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  • ろりしょたばとるろわいある@ うぃき
  • 籠の中の鳥達

ろりしょたばとるろわいある@ うぃき

籠の中の鳥達

最終更新:2010年10月19日 23:15

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だれでも歓迎! 編集

籠の中の鳥達 ◆o.lVkW7N.A


意識が、暗褐色の闇の中から引き戻される。
まだまだ寝足りぬとでも言うように手招きする泥のような眠気を振り払って、葵はどんよりと瞳を開けた。
身体が、鉛で塗り固められたかのようにずっしりと重い。
「ん……、皆本はん、もうちょっと寝かせて……」
まだ寝ぼけ半分な頭でそう不平を呟きながら、毛布を肩までたくし上げようとして、気付く。
そこがいつものふかふかした布団ではなく、冷たく堅固な石造りの床であることに。
背中を襲うじんわりとした痛みに眉を顰めながら身体を起こし、ぱちぱちと瞬きをする。
次第にはっきりと色を成していく視界と共に、葵は現在の状況を思い出す。

殺し合いをしろと命令した、ジェダという名の不気味な男。
初めて至近距離で目の当たりにした、血臭と硝煙の入り混じった命の途切れる瞬間。
突然自分を襲ってきた、頭のおかしい金髪の少女。

そして――。

葵は思い出したくなかったその事実に気が付き、ぞくりと背筋を振るわせた。
冷たい汗の流れる首筋に手をやると、平時よりも少しばかり脈拍が速まっている。
固唾を呑んで恐る恐る、自身の左足――、否、左足がある筈の箇所に目をやる。
「……っ!!」
目にした瞬間、即座に瞳を逸らした。
見てしまったことを後悔するが、既に遅い。
一度網膜に焼きついた映像は消えることなく、きっちりと克明に葵の海馬へと刻み込まれる。
膝から上がすっぱりと無くなった左足は、妙に気分を粟立たせ、寒々しくさせるものだった。
どうして、そこにあるべきものが無いというだけで、こんなにも気色悪く感じるのだろう。
爆破によって落とされた断面は、ひどく不恰好に、ぎざぎざとささくれ立って千切れていた。
ぐちゃぐちゃに混じり合った血とリンパ液とでコーティングされ、てらてらと下品に光る潰れた柘榴のような赤い肉。
こねかけのハンバーグのようなその切断面が、ぬらぬらとこちらに表面を見せ付けている。
その肉と、焼け焦げた皮膚との間にちらと姿を見せる、黄色いぷつぷつとした脂肪の薄い層。
中央から砕け割れた先端を刺々しく突き出す、少し灰色がかった大腿骨。
ぱっくり開いた禍々しい傷口から溢れ出るぶよんぶよんした毒々しい色味の肉塊。
それが自分の身体の一部だなどと、葵は信じたくなかった。

「ウチの、ウチの足が……」

そのあまりの気味の悪さに、葵は泣きたくなった。
チルドレンの任務として災害時の救助活動を多くこなしている葵は、重症患者の傷口など見慣れている。
内臓破裂、複雑骨折、全身打撲、広範囲火傷、貫通銃創、刺傷、裂傷、四肢欠損。
けれど、そんな経験は今、何の役にも立たなかった。
目にしているのが自分の傷口だというだけで、こんなにも冷静さが失われる。
こんなにも悲痛で、空虚で、やり切れない、底の無い沼のような絶望に駆られる。

葵はすんすんと鼻を鳴らし、一滴の涙を頬に伝わせた。
しかし、悠長に泣いている暇すら、彼女には存在しなかった。
唐突に感じた背後の人気にただならぬ禍々しさを感じ取り、鼓動がどくんと強く鳴る。
怯える想いを胸の奥底へと押し込めて、首の動きだけでゆっくりと後ろを振り向いた。

「あら、目が覚めたのね?」

青い髪の少女が、極上の笑みを葵に向けて嬉しそうに告げた。
まるで『おはよう』の挨拶でもするかのように、朗らかなその声音が、けれど葵には何より恐ろしい。
笑いながら自分を襲ってきた先ほどの少女を、彼女の微笑は嫌でも思い起こした。
また、あんな目にあうのは嫌や。左足がなくなって、今度は右足? それとも全身?

「……あ、ひ、嫌っ、嫌やぁっ!!」

絶対的な攻撃の中に飲み込まれる恐怖。両足を失う恐怖。そして何より、死の恐怖。
それらを想像し、胸の奥がみしみしと音を上げて凍り付いた。
一斉に全身の血の気が引き、マイナスまで下がりきったかと不安になるほど、体温が急降下する。
冷たくなった青白い指先を握り締め、恐慌にカタカタと肩口を震わせながら葵は考える。
本人の言葉を信じるならば、この少女は、先ほど葵に攻撃を仕掛けてきた相手の姉なのだ。
どんなに穏やかそうに見えても、いや、穏やかそうに見えるからこそむしろ、妹同様に問答無用で襲って来る可能性は高い。
勿論、気を失っていた自分を殺さなかったからには、単純な殺戮者ではないかもしれない。
けれどあのとき、金色の髪をした少女は確かに言ったのだ。

――『一緒に遊んでくれる?』と。

もし、目の前の彼女が妹と似た思考回路を持っているとしたら。
もし、目の前の彼女が妹と似た攻撃方法を有しているとしたら。
もし、目の前の彼女が妹と似た加虐嗜好を秘めているとしたら。

きっと、気絶した相手は殺さない。
そんなつまらないことはしない。そんな勿体無いことはしない。
絶対に、目が覚めたのを見計らって遊び相手にしたがるはずだ。
あの、ふざけた『弾幕ごっこ』とやらの。

「……ちょっと貴方、返事くらいしなさいな」

そう話しかける声を無視し、葵は無我夢中で鼻先にしゃがみ込んだ少女の前から転移した。
息が切れるのもかまわず、幾度となくテレポートを繰り返して城内を上へ上へと向かって移動していく。
しかし、そのスピードはにわかには信じられないほどに遅い。
世界最速の記録を持つ葵は、100パーセントの実力を発揮できれば、毎秒1キロ以上のペースで飛行することすら可能なのだ。
その速度に慣れている彼女にとって、今のそれは、さながらミミズがのたうっている程度のものに感じられた。
唇の端を前歯で噛んで苛立ちを抑えながら、次々とテレポートを重ねる。
陽光のろくに差し込まない地階の一室から、埃っぽいワインセラーへ。
舞踏会でも開けそうな一階の大広間に、一度に数十人は食事を取れそうな食堂室。
更に、真上にある二階の寝室、私室、書斎、書庫。
高速で空間を跳び続け、順に各部屋を移動する葵に、取り立てて目標の地点は存在しなかった。
地下室の少女からは少しでも離れたかったが、片足を失った現状で城外へ逃げるのは不安が残る。
城中で安全そうな場所に身を隠し、相手が追ってきたらテレポーテーションで戸外へと逃れるのが最適だろう。

とはいえ葵は、決して冷静な思考の元にテレポートをしていたわけではない。
とにかくどこでもいいから身を潜められる場所を探して、あちらこちらへ跳躍していただけだった。
だから彼女は、この城内に存在する他者の気配になど気付く余裕はなく、結果――――。

「……誰か、おる!?」

転移して初めて、その部屋に人がいるのを知ったのだった。

葵がテレポートした一室は、これまで見た中でも特にがらんとした質素な内装の部屋だった。
一枚板の大きなテーブルと整理戸棚のほかは何も無く、ベッドすら置かれていない。
そんな簡素な室内で、少女が一人、丸まるようにして眠りについていた。
すーすーと安らかな寝息の中、時折息苦しそうに眉をしかめる長い栗色の髪の少女。
シーツの一枚も掛けずに寝入っている彼女を目の当たりにした葵はひどく驚き、すぐさま己の迂闊さを呪った。
いつもなら、周囲の状況は紫穂がサイコメトリーで確認してくれるのだが、今ここに彼女はいない。
自分で気をつけなければいけなかったのに、なんと間が抜けていたことか。
しかし幸い、対する少女は眠りが深いのか、葵の気配にも起き出す様子は無い。
急いで別の場所にテレポートし直そうとした葵は、しかしふとあるものに興味を奪われる。
それは、彼女のお尻の下にある陶製の大振りな瓶だった。
転移したとき、偶然真下にあったその瓶の縁に、葵はちょこんと腰掛けていたのだ。
ひんやりとした陶器の感触。その中から匂う独特の香りに、葵は鼻をひくつかせる。

「……何やろ、この臭い」

蓋の隙間から立ち上る生臭い臭気。それは、普段ならば気に留めることなく通り過ぎてしまうほど微かなレベルの匂いだ。
しかし、自身の左足という最悪の代償を支払った葵にとって、それは決して忘れられないものだった。
よくよく嗅ぎ慣れたその悪臭が何なのか、葵は中を見ずとも容易に推測できた。

――それは、血の香り。
汚くて臭くて気持ち悪くて吐き気を催す、そんな血の香り。

確認などしたく無かった。けれど、それが誰のものなのか、葵は確認しなければならなかった。
薫と紫穂に何も起きていないことを自分の目で確かめるには、他に手段は無い。
目をぎゅっと瞑り、テレポーテーションで中に入っていたものを床の上へと転送させる。
瞬間、現れたバスケットボール大の球形は、葵の視線の先をころころと転がった。
うっすらと埃の積もった毛足の長い絨毯の上で勢いを失ったそれは、葵の心臓を鷲掴むのに十分足りるものだった。
色を失い、蝋人形のように表皮を青白くしたそれは、全体を血で覆われた少年の頭部だった。
鋭利な刃物で切断されたのだろうか、すっぱりと切り落とされた断面から覗く筋肉の赤茶色が目に痛い。
既に何者も映さない落ち窪んだ眼窩から、光を失った双眸が恨みがましくこちらを射抜く。
その瞳が親友達のもので無いことに、葵は一瞬安堵する。
しかし、それはあくまでその一瞬のことでしかなかった。
怨めしそうな視線の刃で葵を真直ぐに捕らえる、眼前の生首。
ころんころんと転がって、葵の足元でその動きを止めた、眼前の生首。
未だ切口からじくじくと鮮血を滲ませ、最前まで生きていたことを予測させる、眼前の生首。

その呪い殺されそうな視線が自身のそれと交叉し、耐え切れず葵はくぐもった叫びを上げる。

「――――ひ、ぁぁぁあああああっ!!」

喉から漏れた叫声と共に、彼女の頭上に降り注いだのは、大小様々な石礫の雨だった。
床を、壁を、扉を叩く小石の山は、葵の耳を掠め、生首の額を容赦なく打ち割り、部屋一面を埋め尽くす。
バラバラと激しい音を立てて降る石にも構わず、葵は恐怖に震える自分自身の身体を抱きすくめた。
両腕を薄い胸元に回し、すーはーとゆっくり深呼吸。
それでも恐慌はやむことなく、むしろじわじわと葵の心を侵し蝕んでいく。
それはさながら、食虫植物の放つ粘液のようだ。
ゆるゆると葵の精神を絡めとり、絶望という名の狂気に彼女の思考を向かわせる。

「何でやの!? 何で皆、本当に殺したりすんねや……」

嗚咽まじりの呟きが、ばら撒く小石の質量を倍増させる。
虚空から突然出現し、大粒の雨垂れのように落下する幾筋もの石塊は、葵の意思ですら簡単に制止できるものではなかった。
高レベルのテレポーターが、感情の爆発によって力を抑制しきれなくなった場合、稀に現出する『石降り現象』。
周囲の事物を無茶苦茶に転移させ、己の手元に引き寄せてしまうこの現象は、一度始まれば容易には終えられない。
度重なる恐怖、左下肢を失った悲しみ、そして再び見せ付けられた無残な屍の衝撃。
まだ幼い葵にとって、それらのもたらす動揺は強烈に過ぎた。
彼女の精神は、時を置かず次々に襲われた数々のショックによって、もはや限界だったのだ。

「皆、馬鹿や。あの金髪と青髪の外人はんも、こいつも、みぃんな大馬鹿者や!!」

     *     *     *

勢いの強い雨水が窓を打つようなパラパラという音に、ベルカナは眠い目を擦った。
身体は、未だ重かった。
腕にはめていた時計へ反射的に目をやれば、先ほど眠りについてから既に数時間が経過している。
しかし、固い床の上での睡眠は負担も大きく、体力も精神力もさほど回復はしていなかった。
せいぜいが、低レベルの魔法を数回使えるかどうか、といったところだろうか。
横になっていた身体を起こし、隣で眠っているイエローに目をやる。
小さく膝を折り、汚れたシーツを頭まで被ったイエローは、布切れが丸まっているだけのように見える。
しかし、小柄な身体の全身をシーツですっぽりと覆っているのは、単に暖かいからというだけではないだろう。
その薄い殻に篭ることで、悲しみと辛さを少しでも紛らわそうとしているのか。
それとも逆に、絶対に忘れないようにと、夢の中でも『彼』のことを脳裏に刻み込んでいるのか。
寝息すら立てない静かなイエローの身体に哀れむような視線を送って、ベルカナはそっと身体を起こす。
耳障りな音の正体を確かめるため、鉄格子つきの窓から外の天気を覗こうと立ち上がりかける。

「お早う姉ちゃん、……ウチのせいで起こしてしもた?」
「えっ?」

あまりに突然掛けられた声にベルカナは戸惑い、落としていた目線を前方へと向ける。
思わず、鼓動が唸りを上げた。
あまりにも予想外、計算外。突然の事態に、迅速には状況が把握できない。
目と鼻の先に直立する見知らぬ少女。
暗い瞳でベルカナを一心に捉える彼女は、それほどベルカナにとって驚異的な存在だった。
床の上に置いたままだった戦弓を咄嗟に掴み、構えると、対する少女が薄笑いを浮かべた。
その笑みに単なる自意識過剰を超えた優越感が含まれているのを感じて、ベルカナは困惑する。
少女の表情には、確かに怯えが多分に宿されている。
しかし一方で、胸を狙って番えられた矢に対しては、一切の恐れを抱いていない。
それは、ベルカナにとって理解不能な反応。
けれど何より推測していなかったのは、そもそもこの室内に第三者が居るという、大前提。

「どうして、ですの……? どうやってこの部屋に……」
「ん? もしかしてあのドア、鍵かかってたん?」

無意識的に放ったベルカナの言葉に反応し、少女は驚いたように問い返す。
もっとも、ベルカナはその問に答えない。
今の言動が、余裕ゆえの冗談なのかブラフなのか、それとも他に何か意味があるのか、彼女には分からない。
相手のペースに乗せられ、余計な事を口に出す必要は無い。
しかしベルカナのその沈黙は、相手にとって意味を成すものではなかった。

「教えてくれへんなら、別にええわ」

少女はそう口にして、ベルカナの目の前から煙のように掻き消える。
瞬間、我が目を疑った彼女が瞬きをする間もないうちに、しかし相手は再びベルカナの視線の先へと姿を現した。
出現先は、十メートル近く離れた背後の扉。
巨石で造られた分厚く堅牢なその扉をコンコンと後手でノックし、納得したように呟く。

「あ、本当やな。押しても引いても全然開かんわ」
「なっ……、テレポート、ですの!?」

目の当たりにした事態に驚きを隠せず、ベルカナは思わず声を荒げる。
その言葉に気を良くしたのか、少女の口元には再び薄い笑みが宿る。

「へぇ? 姉ちゃん、ウチの能力のこと知ってるんや」

揶揄するようなその口調。しかし、対峙するベルカナにとっては、その口ぶりすら焦燥を煽る材料だ。
相手が今使用してみせた『テレポート』は、かなりの精神力を消費する、それなりのレベルの魔法の筈だ。
ベルカナであっても、そう何度も乱発は出来ない。
しかし、対する彼女といったらどうだ。
その発動の素早さ、目標地までの的確さは無論、あれだけ短い距離に惜しげもなくテレポートを使うだけの圧倒的な余裕。
よほど精神力に自信があるのか、それとも何か、他にからくりがあるのか。
眼前の少女に視線は固定させたまま、ベルカナは冷静に黙考する。
彼女は明らかに、この馬鹿げた遊戯に乗った側の人間だろう。
一部の隙も無く張り詰めさせた空気、泥と爆薬、血で汚れた服装。どこからどう見ても、それは明白だ。

と、そこまで考えてはじめて、ベルカナは彼女の衣服に見覚えがあることに気付いた。
突然の襲撃による混乱で今まで思い出せなかったが、あの水色の上着と短いスカートは確か――。

「その服、あの子と同じ、ですわね……」

     *     *     *

栗色の髪の少女が漏らした言葉に、葵は眉をぴくんとあげて反応する。
今自分が身に着けているこの衣装は、バベルがチルドレン専用に仕立てた特製の制服だ。
葵のほかにこれを着ているのは、この島ではただ二人だけ。
なのにどうして、彼女がこの服を知っている?

「――――あんた、薫か紫穂にまで何かしたん?」

先刻までとは全く違う怒りの炎が、葵の全身を包む。
恐怖に侵され、半分混乱状態にあった先ほどとは異を為す純粋な憤怒。
それが葵の血管を通って、体の隅々、頭の天辺から足の爪先まで、余すところ無く行き渡る。
二人にもし何かあったらと思うだけで、激しい怒りが後から後から湧いてくる。
けれど、彼女にとってそれは必然だ。

葵は、テレポーターという能力の特性上、三人の中でも特にサポート役に回ることが多い。
豪快で強烈な攻撃が得意な割りに、ムラっ気が強く、しょっちゅう暴走する薫。
直接的な戦闘の手立てが存在しない分、純粋な戦いの場では弱者になってしまう紫穂。
そんな二人を常に後ろから援護し、庇護し、補助し、支え、励まし、手助けするのが葵の役割だった。
所詮、派手な能力を持った二人の引き立て役――、そう思って自分が嫌になったこともある。
けれど葵は、心の奥底では既に、ちゃんと分かっていた。
自分のレーゾンデートル。生きる意味。
自分と、自分の能力とが存在する理由、故、その答え。

――それは、薫と紫穂を護ること。

たった三人だけのチームの、その三角形の頂点が一つとして欠けることが無いように、生涯二人を守り続けること。
それが、葵と、葵のテレポーテーションの存在する唯一の理由だった。
それは葵にとって、任務でも日常でも、そしてこの冗談みたいな島でも同じこと。
二人が全力を出せるようバックアップすることが、二人を脅かす存在を限りなくゼロにすることが、自分の使命。
だから、薫と紫穂に害を為すような相手は――――。

「それやったら、ウチがぶち殺したってもええよなぁ?」

激しい言葉と共に、葵は壁際の整理戸棚を目にも留まらぬ速度で移動させる。
無骨な木造の戸棚が転移した先は、相手の頭上数センチ。
重力によって下方へと落下する戸棚が、彼女の全身を押し潰し、溢れる悲鳴さえも飲み込む。
同時に、戸棚の中に詰まっていた皿やグラスが雨霰となって降り注ぎ、鋭利に割れた先端を柔らかな肩口に突き立てた。
圧し掛かる圧倒的な質量と、総身を刺し貫くような鋭い痛み。
傷口から吹き出た真っ赤な血液が、少女の服越しにじゅくじゅくと滲む。
それを満足そうに眺め、葵はヒュンと彼女の喉元へ転移する。
床に散乱したガラス片から、特に大きな一つを拾い上げ、動けぬ相手の首筋にピタりと突きつけた。

     *     *     *

夢の中でイエローは、青く澄んだ綺麗な湖の湖畔に居た。
見覚えは無い、けれどどこか懐かしさを感じさせる、のどかな風景。
そんな場所でどうしてか、レッドと丈が二人してお弁当を広げながら、のんびりごろごろしているのだ。
ピカやフッシー、それにアザラシみたいな変なポケモンが二人の周りをぴょこぴょこ飛び回っている。
湖の中ではギャラやニョロが気持ち良さそうに泳いで、高く波飛沫を上げている。
シートを敷いて、手作りのおにぎりを皆で食べて、お花を摘んだり、木の実を拾ってみたり。
そんな暢気な、楽しい楽しいピクニック。
イエローとベルカナは、そんな二人を遠まきに眺め、うらやましくて仕方なくなる。

ボクだって、一緒にピクニックしたい。
ラっちゃんやピーすけ、ドドすけ達。みんな集めて、一緒に遊びたいよ!

そう思ってイエロー達は、全速力で二人の元へと駆ける。
けれどおかしい。どれだけ走っても、イエロー一人だけ、一向にレッド達の元へ辿りつけない。
一緒に走り出したベルカナは、もう二人と一緒にお弁当を食べてるっていうのに。
イエローは悔しくて、さっきよりずっと速く両足を動かす。
息が苦しい、胸が張り裂ける、喉が引きつく。辛くて辛くて、寂しくて寂しくて仕方ない。
足がふらつく。腿の筋肉が悲鳴を上げて、今にも地面に倒れ込みそう。

「レッドさん!! 丈さんっ!! ベルカナさーん!」

叫ぶ。声が枯れそうなほど、喉が焼け付きそうなほどに大きな声で、三人に向かって名を呼ぶ。
けれど誰も、イエローの叫びには応えない。
否、そもそも気付いてくれない。
イエローがいくら絶叫しても、自分の姿は彼らに映らず、自分の声は彼らに聞こえない。
皆、楽しそうに笑っているのに、イエローだけは一人ぼっちのまま。

「レッドさーんっ!! 丈さぁーん!! ベルカナさんーっ!! ねえ、返事してよ! してってば!」

ついに脚が限界を訴え、イエローはその場に崩れ落ちる。
孤独と絶望に飲み込まれ、ぽたぽたと涙が滴り落ちる。
視界の先の三人は、それでも尚、にこにこ笑顔でおにぎりなんかぱくついていて。

「……置いてかないでよ。ボクだけ置いてかないでよ!!」

     *     *     *

バラバラと鳴る雨音のようなリズムと、直後に聞こえた誰かの話す声。
シーツに包まったイエローがそれらに気付き目を覚ましたのは、ベルカナに遅れること僅か一分足らずのことだった。
しかしその一分足らずの間に、自体は後戻りできないところまで進んでしまっていた。
欠けた歯車同士が偶然噛みあい、回ってしまうこともある。
葵とベルカナ、それぞれの誤解もまた、そういった類のものだった。

耳の側で鳴り響いた激しい轟音と振動に気付き、もぞもぞとシーツから僅かに顔を出す。
まだ眠た気な頭で周囲に目をやった彼女は、あまりに信じられない光景に声を呑んだ。
恐怖に、足ががくがくと震えた。
けれど、何度瞬きをしても眼前の光景は消えず、それが事実だとイエローに教え込む。

存在する筈の無い少女。
彼女が手にする、尖ったグラスの破片。
戸棚に押し潰され、身動きの取れないらしいベルカナ。
その体から流出する、大量の血液。

――そう、イエローが漸く目を覚ましたとき、既にそこは戦場に変わっていた。
絶対安心な揺り篭は今や、四方を断たれた鳥篭だ。
逃げ場の無いその檻の中、囀る二羽を子猫は狙う――。


【F-3/城の一室/1日目/午前】
【イエロー・デ・トキワグローブ@ポケットモンスターSPECIAL】
[状態]:擦り傷多少、破ったシーツを身体に巻きつけた、深い悲しみ 
[装備]:シルフェのフード@ベルセルク、魔剣ダイレク@ヴァンパイアセイヴァー
[道具]:スケッチブック、基本支給品
[思考]:ベルカナさんが危ない!
第一行動方針:何とかしてベルカナを助け、二人でこの場から逃げる。
第二行動方針:レッド達と合流し、このゲームを破る方法を考える
第三行動方針:丈の友人と合流し伝言を伝え、協力を仰ぐ
第四行動方針:できれば、服を取りに戻りたい
基本行動方針:ゲームには絶対乗らない
参戦時期:2章終了時点(四天王との最終決戦後。まだレッドに自分の正体を明かしていない)
[備考]:ダイレクのソードエレメンタルは魔力を必要とするため使用不可

【ベルカナ=ライザナーザ@新ソードワールドリプレイ集NEXT】
[状態]:戸棚の下敷き(骨折等の可能性大)、ガラス片による裂傷多数、精神力ギリギリ(最下級魔法2、3回使えば即気絶)
[装備]:返響器@ヴァンパイアセイヴァー、おみやげのコイン@MOTHER2
[道具]:基本支給品、木の枝、黙陣の戦弓(矢:10本)@サモンナイト3、首輪@城戸丈
[思考]:何とかしないと……、ここで死ぬわけにはいきません。
第一行動方針:何とかして葵を倒すか、逃げる。(無理ならイエローだけでも逃す)
第二行動方針:丈からの依頼を果たせるよう努力はする(無理はしない)
第三行動方針:仲間集め(イエローと丈の友人の捜索。ただし簡単には信用はしない)
第四行動方針:丈の首輪を調べる。または調べる事の出来る人間を探す。
基本行動方針:ジェダを倒してミッションクリア
参戦時期:原作7巻終了後
[備考]:制限に加え魔法発動体が無い為、攻撃魔法の威力は激減しています。
部屋の鉄扉に施錠魔法が掛かっている為、外からは解呪か扉を破壊するかしないと開きません。

【野上葵@絶対可憐チルドレン】
[状態]:左足損失
[装備]:無し
[道具]:支給品一式、懐中時計型航時機『カシオペア』@魔法先生ネギま!、飛翔の蝙也の翼@るろうに剣心
[思考]:二人に何かしたんなら、ウチがぎったんぎたんにしたるわ!
第一行動方針:薫か紫穂の情報を聞きだした後、ベルカナを殺す。
第二行動方針:レミリアかフランドールに出くわしたら、逃げる
基本行動方針:薫や紫穂に会いたい。

【F-3/城内地下/1日目/午前】
【レミリア・スカーレット@東方Project】
[状態]:回復して元気/葵から血を飲む時に零して服は血塗れ
[装備]:ゲイボルグ@Fate/stay night/飛翔の蝙也の爆薬(残十発)@るろうに剣心
[道具]:支給品一式、シルバースキンATの核鉄(No.52)@武装錬金
[思考]:あの子ったら、私におはようのあいさつもしてくれないなんて。
[備考]:シルバースキンATは185cmのブラボーサイズで生成されます。
第一行動方針:葵を追いかけて城内を探すか、ほっといてフランドールを捜しに行くか考え中。
第二行動方針:血塗れになった服の替えはどうしよう。
第三行動方針:暇になったら爆薬で加速の実験をして遊んでみる。
基本行動方針:フランドールを捜す。
※:F2000R(残弾23/30)@とある魔術の禁書目録は床に転がっています。
レミリアが回収した可能性については、次の書き手さんに任せます。

【石降り現象】
単行本6巻で葵が見せた現象。
空間移動能力者が、怒りや悲しみといった感情の爆発によって力を抑制しきれなくなった場合、稀に起こる。
周囲の特定物を無茶苦茶に転移させ、己の手元に引き寄せ、天井付近から雨のように降らせる。
一旦始まると、葵の精神がある程度安定するまで現象が続くため、周囲には大迷惑。
ちなみに単行本では、石ではなく大量の生きた魚を降らせていた。

≪081:【急ぐは大切、されどもあせりは禁物】 時系列順に読む 088:正義は必ず≫
≪083:嘲笑 投下順に読む 085:後悔は後で悔いること≫
≪078:悲しみを越えて イエローの登場SSを読む 097:エスパー・フィーバー≫
≪076:命の選択を ベルカナの登場SSを読む
≪004:油断一秒重傷に 野上葵の登場SSを読む
レミリアの登場SSを読む 091:紅楼夢≫

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