ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ

SIDE BY SIDE

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SIDE BY SIDE ◆MjBTB/MO3I



複数名の人物に大きな傷跡を残すこととなった学校での騒動から、一夜明けて。
島田美波水前寺邦博が撤退後に何をしていたかというと、途中で目に付いたガソリンスタンドに停車していた。
理由は単純。バギーの燃料補給ついでに休憩をとるためである。

セルフサービスであるそれを水前寺が器用に扱って燃料を補給する間、島田は空が白んでいく様子をじっと眺めていた。
あの騒動からはかなりの時間が経っているようだ。身が感じるこの独特の空気は、完全に徹夜明けのときのそれだ。
本当に、嫌に爽やか。"あんなこと"があったのに、夜はこうもごく普通に明けてしまうものなのか。


嗚呼。
騒動の果てに天上へと旅立ったあの一匹の龍は、今はこの空の天辺で何をしているだろうか。
多分きっと、とてもとても寂しい思いをしているのだろう。悔しい思いをしているのだろう。

だが。
涼宮ハルヒが鍵であるということ。自分の友達を、仲間を守りたかったということ。
それは島田美波が全て受け取った。脳にも、そしてその身にもしっかりと刻み込んだ。

だから。
だから、心配しなくても良い。と島田は亡き龍へと心中で語る。
願いは受け取ったと、想いは自分の手で繋げていくと、そう決めたのだから。


まるで、漫画の主人公気取りだ。
だが、決心の揺らがぬ今なら、それでも良いとそう思える。
今ならば、龍の想いを届けるポストマンになってみせると、そう決心出来る。


       ◇       ◇       ◇


「終わったぞ。これでもう余程のことが無い限りは、燃料に困ることも無いだろう」
「うん。じゃあ……」
「少し話し合うターン……だな。では"第一回SOS団会議"を始めよう」
「また変な名称を……」

給油が終わると、運転席へと水前寺が再び座しながら提案を持ちかけた。
その意味は馬鹿でも予想出来る。つまりは"これからどこに行くか、を話したい"ということに他ならない。
実際のところ今の美波達は、学校からの逃亡を敢行した末に成功、そして現在休息を取っているだけに過ぎない。
何せ、ひょっとしたらいるかもしれない追っ手を気にしながら、時には脇道に反りつつとにかく離れる為だけに走っていたのだ。
これからの指針を決めるだけの余裕は無かった、というのも仕方の無いことである。
というわけでこうして余裕が出てきた今、やっと話し合いの場が始まったわけである。

「さて……まず島田特派員には探し人がいる。おれはそれに付き合いたいと表明したばかりだ」
「うん」
「そうなると、今回の議題はただ一つ……"どちらに進むか"というわけだが。まず聞こう、当ては?」
「…………無い」

しかし、今後の"これから"というものは少し難儀なものと化してしまっていた。
美波が人を捜索するといっても、レーダーという有利な武器を失った以上は道が険しくなることは必至。
そこに更に"情報の一切が無い"という、ジャーナリストやポストマンにとっての"痛み"が訪れている。
何せ捜索対象の情報と言えばその名前だけ。見た目も声も何もかもがさっぱりわからないのである。
探したい人がいる。名前も知っている。だがどこにいるかを突き止められない。当てが、ない。
広い海の真ん中で遭難した船が如く、今の島田には"向かうべき方向"がわからないのだ。

「正直、どこに行けば会えるかなんて解らない。どこに行けば良いか、ウチにはちょっと決められない……無責任だけどね」
「ふむ。そうか……では島田特派員に当てが無いのならば、少しこちらに付き合ってはもらえないか?
 おれも当てがあるわけではない……が、どうせ当てが無いのなら、捜索ついでに調査したいものがあるのでな」

と、ここで水前寺が迷い船の船頭役をかってでた。
この提案に、美波はなるほどと呟いた。どうせ行く当てが無いのだ、水前寺の言うことは尤もである。
"彼が目的地とする場所"というだけで少し不安に思えてしまうのが難だが、今更何も言うまい。


「うん、いいわ。ウチがこのまま迷ってても仕方が無いしね……今は任せる。で、どこ?」

美波の答えを受け取ると、水前寺はすぐに地図とコンパスを取り出した。
開かれたその中から現在地を割り出そうと座席から身を乗り上げる。
そして地図と睨めっこしながらぶつぶつと何か呟き始めた。えっ、なにそれこわい。
"どこに行きたいのか"を尋ねたのに、この男は何をしているのだろうか。
何かを探しているのか? 目的地か? まさか視認出来る距離なのだろうか?
わからない。正直わからない。全くわからない。
この水前寺が起こす相変わらずの"突然の奇行"のそれぞれが何を意味するのかがわからない。
それら一つ一つを解明していくには、自分にはまだまだ些かの時間が必要であるらしい、と美波は痛感した。

「むぅっ!」

と、ここで何か発見したようだ。なんだなんだ何なんだ、と美波も水前寺と同じ体勢をとる。
そうやって彼と同じ方向を見れば、遠くにガラス張りの立派なビルが見えていた。
随分と綺麗、かつ本当に立派な建物だ。自分達の住んでいる場所にもそうそう無いだろう。
で、あれは一体何なのだろうか。

「いいか島田特派員。さっきは追っ手の可能性も考えて、裏道への迂回等を駆使しつつ走行していた。
 だがそれでも出来る限り北上を意識して進んでいたわけだ。つまり、我々は今あの学校の北に位置しているはず」

それはこのガソリンスタンドに停車する前、走行中に水前寺から聞いていた。
自分達がどういう場所にいるのかを把握しやすくする為、向かう方角は単純にしたとのことだ。
そうか、ではあれか。さっきの奇行は"現在地チェック"か。さては目印になる建物を探していたな。
ようやく理解出来た。だがそれに満足してため息をつくフェイズではない。話はまだ続いている。

「故におおよその現在地を特定し、それを元に推理したところ……西南のあの建物は図書館だな。
 そして東南を見てみれば……また別の立派な建物がある。見ろ島田特派員、あれもなかなかのものだぞ」

水前寺の話に追いつこうと、美波は指示通りに首を動かす。
確かに彼の言うとおりだ。図書館と警察署という水前寺の推理が当たっていそうな、立派な建物が見えた。

「コンパスと地図を参照して考えた結果、あれは恐らく警察署だ。立派なものだな全く。
 つまり我々の現在地はこの、図書館と警察署の真ん中を通り過ぎたこの場所だ。巧い具合に学校北部だな」
「……へえ」

それはわかった。
で、結局どこに行きたいのか。

「ということで、この勢いのままで北上する事を進言する。まずは北へ、北へ進もう。
 そうすればこの栄えた地域から多少離れ、山の始まりを経て、山の中の神社に到着出来る。
 そう、つまり今から目指すべき目的地は神社だ。神社に向かうぞ島田特派員。メリットあるぞこれは」

水前寺の言う目的地。それはまさかの神社だった。
美波としてはてっきりあの初対面のときのように「よし、少々危険だが真ん中に行こう!」と言うと思っていた。
世界の端から消えていく、という人類最悪とやらの言葉を信用するならば、人が中央に集まるのは当然の運びだ。
だからこそそれを狙い、一直線でそこに向かい始めると思っていたのだが。
流石に学校の一件で懲りたのだろうか? それはない、とは思うけれど。

「そもそもそのメリットって何?」
「安心しろ、きちんと解説する。まずはそうだな、おれの目的は覚えているか?」
「調査、でしょ?」
「正解だ」

水前寺の目的。これは流石の美波もきちんと覚えている。
初めて出会ったときの彼は、バギーを走らせながら「付近の調査を行っていた」と言った。
調査の方法はわからなかったが、ジャーナリストを自称する以上は"それなり以上"には行っているのだろう。
この街を調査し、園崎という街に帰る為の情報を手にいれる。そこに美波自身が混ざった形だ。正確には"混ぜられた"だが。


「で、だ。結局のところはこんな街を細々と探索するよりも、ああいったランドマークを攻めるほうが効率が良い」
「"らんどまーく"?」
「"Orientierungspunkt"」
「……なるほど」

水前寺はつまり"地図でせっかく目立った場所があるのだから、そこから調査しよう"と言いたいのだ。
例えば神社というものは、観光地としての側面も持っている。あの"四国八十八箇所霊場"がその典型的なものだ。
だからもしもその神社が有名なものであれば、それだけで場所の特定を完遂出来るというわけだ。
そうでなくともそれが本当に"神社"であれば、ここが日本国内であるという絶対の証明にもなる。

「そもそも神社というものは日本産であり、海外にははっきり言って皆無だ。
 ……いや、無いことはないが、それでも日本統治時代の満州に建築されたものなどに限定される。
 ここの神社が特に名も知れぬマイナーものである可能性も非常に高いが、地盤を固めるためにも確かめる必要はある」

だが、ここでふと美波は疑問を浮かべた。
考えてみれば、神社よりも明らかに"日本産のもの"があるではないか。地図の中央に。

「天守閣じゃ駄目なの? これだって名前からしてどう考えても日本の城じゃない。
 それに観光地かもしれない、っていうなら明らかにこっちの方が可能性高いし。ここを調べたほうが……」

だが。

「それも考えたが、今から行くのならば堀をぐるりと迂回する必要がある。
 しかしその通り道の近くには神社があり……これをただ行き過ぎるのは正直時間の無駄だ。ナンセンスに過ぎる。
 つまり城に行くにしろ行かぬにしろ、どうせなら寄られる内に少しでも多くの施設に寄っておいた方が効率的だという事さ。
 それにこの先を行けば天文台がある。山を登ってそこも調査し、ついでに世界の端も見ることが出来れば万々歳。
 そして最後に山を下って中央部に向かえば、島田特派員の言った天守閣と、用途がまだわからんがホールもある。
 と……ただ城に向かうだけでもこういったルートがあるわけだ。中央部だから時間もたっぷりあるしな。まずは問題はあるまい?」

水前寺は既に考えを固めていたらしい。ご丁寧にも長々と解説を捲し立ててくれた。
言われたルートを参考にして地図に指を走らせれば、確かに形にはなっている。
巧く行くかどうかは解らないが、巧く行けば立派に観光ツアーだ。調査するなら丁度良い。


「あれ? でもちょっと待って? じゃあ警察署と図書館は? どうせなら今からこっちも回った方が」

しかし疑問は尽きない。色々と訊いておかなければ、水前寺のことだから何かまた変な事を考えているかもしれない。
故に"それに巻き込まれるこちらのことも考えて欲しい"、とばかりに美波は意見を述べる。
それにより、美波が「変な名称だ」と罵った"SOS団会議"の形を成している事に、本人は気付いていないのだが。

「確かにそうだが、その施設は三日目まで消えることは無い。焦らずとも後々に安心して向かう事が出来るはずだ。
 それに今から素直に回れ右をして戻ってしまうと、方角的にはあの危険な学校に近づくことになってしまう。
 大体、我々が全ての施設を回るのは到底無理なのだ……例えば、水族館などは今日の24時にはもう入れなくなるからな。
 こちらに対し敵意を放ってくる人間もいるだろうし、調査の時間も含めれば全ての訪問は絶対に不可能だ。
 我々はマニュアル人間の堅苦しい行動とは無縁であるべきだ。行けない場所などがあれば、臨機応変に変化しなければならない」

なるほど。よく考えている。少しばかり見直した。
今までの破天荒な行動も、こうして筋道立ててくれれば納得も出来るのだ。
過去でも現在でも未来でもちゃんと説明してくれれば良いのに。と、少しばかり彼を呪ってしまう美波。
それがいけなかったのだろうか。

「じゃあ、三日目まで残るはずの城にすぐに向かうのは?」
「おいおい。"ここを調べたほうが良い"とは、キミ本人がの弁である事を忘れたか。キミは鳥か、鳥頭か。クックドゥルードゥーか」

突然、ごく普通の質問に対してどえらい悪口が飛んできた。
ええい、こいつは。突発的な奴め。何が気に入らないのか理解に苦しむ。
かっちーん! と、美波の脳内で何かの効果音が鳴り響いた。

「失礼な……っ!」
「む? なんだ島田特派員、おれの腕に何か……ぐおおおおおお! 曲がる! すっごい曲がっているぞ島田特派員!
 落ち着け島田特派員! そっちには曲がらん! さ、さてはキミも浅羽妹みたいに何かかじってるな!? そうだろう!
 あばばばばばばば! 変になっている! おれの腕がかつて無いほどに変に! 戻れおれの腕! マッガーレおれの腕!」


       ◇       ◇       ◇


バギーが勢い良く走っている。そこに乗っているのは当然、水前寺と美波の両名だ。
危うく"アレ"な事になりそうだった腕を擦りながら運転するのは水前寺。
助手席からその様子を眺めて「ざまみろ」と呟くのは美波。
二人は結局、水前寺の案の通りに神社へと向かっているのだった。

「そういえば、涼宮ハルヒとか言ったか? 随分と胡散臭い話だが……ふむ」

話題は既に涼宮ハルヒのことへと移っていた。
水前寺曰く"胡散臭い"との事だが、正直なところ水前寺には言われたくは無いと思う。
本人だってそう言うと思う。そうでなければ高須竜児が報われない。

「だが"能力"の真実は……気になるな。どうとでも取れる話である以上、直に話を聞くしかあるまい。
 道中に本人、または近しい人物がいれば良いのだが……運、だな。運に身を任せ、会えるのを期待するしかない。
 高須竜児の言う三人と同じく、その涼宮ハルヒもしかりだ……大体後者に至っては性別を読み辛い名前を持っているしな」

ああ、やはりキツイか。だが無理も無い。当然の話であり、その理由も全て水前寺に言われてしまった。
あの状況下で、高須からもっと情報を聞けなかったのは痛い、と美波本人も思う。
自分には何も出来なかった。事実、高須を助けようと動くことも出来なかった。
これも痛い。自分は目的に至るまでに必要な情報と言うものを何一つ収集出来ていないではないか。

実は今の美波はそんな、"高須竜児に何も出来なかった"事以外の点でも自らを責めてしまっていた。

水前寺と行動を共にしているにも関わらず、自分は早くも情報弱者と化してしまっている。
この自称"SOS団団長"ならばもっと上手く出来たはずだ。そうに、違いない。
そう考えてしまうと、心が地の底に落ちそうになってしまうのだ。悔しくて、仕方が無い。

「まぁ、だが島田特派員とおれの立場が逆であっても……好転したとは言い難い話ではあるがな」

なのに水前寺はこんな事を話してくる。慰め、か何かなのだろうか。
ジャーナリストの癖にとんだ嘘吐きだ。捏造は罪だというのに。

「…………そんなこと無い。多分、アンタならもっと上手く……」

だから自分も反論してしまう。
自分の弱さが浮き彫りになる、そんな言葉で相手を跳ね除けようとしている。
だが。

「そんなことはある。あの一件でおれも随分と間の抜けた失敗をやらかした。やらかしたんだ。
 ああ、どこでどう失敗したかは訊いてくれるなよ? 自分で上げ連ねると、後悔せざるを得なくなってくる」

何故だろう。この水前寺節には相変わらずの真実味があった。
本気で歯噛みしているかのような、そんな雰囲気が言葉からにじみ出ているのだ。


否、違う。
水前寺は、本当に歯噛みしていた。文字通り、本当に。


「アンタでも……そんなこと、あるんだ?」
「あるな。結局おれは"生き延びただけ"で、大した情報は得られなかった。
 ここに本職の戦場カメラマンがいたら、おれはどつきまわされるだろうな」
「……そう、なんだ。うん、ごめん。ありがとう。じゃあこの話は終わり」
「うむ」

だから、だろう。美波はこの話を打ち切ることにした。
互いに失敗を言い合うのは、精神衛生上よろしくもなんとも無い。
失敗したなら、次に頑張れば良い。失敗を繰り返さないように、対策を練れば良い。
何もかもが上手くやれない不条理な世界の中でも、決して折れず決して負けない心を持とう。
決意しよう。もう一度、ガソリンスタンドでそうしたように。

「ああ、そうだ島田特派員。おれのデイパックを漁ってくれないか?」

と、ここで突然水前寺が――もう"突然"という言葉がゲシュタルト崩壊を起こしそうだ――指示を放ってきた。
何かを発見したのだろうか。もしや誰か別の人間の気配を感じ、対策の為にあの武器を、とか。
そんな事を勝手に考えていると「中にデジカメがあるだろう」という言葉が続いた。
ああ、デジカメか。なんだ。そんなものまで持っていたのかこいつ。

「ジャーナリストとしては一眼レフ辺りが嬉しかったのだがな。流石にここでそれは贅沢が過ぎるというもの。
 と、そんなことはどうでも良い。起動したか? 中に変なフォルダがあるだろう……元気が出るから開いてみろ」

変なフォルダ、という言葉をヒントに操作を続けると、あっさりと発見出来た。
"SOSファイル"などと言うふざけた名称を関したフォルダ。どうもこれに違いない。
元気が出るとかなんとか言っていたが、どうも信頼出来ないのは気のせいか。否、気のせいではない。

「…………え?」

そしてついでにいうと、元気になるようなものでもなかった。
何故ならそのフォルダの中には、市街地を写した十数枚の写真しかなかったからである。

「この街写しただけのものがどうしたの? "SOSファイル"って名前だけで既に元気奪われるんだけど」
「待て待てちょっと待て島田特派員。そっちはおれが調査の最中に撮影した資料だ。違う、開くべきフォルダが違う」
「えー? 変なフォルダっていうから絶対これだと思ったのに……」
「失礼な」

だが、幸か不幸か開くフォルダを間違えただけだったらしい。
なるほど。間違えたのはアルファベット順で一番最初に選択されていたフォルダをつい開いてしまった所為か。
これがウィルスなどだったらえらい騒ぎになるところだった。だが、ふざけた名前をつけた方も悪いのではないか。
愚痴りつつも改めてもう一つのフォルダ――何故かSOSファイルを含む二つのフォルダしか作成されていなかった――を選択する。
さて、気になるそのフォルダの名前は。

「"某モデルがやっちゃった☆ナゾの物まね百五十連発"……? 何これ。アンタ、人が知らないところで何を撮ってたの?」
「知らん、誤解だ。これは最初から入っていたフォルダでな……良いから観たまえ。正直ここまで面白いとは思わなかった。
 既に中身は確認しているが、これを話している今でも、おれは激しい思い出し笑いをしないようにとどうにか堪えているのだ」
「うわ、"アンタのツボ"っていうのが逆に不安だわ……宇宙人がゲッダンでもやってたりするんじゃないでしょうね?」

水前寺に気を使われるのは非常に癪だが、"元気が出る"という触れ込みには正直惹かれるものがあった。
それに"あの水前寺が笑う"というのも、それ自体が不安要素ではあると同時に興味を沸かせる一つの要因となっている。
学校での出来事からどうも自分らしくない。それを自覚している美波は、

「ま、これで少し回復が出来れば儲けものか……期待しすぎるのもあれだけど」

と呟きながら、元気になれる素とやらを開くことにした。
おや、これは動画ファイルか。某モデルとは、この今写っている美人さんのことなのだろう。
彼女が物真似をするというのか。しかも百五十連発。なんだか激しく地雷を引いたような気がする。
ムッツリーニが好きそうなスケベな動画だったら、迷わず叩き壊してやる。


       ◇       ◇       ◇


で、結果。


助手席で動画を鑑賞しながら大爆笑する島田美波と、つられて思い出し笑いを大暴発させた水前寺。


この場にそぐわぬ奇妙な光景が、バギーの座席にて生まれ出でたのであった。




【C-2/市街地/早朝】

【水前寺邦博@イリヤの空、UFOの夏】
[状態]:健康、シズのバギーを運転中、大爆笑
[装備]:電気銃(1/2)@フルメタル・パニック!
[道具]:デイパック、支給品一式、シズのバギー@キノの旅
[思考・状況]
基本:島田特派員と共に精一杯情報を集め、平和的に園原へと帰還する。
1:まずは神社に向かい、調査後に天文台と"世界の端"も見に行く。
2:当面は島田美波に付き合って、人探し。
3:間接的な情報ながら、『涼宮ハルヒ』に興味。

【島田美波@バカとテストと召喚獣】
[状態]:健康、服が消火剤で汚れている、シズのバギーの助手席に搭乗中、大爆笑
[装備]:大河のデジタルカメラ@とらドラ!
[道具]:デイパック、支給品一式
[思考・状況]
基本:水前寺邦博と行動。吉井明久、姫路瑞希、逢坂大河、川嶋亜美、櫛枝実乃梨と合流したい。
1:逢坂大河、川嶋亜美、櫛枝実乃梨の三人を探して高須竜児の最期の様子を伝え、感謝と謝罪をする。
2:竜児の言葉を信じ、「全員を救えるかもしれない涼宮ハルヒ」を探す。




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