E-No.0、エーテル・エリオットはいつも忙しい
普段でさえこうなのだから、何か問題が起きた時など、さらに忙しい
普段でさえこうなのだから、何か問題が起きた時など、さらに忙しい
「あぁ、くそ………エイブラハムの子飼いと思われる契約者の数、出たか?」
「……まだ、推定だけど………ざっと、20名から、40名……?」
「…幅があるな、もっと絞り込まないと…」
「……まだ、推定だけど………ざっと、20名から、40名……?」
「…幅があるな、もっと絞り込まないと…」
「教会」のエイブラハム、その傘下の「13使徒」
ついでに、エイブラハム傘下の子飼いの契約者達……この大半は、正式には「教会」に所属していない契約者が大半だ。チンピラ紛いの無法者も多い
それらが、一気に学校町に入り込んできた
正確に言えば、子飼い連中は、前々からじわじわと入り込んでいたのだろう
ここにきて、それが一気に表面化した
ついでに、エイブラハム傘下の子飼いの契約者達……この大半は、正式には「教会」に所属していない契約者が大半だ。チンピラ紛いの無法者も多い
それらが、一気に学校町に入り込んできた
正確に言えば、子飼い連中は、前々からじわじわと入り込んでいたのだろう
ここにきて、それが一気に表面化した
今、「組織」は対策に追われている
「教会」との交渉も、「教会」上層部を引っ剥いだす為に、粘り強く進められている
……その交渉を任せられた某過労死候補生には、同情せざるを得ない
まぁ、上の者を引っ張り出せたら、今度は自分かセシリア辺りが担当する事になるだろうな、とエーテルは考えた
…うん、頑張ろう
「教会」との交渉も、「教会」上層部を引っ剥いだす為に、粘り強く進められている
……その交渉を任せられた某過労死候補生には、同情せざるを得ない
まぁ、上の者を引っ張り出せたら、今度は自分かセシリア辺りが担当する事になるだろうな、とエーテルは考えた
…うん、頑張ろう
とにかく、現時点で分かっている情報を整理しようとした、その時
己の机の上に、小さな蜘蛛の姿を見た
己の机の上に、小さな蜘蛛の姿を見た
「イクトミ?」
「あぁ、見つかったか」
「あぁ、見つかったか」
ぼん!と、人型をとったイクトミ
机の上に座るのはやめろ、ととりあえず下ろさせる
……見つかったか、と言う呟きから、見つからなかったらマクスウェルのスカートの中でも覗こうとしたのでは、と邪推する
尋ねたら「そうだ」と即答されそうだったので、尋ねはしないが
机の上に座るのはやめろ、ととりあえず下ろさせる
……見つかったか、と言う呟きから、見つからなかったらマクスウェルのスカートの中でも覗こうとしたのでは、と邪推する
尋ねたら「そうだ」と即答されそうだったので、尋ねはしないが
「何か用か?」
「あー、ちょいと、お前とマクスウェルちゃんの意見を聞きたくてな」
「……私の?」
「あー、ちょいと、お前とマクスウェルちゃんの意見を聞きたくてな」
「……私の?」
一応、イクトミ相手に茶でも出そうとしたらしいマクスウェル
イクトミの言葉に首をかしげた
あぁ、とイクトミは頷いて……エーテルの机の上の山積みの資料の中からそれを見つけだし、手に取る
イクトミの言葉に首をかしげた
あぁ、とイクトミは頷いて……エーテルの机の上の山積みの資料の中からそれを見つけだし、手に取る
「こいつの資料、もう読んだか?」
「ん?……「13使徒」が一人、「アイスマン」 メルセデス・オラーリャに関するものか?R-Noの一人が遭遇したおかげで、大分能力が判明しているが……」
「あぁ、その内……この能力について、どう思う?」
「ん?……「13使徒」が一人、「アイスマン」 メルセデス・オラーリャに関するものか?R-Noの一人が遭遇したおかげで、大分能力が判明しているが……」
「あぁ、その内……この能力について、どう思う?」
つ、と
イクトミが指した一文
メルセエスと交戦したR-No.4 レクイエム・リッケンバッカーの証言
イクトミが指した一文
メルセエスと交戦したR-No.4 レクイエム・リッケンバッカーの証言
「……「熱で溶けない氷の剣」……?」
メルセデスはそれを生成し、振るってきたと言う
……どこか、引っかかる
前もっての報告では、彼は雪や冷気を操ってきたと言う
「教会」では、天使や、その信仰に即した都市伝説と契約しているのがふつうだ
だからこそ、「アイスマン」の二つ名と合わせて、その契約都市伝説は、雹や霰の天使である、バルディエルではないかと推理していた
だが………バルディエルの能力で、「熱で溶けない氷の剣」など、生み出せるだろうか?
……どこか、引っかかる
前もっての報告では、彼は雪や冷気を操ってきたと言う
「教会」では、天使や、その信仰に即した都市伝説と契約しているのがふつうだ
だからこそ、「アイスマン」の二つ名と合わせて、その契約都市伝説は、雹や霰の天使である、バルディエルではないかと推理していた
だが………バルディエルの能力で、「熱で溶けない氷の剣」など、生み出せるだろうか?
「そんな能力、何か心当たりないか?」
「…どうして、俺やマクスウェルにそれを聞くんだ?」
「ん~……ちょっとな、引っかかる事があってな」
「…どうして、俺やマクスウェルにそれを聞くんだ?」
「ん~……ちょっとな、引っかかる事があってな」
ちらり
イクトミの視線が、マクスウェルに向けられる
やや考え込んでいたマクスウェル……ぽつりと、答える
イクトミの視線が、マクスウェルに向けられる
やや考え込んでいたマクスウェル……ぽつりと、答える
「……ソロモン王の72柱の悪魔の一体に、そんな物を生み出せるのが、いるよ……?………でも」
「悪魔だから、「教会」所属のはずはない、か?」
「悪魔だから、「教会」所属のはずはない、か?」
迷いつつ、多分、と頷くマクスウェル
少し、自信がなさそうだ
確かに、悪魔が「教会」に所属しているなんて、おかしいが…?
少し、自信がなさそうだ
確かに、悪魔が「教会」に所属しているなんて、おかしいが…?
「でも………カラミティ卿の周囲には、結構ソロモン王の悪魔が多いんだけど………そこで、見た事ないんだよね、その悪魔を……昔はいたらしいけど、僕がそこに誘われて顔出すようになった頃には、もういなかったから」
だから
もしかしたら、と
その可能性を口にするマクスウェル
……エーテルは、メルセデスの資料に視線を戻した
この男が、悪魔だったとして
エイブラハムは、「教会」は、それに気づいているのか否か?
それによって、また、対応は変わってくる
もしかしたら、と
その可能性を口にするマクスウェル
……エーテルは、メルセデスの資料に視線を戻した
この男が、悪魔だったとして
エイブラハムは、「教会」は、それに気づいているのか否か?
それによって、また、対応は変わってくる
「用件はそれだけか?」
「…もう一件。「神の傍女」 ゲルトラウデ・オベラートに関して」
「…もう一件。「神の傍女」 ゲルトラウデ・オベラートに関して」
ぽん、と
イクトミが投げてよこしたのは、小さな漆黒の、USBメモリー
イクトミが投げてよこしたのは、小さな漆黒の、USBメモリー
「アメリカの「普通じゃない」失踪人リストに載ってる、同姓同名の上姿もほぼ同じな女のデータと、そいつが失踪したと思われる間に、彼女の周囲で発生した都市伝説事件に関するデータが入ってる」
「お前がこの手の形でデータを持ってくるなんて、珍しいな?」
「エーちゃんが調べてまとめた資料だから、そっちでもってきた方が早いんだよ。プリントアウトしないでいいから」
「お前がこの手の形でデータを持ってくるなんて、珍しいな?」
「エーちゃんが調べてまとめた資料だから、そっちでもってきた方が早いんだよ。プリントアウトしないでいいから」
-----がふっ!?
飲もうとしていた栄養剤を噴出したエーテル
げほげほと咳き込む様子に、マクスウェルが慌ててハンカチを持ってくる
飲もうとしていた栄養剤を噴出したエーテル
げほげほと咳き込む様子に、マクスウェルが慌ててハンカチを持ってくる
「うん、その反応見れただけでここに来たかいあったわ」
「げは………っ待て、A-No.0が自ら動いたのか!?」
「エーちゃんは電脳世界でしか動けないからな。だが、その分、スーパーハカー並に電脳空間じゃ万能だよ。アメリカのFBIやら何やらからデータ持ち出すくらいはできるさ」
「いや、そうじゃなく」
「げは………っ待て、A-No.0が自ら動いたのか!?」
「エーちゃんは電脳世界でしか動けないからな。だが、その分、スーパーハカー並に電脳空間じゃ万能だよ。アメリカのFBIやら何やらからデータ持ち出すくらいはできるさ」
「いや、そうじゃなく」
エーテルが言わんとしている事を察したのだろう
イクトミは肩をすくめる
イクトミは肩をすくめる
「…自分が何もしないのは嫌だって退かなくてな。これでも、危険度の少ない事を頼んだんだぜ?」
「……お前も、苦労するな」
「……お前も、苦労するな」
今現在、オール……すなわち、オール・アクロイド。A-No.0に普通に接触できるのは、イクトミただ一人
よってオール相手に宥めたりなんだりは、全てイクトミの役目でもあるのだ
………普段の態度からはわからないが、イクトミはイクトミで苦労しているのである
普段の態度ですべて台無しだが
よってオール相手に宥めたりなんだりは、全てイクトミの役目でもあるのだ
………普段の態度からはわからないが、イクトミはイクトミで苦労しているのである
普段の態度ですべて台無しだが
「とりあえず、目ぇ通しといてくれよ…………こっちも、引っかかるんだ」
「ゲルトラウデに関して、か?」
「あぁ……彼女が「教会」に入った経緯は、今んとこ不明だが」
「ゲルトラウデに関して、か?」
「あぁ……彼女が「教会」に入った経緯は、今んとこ不明だが」
…だが
このUSBメモリー内のデータに、ヒントがあると言うことか
このUSBメモリー内のデータに、ヒントがあると言うことか
パソコンにそれを突き刺し、中のデータを閲覧する
………データに目を通しながら、エーテルは眉をひそめた
………データに目を通しながら、エーテルは眉をひそめた
「……悪魔憑きの事件、か」
「で、それを解決した奴の名前、ってか、動いた組織名、見てみ?」
「……「教会」 エイブラハム・ヴィシャス……?」
「で、それを解決した奴の名前、ってか、動いた組織名、見てみ?」
「……「教会」 エイブラハム・ヴィシャス……?」
…上層部に片足突っ込んでる奴が、わざわざ現場に出た?
さらに目を通すと、その事件でエイブラハムに付き添っていた「教会」所属の契約者の女性が一人、命を落としているのもわかった
さらに目を通すと、その事件でエイブラハムに付き添っていた「教会」所属の契約者の女性が一人、命を落としているのもわかった
何かが、引っかかる
かすかな、違和感
かすかな、違和感
イクトミが、窺うように視線を向けてきている
どう思う?と、口には出さず、視線で尋ねてきている
己の意見を口にする前に、こちらの意見を聞こうと言うのか
どう思う?と、口には出さず、視線で尋ねてきている
己の意見を口にする前に、こちらの意見を聞こうと言うのか
今までに集まった資料、そして、今提供されたデータ
その全てを脳内で展開し、結び付け……エーテルは、考え込みだした
その全てを脳内で展開し、結び付け……エーテルは、考え込みだした
to be … ?