策士 ◆M42qaoJlNA
朝日の差し込む学校の廊下を、茶髪に黒のミニワンピースの少女と、頭をまるめた小坊主が並んで歩いていた。
珍妙な取り合わせだが、それでもコミュニケーションはそれなりに成り立っている模様である。
珍妙な取り合わせだが、それでもコミュニケーションはそれなりに成り立っている模様である。
「一休、って言うの? アタシはブルーよ」
「“ぶるう”さん? 変わったお名前ですね」
「あら、“一休”だって変わったお名前じゃない」
「そうですか?」
「そうよ」
「ははは、ぶるうさんって面白い方ですね」
「ホホ、あなたこそ……」
仲睦まじく笑みかわす二人は、校内の明るい爽やかさもあいまって殺し合いの場にそぐわぬ雰囲気を醸し出していた。
「“ぶるう”さん? 変わったお名前ですね」
「あら、“一休”だって変わったお名前じゃない」
「そうですか?」
「そうよ」
「ははは、ぶるうさんって面白い方ですね」
「ホホ、あなたこそ……」
仲睦まじく笑みかわす二人は、校内の明るい爽やかさもあいまって殺し合いの場にそぐわぬ雰囲気を醸し出していた。
ふと、ブルーが不安そうに表情を翳らせて聞く。
「一休さんは、まさか殺し合いなんておやりにならないでしょう?」
一休はブルーを安心させるように、にっこりと笑んで答える。
「そうですねえ。一応仏道ですから、なまぐさと殺生は御免したいところです」
「そう、よかった……」
ブルーは、ほっとため息をついてみせる。
「アタシ、ここに来てからずっと怖くて、不安だったの。
――でも、アナタがいるだけでとても心強くなったわ。ありがとう」
押さえた目元に涙を光らせ、かよわい少女を装ってブルーは礼を言った。
「いやあ」と照れる一休を、かぶった猫の陰で鋭く観察しながら。
「一休さんは、まさか殺し合いなんておやりにならないでしょう?」
一休はブルーを安心させるように、にっこりと笑んで答える。
「そうですねえ。一応仏道ですから、なまぐさと殺生は御免したいところです」
「そう、よかった……」
ブルーは、ほっとため息をついてみせる。
「アタシ、ここに来てからずっと怖くて、不安だったの。
――でも、アナタがいるだけでとても心強くなったわ。ありがとう」
押さえた目元に涙を光らせ、かよわい少女を装ってブルーは礼を言った。
「いやあ」と照れる一休を、かぶった猫の陰で鋭く観察しながら。
短い時間を共にして、導き出したのは「一緒にいて安心はできるが、仲間としては心許ないヒト」という結論。
なら、この後にとるべき行動はひとつ。
「お坊さま、お坊さま。もしよければお坊さまのこと、もっと聞かせてくださるかしら?」
「いえいえ、わたしは見習い小僧の身。”お坊様”などと呼ばれてはバチがあたります」
ブルーのお世辞を受けて、一休は愛嬌のある表情で「いやいや」と両手を押し出してかぶりを振ってみせる。
それを見て、ブルーは確信する。
こいつは、レッドやイエローに似て裏表がなく底まで見通せるような――だまされやすい人間の典型。
(……カモね)
内心ほくそ笑みながら、油断のない所作でブルーは一休にすり寄った。
「ねえ、お坊さま?」
「なんですか?」
無邪気に振り向いた死角、その脇腹にブルーはすかさず隠し持っていたスタンガンを押し付けた。
「いえいえ、わたしは見習い小僧の身。”お坊様”などと呼ばれてはバチがあたります」
ブルーのお世辞を受けて、一休は愛嬌のある表情で「いやいや」と両手を押し出してかぶりを振ってみせる。
それを見て、ブルーは確信する。
こいつは、レッドやイエローに似て裏表がなく底まで見通せるような――だまされやすい人間の典型。
(……カモね)
内心ほくそ笑みながら、油断のない所作でブルーは一休にすり寄った。
「ねえ、お坊さま?」
「なんですか?」
無邪気に振り向いた死角、その脇腹にブルーはすかさず隠し持っていたスタンガンを押し付けた。
バチイッ!!!
静謐な学校の廊下に、耳障りなスパーク音が響いた。
続けて、人の倒れる呆気ない音――――
続けて、人の倒れる呆気ない音――――
・
・
・
学校を出て、道路沿いに走って数十分。
ブルーはようやく足を止め、息を整えながら周囲を見回した。
人の気配は、ない。
ここなら、もし一休が目を覚ましても追いつかれることはあるまい。
周囲の安全を確認したところで、ブルーは早速一休から奪ってきたランドセルの中身の検品に移る。
ブルーはようやく足を止め、息を整えながら周囲を見回した。
人の気配は、ない。
ここなら、もし一休が目を覚ましても追いつかれることはあるまい。
周囲の安全を確認したところで、ブルーは早速一休から奪ってきたランドセルの中身の検品に移る。
古ぼけた黒いランドセルから出てきたのは、綺麗な鋏と、拡声器と、薬箱。
武器が出てこなかったことに舌打ちしつつ、薬箱を開けてみる。
武器が出てこなかったことに舌打ちしつつ、薬箱を開けてみる。
途端、ブルーの表情が驚愕に変わった。
「な、なによこれ……!」
【C-5/路上/1日目/午前】
【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1(本人は確認済)
庭師の鋏@ローゼンメイデン、拡声器、薬箱(@うたわれるもの)に詰められたチョーク
[思考]
第一行動方針:どんな手段を使っても生き残る
第二行動方針:できれば自分を守ってくれるナイトが欲しい
第三行動方針:殺しあいは御免だけど、いざとなったら……ね
第四行動方針:レッドやグリーン、イエローのことがちょっと心配
基本行動方針:生き残り、元の世界に帰る。
参戦時期:三章終了時点(14歳。トラウマ克服済?)
【ブルー@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:健康
[装備]:スタンガン@ひぐらしのなく頃に
[道具]:基本支給品×2、不明支給品×1(本人は確認済)
庭師の鋏@ローゼンメイデン、拡声器、薬箱(@うたわれるもの)に詰められたチョーク
[思考]
第一行動方針:どんな手段を使っても生き残る
第二行動方針:できれば自分を守ってくれるナイトが欲しい
第三行動方針:殺しあいは御免だけど、いざとなったら……ね
第四行動方針:レッドやグリーン、イエローのことがちょっと心配
基本行動方針:生き残り、元の世界に帰る。
参戦時期:三章終了時点(14歳。トラウマ克服済?)
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・
床に大の字に伸びた一休は、それから数十分後に目を覚ました。
「いやあ、してやられましたか」
呵々と笑いながら、一休は懐に手を突っ込む。
しばらくごそごそやって取り出したのは、幾つかの薬包みと小さな宝石。
しばらくごそごそやって取り出したのは、幾つかの薬包みと小さな宝石。
「やっぱり、大事なものはきちんと手元にしまっておくべきですね」
薬包の中身は、気付け薬や毒のたぐい。
宝石は「さもないと石」という、怪力乱神のたぐいを引き寄せる呪物らしい。
すぐに支給品の中身を確認したところで頭を働かせ、いつでも取り出して使えるようにと
懐に忍ばせておいたのが思わぬ形で功を奏したようだ。
薬包の中身は、気付け薬や毒のたぐい。
宝石は「さもないと石」という、怪力乱神のたぐいを引き寄せる呪物らしい。
すぐに支給品の中身を確認したところで頭を働かせ、いつでも取り出して使えるようにと
懐に忍ばせておいたのが思わぬ形で功を奏したようだ。
ランドセルごとブルーに持っていかれたアイテムのうち二つ――「拡声器」と「チョーク」は、一休がブルーと出会う前に現地調達したばかりの品である。
どちらも、校内を探せばまた見つかるようなモノである。取られた所で痛くもかゆくもない。
どちらも、校内を探せばまた見つかるようなモノである。取られた所で痛くもかゆくもない。
今頃、自分がハッタリをつかまされたのだと気付いて悔しがっているであろう少女の姿を思い浮かべ、一休もまた笑む。
「事を急ぐと、いいことはありませんからねえ。
あわてない、あわてない……」
あわてない、あわてない……」
くつくつと笑いながら、一休さんは廊下の闇に消えていった。
【D-4/学校・多分、校内のどこかにいる。/1日目/午前】
【一休さん@一休さん】
[状態]:健康
[装備]:シャインセイバー(サモナイト石)@サモンナイト3
[道具]:エルルゥの薬箱の中身(ワブアブの粉末、カプマゥの煎薬、ネコンの香煙、紅皇バチの蜜蝋) @うたわれるもの
[思考]
第一行動方針:あわてない、あわてない
基本行動方針:ゲームをうまく脱出する
【一休さん@一休さん】
[状態]:健康
[装備]:シャインセイバー(サモナイト石)@サモンナイト3
[道具]:エルルゥの薬箱の中身(ワブアブの粉末、カプマゥの煎薬、ネコンの香煙、紅皇バチの蜜蝋) @うたわれるもの
[思考]
第一行動方針:あわてない、あわてない
基本行動方針:ゲームをうまく脱出する
※一休のランドセルは、D-5の路上に空の状態で捨ててあります。
- アイテム説明
【シャインセイバー@サモンナイト3】
無属性の召喚術。別名「打ち砕け光将の剣」。
作中でこれを使えないユニットは存在しないくらい汎用性の高い召喚術。
混沌の力を打ち砕く光をまとった五種の武器(剣、槍、ハルバード、フランベルジュ、短剣?)が現れて、小範囲の敵に向かって降り注ぐ。
無属性の召喚術。別名「打ち砕け光将の剣」。
作中でこれを使えないユニットは存在しないくらい汎用性の高い召喚術。
混沌の力を打ち砕く光をまとった五種の武器(剣、槍、ハルバード、フランベルジュ、短剣?)が現れて、小範囲の敵に向かって降り注ぐ。
消費MPがやたら大きいので、魔力の豊富でないキャラは一発撃つのが精一杯と思われる。
【エルルゥの薬箱@うたわれるもの】
一休の手元に残った中身は以下。
ワブアブの粉末(虫を乾燥させ粉末にしたもの。筋力を低下させる効果がある)
カプマゥの煎薬(辛みと独特の香りで少々飲みにくいが、気付け薬として重宝されている)
ネコンの香煙 (その刺激臭のする煙をかいだ者は、激しい嘔吐感と気怠さに襲われる)
紅皇バチの蜜蝋 (燃やすと微かに甘い香りを放つ蜜蝋。激しい幻覚作用を持つ)
一休の手元に残った中身は以下。
ワブアブの粉末(虫を乾燥させ粉末にしたもの。筋力を低下させる効果がある)
カプマゥの煎薬(辛みと独特の香りで少々飲みにくいが、気付け薬として重宝されている)
ネコンの香煙 (その刺激臭のする煙をかいだ者は、激しい嘔吐感と気怠さに襲われる)
紅皇バチの蜜蝋 (燃やすと微かに甘い香りを放つ蜜蝋。激しい幻覚作用を持つ)
ちなみに、ブルーの手には箱だけ(中身はチョークぎっしり)が渡った。
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