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連載 - マッドガッサーと愉快な仲間たち・決戦以降-20l

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だれでも歓迎! 編集
 ----っがん!!と
 突然、響いた音
 ぎょっとして、舞は音がした方向に視線をやった

 それは、決闘場にあいた巨大な穴を超えた先
 …奥の、扉から
 がん!!がん!!!と
 何か、扉を叩いているような、荒々しい音が聞こえてくる

「…な、何の音だ?」
「……ッ多分…ダンピール、だろ」

 舞の疑問に、予想しうる限り最悪クラスの答えを出す辰也
 …恐らくは、それで正解
 がんっ!!がんっ!!!と
 施錠されているらしい、その扉を…何者かが、力任せに破ろうとしている…それも、複数人が
 そんな音が響き続ける
 …あの扉が破られては、まずい

Tさんっ!」
「あぁ…」

 状況は、悪くなるばかり
 せめて、天地だけでも、何とかするべきだろう

 よろり、と
 何とか、自力で上半身を起こし…辰也が、まっすぐに天地を見つめた

 「組織」にしか居場所がない
 他に、自分を必要としてくれる存在なんて、いない
 …その考えに、揺らぎが生まれている天地
 その考えをさらにゆるがせるように、辰也は口を開く

「…「組織」に育てられた子供にだって……「組織」以外で生きる生き方だって、ある」
「……っ、戯言を…」
「現に、俺がそうだろうが……他にも、うまく「組織」を逃れて…生きている連中は、わりといるもんだ」

 他の組織に匿われたり、何らかの理由で記憶を消去され、一般人になったりと
 …「組織」に育てられたからといって、全員が「組織」に縛られた生き方を続けるわけではない
 生き方は、選べるのだ

「「組織」以外に…自分を必要としてくれる存在が思い当たったなら、そっちに頼っても………いい、だろうが」

 自分だって、そうだ
 結局は、周囲に頼りっぱなしなのだ
 その中で、せめて、自分が出来ることを探す
 そうやって、迷走している最中

「迷惑かける、と思うなら………今は迷惑かけてでも、後でその借りを返せばいいだろ」
「………っんな、事」
「…それとも、お前を必要としている奴は、それを許さない心の狭い奴か?」

 それは、違うだろう
 直希の事は、辰也も知っている…あれは、心が広い部類だ。若干、嫌な方向でも
 天地と直希が親しいならば、天地もそれはわかっているはず

 辰也の言葉に、さらに天地は揺らぐ
 しかし…あと一歩を、踏み出せない

「……で、も………せんせ、は…」
「…そいつが」

 言うべきか
 言わぬべきか
 …悩みながらも、辰也は、続けようとする

「そいつが……ハンニバルが、お前の母親を……」

 しかし
 その言葉は、最後まで続かなかった


 決闘場にあいた巨大な穴から、響いた轟音
 穴の周囲にヒビが広がり、さらに床が崩れ落ちる
 そして…穴から飛び出した、二つの影


「…ふん、まだ死なぬか」
「……っあいにく……上等な賢者の石を、埋め込まれたもんでね……!」

 ハンニバルと、宏也だ
 どちらも、全身傷だらけの血まみれだが…しかし、どちらも、その傷が再生していく

 だが
 一瞬で傷を再生させた、ハンニバルと、違い
 …宏也の傷の治りが、遅い
 赤い禍々しい光は、致命的な傷だけを治し……細かい傷は、再生しない
 ……賢者の石の力が、残りわずかとなっているのだろう
 それが尽きれば、残る命はもはや宏也自身のもの、のみ
 明らかに、宏也は追い詰められていた

「…っ!畜生、逃げられてなかったかよ…」

 けほ、と
 小さく、血を吐き出しながら、状況を確認する宏也
 天地の姿がある事に、わずかに驚きながら…舌打ちする

「…これも、お前の計算のうちか?ハンニバル」
「………さてな」

 っひゅんと
 剣を、一旦は鞘に収めたハンニバル
 宏也の攻撃で、傷だらかになっていた剣は…しかし、鞘から抜くと、新品も同然の状態に戻っていた

「捨てた駒の動きまで読めるほど、私は優秀ではないよ」

 …ぴくり、と
 ハンニバルの言葉に…天地が、目を見開き、小さく震える

 捨てた駒、と
 ハンニバルは、きっぱりと言い切った
 …天地は、もはや不要だと
 そう、断言したのだ

「…この腐れ外道が」

 憎憎しげに呟きながら、髪を伸ばし続けている宏也
 早く、ハンニバルの契約都市伝説を見抜き、不死身をどうにかしなければ……!!


 がんっ!がんっ!!と
 最悪の状況の中、叩かれ続ける奥の扉
 …その音が、だんだんと弱弱しくなっていっている事に
 果たして、気づけた者はいただろうか?




to be … ?

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