これを猫の祟りといわずしてなんと言おう!
母さんにいたっては、この家に嫁いだ途端に猫アレルギーを発症したという。
それに加えて俺の家系はなぜか猫に好かれやすく、一人残らず猫が大好きだ。
これを猫の祟りといわずしてなんと言おう!
猫好きの最大の幸せとは、猫アレルギーではないことである。
どこかの誰かがそう言っていたのを思い出す。本当にそのとおりだと思う。
マスクをしていても猫と長く触れていると容赦なくアレルギーが襲い掛かるし、万一布団に猫の毛がついてたりしようものなら一晩中地獄である。
布団の中で猫と一緒に寝るとかそれなんて天国だようらやましいちょっとお前猫アレルギー代われ。
と理不尽な欲求をぶち撒けるほど、猫アレルギーとは苦しいものなのである。
どこかの誰かがそう言っていたのを思い出す。本当にそのとおりだと思う。
マスクをしていても猫と長く触れていると容赦なくアレルギーが襲い掛かるし、万一布団に猫の毛がついてたりしようものなら一晩中地獄である。
布団の中で猫と一緒に寝るとかそれなんて天国だようらやましいちょっとお前猫アレルギー代われ。
と理不尽な欲求をぶち撒けるほど、猫アレルギーとは苦しいものなのである。
「はぁ……なあ猫様、そろそろ機嫌直してくれてもいいんじゃないかな……」
猫塚にお供え物の猫缶を並べてため息を吐く。
それと同時に猫塚の中から小さく猫の鳴き声が聞こえた気がした。
はっとして辺りを見回すが、近くに猫の姿はない。
まぁ猫の多い庭だ、きっと気のせいだろう。俺はそう判断し、猫塚を後にした。
それと同時に猫塚の中から小さく猫の鳴き声が聞こえた気がした。
はっとして辺りを見回すが、近くに猫の姿はない。
まぁ猫の多い庭だ、きっと気のせいだろう。俺はそう判断し、猫塚を後にした。
【終】