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あるお姫様の御伽話

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あるお姫様の御伽話 ◆UcWYhusQhw



ひとつ、あるお姫様の御伽話をしましょう。


ある所に一人のお姫様が居ました。

そのお姫様の生活はとてもとても充実していたものでした。

お姫様は幸せでした。

何故なら、彼女が通う学校には素敵な友人達がいて、その友達に囲まれて楽しい毎日ばかり。

友人達はお姫様と比べると決して優秀と呼べる人達ではありませんでした。

しかしながら、その友人達はとても優しく温かい心の持ち主ばかり。

そんな友人を今まで持たなかったお姫様にとってそれは新鮮で。

そして、たまらなく幸福なものでした。

何故なら、お姫様にはその生活の中でずっと恋焦がれた少年に出逢えたのですから。

恋する少年の傍に居る事が出来る生活はとてもとても素晴らしくずっと続いて欲しいとお姫様は願っていました。


永遠に続くようにと。



ですが。



その願いは叶う事が無く、お姫様はその生活を奪われてしまうのです。





殺し合いの舞台という、幸せとは程遠い哀しみに溢れた場所に連れて来られてしまったのです。



そしてお姫様はその哀しい舞台の上で―――――――



――――全てを奪われていくのです。





◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇





お姫様はただ、恐怖で素足で街をさ迷うばかりでした。
彼女を怯えさせているのは死。
彼女をを怯えさせていてるのはお姫様自身。

ただ、怖かったのです。

道をがむしゃらに走り続けて。
何かに逃げるように。
何かに贖罪を願うように。

ひたすらに傷ついたお姫様は逃げていたのです。

何故なら、お姫様は犯してはならない罪を負ったのですから。
誰にも許されない罪を。
しかしながらこの場所では許される行為。


そう、殺人。


お姫様は自分を助けようとした青年を恐怖の余り、逆に殺してしまったのです。

それは余りにも不幸な結果が重なっただけなのでした。

世の恐ろしい事を知らないお姫様に対してある少女が恐怖を植えつけたのです。
それはお姫様の命を奪いかねない行為。
そしてお姫様を脅し続け、それはお姫様にとって深い傷になるのです。

その深い傷をその青年は不幸にも掘り返したのでした。
お姫様はその恐怖に負けて助けようとした青年までも、殺してしまったのです。

死ぬのが怖いから。
怖いのが怖いから。

そんな感情だけで狂気に負けて人を殺してしまったのです。

ですが、お姫様は本来はとても優しい性格をしていました。

そのせいでその罪に怯え。
そのせいで後悔に苛まれ。

お姫様は全てを失っていくのです。

それは輝かしい日々。
懐かしい温もり。
友人達のふれあい。

そんな優しいもの。

お姫様はその生活に戻りたいのに。
お姫様はその大切なものを取り戻したいのに。


それを願い続けたいのに。


神様はそれすらも許す事はしませんでした。
更に神様は彼女に更なる罰を与えたのです。


それはお姫様の声を奪ったのです。


可哀想な事にお姫様はもうしゃべる事ができなくなってしまいました。
大好きな少年の名前を呼ぼうにも呼べず。
誰かに助けてとすらも叫べず。
泣く事すら許されず。

お姫様は何もかも奪われていったのです。

お姫様は恐怖と哀しみにくれてただ走るばかりでした。

思うのは恋した少年。
思うのは温かい日々。
思うのは贖罪。


温かいものを奪われ、冷たいものに侵食されていったお姫様の心。

苦しくて、痛くて、怖くて。

今まで経験した事ないものに怯えながら。
彼女は全身を震わせていました。

その時の事です。

冷め切った心を更に冷たくさせるものがその時聞こえてきたのです。

それは、彼女が此処で知り合った二人の男の死を告げるもの。
その男達はお姫様を優しく扱っていてお姫様も心を許していました。

その二人が死んだというのです。

お姫様は声鳴き叫びを上げ、涙が溢れて、ただ泣き続けました。


心をしめるのはただ恐怖。

無残に死んだ青年。
お姫様の心を壊した少女。


彼らの顔が交互に浮かび、お姫様の罪の意識を強めていったのです。


男達が死んだのも自分のせい。

自分のせいでこんなにも沢山の人が死んだ。

そう、お姫様は思い、心を壊していったのです。


恐怖。
痛み。
罪悪感。
後悔。
懺悔。


お姫様の心にはそれしかもう残っていなくて。
喋れないまま泣き続けて。
ただ、ひとつ、恋しい少年を思い続けて。

ただ、何かに逃げるように走り続けていたのです。


そして、お姫様はあるものを見つけたのです。
彼女の元の日常であった幸せの象徴というのを。

それは、学校でした。


彼女は懐かしい日々と温かい友人を思い出して
まるで、それに縋るように学校に向かっていきます。

そこに恋する少年がいるかもしれない。
そこにいけば温かい日々を取り戻せるかもしれない。

そう、願い、思い。

ただ、願望のまま、逃避のまま。
学校に駆け込んで行ったのです。


お姫様はもう耐えられなかったのです。


恐怖に。
罪に。

全てに。


そして、心の安寧を求め。


かつての温かいものの象徴。


学校にむかっていたのです。


願うのは恋する少年が居る事。
恋する少年が助けに来てくれる事。


そんな、恋する少年を求め。

まるで白馬の王子を待つかのように。

お姫様はその少年の助けを求め続け。


学校に向かっていたのです。







◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇







しかし、現実は残酷で。



お姫様が恋をし憧れた白馬の王子である少年は――――



―――もうこの世を去っていたのですから。


そう、お姫様を助ける王子様はもういません。


彼女の救いの手を受け取るものは。
彼女の心を支えてるものは。


もう、居ないのですから。



ああ、お姫様の心はどうなってしまうのでしょう。


恐怖と、罪と、痛みに潰されそうになっているのに。


恋する少年の死によって。


お姫様はどうなってしまうのでしょう。


その続きの物語はまだ存在せず。


これからどうなるかなんて誰にも解りません。


わかるもがいると言うのならば。


これから更に残酷な現実を知る、哀れなお姫様かもしれません。


哀しい、哀しい御伽話は、一旦此処で御終い。


そこに救いはあるのでしょうか?


それはまだ誰にも―――――解りません。





【E-2 学校前/一日目・朝】

姫路瑞希@バカとテストと召喚獣】
[状態]:精神的ショック大、左中指と薬指の爪剥離、失声症
[装備]:黒桐の上着
[道具]:デイパック、血に染まったデイパック、基本支給品×2
     ボイスレコーダー(記録媒体付属)@現実七天七刀@とある魔術の禁書目録、ランダム支給品1~2個
[思考・状況]
基本:死にたくない。死んでほしくない。殺したくないのに。
0:ごめんなさい。ごめんなさい。助けて。助けて。助けて。
1:朝倉涼子に恐怖。
2:明久に会いたい


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