最後に見た景色は、あのバカが泣きそうな顔で手を伸ばした姿だった。
■
「タイムリミットはもうとっくに越えたはずなんだけど」
神楽坂明日菜は死んだはずだった。
救いの手を伸ばすことを良しとせず、【契約】の死神に鎌を振られる。
奪われた魂は二度と戻ってこない。力の抜けた身体に生命はなく、ぐったりと崩れ落ちた。
後悔がない、とは言わない。
だが、どうしようもない現実であると諦めていた。
流した涙も、零しかけた弱音も。
全ては死へと還っていく。
救いの手を伸ばすことを良しとせず、【契約】の死神に鎌を振られる。
奪われた魂は二度と戻ってこない。力の抜けた身体に生命はなく、ぐったりと崩れ落ちた。
後悔がない、とは言わない。
だが、どうしようもない現実であると諦めていた。
流した涙も、零しかけた弱音も。
全ては死へと還っていく。
「ふざけんじゃ、ないわよ。何が聖杯戦争よ……!」
助けなんて求めてないのに。やり直すチャンスが勝手に舞い込んできてしまった。
それも、他者を排することでしか未来がないと御題目をつけて、彼女に迫る。
勇気ある選択を。踏み躙るか、それとも――。
それも、他者を排することでしか未来がないと御題目をつけて、彼女に迫る。
勇気ある選択を。踏み躙るか、それとも――。
「自分が生きたいからって、誰かを殺す……そんなの、できるはずがないじゃない!」
決まりきった選択肢だった。
こんな聖杯戦争など認めない。誰かを殺してまで掴む価値が、自分にあるとは到底思えない。
ぎゅっと握りしめた掌は血が滲み、食いしばった口元には鈍い痛みが迸る。
こんな聖杯戦争など認めない。誰かを殺してまで掴む価値が、自分にあるとは到底思えない。
ぎゅっと握りしめた掌は血が滲み、食いしばった口元には鈍い痛みが迸る。
――本当に?
それは、心からの答えと確信して言えるのか。
明日菜には帰るべき日常がある。待っている人達がいる。
取り戻したいと、やり直したいと全く思っていない訳がない、
されど、その選択を取ることは、どこまでも深い闇へと堕ちていくことを意味するのだ。
我欲を叶える為に、他の全ての生命を刈り取ってでも、会いたいって感じたからこそ、この世界へと誘われたのではないのか。
明日菜には帰るべき日常がある。待っている人達がいる。
取り戻したいと、やり直したいと全く思っていない訳がない、
されど、その選択を取ることは、どこまでも深い闇へと堕ちていくことを意味するのだ。
我欲を叶える為に、他の全ての生命を刈り取ってでも、会いたいって感じたからこそ、この世界へと誘われたのではないのか。
「もっとも、此処ではそんな理屈は通用しないがネ」
「超さん……」
「超さん……」
明日菜の言葉に対して、苦笑を以って答えるのは彼女が呼び出したサーヴァント。
視線の先には生前のクラスメイトだった超鈴音が、薄ら笑いを浮かべ、立っている。
視線の先には生前のクラスメイトだった超鈴音が、薄ら笑いを浮かべ、立っている。
「ふむ。聞いた話では、私のいた世界とは幾分違うが、明日菜サンの根源は変わりなさそうで安心したヨ」
「うっさい! 何でか知らないけど、超さんがサーヴァントだなんて訳わかんないわよ!」
「まあまあ、座として呼ばれたことには文句を言えない身ヨ。こればっかりは私にもどうすることもできない故、許して欲しいネ」
「うっさい! 何でか知らないけど、超さんがサーヴァントだなんて訳わかんないわよ!」
「まあまあ、座として呼ばれたことには文句を言えない身ヨ。こればっかりは私にもどうすることもできない故、許して欲しいネ」
猛り狂う明日菜とは違い、鈴音は全くの揺らぎなく、両の瞳に意志を灯している。
今、何をすべきか。切り捨てるものと切り捨てられないもの。
彼女はそれを嫌という程理解させられる世界で戦ってきたのだから。
今、何をすべきか。切り捨てるものと切り捨てられないもの。
彼女はそれを嫌という程理解させられる世界で戦ってきたのだから。
「ま、明日菜サンがどう振る舞おうと、私がやるべきことは唯一つ。
聖杯を取る、そして願いを叶える。抵抗もせずに、みすみす死ぬ馬鹿ではないからネ」
聖杯を取る、そして願いを叶える。抵抗もせずに、みすみす死ぬ馬鹿ではないからネ」
迷いなどない。そんな時間すら、世界は与えてくれなかった。
「おっと、令呪で従わせるならやめた方がいい。明日菜サンのような参加者だけならまだしも、乗り気の人達もいるに違いないからネ。
戦うな、なんて命令されたら明日菜サンを護ることもできなくなってしまう」
「っ……!」
戦うな、なんて命令されたら明日菜サンを護ることもできなくなってしまう」
「っ……!」
迷える時間があるだけ、選べる選択肢があるだけ、明日菜は幸せだ。
自分には何もなかった。確定されている悲劇を変えるには、奇跡を呼び起こすしかなかった。
それこそ、過去に渡航し、未来を変えることぐらい――しなければ。
自分には何もなかった。確定されている悲劇を変えるには、奇跡を呼び起こすしかなかった。
それこそ、過去に渡航し、未来を変えることぐらい――しなければ。
「思いを通すは、いつも力ある者のみ。正義だろうが悪だろうがネ。いつの日か、ネギ坊主にも言ったことがある言葉ヨ」
何度でも繰り返す。本懐を遂げ、世界に裁かれる身になろうとも、それまでの過程は絶対に譲れなかった。
狂気と言われようが、悪と言われようが、構わない。
最後まで貫き通した信念に、偽りはないのだから。
狂気と言われようが、悪と言われようが、構わない。
最後まで貫き通した信念に、偽りはないのだから。
「まあ、まだ時間はある。それまでに決めるといい。ただ、選べないなら無様に死ぬだけだってことは頭に入れておいて欲しい」
奇跡に縋ることでしか、変えられないならば――進むしかない。
だって、鈴音に懸けられた想いは比類なんてないぐらい、強いものだ。
十の内、十を救う。それができたらどれだけよかったことだろうか。
だって、鈴音に懸けられた想いは比類なんてないぐらい、強いものだ。
十の内、十を救う。それができたらどれだけよかったことだろうか。
「それと、もう一つ。与えられたチャンスを自ら捨てるのは、願いを叶えたいと恋焦がれる人達から考えると……残酷だヨ。
明日菜サンの殺したくないって想いも、彼らと変わらず一つのエゴなのだからネ」
明日菜サンの殺したくないって想いも、彼らと変わらず一つのエゴなのだからネ」
世界に怒りと悲しみもなく、平和であったら――きっと。
十の内、一を斬り捨てることなんてなかっただろうに。
十の内、一を斬り捨てることなんてなかっただろうに。
■
遠い、遠い過去の夢。
燃え盛る炎、崩れ落ちる建物。
消し炭となった死体に、異形の怪物。
逃げて、逃げて、逃げて。
涙は炎に溶けて、怒号と悲鳴が耳を突き抜ける。
助けを求める自分がいた。恐怖に染まった表情で、手を伸ばす自分がいた。
伸ばした結果、誰かが犠牲になることも知らずに、夢中で叫ぶ。
燃え盛る炎、崩れ落ちる建物。
消し炭となった死体に、異形の怪物。
逃げて、逃げて、逃げて。
涙は炎に溶けて、怒号と悲鳴が耳を突き抜ける。
助けを求める自分がいた。恐怖に染まった表情で、手を伸ばす自分がいた。
伸ばした結果、誰かが犠牲になることも知らずに、夢中で叫ぶ。
生きたい、と。
それが、神楽坂明日菜の原点だった。
【クラス】
キャスター
キャスター
【真名】
超鈴音@魔法先生ネギま!(漫画版)
超鈴音@魔法先生ネギま!(漫画版)
【パラメータ】
筋力D 耐久E 敏捷B 魔力A 幸運B 宝具EX
筋力D 耐久E 敏捷B 魔力A 幸運B 宝具EX
【属性】
秩序・悪
秩序・悪
【クラス別スキル】
陣地作成:B
自らにとって有利な陣地を作り上げる。
キャスターは緻密な準備により、
陣地作成:B
自らにとって有利な陣地を作り上げる。
キャスターは緻密な準備により、
道具作成:B
魔力を帯びた道具を作成する技能。
主にロボットなど、機会技術系に長けている。
魔力を帯びた道具を作成する技能。
主にロボットなど、機会技術系に長けている。
【保有スキル】
呪文処理:C
彼女の身体に刻まれた特殊な術式。
この刻印を解放することで、強大な魔法を使用することができるが、その代償に肉体、魂に多大な影響を与える。
彼女の身体に刻まれた特殊な術式。
この刻印を解放することで、強大な魔法を使用することができるが、その代償に肉体、魂に多大な影響を与える。
仕切り直し:C
戦闘から離脱する能力。
また、不利になった戦闘を戦闘開始ターンに戻し,技の条件を初期値に戻す。
戦闘から離脱する能力。
また、不利になった戦闘を戦闘開始ターンに戻し,技の条件を初期値に戻す。
【宝具】
『ステルス迷彩付きコート』
ランクD 種別:対人宝具 レンジ:1~40 最大捕捉:1人
自らの身体を秘匿するステルス迷彩が懸けられたコート。
気配遮断のスキルを付与するが、あまり強い効果はない。
ランクD 種別:対人宝具 レンジ:1~40 最大捕捉:1人
自らの身体を秘匿するステルス迷彩が懸けられたコート。
気配遮断のスキルを付与するが、あまり強い効果はない。
『時空跳躍弾』
ランクC 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1人
対象に撃ちこむことで数時間後へと飛ばす強力な弾丸。殺傷能力はない。
しかし、使用には潤沢な魔力が必要である為、聖杯戦争の枠組みで乱用は当然できない。
ランクC 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:1人
対象に撃ちこむことで数時間後へと飛ばす強力な弾丸。殺傷能力はない。
しかし、使用には潤沢な魔力が必要である為、聖杯戦争の枠組みで乱用は当然できない。
『航空時機(カシオペア)』
ランクEX 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:9人
過去、未来、世界すらも越えることができる超鈴音の技術と魔法が合わさった最高傑作の懐中時計。
擬似時間停止、時間ターン回避行動といった時を操ることができる。
これを使うことで何度でも【やり直す】ことができるが、その魔力消費は絶大である。
現状では令呪を消費しても、到底その効果を十全に発揮することはできない。
だが、逆に言ってしまえば膨大な魔力があれば使うことができるということだ。
それこそ、聖杯のような【奇跡】を以ってさえすれば――。
ランクEX 種別:対人宝具 レンジ:1~50 最大捕捉:9人
過去、未来、世界すらも越えることができる超鈴音の技術と魔法が合わさった最高傑作の懐中時計。
擬似時間停止、時間ターン回避行動といった時を操ることができる。
これを使うことで何度でも【やり直す】ことができるが、その魔力消費は絶大である。
現状では令呪を消費しても、到底その効果を十全に発揮することはできない。
だが、逆に言ってしまえば膨大な魔力があれば使うことができるということだ。
それこそ、聖杯のような【奇跡】を以ってさえすれば――。
【weapon】
徒手空拳。
徒手空拳。
【人物背景】
主人公であるネギが受け持つ3-Aの生徒。勉強・スポーツ・お料理何でもござれの完璧超人。
その正体は、未来から歴史を変えるためにやってきた時空航行者。
世界に満ちた悲劇を変える為に、秘匿されている【魔法】をばらすことで救えない人達を救うことが目的。
主人公であるネギが受け持つ3-Aの生徒。勉強・スポーツ・お料理何でもござれの完璧超人。
その正体は、未来から歴史を変えるためにやってきた時空航行者。
世界に満ちた悲劇を変える為に、秘匿されている【魔法】をばらすことで救えない人達を救うことが目的。
【サーヴァントの願い】
歴史改変による世界平和。未来に起こる悲劇を変革する。
歴史改変による世界平和。未来に起こる悲劇を変革する。
【マスター】
神楽坂明日菜@魔法先生ネギま!(TVアニメ第一期)
神楽坂明日菜@魔法先生ネギま!(TVアニメ第一期)
【マスターとしての願い】
生きたい。
生きたい。
【weapon】
パクティオーカード『ハマノツルギ』…アデアットと唱えることで召喚される剣……のはずが、何故かスチール製のハリセンとして顕現している。
もっとも、刀と打ち合えるぐらいには硬いので武器としては十分。
【能力・技能】
パクティオーカード『ハマノツルギ』…アデアットと唱えることで召喚される剣……のはずが、何故かスチール製のハリセンとして顕現している。
もっとも、刀と打ち合えるぐらいには硬いので武器としては十分。
【能力・技能】
運動神経抜群、ある程度の戦闘経験があり。
魔力完全無効化能力…その名の通り、魔術を無効化する能力。
子供の頃、自己の身を護る為に、悪魔と契約したことで生まれた。
だが、空間系の魔法など、一部の魔法は防げないといった欠点もある。
子供の頃、自己の身を護る為に、悪魔と契約したことで生まれた。
だが、空間系の魔法など、一部の魔法は防げないといった欠点もある。
魔を呼び寄せる体質…彼女は本来、魔物を呼び寄せやすい体質であり、子供の頃から各地を転々としていた。
当然、助けてくれる大人はいたが、自分の代わりに死んでいく。
そんな、彼女のトラウマの元凶である。現在は、上記の魔力完全無効化能力によって沈静化している。
当然、助けてくれる大人はいたが、自分の代わりに死んでいく。
そんな、彼女のトラウマの元凶である。現在は、上記の魔力完全無効化能力によって沈静化している。
【人物背景】
ネギ(主人公)の着任初日にネギが魔法使いであることを知ってしまった少女。
明朗闊達な少女だったが、幼少の頃に交わした悪魔との契約により、十四歳の誕生日に命を奪われる。
ネギ(主人公)の着任初日にネギが魔法使いであることを知ってしまった少女。
明朗闊達な少女だったが、幼少の頃に交わした悪魔との契約により、十四歳の誕生日に命を奪われる。
【方針】
自分のエゴで、人を殺すことに強い拒否感。けれど、願いを完全に捨て去ることはできない。
自分のエゴで、人を殺すことに強い拒否感。けれど、願いを完全に捨て去ることはできない。
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キャスター(超鈴音) |