ボードを知り、シャッター穴径を知れば百レンズ取り付け危うからず


レンズの選び方のページにも記載がありますが、通常大判カメラ用のレンズはレンズ自体をレンズシャッターユニットにネジ込み、そのレンズシャッターユニットと取り付けリングでレンズボードを挟み込む事で構成されます。そしてこのボードをカメラがクランプする事でボディと接続されます。本稿では、このレンズボードとシャッター取り付け穴について解説をします。

ボードについて

各社各様で種類があるのがレンズボードの面白みであると同時に厄介な点ですが、現在ではほぼ二種類に集約されています。
  1. リンホフボード/テヒニカボード (ビューカメラ等)
  2. ジナーボード (汎用的)
一般的にシノゴでは1のリンホフボード、それ以上のフォーマッットでは汎用としてジナーボードが用いられている事が多いようです。

その他国内で見かける事のあるボードとしては、ほぼ最小に近い寸法を持つホースマンボードと高給木製フィールドカメラの雄ディアドルフが使った各種ボード、そしてスピードグラフィックシリーズが採用していたグラフックボードがあげられるでしょう。

とはいえ購入の際は、最も広く用いられているリンホフボードかジナーボードだけに絞ってしまって問題ありません。

ボードサイズ比較

リンホフボードについて

 リンホフボードはその名の通りリンホフが、特にスーパーテヒニカシリーズのIV以降に採用した97mm x 99mmのボード、及びその互換レンズボード群を指します。猶テヒニカIII以前のレンズボードとは全く互換性がありません。四角い形状が多いレンズボードの中において、珍しく長方形の下の角二点を斜めに削ぎ落したような、ノッチを数えなければ六角形のレンズボードです。リンホフボードは4x5用レンズボードとしては比較的小型の部類に属します。一般的な3番シャッター程度までは問題なくとりつけられるでしょうが、極端に大きなレンズは取り付けられません。

 本家リンホフのボードはシャター穴が中心より1cm弱下部にオフセットされており、リンホフセンターなどと呼ばれたりします。これはフィールドカメラであるテヒニカではフロントのフォールがやり辛い為、そもそももレンズボードの中心を下に下げる事で、最初からフォールしている状態にしているとされています。つまり、このオフセット分をきちんとライズして補正してやる事で初めてレンズが中立の位置にあるという事になります。

 ところがこのリンホフボードはその他の大判メーカーも採用しボードを製作していた為、シャッター穴がリンホフセンターにない、つまりボードの中心にある物もあります。この場合テヒニカでのライズによる補正は不要ですが、フォールが非常に手間のかかる作業になります。一般的に建物を見上げる場合などはフロントのフォールは不要ですから実用上は問題無い物と思いますが、その違いがある事を意識しておく事が必要です。

 純正のリンホフボードは正面から見た際向かって右上にリンホフの紋章のバッヂが取り付けられています。これと良く似た物として、藤のマークの七宝製バッヂがついている物がウイスタ製、無地で裏面上部にTOYOの刻印がある物がトヨ製となります。全社で互換性がありますが、中古店ではやはり純正のリンホフボードが1000円から3000円程度高値で取引されているようです。

ジナーボードについて

 ジナーが初代のNormaからP2まで連綿と採用し続けた139mm角の正方形ボードが通称ジナーボードと呼ばれています。現行のジナーP3やジナーreProでは大判フイルム撮影を考慮しなくなった事もあり100mm角の小型のレンズボードが採用されていますが、この139mm角ボードは数十年に渡って全く変わらずジナーシリーズの屋台骨であり続けました。厚みまで含め同寸のレンズボードがホースマンのビューカメラシリーズにも採用されていた為、リンホフボード程ではない物の汎用性を持ちます。

 リンホフボードに対して寸法が1.4倍程度と大きく、余程特殊なレンズでない限り取り付ける事が出来ます。何より最大の特徴はジナーの真骨頂たるその拡張性です。ジナーボードはレンズボードそれ自体というよりもジナーボード規格であるという事に意味があり、数々のオプションの取り付けを可能とするインターフェイスでもあるのです。一例を上げればシャッター機構が組込まれたレンズボードであるジナーシャッターがあり、バレルレンズ等シャッターを持たないレンズでの撮影に非常に適当です。

 ジナーボードの特殊な物として初期型のジナーシャッターと組合せて使う事を前提としたマニュアル絞りボード、後期型のジナーシャッター(シャッター側に絞りを設定できる機能がある)と組合せて使う事を前提としたDBレンズボード、そして両者の統合型と考える事も出来るマニュアルオーバーライド付きDBレンズボードの3種類があります。これらのボードにはシャッターが付いておらず、更にDBレンズボードには絞りを設定する機能すらついていません。これらのボードに搭載されているレンズを使用する為には最低でも初期型のジナーシャッター、理想を言えば後期型ジナーシャッターとの組み合わせが必須になります。加えてこれら特殊ジナーボードはそれぞれ指定のレンズ毎に調整されています。焦点距離と絞り値が同じでも正しく動作するとは限りません。注意しましょう。

猶前述の通りリンホフボードの1.4倍と大きい為にリンホフボードを使うカメラでは通常使用できません。特殊なアアダプターでボードをカメラの前側に取り付ける事で使用できないわけではなさそうですが、重量バランス等を考えると使い勝手は決して良くないでしょう。

シャッター穴について

レンズボードにあいているシャッター穴は、各社が適当に空けているのではありません。シャッターユニットの規格に従って空いています。この穴の違いを理解しましょう。

80年代頃以降の大判レンズでは0番、1番、3番の3種類の穴に集約されています。これより前だと超小型の00番や2番などがありました。とはいえ00番用や2番用、又はアクメシャッターやシャネルシャッター用のレンズボードは探す方が難しい為、ここでは忘れてもらって構いません。

穴径
コンパー00 26.3mm
コパル0 34.6mm
コパル1 41.6mm
コパル3 65mm

/*編集中*/0番穴リンホフボードの写真入れる
/*編集中*/1番穴リンホフボードの写真入れる
/*編集中*/0番穴ヘリコイドリンホフボードの写真入れる
3番シャッター用穴の空いたジナーレンズボード

Rodenstock Geronar 210/6.8用ジナーDBレンズボード
最終更新:2019年12月19日 09:08