「……ふぅ、お掃除完了です♪」
掃除機を片手に額の汗を拭う若い女性
少し膨らんだ腹部を見る限り、どうやら妊娠中らしい
少し膨らんだ腹部を見る限り、どうやら妊娠中らしい
「あ、もうこんな時間……あの人が帰ってくる前にお昼御飯の支度しなくっちゃ」
彼女は掃除機を片付けると、
楽しげに鼻歌を歌いながらキッチンへと向かった
とその時、ピンポーン、とインターホンが鳴った
楽しげに鼻歌を歌いながらキッチンへと向かった
とその時、ピンポーン、とインターホンが鳴った
「はーい?」
踵を返して、女性は真っ直ぐに玄関へと向かった
がちゃり、扉を開ける
しかしそこには、誰もいない
がちゃり、扉を開ける
しかしそこには、誰もいない
「……? 気の所為、ですか?」
「みゃー」
「みゃー」
びくっ、と一瞬跳び上がる
落ち着いて見下ろすと、毛並みの黒いネコが女性を見上げてちょこんと座っていた
その傍には、ダンボールの小包が置かれている
落ち着いて見下ろすと、毛並みの黒いネコが女性を見上げてちょこんと座っていた
その傍には、ダンボールの小包が置かれている
「…あぁ、貴方ですか。いつもご苦労様です」
女性はしゃがみ込んで、黒猫の頭を撫でる
気持ち良さそうに眼を瞑っている猫にうっとりを見惚れていた女性は、ハッと我に帰り、
気持ち良さそうに眼を瞑っている猫にうっとりを見惚れていた女性は、ハッと我に帰り、
「っ、そ、そうですそうです、印鑑印鑑……」
印鑑を取り出して、受け取り印を押した
「みゃー」
「はい、有難うございます♪ 頑張って下さいね、ネコさん♪」
「みゃうー」
「はい、有難うございます♪ 頑張って下さいね、ネコさん♪」
「みゃうー」
一つ鳴いて、黒猫はとてとてと走り去っていった
黒猫は今日も町を走る
道端を、屋根の上を、垣根の上を、路地裏を
町の中を隅から隅まで走り回り、
人々に笑顔を届けている
それが「追いかけてくる黒猫」という都市伝説である、この黒猫が選んだ運命なのだ
道端を、屋根の上を、垣根の上を、路地裏を
町の中を隅から隅まで走り回り、
人々に笑顔を届けている
それが「追いかけてくる黒猫」という都市伝説である、この黒猫が選んだ運命なのだ
...end
「……あー! 裂邪ったら、またこんな無駄遣いして!」
...今度こそend