命の選択を ◆uOOKVmx.oM
四方を水に囲まれた城。その上階に位置するテラスに3人はいた。
その丁寧に石を組んだ造りは中世的であるのに、奇妙な真新しささえも感じられる。
高さは4階ほどもあろうか、飛び降りる事も這い上がる事も容易ではないだろう。
テラスから覗ける広い城内に人影は見当たらず、ただ無数の鉄扉が鎮座しているだけだった。
その丁寧に石を組んだ造りは中世的であるのに、奇妙な真新しささえも感じられる。
高さは4階ほどもあろうか、飛び降りる事も這い上がる事も容易ではないだろう。
テラスから覗ける広い城内に人影は見当たらず、ただ無数の鉄扉が鎮座しているだけだった。
イエローは必死に思考を巡らせていた。今は優しく頬を撫でるそよ風すら煩わしい。
ベルカナは手遅れだと言ったが目の前の少年、城戸丈を助ける方法はきっと何かあるはず。
そう信じて必死に考えれば考えるほど絶望がイエローの心を侵食してゆく。
ベルカナは手遅れだと言ったが目の前の少年、城戸丈を助ける方法はきっと何かあるはず。
そう信じて必死に考えれば考えるほど絶望がイエローの心を侵食してゆく。
「僕は――」
押し黙っていた丈が口を開く。その何かを決意した真っ直ぐな瞳にゾクリとした。
泣き崩れたって変じゃない、そういう状況なのにどうしてこんな目ができるのだろう。
泣き崩れたって変じゃない、そういう状況なのにどうしてこんな目ができるのだろう。
「僕はみんなを守りたかった。誰にも人殺しなんてさせたくなかったんだ。
友達のためにも、殺される子のためにも、殺す側の子のためにも守りたかった」
友達のためにも、殺される子のためにも、殺す側の子のためにも守りたかった」
(そんなこと聞きたくない)
そう咄嗟に耳を塞ごうとする手をベルカナが押さえた。
彼女は今にも泣き出しそうなイエローを一瞥もせず、ただ黙って丈を見つめている。
それはイエローに対して『目を背けるな』と言っているようにも感じ取れた。
彼女は今にも泣き出しそうなイエローを一瞥もせず、ただ黙って丈を見つめている。
それはイエローに対して『目を背けるな』と言っているようにも感じ取れた。
「でも結局、何も出来はしなかった。それどころか君達を危険な目に会わせただけ。
ハハ、僕はいつもこうなんだ。一人で先走って空回りしてばかりでみんなに迷惑をかけて。
こんな僕を助けてくれてありがとう。嬉しかった。そして……折角助けて貰ったのに、
ごめん……僕の事は置いて行くか、その、いっそ……」
「なんでそんな事を言うんだ! まだ助からないって決まったわけじゃない!
まだ……まだなにかある方法は筈なんだ! 可能性が少しでも残っているなら諦めちゃ……」
「いい加減になさいな」
ハハ、僕はいつもこうなんだ。一人で先走って空回りしてばかりでみんなに迷惑をかけて。
こんな僕を助けてくれてありがとう。嬉しかった。そして……折角助けて貰ったのに、
ごめん……僕の事は置いて行くか、その、いっそ……」
「なんでそんな事を言うんだ! まだ助からないって決まったわけじゃない!
まだ……まだなにかある方法は筈なんだ! 可能性が少しでも残っているなら諦めちゃ……」
「いい加減になさいな」
根拠も無く叫ぶイエローの胸倉をベルカナが掴んだ。その顔は先ほどと微塵も変わらない。
沈痛なそれでいて冷淡にも見える静かな目をしていた。この人は悲しくないのだろうか。
沈痛なそれでいて冷淡にも見える静かな目をしていた。この人は悲しくないのだろうか。
「あなたは彼がどんな気持ちで口を開いたか、分からないのですか」
「そんなこと僕にだって分かってる! でも!」
「そんなこと僕にだって分かってる! でも!」
怪我を治す手段も無ければ、毒を癒す手段も無い。ならば手段を探せば良いのか?
今からそれを持つ人を見つけ協力を仰ぐなど砂漠でダイヤ一粒を探すようなものだ。
丈の助かる可能性はゼロではないというだけで、限りなくゼロに近い。
そんなことは痛いほど理解できている。おそらく丈もベルカナも理解している。
そしてその可能性に挑戦する代価が自分とベルカナの安全だということも。
今からそれを持つ人を見つけ協力を仰ぐなど砂漠でダイヤ一粒を探すようなものだ。
丈の助かる可能性はゼロではないというだけで、限りなくゼロに近い。
そんなことは痛いほど理解できている。おそらく丈もベルカナも理解している。
そしてその可能性に挑戦する代価が自分とベルカナの安全だということも。
たった一つ、確実な手段はジェダが言っていた『ご褒美』。
三人の命と引き換えに一人の命を助ける事が出来るという悪魔の誘惑。
イエローの脳裏に先程襲ってきた三人の少年少女が浮かんだが、頭を振り必死に消し去る。
それは駄目だ。たとえ可能だとしても、それだけはやっちゃいけない。
三人の命と引き換えに一人の命を助ける事が出来るという悪魔の誘惑。
イエローの脳裏に先程襲ってきた三人の少年少女が浮かんだが、頭を振り必死に消し去る。
それは駄目だ。たとえ可能だとしても、それだけはやっちゃいけない。
「分かっているのなら、男の子を困らせるものではありませんわ」
「だからってこんなの……こんなの酷過ぎるよ」
「だからってこんなの……こんなの酷過ぎるよ」
全てを知って受け入れるベルカナ、全てを知ったからこそ受け入れられないイエロー。
両者を隔てているのはただ一つ、経験という名の厚い壁だった。
どれだけ消え行く命を見てきたか。どれだけ己の無力さを知っているか。ただそれだけだった。
両者を隔てているのはただ一つ、経験という名の厚い壁だった。
どれだけ消え行く命を見てきたか。どれだけ己の無力さを知っているか。ただそれだけだった。
「ごめんよ。僕の軽率な行動で危険に巻きこんだばかりか、せっかく助けてもらったのに
イエロー君を悲しませるような事になって、本当にごめん。君に会えて嬉しかった」
イエロー君を悲しませるような事になって、本当にごめん。君に会えて嬉しかった」
なんでこの人は自分が死にそうなのに謝れるのだろう。僕は元気なんだ、生きているんだ。
なんで笑えるんだ。僕は泣きそうなのに。
どんな顔をして良いのか分からなくて押し黙ってしまう。
ベルカナが表情を変えない理由が判ったような気がした。
なんで笑えるんだ。僕は泣きそうなのに。
どんな顔をして良いのか分からなくて押し黙ってしまう。
ベルカナが表情を変えない理由が判ったような気がした。
「ねぇイエロー君……」
「え?」
「握手しよ」
「え?」
「握手しよ」
言われて初めてイエローは、丈が右手を差し出していることに気がついた。
慌ててフードで手を拭き、握手を交わした。今出来る精一杯の微笑で。
丈の手は暖かかった。そして静かに震えていた。
イエローは改めて理解した。丈だって怖いんだ。泣きたいんだ。
それを我慢しているのは、きっと泣き出しそうな自分に心配を、責任を感じさせないためだと。
慌ててフードで手を拭き、握手を交わした。今出来る精一杯の微笑で。
丈の手は暖かかった。そして静かに震えていた。
イエローは改めて理解した。丈だって怖いんだ。泣きたいんだ。
それを我慢しているのは、きっと泣き出しそうな自分に心配を、責任を感じさせないためだと。
「イエローさん、丈さんを中へ! 外から見える位置は危険です!」
突然、周囲を警戒していたベルカナが叫んだ。
見ればテラスの向こう、遥か東の平原で無数の光が飛び交っているのが見えた。
何かのワザなのだろうか。少なくとも危険だということは間違いない。
ベルカナは一足先に屋内に入ると片端から部屋を見比べ、その一つに入る様に指示した。
見ればテラスの向こう、遥か東の平原で無数の光が飛び交っているのが見えた。
何かのワザなのだろうか。少なくとも危険だということは間違いない。
ベルカナは一足先に屋内に入ると片端から部屋を見比べ、その一つに入る様に指示した。
「早くこちらへ!」
そこは広さのわりには調度品もなく、倉庫としてでも使われていたのかガランとしていた。
壁の上方に鉄格子の入った簡易窓が一つ、あとは大きな瓶やテーブル、整理棚があるだけ。
ぐったりとした丈を部屋の隅にあった大テーブルに横たわらせる。
ベルカナは素早く棚からシーツを何枚か探し出して丈に使い、一枚をイエローに手渡した。
そういえばフードの中は何も付けていなかった事を思い出す。
こんな時でも冷静なベルカナが凄いのか、それとも自分が鈍いだけのか。
枕代わりの丸めたシーツが丈の血を吸ってじわじわと赤く染まっていくのが怖かった。
壁の上方に鉄格子の入った簡易窓が一つ、あとは大きな瓶やテーブル、整理棚があるだけ。
ぐったりとした丈を部屋の隅にあった大テーブルに横たわらせる。
ベルカナは素早く棚からシーツを何枚か探し出して丈に使い、一枚をイエローに手渡した。
そういえばフードの中は何も付けていなかった事を思い出す。
こんな時でも冷静なベルカナが凄いのか、それとも自分が鈍いだけのか。
枕代わりの丸めたシーツが丈の血を吸ってじわじわと赤く染まっていくのが怖かった。
「あの……友達へ……伝言を頼めますか?」
「もちろん!」
「確約は出来かねますが、お引き受け致しますわ」
「もちろん!」
「確約は出来かねますが、お引き受け致しますわ」
途中に何度か言葉が途切れ、意識を失いかけながらも丈は友人への言葉を口にした。
イエローは絶対に忘れない様に、必ず伝えられる様に一言一句を聞き逃さずに聞いた。
そのくらいしかして上げられることがなかったのだ。
話し終わった丈が苦しそうに首を擦る。首筋は血の気が引いて青白かった。
イエローは絶対に忘れない様に、必ず伝えられる様に一言一句を聞き逃さずに聞いた。
そのくらいしかして上げられることがなかったのだ。
話し終わった丈が苦しそうに首を擦る。首筋は血の気が引いて青白かった。
「ベルカナさん……僕はここで何にも出来なかった……こんな僕でもみんなのために……」
「分かっていますわ。あなたのお友達のためにも無駄にはしません」
「……他の人には……頼めないから……」
「分かっていますわ。あなたのお友達のためにも無駄にはしません」
「……他の人には……頼めないから……」
最初は、丈とベルカナが何を言っているのか理解できなかった。
そして丈が首に手を当てている事の意味を悟った。首輪を外す気なんだ。
首輪を外す方法なんて、一つしかない。想像しただけで血の気が引いてしまう。
そして丈が首に手を当てている事の意味を悟った。首輪を外す気なんだ。
首輪を外す方法なんて、一つしかない。想像しただけで血の気が引いてしまう。
「誰にも殺させないって……偉そうな事を言ってたのに、こんな事を人に頼むなんて……
ごめんなさい。友達と子供達……それからイエロー君をお願いします」
「丈さん……」
「その依頼、確かに承りました。痛みを感じないようお送りします」
「……ありが……とう」
ごめんなさい。友達と子供達……それからイエロー君をお願いします」
「丈さん……」
「その依頼、確かに承りました。痛みを感じないようお送りします」
「……ありが……とう」
ベルカナは丈から距離を取り静かな声で詠唱した。安らかなる夢の世界へと誘う眠りの雲。
丈の眼がゆっくりと閉じてゆく。もう二度と開かれることがないであろう。
僅かに上下する胸が、まだ彼が黄泉路へと旅立っていない事を示しているだけだった。
丈の眼がゆっくりと閉じてゆく。もう二度と開かれることがないであろう。
僅かに上下する胸が、まだ彼が黄泉路へと旅立っていない事を示しているだけだった。
「イエローさん。先程の『あれ』をお貸し下さいますか? 『これ』より向いていますので」
ベルカナは手にした銅鑼を見せた。この鉄塊の一撃で丈は確実に天へ召されるだろう。
だが首輪を外すとなれば鈍器ではなく刃物が必要となる。首を切断できる道具。
イエローの最後の支給品は武器であった。人を傷付けるために作られた道具。
始めて見た瞬間から、その禍々しさから絶対に使わないと心に決めた道具。
丈を助けるために、役に立たないかと思って出したが無意味だった道具。
それを使って丈を苦しみから解き放とうというのか。
苦しかった。なにも出来ない自分が悲しかった。
そしてしばしの沈黙の後、イエローはランドセルの留め金を外した。
だが首輪を外すとなれば鈍器ではなく刃物が必要となる。首を切断できる道具。
イエローの最後の支給品は武器であった。人を傷付けるために作られた道具。
始めて見た瞬間から、その禍々しさから絶対に使わないと心に決めた道具。
丈を助けるために、役に立たないかと思って出したが無意味だった道具。
それを使って丈を苦しみから解き放とうというのか。
苦しかった。なにも出来ない自分が悲しかった。
そしてしばしの沈黙の後、イエローはランドセルの留め金を外した。
「出ておいで、ダイレク」
その声と共に勢い良くランドセルから飛び出したのは2m近くある魔剣『ダイレク』。
空中でくるくると回転するとイエローの前に浮遊したままピタリと止まった。
刃渡り160cm程に柄と幅は40cm程。剣先は缶切りのような鉤型になっているのが特徴的だ。
その平たくて薄い刃には薄っすらと梵字が浮かび、禍々しいオーラを醸し出している。
それもそのはず、ダイレクは手に持って振り回すような無骨な魔剣ではない。
浮遊能力を持ち、所有者の意思に答えて飛び回る意思を持った魔剣でなのだ。
一応、剣先に付いている宝石が一つ眼、鉤型が口に見えなくもない。
空中でくるくると回転するとイエローの前に浮遊したままピタリと止まった。
刃渡り160cm程に柄と幅は40cm程。剣先は缶切りのような鉤型になっているのが特徴的だ。
その平たくて薄い刃には薄っすらと梵字が浮かび、禍々しいオーラを醸し出している。
それもそのはず、ダイレクは手に持って振り回すような無骨な魔剣ではない。
浮遊能力を持ち、所有者の意思に答えて飛び回る意思を持った魔剣でなのだ。
一応、剣先に付いている宝石が一つ眼、鉤型が口に見えなくもない。
「では、お貸し下さいな」
「……だめ。彼は……僕が……送る」
「……だめ。彼は……僕が……送る」
スッとイエローが手を掲げる。同時に巨大な魔剣が頭上からその切っ先を丈の首へと向けた。
手を振り降ろせば即座にダイレクが丈を苦しみから解き放つだろう。
助けたかったのに助けられなかった。何も出来なかった。だからせめて、その死は僕が背負う。
手を振り降ろせば即座にダイレクが丈を苦しみから解き放つだろう。
助けたかったのに助けられなかった。何も出来なかった。だからせめて、その死は僕が背負う。
そう思った。そう思っているのに掲げられた手は動かなかった。動かせなかった。
「お止めなさいな。心の痛みを罪の意識で誤魔化しても、彼は喜びませんよ」
そっと添えられたベルカナの手がイエローの手をゆっくりと引き降ろす。
「心の痛みから目を晒さず、しっかり受け止めなさい。それが大人になるということですわ」
「でも……何も出来なかった。最期まで何もしてあげられない」
「ならば覚えていてあげなさい。人が死ぬのは肉体が滅んだ時だけではありません。
誰にも思い出されなくなった時、その人は本当に世界から消えてしまうのですから」
「でも……何も出来なかった。最期まで何もしてあげられない」
「ならば覚えていてあげなさい。人が死ぬのは肉体が滅んだ時だけではありません。
誰にも思い出されなくなった時、その人は本当に世界から消えてしまうのですから」
ベルカナがイエローから魔剣を借り受ける。薄刃だと言ってもかなり重い。
いや外見から判断するならかなり軽いと言うべきか。浮遊する魔剣でなかったら
人並み以下の筋力しかないベルカナは、持ち上げるどころか動かす事すら出来ないだろう。
血が飛び散らないようシーツを丈にかけた。イエローに直視させないためでもある。
そしてゆっくりと魔剣を振り上げた。
いや外見から判断するならかなり軽いと言うべきか。浮遊する魔剣でなかったら
人並み以下の筋力しかないベルカナは、持ち上げるどころか動かす事すら出来ないだろう。
血が飛び散らないようシーツを丈にかけた。イエローに直視させないためでもある。
そしてゆっくりと魔剣を振り上げた。
「辛ければ後ろを向いて、耳を塞いでいても構いません」
「……」
「……」
イエローは小さく首を横に振った。目を逸らさないと決めたのだ。
○ ○ ○
綺麗な湖の湖畔に城戸丈は座っていた。
見覚えのある景色。
始めは嫌っていた景色。
今となっては懐かしい景色だった。
見覚えのある景色。
始めは嫌っていた景色。
今となっては懐かしい景色だった。
「なにボーっとしてんのさ」
いつの間にか隣に座っていたアザラシのような奇妙な生物が丈に話しかけた。
「ちょっと考え事をね」
「ふーん、それで何考えてたの? おいらにも教えてよ」
「人間とデジモンは分かり合えたよね。だから人間同士もきっと分かり合えるよねって」
「当たり前のことだろ。つまんないこと考えてたんだな」
「そうだよね。当たり前のこと、だよね」
「それより勉強、頑張れよ。医者になるんだから血も怖がらないようにならなきゃいけないぜ」
「ははは、血にはね、もう……慣れたよ」
「ふーん、それで何考えてたの? おいらにも教えてよ」
「人間とデジモンは分かり合えたよね。だから人間同士もきっと分かり合えるよねって」
「当たり前のことだろ。つまんないこと考えてたんだな」
「そうだよね。当たり前のこと、だよね」
「それより勉強、頑張れよ。医者になるんだから血も怖がらないようにならなきゃいけないぜ」
「ははは、血にはね、もう……慣れたよ」
ゆっくりと遠くの景色が静かに消えてゆく。
砂城が風にさらわれるように崩れて消えてゆく。
その中に友人達や家族の笑顔が浮かんでは消えゆく。
消え行く世界の中、丈の瞳から涙が零れ落ちた。
砂城が風にさらわれるように崩れて消えてゆく。
その中に友人達や家族の笑顔が浮かんでは消えゆく。
消え行く世界の中、丈の瞳から涙が零れ落ちた。
○ ○ ○
「本当にこの部屋で良いのですか?」
「……うん」
「……うん」
これから長時間の休息を取らねばならない、そうベルカナが提案した時、
イエローは丈を送り出したこの部屋で休むと答えた。
あまり良い傾向ではない。純粋であるが故に自分で何でも背負い込む危うさを秘めている。
イエローは丈を送り出したこの部屋で休むと答えた。
あまり良い傾向ではない。純粋であるが故に自分で何でも背負い込む危うさを秘めている。
丈の遺体は、血塗れのシーツごと部屋にあった大きな瓶の中へ隠し蓋をした。
目的は血の匂いを隠す事、そして丈には悪いが休息中の精神的な負担を考慮してだ。
目的は血の匂いを隠す事、そして丈には悪いが休息中の精神的な負担を考慮してだ。
「そうですか。では鍵を掛けますよ」
魔法で部屋の鍵がカチリと掛かった。これで魔法を解かない限り、開ける事は出来ない。
窓もなく侵入者を防げる代わりに、万が一の時に逃げ場もない。
あまり良い休息場所ではないが、どうせ安全な場所などないのだからマシな方だろう。
窓もなく侵入者を防げる代わりに、万が一の時に逃げ場もない。
あまり良い休息場所ではないが、どうせ安全な場所などないのだからマシな方だろう。
「……」
イエローは壁際に座り込んで血の付いたテーブルと置くにある瓶をジッと見つめていた。
その周囲をダイレクがそわそわと漂うように浮かんでいる。ベルカナは小さな溜息を吐いた。
その周囲をダイレクがそわそわと漂うように浮かんでいる。ベルカナは小さな溜息を吐いた。
(まったく面倒な依頼をされてしまいましたわね)
こちらから首を突っ込んだとは言え、正式に依頼されたのだから受けないワケには行かない。
なにせ支給品に首輪、『ご褒美』を貰う権利の1/3と破格の報酬を前払いされてしまったのだから。
ベルカナは静かにイエローの隣に座ると彼女を抱き寄せた。
なにせ支給品に首輪、『ご褒美』を貰う権利の1/3と破格の報酬を前払いされてしまったのだから。
ベルカナは静かにイエローの隣に座ると彼女を抱き寄せた。
「もう堪える必要はありません。気が済むまでお泣きなさい」
泣き出したイエローが疲れて眠るまで、ベルカナはずっと彼女を優しく撫でていた。
長く長く続いた朝は、こうして終わりを迎えた。
【F-3/城の一室/1日目/午前】
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:擦り傷多少、破ったシーツを身体に巻きつけた、深い悲しみ、睡眠中
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー
[道具]:スケッチブック、基本支給品
[思考]:睡眠中
第一行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第二行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第三行動方針:できれば、服を取りに戻りたい
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:ダイレクのソードエレメンタルは魔力を必要とするため使用不可
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:擦り傷多少、破ったシーツを身体に巻きつけた、深い悲しみ、睡眠中
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー
[道具]:スケッチブック、基本支給品
[思考]:睡眠中
第一行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第二行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第三行動方針:できれば、服を取りに戻りたい
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:ダイレクのソードエレメンタルは魔力を必要とするため使用不可
【ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT】
[状態]:健康、睡眠中、精神力ギリギリ(最下級魔法1個でも使えば即気絶)
[装備]:返響器@ヴァンパイアセイヴァー、おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:基本支給品、木の枝、黙陣の戦弓(矢:10本)@サモンナイト3、首輪@城戸丈
[思考]:睡眠中
第一行動方針:6時間以上眠る。何をするにしても回復をしないと……
第二行動方針:丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第三行動方針:仲間集め(イエローと丈の友人の捜索。ただし簡単には信用はしない)
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
部屋の鉄扉に施錠魔法が掛かっている為、外からは解呪か扉を破壊するかしないと開きません。
[状態]:健康、睡眠中、精神力ギリギリ(最下級魔法1個でも使えば即気絶)
[装備]:返響器@ヴァンパイアセイヴァー、おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:基本支給品、木の枝、黙陣の戦弓(矢:10本)@サモンナイト3、首輪@城戸丈
[思考]:睡眠中
第一行動方針:6時間以上眠る。何をするにしても回復をしないと……
第二行動方針:丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第三行動方針:仲間集め(イエローと丈の友人の捜索。ただし簡単には信用はしない)
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
部屋の鉄扉に施錠魔法が掛かっている為、外からは解呪か扉を破壊するかしないと開きません。
【城戸丈@デジモンアドベンチャー 死亡】
- アイテム紹介
【魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー(家庭用)】
ダークハンターの魔人ドノヴァン=バインが使用していた意思を持つ魔剣。
外見は2m近い魔剣で刃渡り160cm、幅40cm程(目算)の薄刃の平たい大剣。
剣先が缶切りのような鉤型になっている。剣先の宝石が眼、鉤型が口に見えなくもない。
魔剣自体の魔力で浮いており、手に持たないで振り回すタイプの武器。攻撃を防ぐにも便利。
鞘はなく抜き身で所有者の側に浮いており、意思に答えて飛び回るように相手を斬る。
手元から離れた位置では細かい操作は出来ない(飛んでけとか、戻って来いとかくらい)。
空中で魔剣に飛び乗って突撃する事も可能で、短距離ならば移動にも使える。
ダークハンターの魔人ドノヴァン=バインが使用していた意思を持つ魔剣。
外見は2m近い魔剣で刃渡り160cm、幅40cm程(目算)の薄刃の平たい大剣。
剣先が缶切りのような鉤型になっている。剣先の宝石が眼、鉤型が口に見えなくもない。
魔剣自体の魔力で浮いており、手に持たないで振り回すタイプの武器。攻撃を防ぐにも便利。
鞘はなく抜き身で所有者の側に浮いており、意思に答えて飛び回るように相手を斬る。
手元から離れた位置では細かい操作は出来ない(飛んでけとか、戻って来いとかくらい)。
空中で魔剣に飛び乗って突撃する事も可能で、短距離ならば移動にも使える。
ちなみに意思を持つからといって喋るわけでも自己主張をするわけでもない。
暇な時に魔剣のくせにグニャリと曲がってダラけたり、ニヤニヤ笑ったりするくらい。
暇な時に魔剣のくせにグニャリと曲がってダラけたり、ニヤニヤ笑ったりするくらい。
主な攻撃特殊技
- キルシュレッド:魔剣を地面などに刺した後、敵に飛ばす技(遠くからでも可能)。
目標を目掛けて回転しながら飛び、ブーメランのように帰って来る。
地面に刺した剣に小さな落雷を呼ぶことも出来るが、魔力消費が必要。
地面に刺した剣に小さな落雷を呼ぶことも出来るが、魔力消費が必要。
- ソードエレメンタル(以下の3種類があり使用者に適正と魔力消費が必要と思われる)
イフリートソード:炎の精霊を呼び出し、魔剣に炎を纏わせ斬り上げる。
ライトニングソード:雷の精霊を呼び出し、魔剣に雷を纏わせ連続突きを出す。
ブリザードソード:氷の精霊を呼び出し、魔剣から氷の結晶を飛ばして凍結させる。
ライトニングソード:雷の精霊を呼び出し、魔剣に雷を纏わせ連続突きを出す。
ブリザードソード:氷の精霊を呼び出し、魔剣から氷の結晶を飛ばして凍結させる。
≪073:それはきっと唯一の方法 | 時系列順に読む | 077:邂逅≫ |
≪075:這い上がるくらいで丁度いい | 投下順に読む | 077:邂逅≫ |
≪058:地獄巡り | イエローの登場SSを読む | 078:悲しみを越えて≫ |
ベルカナの登場SSを読む | 084:籠の中の鳥達≫ | |
城戸丈の登場SSを読む | GAME OVER |