The worst selection ◆0gyFSm2QyM
『今まで出会ったどんな悪魔より悪魔らしかったぜ』
小屋の中から聞こえてきたのは仲間の少年の一言。
音にすればたった二十五音のその言葉。
しかしその言葉は今のなのはには重く圧し掛かる。
音にすればたった二十五音のその言葉。
しかしその言葉は今のなのはには重く圧し掛かる。
自分は、出来るだけ誰も死なさず誰も殺させないとして、その為になら悪魔にでもなると決めたはずなのに。
絶対守ると、決めたはずなのに。
絶対守ると、決めたはずなのに。
ヴィータを傷つけてまで止めた、あの後。
ニケの態度は明らかに変わっていた。怯えた表情で、此方の出方を伺うような口調で。
……明確な、畏怖。
インデックスやエヴァが持った感情とはまた違ったもの。
そして……なのはの行為を見た正常な人間が持つであろう感情。
ニケの態度は明らかに変わっていた。怯えた表情で、此方の出方を伺うような口調で。
……明確な、畏怖。
インデックスやエヴァが持った感情とはまた違ったもの。
そして……なのはの行為を見た正常な人間が持つであろう感情。
「…………え………」
そう思われることは覚悟していたというのに。
実際の所はどうだ。自分は明らかにショックを受けている。
本当に、気にしていないのなら、先ほどの言葉も流して、
目の前のドアノブを開ける筈なのに。
実際の所はどうだ。自分は明らかにショックを受けている。
本当に、気にしていないのなら、先ほどの言葉も流して、
目の前のドアノブを開ける筈なのに。
開けない。開ける事ができない。
また厄介者扱いされるのではないか、そんな気がして。
ニケだけでなくインデックスも、勝もエヴァも、そしてヴィータも。
全てが自分を拒絶しているように思えてきた。
そんな事はないと信じようとしても、次から次へと疑念が湧いて来る。
深く考えれば考えるほど、思考が泥沼に嵌っていた。
もしかして彼らは仲間のフリをしているのではないか、あんな行動を取った自分を追い出そうとしているのではないかと。
ほんの僅かな時間で、考えは段々悪い方向へと発展していった。
ここで勝が追いついていたとすれば、また展開は違っただろう。
だが、彼女は急ぎすぎた。それが仇となった。
また厄介者扱いされるのではないか、そんな気がして。
ニケだけでなくインデックスも、勝もエヴァも、そしてヴィータも。
全てが自分を拒絶しているように思えてきた。
そんな事はないと信じようとしても、次から次へと疑念が湧いて来る。
深く考えれば考えるほど、思考が泥沼に嵌っていた。
もしかして彼らは仲間のフリをしているのではないか、あんな行動を取った自分を追い出そうとしているのではないかと。
ほんの僅かな時間で、考えは段々悪い方向へと発展していった。
ここで勝が追いついていたとすれば、また展開は違っただろう。
だが、彼女は急ぎすぎた。それが仇となった。
そして次に彼女がとった行動。
それは先ほどまでに彼女が積み上げた全てを壊した。
それは先ほどまでに彼女が積み上げた全てを壊した。
――小屋の前から離れ、『翔』のカードを起動させた。
足首の辺りから羽が生え、彼女の体が宙に浮く。
そして手に八卦炉を持ち、ある方向に向かって全速力で飛び始めた。――逃げるように。
足首の辺りから羽が生え、彼女の体が宙に浮く。
そして手に八卦炉を持ち、ある方向に向かって全速力で飛び始めた。――逃げるように。
南は人が集まりやすそうな街だ。おそらく他の参加者がそこそこいるに違いない。
そして自分が先程提案したように、中心部を目指す為におそらく北東部に向かって仲間は向かうだろう。
今は誰にも会いたくない、なら見晴らしの悪い所、例えば森のような場所がある所がいい――これらを考えるなら、
――残るのは北西しかない。
そして自分が先程提案したように、中心部を目指す為におそらく北東部に向かって仲間は向かうだろう。
今は誰にも会いたくない、なら見晴らしの悪い所、例えば森のような場所がある所がいい――これらを考えるなら、
――残るのは北西しかない。
今彼女の心を占めるのは、拒絶という疑惑から発展した絶望。
ただ、一過性の感情、それで彼女は全てを壊した。
自ら積み上げたはずの強固な決意も、仲間だった者達との関係も、そして自らの目的さえも。
ただ、一過性の感情、それで彼女は全てを壊した。
自ら積み上げたはずの強固な決意も、仲間だった者達との関係も、そして自らの目的さえも。
普段の彼女からすれば絶対に選ばないであろうその選択。
それを選んでしまったのは、たった一言の仲間の言葉から生み出された疑念。
彼女は悪魔であろうとする以前に、ただの少女だった。
下手に悪魔になりきれなかった事が、結果としてこの選択へとたどり着かせてしまった
それを選んでしまったのは、たった一言の仲間の言葉から生み出された疑念。
彼女は悪魔であろうとする以前に、ただの少女だった。
下手に悪魔になりきれなかった事が、結果としてこの選択へとたどり着かせてしまった
高町なのはは『逃げる』という『最悪の選択』を行ってしまったのだ。
◇ ◇ ◇ ◇
「ふっ、はっ…なのはちゃん急ぎすぎ……」
才賀勝は先に行ったなのはを追うために山の中を疾走していた。
自分の体格には不釣りあいな大きな剣を持ち、尚且つ先ほど負った打撲の影響でスピードはそれほど出ない。
それに、追いつこうとして先を急ぎすぎたあげく、道を間違えた。
結果、下手に迷ってしまった。
才賀勝は先に行ったなのはを追うために山の中を疾走していた。
自分の体格には不釣りあいな大きな剣を持ち、尚且つ先ほど負った打撲の影響でスピードはそれほど出ない。
それに、追いつこうとして先を急ぎすぎたあげく、道を間違えた。
結果、下手に迷ってしまった。
先ほど把握した筈のルートに戻れなくても、山頂に行けば山小屋に着くことは出来るだろう。
上ればいつかは山頂に着くはずと、とりあえず上を目指して走り続けた。
普通ならその判断は正解である――はずなのだが
上ればいつかは山頂に着くはずと、とりあえず上を目指して走り続けた。
普通ならその判断は正解である――はずなのだが
「さ、さすがに疲れてきた……」
慣れない山道。しかもある程度踏み固められている道などではなく、どちらかといえば獣道に近いもの。
そのような道を歩いた上で、体格不相応の荷物を持っていれば体力の消費は著しい。
彼の体力は半ば果てかけていた。足が重く感じられてきていた。
走るスピードが徐々に遅くなる。既に半分、歩いていた。
そのような道を歩いた上で、体格不相応の荷物を持っていれば体力の消費は著しい。
彼の体力は半ば果てかけていた。足が重く感じられてきていた。
走るスピードが徐々に遅くなる。既に半分、歩いていた。
勝は体力を使い果たしかけていることに不安を覚えていた。
何故すぐに元の道に戻ろうとしなかったのか、とも考えたがもう遅い。
何故すぐに元の道に戻ろうとしなかったのか、とも考えたがもう遅い。
「と、とりあえず……少しだけ、5分だけでも休もう……」
すぐそばにあった大きな石に腰掛け、ランドセルからペットボトルを取り出す。
なのはから長く目を離す事に不安もあるし、
それに待たせているニケやインデックス、それに気絶中のエヴァやヴィータの存在を考えても
少しでも早く行くべきではあるのだが、体がそれを許さないほどに疲労し始めている。
それに後々体力を使いすぎたことで足手まといになったら本末転倒だ。
ならばここで少しだけでも体力を回復させるべきだろう。本来なら小屋に着いてからの方がいいのだが仕方ない。
なのはから長く目を離す事に不安もあるし、
それに待たせているニケやインデックス、それに気絶中のエヴァやヴィータの存在を考えても
少しでも早く行くべきではあるのだが、体がそれを許さないほどに疲労し始めている。
それに後々体力を使いすぎたことで足手まといになったら本末転倒だ。
ならばここで少しだけでも体力を回復させるべきだろう。本来なら小屋に着いてからの方がいいのだが仕方ない。
そう考えながらペットボトルの水を少し飲む。
半分温くはなっているが、まだ冷たい水は汗をかいて水分を欲しがる体にはいい清涼剤となる。
そして、出来る限り少しでも多くの体力を回復させるために休憩する体勢に入る。
後々の事を考えた上での判断だった。
半分温くはなっているが、まだ冷たい水は汗をかいて水分を欲しがる体にはいい清涼剤となる。
そして、出来る限り少しでも多くの体力を回復させるために休憩する体勢に入る。
後々の事を考えた上での判断だった。
そして、これが結果的に勝にとっての『最悪の選択』になった。
もしなのはが先を急ぎすぎていなければ、あのままドアを開けてしまっていたら、疑心暗鬼に捕われることなく仲間を信じられていたら、
もし勝が道を間違えていなければ、道を間違たと気が付いてもすぐ戻れば。そして途中で休んだりしなければ。
果たして、違う結果は訪れていたのだろうか?
もし勝が道を間違えていなければ、道を間違たと気が付いてもすぐ戻れば。そして途中で休んだりしなければ。
果たして、違う結果は訪れていたのだろうか?
今となっては、知る術はない。
【A-4/右下部上空/1日目/午後】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力消費中、精神疲労大、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、強靭すぎる鋼鉄の意志、情緒不安定気味、ニケ達に対する軽い疑心暗鬼
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら(ポケット)
[思考]:仲間は探したいけど……今は誰にも……会いたくない
第一行動方針:とりあえず一人になりたい。そのために市街地のある南方面や仲間の目指す中央部は避けて北西の森方向に向かう。
第二行動方針:落ち着いたら自分の友人やニケ・エヴァの仲間を探す。
第三行動方針:仲間や情報を集める。特にフェイトは使える知識を持っているはず。
基本行動方針:仲間と共にゲームから脱出。できれば主催者打倒。
相容れない相手も出来るだけ殺さないで無力化する。その為には手段を選ばない?
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力消費中、精神疲労大、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、強靭すぎる鋼鉄の意志、情緒不安定気味、ニケ達に対する軽い疑心暗鬼
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら(ポケット)
[思考]:仲間は探したいけど……今は誰にも……会いたくない
第一行動方針:とりあえず一人になりたい。そのために市街地のある南方面や仲間の目指す中央部は避けて北西の森方向に向かう。
第二行動方針:落ち着いたら自分の友人やニケ・エヴァの仲間を探す。
第三行動方針:仲間や情報を集める。特にフェイトは使える知識を持っているはず。
基本行動方針:仲間と共にゲームから脱出。できれば主催者打倒。
相容れない相手も出来るだけ殺さないで無力化する。その為には手段を選ばない?
【B-5/山脈地帯/1日目/午後】
【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両手の掌に軽い火傷、腰から背中にかけて打撲
[装備]:フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(ペットボトル一本と少々消費)、勇気ある者の盾@ソードワールド、ドラゴンころし@ベルセルク
[服装]:上半身裸(シャツは引き裂いてしまいました)
[思考]:体力が……待ってるみんなには悪いけど少しだけ休まないと……
第一行動方針:高町なのはに着いていき、ミニ八卦炉を任せていいか見極める。というかまずなのはに追いつく。
第二行動方針:殺し合いに乗った人物に危険な武器を渡さない。
第三行動方針:対主催派で使いこなせる者にドラゴンころしを託す。
基本行動方針:殺し合いを止め、ゲームを壊す
参戦時期:????
【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両手の掌に軽い火傷、腰から背中にかけて打撲
[装備]:フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(ペットボトル一本と少々消費)、勇気ある者の盾@ソードワールド、ドラゴンころし@ベルセルク
[服装]:上半身裸(シャツは引き裂いてしまいました)
[思考]:体力が……待ってるみんなには悪いけど少しだけ休まないと……
第一行動方針:高町なのはに着いていき、ミニ八卦炉を任せていいか見極める。というかまずなのはに追いつく。
第二行動方針:殺し合いに乗った人物に危険な武器を渡さない。
第三行動方針:対主催派で使いこなせる者にドラゴンころしを託す。
基本行動方針:殺し合いを止め、ゲームを壊す
参戦時期:????
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