「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 無垢なる支配者と蜘蛛-09

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匿名ユーザー

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 E-No.0、エーテル・エリオットはいつも忙しい
 普段でさえこうなのだから、何か問題が起きた時など、さらに忙しい

「あぁ、くそ………エイブラハムの子飼いと思われる契約者の数、出たか?」
「……まだ、推定だけど………ざっと、20名から、40名……?」
「…幅があるな、もっと絞り込まないと…」

 「教会」のエイブラハム、その傘下の「13使徒」
 ついでに、エイブラハム傘下の子飼いの契約者達……この大半は、正式には「教会」に所属していない契約者が大半だ。チンピラ紛いの無法者も多い
 それらが、一気に学校町に入り込んできた
 正確に言えば、子飼い連中は、前々からじわじわと入り込んでいたのだろう
 ここにきて、それが一気に表面化した

 今、「組織」は対策に追われている
 「教会」との交渉も、「教会」上層部を引っ剥いだす為に、粘り強く進められている
 ……その交渉を任せられた某過労死候補生には、同情せざるを得ない
 まぁ、上の者を引っ張り出せたら、今度は自分かセシリア辺りが担当する事になるだろうな、とエーテルは考えた
 …うん、頑張ろう

 とにかく、現時点で分かっている情報を整理しようとした、その時
 己の机の上に、小さな蜘蛛の姿を見た

「イクトミ?」
「あぁ、見つかったか」

 ぼん!と、人型をとったイクトミ
 机の上に座るのはやめろ、ととりあえず下ろさせる
 ……見つかったか、と言う呟きから、見つからなかったらマクスウェルのスカートの中でも覗こうとしたのでは、と邪推する
 尋ねたら「そうだ」と即答されそうだったので、尋ねはしないが

「何か用か?」
「あー、ちょいと、お前とマクスウェルちゃんの意見を聞きたくてな」
「……私の?」

 一応、イクトミ相手に茶でも出そうとしたらしいマクスウェル
 イクトミの言葉に首をかしげた
 あぁ、とイクトミは頷いて……エーテルの机の上の山積みの資料の中からそれを見つけだし、手に取る

「こいつの資料、もう読んだか?」
「ん?……「13使徒」が一人、「アイスマン」 メルセデス・オラーリャに関するものか?R-Noの一人が遭遇したおかげで、大分能力が判明しているが……」
「あぁ、その内……この能力について、どう思う?」

 つ、と
 イクトミが指した一文
 メルセエスと交戦したR-No.4 レクイエム・リッケンバッカーの証言

「……「熱で溶けない氷の剣」……?」

 メルセデスはそれを生成し、振るってきたと言う
 ……どこか、引っかかる
 前もっての報告では、彼は雪や冷気を操ってきたと言う
 「教会」では、天使や、その信仰に即した都市伝説と契約しているのがふつうだ
 だからこそ、「アイスマン」の二つ名と合わせて、その契約都市伝説は、雹や霰の天使である、バルディエルではないかと推理していた
 だが………バルディエルの能力で、「熱で溶けない氷の剣」など、生み出せるだろうか?

「そんな能力、何か心当たりないか?」
「…どうして、俺やマクスウェルにそれを聞くんだ?」
「ん~……ちょっとな、引っかかる事があってな」

 ちらり
 イクトミの視線が、マクスウェルに向けられる
 やや考え込んでいたマクスウェル……ぽつりと、答える

「……ソロモン王の72柱の悪魔の一体に、そんな物を生み出せるのが、いるよ……?………でも」
「悪魔だから、「教会」所属のはずはない、か?」

 迷いつつ、多分、と頷くマクスウェル
 少し、自信がなさそうだ
 確かに、悪魔が「教会」に所属しているなんて、おかしいが…?

「でも………カラミティ卿の周囲には、結構ソロモン王の悪魔が多いんだけど………そこで、見た事ないんだよね、その悪魔を……昔はいたらしいけど、僕がそこに誘われて顔出すようになった頃には、もういなかったから」

 だから
 もしかしたら、と
 その可能性を口にするマクスウェル
 ……エーテルは、メルセデスの資料に視線を戻した
 この男が、悪魔だったとして
 エイブラハムは、「教会」は、それに気づいているのか否か?
 それによって、また、対応は変わってくる

「用件はそれだけか?」
「…もう一件。「神の傍女」 ゲルトラウデ・オベラートに関して」

 ぽん、と
 イクトミが投げてよこしたのは、小さな漆黒の、USBメモリー

「アメリカの「普通じゃない」失踪人リストに載ってる、同姓同名の上姿もほぼ同じな女のデータと、そいつが失踪したと思われる間に、彼女の周囲で発生した都市伝説事件に関するデータが入ってる」
「お前がこの手の形でデータを持ってくるなんて、珍しいな?」
「エーちゃんが調べてまとめた資料だから、そっちでもってきた方が早いんだよ。プリントアウトしないでいいから」

 -----がふっ!?
 飲もうとしていた栄養剤を噴出したエーテル
 げほげほと咳き込む様子に、マクスウェルが慌ててハンカチを持ってくる

「うん、その反応見れただけでここに来たかいあったわ」
「げは………っ待て、A-No.0が自ら動いたのか!?」
「エーちゃんは電脳世界でしか動けないからな。だが、その分、スーパーハカー並に電脳空間じゃ万能だよ。アメリカのFBIやら何やらからデータ持ち出すくらいはできるさ」
「いや、そうじゃなく」

 エーテルが言わんとしている事を察したのだろう
 イクトミは肩をすくめる

「…自分が何もしないのは嫌だって退かなくてな。これでも、危険度の少ない事を頼んだんだぜ?」
「……お前も、苦労するな」

 今現在、オール……すなわち、オール・アクロイド。A-No.0に普通に接触できるのは、イクトミただ一人
 よってオール相手に宥めたりなんだりは、全てイクトミの役目でもあるのだ
 ………普段の態度からはわからないが、イクトミはイクトミで苦労しているのである
 普段の態度ですべて台無しだが

「とりあえず、目ぇ通しといてくれよ…………こっちも、引っかかるんだ」
「ゲルトラウデに関して、か?」
「あぁ……彼女が「教会」に入った経緯は、今んとこ不明だが」

 …だが
 このUSBメモリー内のデータに、ヒントがあると言うことか

 パソコンにそれを突き刺し、中のデータを閲覧する
 ………データに目を通しながら、エーテルは眉をひそめた

「……悪魔憑きの事件、か」
「で、それを解決した奴の名前、ってか、動いた組織名、見てみ?」
「……「教会」 エイブラハム・ヴィシャス……?」

 …上層部に片足突っ込んでる奴が、わざわざ現場に出た?
 さらに目を通すと、その事件でエイブラハムに付き添っていた「教会」所属の契約者の女性が一人、命を落としているのもわかった

 何かが、引っかかる
 かすかな、違和感

 イクトミが、窺うように視線を向けてきている
 どう思う?と、口には出さず、視線で尋ねてきている
 己の意見を口にする前に、こちらの意見を聞こうと言うのか

 今までに集まった資料、そして、今提供されたデータ
 その全てを脳内で展開し、結び付け……エーテルは、考え込みだした






to be … ?




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