ディアボロス ◆JZARTt62K2
「つまり、ニケの魔術は四大元素を基盤にしてるってことだよね」
木材の匂いが篭る部屋にインデックスの声が反響する。
彼女の周囲を見れば、部屋がそれなりの大きさを誇っていることがわかるだろう。
一本の木から切り出した丸テーブルが中央に鎮座していても、特に息苦しさを感じさせないほどだ。
粗末な造りの椅子もいくつか配置してあったが、そのうちの一つはとても使い物にならなくなっていた。
赤毛の少女、ヴィータが投げ飛ばした上、粉々にしたからである。
砕かれた椅子の残骸は、一応隅に寄せられていた。しかし、片付け切れなかった細かい木屑は散らばったままだ。
僅かな空気の流れによって舞い上がる粉塵が、臨時の住人の肩に降り積もっていく。
現在山小屋の中にいるのは四人。だが、動いている者は二人しかいない。
インデックスの言葉に耳を傾けながら、ニケはちらりと視線を動かした。
視界の隅に、気絶したエヴァが横たえられている様子が写る。
ニケを挟んだ反対側には、ロープで縛られたヴィータが転がされていた。
二人は目を固く閉じており、目覚める気配はない。
女の子を硬い床の上に転がしておくのはどうか、とニケは思ったのだが、布団の一つも持っていない現状ではどうしようもない。
それでも、地面の上でないだけマシなのかもしれない、と自分を納得させている。
彼女の周囲を見れば、部屋がそれなりの大きさを誇っていることがわかるだろう。
一本の木から切り出した丸テーブルが中央に鎮座していても、特に息苦しさを感じさせないほどだ。
粗末な造りの椅子もいくつか配置してあったが、そのうちの一つはとても使い物にならなくなっていた。
赤毛の少女、ヴィータが投げ飛ばした上、粉々にしたからである。
砕かれた椅子の残骸は、一応隅に寄せられていた。しかし、片付け切れなかった細かい木屑は散らばったままだ。
僅かな空気の流れによって舞い上がる粉塵が、臨時の住人の肩に降り積もっていく。
現在山小屋の中にいるのは四人。だが、動いている者は二人しかいない。
インデックスの言葉に耳を傾けながら、ニケはちらりと視線を動かした。
視界の隅に、気絶したエヴァが横たえられている様子が写る。
ニケを挟んだ反対側には、ロープで縛られたヴィータが転がされていた。
二人は目を固く閉じており、目覚める気配はない。
女の子を硬い床の上に転がしておくのはどうか、とニケは思ったのだが、布団の一つも持っていない現状ではどうしようもない。
それでも、地面の上でないだけマシなのかもしれない、と自分を納得させている。
「ニケ、聞いてるの?」
「ん? お、おお悪い! 今年度における葉っぱ下着コンテストの話だっけ?」
「ん? お、おお悪い! 今年度における葉っぱ下着コンテストの話だっけ?」
ガブリッ
ギャー
ギャー
「……噛むよ?」
「じ、事後報告の脅しは卑怯だぞ……」
『自業自得だ』
「じ、事後報告の脅しは卑怯だぞ……」
『自業自得だ』
遠雷のように響く声も、流石に呆れの成分が混じっている。
三つめの声の主はアラストール。神器『コキュートス』を介して意志を伝える魔神である。
三つめの声の主はアラストール。神器『コキュートス』を介して意志を伝える魔神である。
「全く、お腹が減ってるのを我慢してニケの悩みを聞いてあげてるのに……」
イライラっぷりを隠そうとしないインデックスが不機嫌な声を出す。
万年ハラペコ少女にとって、空腹は怪我にも勝る一大事だ。
その事実を知らないニケが、何だそんなことか、といった感じで気を抜いても、それは仕方がないことだろう。
食料に対してそれほど執着心がないお気楽勇者が、ゲッソリしているシスターに向かって暢気そうに提案する。
万年ハラペコ少女にとって、空腹は怪我にも勝る一大事だ。
その事実を知らないニケが、何だそんなことか、といった感じで気を抜いても、それは仕方がないことだろう。
食料に対してそれほど執着心がないお気楽勇者が、ゲッソリしているシスターに向かって暢気そうに提案する。
「支給された食料を食べればいいじゃん。俺の相談は食事の後でもかまわないぜ」
「今日の分はさっき食べちゃったんだよ……。明日の分を食べようとしたらアラストールに怒られるし」
『一日で全ての食料を消費するつもりか? ここは我慢すべきだろう』
「今日の分はさっき食べちゃったんだよ……。明日の分を食べようとしたらアラストールに怒られるし」
『一日で全ての食料を消費するつもりか? ここは我慢すべきだろう』
一分の隙もない正論を振りかざすアラストールに、インデックスはぐうの音も出ない。
支給された食料はたったの二日分。無計画に消費する余裕はないのだ。
支給された食料はたったの二日分。無計画に消費する余裕はないのだ。
「うう、ひもじい……。それに、パンが全然おいしくないんだよジェダのバカーッ!」
「むう。そういうことならいいもんがあるぜ」
「むう。そういうことならいいもんがあるぜ」
哀れなシスターを見るに見かねたニケが、自分のランドセルの中から紙箱を取り出した。
『不死屋』と書かれた紙箱を開くと、三個の苺大福が入っている。
『不死屋』と書かれた紙箱を開くと、三個の苺大福が入っている。
「こっちがアドバイス受けるわけだし、一個くらいは……ってインデックスが無数の拳を繰り出している!? ダメだ、一個しかやらんぞ!!」
「やだっ!! 食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食うくーうーっ!!」
「NUAHHHH、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!! つーか、その動きをリリス戦で発揮しろよ!!」
「いーちーごーだーいーふっくっ、欲しい欲しいほーしーいーっ!!」
「やだっ!! 食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食う食うくーうーっ!!」
「NUAHHHH、無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァ!! つーか、その動きをリリス戦で発揮しろよ!!」
「いーちーごーだーいーふっくっ、欲しい欲しいほーしーいーっ!!」
吸血鬼も真っ青な食料強奪ラッシュにニケが本気でビビる。
このままでは3つとも奪われると察したニケは、舌戦に持ち込むことにした。秘技、屁理屈乱舞。
このままでは3つとも奪われると察したニケは、舌戦に持ち込むことにした。秘技、屁理屈乱舞。
「ええいしつこい!! よく考えてみろインデックス、これは支給品のひとつだぞ? つまり、同じ支給品であるコキュートスと同価値!
そしてコキュートス=魔神のおっさん、よって苺大福=魔神だ。お前は神をも喰らうつもりか!?」
『和菓子と同列に並べられることを我が許容すると思うか? インデックス、殲滅してしまえ』
「Yes,Sir!」
「ラッシュの速度が上がった!? おのれ、教会の白いシスターは化物か!」
そしてコキュートス=魔神のおっさん、よって苺大福=魔神だ。お前は神をも喰らうつもりか!?」
『和菓子と同列に並べられることを我が許容すると思うか? インデックス、殲滅してしまえ』
「Yes,Sir!」
「ラッシュの速度が上がった!? おのれ、教会の白いシスターは化物か!」
結局、インデックスが全部食べた。
勇者、完全敗北。
勇者、完全敗北。
「くそう、貴重な支給品が一つ減ってしまった……」
「ふぅ、久しぶりに甘い物を食べられたんだよ」
「ふぅ、久しぶりに甘い物を食べられたんだよ」
満足そうに息を吐くインデックスを、ニケが恨めしそうに見る。
ハズレ支給品が減ったところでそんなに影響はないのだが、なんともやりきれない気分なのだろう。
ハズレ支給品が減ったところでそんなに影響はないのだが、なんともやりきれない気分なのだろう。
「お前なぁ……。まあいいや、早いトコ『地の剣』の強化方法を教えてくれ」
「わかったんだよ」
「わかったんだよ」
ニケが教えを請うたのは『力を失った地の剣に切れ味を取り戻す方法』。
インデックスが記憶している10万3000冊もの魔導書の中に、精霊の加護を取り戻すヒントがあるかもしれないと踏んだのだ。
今度こそ真剣に耳を傾けるニケの前で、10万3000冊の知識が披露されていく。
インデックスが記憶している10万3000冊もの魔導書の中に、精霊の加護を取り戻すヒントがあるかもしれないと踏んだのだ。
今度こそ真剣に耳を傾けるニケの前で、10万3000冊の知識が披露されていく。
「話を聞く限り、『地の剣』の属性は『土』。錬金術において固体を表し、冷と乾の性質を持つエレメントだね。
地を司る天使は『神の炎』ウリエルで、支配精霊はノームになるかな。だから、まずは属性色を……」
「ちょっと待った」
地を司る天使は『神の炎』ウリエルで、支配精霊はノームになるかな。だから、まずは属性色を……」
「ちょっと待った」
インデックスの講釈がニケの言葉によって遮られる。
相談者である勇者は戸惑ったような顔で、
相談者である勇者は戸惑ったような顔で、
「インデックス、『地の王』や『宝石の精』に関する情報はないのか?」
「ないよ。精霊魔術について記述している魔導書は何冊もあるけど、ニケの言うような『精霊』は知らない」
「そうか、俺の世界とインデックスの世界は別モノなんだよな……。
ん、待てよ? そうすると、インデックスの知識は俺の剣には通用しないってことか?」
「あ、何が言いたいかわかったかも」
「ないよ。精霊魔術について記述している魔導書は何冊もあるけど、ニケの言うような『精霊』は知らない」
「そうか、俺の世界とインデックスの世界は別モノなんだよな……。
ん、待てよ? そうすると、インデックスの知識は俺の剣には通用しないってことか?」
「あ、何が言いたいかわかったかも」
ニケは思ったことをそのまま口に出した。
「土の精霊はノームって言ってたけどさ、俺の知ってる土の精霊はカタカナ言葉の演劇人形なんだよ。
それに、『地の剣』をくれたのはウリエルとやらじゃなくてRPG好きのミノオヤジだ。インデックスが教えてくれた法則とは前提から違う。
いや、インデックスの世界ではその方法が正しいんだろうけど、根っこの部分から違う『地の剣』には効かないんじゃないか?」
「うー、そうとも言い切れないかも」
それに、『地の剣』をくれたのはウリエルとやらじゃなくてRPG好きのミノオヤジだ。インデックスが教えてくれた法則とは前提から違う。
いや、インデックスの世界ではその方法が正しいんだろうけど、根っこの部分から違う『地の剣』には効かないんじゃないか?」
「うー、そうとも言い切れないかも」
インデックスは静かに言葉を紡ぐ。
「ニケは『法則からして違う』って言ったけど、大体からこの島の法則はメチャクチャなんだよ。
見たこともない『界』がいくつもいくつも混じり合ってるのに、それぞれの法則に基づく魔術が問題なく発動してるって実は凄すぎる事態なの。
それこそローマ正教が誇る『聖霊十式』級の霊装を使ったとしても、実現できるかわからないくらい」
見たこともない『界』がいくつもいくつも混じり合ってるのに、それぞれの法則に基づく魔術が問題なく発動してるって実は凄すぎる事態なの。
それこそローマ正教が誇る『聖霊十式』級の霊装を使ったとしても、実現できるかわからないくらい」
考えてみれば良い。あらゆる魔術は一定のルールに従って実行される。
もちろん、ルールは一つではない。
ニケの世界を例に挙げれば、光魔法には光魔法のルールが、闇魔法には闇魔法のルールがある。
世界はたくさんの色彩(ルール)が重なり合って描かれる巨大なキャンパスのようなものなのだ。
あらゆる魔術は何らかのルールに従っていることだけは変わりない。
そこへ、すでにルールが固まっている所へ、新たに『別のルール』を突っ込んだらどうなるか。
これまで安定していたルールはかき乱され、魔術を使うための『基盤』が書き換えられてしまう。
例えば、『決して死なない吸血鬼がいる世界』と『吸血鬼を殺す道具がある世界』を混ぜたときのことを考えてみるとしよう。
二つの世界のルールは互いに反発し合い、『吸血鬼』の概念自体が崩壊する。これは、あらゆる事象に対して言えることだ。
魔術の基盤が崩壊した世界で、果たして魔術は正しく使えるだろうか?
もちろん、ルールは一つではない。
ニケの世界を例に挙げれば、光魔法には光魔法のルールが、闇魔法には闇魔法のルールがある。
世界はたくさんの色彩(ルール)が重なり合って描かれる巨大なキャンパスのようなものなのだ。
あらゆる魔術は何らかのルールに従っていることだけは変わりない。
そこへ、すでにルールが固まっている所へ、新たに『別のルール』を突っ込んだらどうなるか。
これまで安定していたルールはかき乱され、魔術を使うための『基盤』が書き換えられてしまう。
例えば、『決して死なない吸血鬼がいる世界』と『吸血鬼を殺す道具がある世界』を混ぜたときのことを考えてみるとしよう。
二つの世界のルールは互いに反発し合い、『吸血鬼』の概念自体が崩壊する。これは、あらゆる事象に対して言えることだ。
魔術の基盤が崩壊した世界で、果たして魔術は正しく使えるだろうか?
できるはずがない。
浮力や揚力の基準値が大きく変化した地球上で、設計図通りに作った飛行機を飛ばそうとするようなものだ。
あらゆるルールは捻じ曲げられ、魔術を使おうとすれば身体が崩壊する。
いくつもの世界に存在する全てのルールをかき合わせて、その全てを保つことなど不可能。
浮力や揚力の基準値が大きく変化した地球上で、設計図通りに作った飛行機を飛ばそうとするようなものだ。
あらゆるルールは捻じ曲げられ、魔術を使おうとすれば身体が崩壊する。
いくつもの世界に存在する全てのルールをかき合わせて、その全てを保つことなど不可能。
「だけどジェダは“それを実現させた”。『神の祝福(ゴッドブレス)』の代わりに自分の魔力を使うことによってね。全く、非常識にも程があるよ」
「えーと、つまり、何が言いたいんだ?」
「だから、この島には私が知ってる『界』も混ざってるんだよ。
魔術っていうのは、存在する『界』の影響を間違いなく受けるから、もしかしたら私の世界の法則が『地の剣』に効くかも」
「成る程、そういうことなら試してみる価値はあるな!」
「えーと、つまり、何が言いたいんだ?」
「だから、この島には私が知ってる『界』も混ざってるんだよ。
魔術っていうのは、存在する『界』の影響を間違いなく受けるから、もしかしたら私の世界の法則が『地の剣』に効くかも」
「成る程、そういうことなら試してみる価値はあるな!」
実はあまり理解していないニケが気勢を上げる。
『地の剣』が使えるようになればいいやという投げっぱなしオーラが目に見えるようだ。
思索派というより行動派のニケは、さっそく試してみようと質問を放った。
『地の剣』が使えるようになればいいやという投げっぱなしオーラが目に見えるようだ。
思索派というより行動派のニケは、さっそく試してみようと質問を放った。
「で、具体的に何をすればいいんだ?」
「そうだね。太鼓に注目するならペガーナの『スカアルの太鼓』や中国の『栴檀鼓』があるけど、『土』の性質から攻めたほうがいいかも。
一番簡単な魔術の強化法は属性色を使うことだから、とりあえず『土』の属性色である『緑色』を使ってみようよ」
「色をつけるだけでいいのか? でも、『緑』って言ってもなあ……。インデックスの胸に張り付いてる葉っぱしか見当たらn」
「そうだね。太鼓に注目するならペガーナの『スカアルの太鼓』や中国の『栴檀鼓』があるけど、『土』の性質から攻めたほうがいいかも。
一番簡単な魔術の強化法は属性色を使うことだから、とりあえず『土』の属性色である『緑色』を使ってみようよ」
「色をつけるだけでいいのか? でも、『緑』って言ってもなあ……。インデックスの胸に張り付いてる葉っぱしか見当たらn」
ガブガブガブガブガブゥッ
ギィヤァアアアァアアアアァアアアアッッ
ギィヤァアアアァアアアアァアアアアッッ
バーバラパッパパー♪ 【ニケの称号『すけべ大魔神』のレベルが無駄にあがりました】
「ニケは真面目に聞く気があるのかなあああああああああああああ!?」
「痛い痛い痛いハゲるハゲるハゲる! なんでお前はこんなにアグレッシブなんだよ!?
普通、こういう過激なスキンシップは心を許した相手にしかやらないんじゃいだだだだだだだだ!」
なぜか『勇者さん、仕様なんです御察し下さい!!』などとのたまう褌精霊の姿が脳裏に思い浮かんだ(二回目)。
「痛い痛い痛いハゲるハゲるハゲる! なんでお前はこんなにアグレッシブなんだよ!?
普通、こういう過激なスキンシップは心を許した相手にしかやらないんじゃいだだだだだだだだ!」
なぜか『勇者さん、仕様なんです御察し下さい!!』などとのたまう褌精霊の姿が脳裏に思い浮かんだ(二回目)。
「くそう!? ギップル本体が出てこないのに声だけは聞こえるのも仕様かよ!」
『でも、安心してください勇者さん! 勇者さんの死に際にも声だけ友情出演させてもらいますから』
「返答された!? しかも全く安心できねえ!」
『全く、さっきから何を贅沢言ってるんや少年! すぐ下見てみろや、シースルーの下に輝く理想郷が目に入らぬか!
これぞ究極のチラリズム、下手な全裸より戦闘力高いやないかい! どうするカミやん、お株奪われとるで!』
「誰だオマエ!?」
何故か脳裏に浮かぶ青髪ピアスの男(出演二回目)に向かってニケが叫ぶ。
『でも、安心してください勇者さん! 勇者さんの死に際にも声だけ友情出演させてもらいますから』
「返答された!? しかも全く安心できねえ!」
『全く、さっきから何を贅沢言ってるんや少年! すぐ下見てみろや、シースルーの下に輝く理想郷が目に入らぬか!
これぞ究極のチラリズム、下手な全裸より戦闘力高いやないかい! どうするカミやん、お株奪われとるで!』
「誰だオマエ!?」
何故か脳裏に浮かぶ青髪ピアスの男(出演二回目)に向かってニケが叫ぶ。
『勇者さんは妙なところで鈍いですからねえ。そんなことだからククリさんを悪魔化させたりするんですよ』
『ケッ、嫉妬されるとは随分といい身分やないか。お前なんか選択肢ミスってデッドエンドルート直行してまえ!』
「うおお!? 幻聴同士で会話し出した!?」
『勇者さんのデッドエンド時には是非『ギップル道場』で竹刀を振り回してみたいものです』
『いやいや、ここは『教えて! 青髪ピアス先生』でガクガク動物ランドをやなあ……』
「お前らなんか消えてしまえええぇえええぇえええ!!」
『ケッ、嫉妬されるとは随分といい身分やないか。お前なんか選択肢ミスってデッドエンドルート直行してまえ!』
「うおお!? 幻聴同士で会話し出した!?」
『勇者さんのデッドエンド時には是非『ギップル道場』で竹刀を振り回してみたいものです』
『いやいや、ここは『教えて! 青髪ピアス先生』でガクガク動物ランドをやなあ……』
「お前らなんか消えてしまえええぇえええぇえええ!!」
割と必死で叫ぶニケを、噛み付き攻撃をやめたインデックスが冷たい目で見つめていた。
ドン引きだ。
ドン引きだ。
「ニケが壊れちゃったんだよ……」
『まあ、しばらくすれば落ち着くだろう』
アラストールが冷静に分析する。その声は呆れを通り越して憐憫の情すら混じっていた。
『まあ、しばらくすれば落ち着くだろう』
アラストールが冷静に分析する。その声は呆れを通り越して憐憫の情すら混じっていた。
数分後、体力を使い果たして仰向けに倒れるニケの姿があった。
「ニケ、今の一人芝居は体力と交換してまですることなの?」
「……触れないでくれ。今は何も考えたくない」
「……触れないでくれ。今は何も考えたくない」
ぐてーと寝そべるニケに向かってインデックスが小首を傾げる。
一連の流れを見たアラストールは、ニケのためにも早急にインデックスの服を探すべきだと結論付けた。
この勇者、そこにツッコミどころがあれば身体を張ったギャグ、またはツッコミに走らずにはいられない性質らしい。
なんとも面倒な性格だ。
すぐさま対策を打つべしとばかりに、アラストールはやや強引な話題転換を実行する。
一連の流れを見たアラストールは、ニケのためにも早急にインデックスの服を探すべきだと結論付けた。
この勇者、そこにツッコミどころがあれば身体を張ったギャグ、またはツッコミに走らずにはいられない性質らしい。
なんとも面倒な性格だ。
すぐさま対策を打つべしとばかりに、アラストールはやや強引な話題転換を実行する。
『ところでインデックス、服を手に入れるアテはあるのか?』
「ふっふーん、そのあたりはちゃんと考えてあるんだよ」
『ほう?』
「ふっふーん、そのあたりはちゃんと考えてあるんだよ」
『ほう?』
やけに自信満々なインデックス。
予想外の態度に、アラストールはいぶかしみながらも先を促す。
予想外の態度に、アラストールはいぶかしみながらも先を促す。
「『がっこう』の『ほけんしつ』には『たいそーふく』があるものだってひょうかが言ってた!」
『ふむ、確かに予備の服くらいはあるかもしれんな』
「それと『げーむせんたー』には超機動少女カナミンのドレススーツがあるの!」
『いや、それは知らんが』
『ふむ、確かに予備の服くらいはあるかもしれんな』
「それと『げーむせんたー』には超機動少女カナミンのドレススーツがあるの!」
『いや、それは知らんが』
超機動少女について熱く語るインデックスの言葉を聞き流しつつ、アラストールは思考する。
この島にゲームセンターがあるかどうかわからない以上、服を手に入れるには学校に向かったほうがいい。
それに、学校といえば『あの子』にも馴染みが深く、もしかしたら、という期待も捨てきれない。
だからこそ余計に“斥候に向かった二人”の帰りを待つべきだ、と。
この島にゲームセンターがあるかどうかわからない以上、服を手に入れるには学校に向かったほうがいい。
それに、学校といえば『あの子』にも馴染みが深く、もしかしたら、という期待も捨てきれない。
だからこそ余計に“斥候に向かった二人”の帰りを待つべきだ、と。
「あー、そうそう、なのはのことなんだけどさー」
そうこうしているうちに戦闘不能状態から回復したニケが、性懲りもなく会話を続けようとする。
こいつは黙っていることができんのか、とアラストールは心中で溜息を吐いた。
こいつは黙っていることができんのか、とアラストールは心中で溜息を吐いた。
時間は少々遡る。
※ ※ ※ ※ ※
「今すぐ島の中央部に向かう?」
疑問の声を発したのはニケ。その顔には戸惑いの色が浮かんでいる。
数十分前まで戦場であり、数分前まで拷問場であった山小屋も、ようやく平穏を取り戻そうとしていた。
騒動を起こした張本人であるヴィータはニケによって縛り上げられており、一時的ではあるが危機は去ったと言えるだろう。
その山小屋の中で、高町なのは――彼女も騒動の張本人と言えなくもない――がこれからの行動方針について主張し始めたのだ。
曰く、
数十分前まで戦場であり、数分前まで拷問場であった山小屋も、ようやく平穏を取り戻そうとしていた。
騒動を起こした張本人であるヴィータはニケによって縛り上げられており、一時的ではあるが危機は去ったと言えるだろう。
その山小屋の中で、高町なのは――彼女も騒動の張本人と言えなくもない――がこれからの行動方針について主張し始めたのだ。
曰く、
「ヴィータちゃんが殺し合いに乗っている理由は、はやてちゃんが心配だからなの。
だから、はやてちゃんさえ見つかればヴィータちゃんはきっと味方になってくれる。
ううん、味方にはなってくれないかもしれないけど、少なくとも参加者を殺して回る理由はなくなるはずなの」
だから、はやてちゃんさえ見つかればヴィータちゃんはきっと味方になってくれる。
ううん、味方にはなってくれないかもしれないけど、少なくとも参加者を殺して回る理由はなくなるはずなの」
必死に言葉を紡ぐなのはの顔に浮かぶのは、焦燥。
知り合いの変貌ぶりを見て、改めて事態の深刻さに気づいたのだろう。
なお、彼女の聴覚障害はかなり治まってきていた。
爆発など強大な音響、気圧によって瞬時に聴力が低下する急性音響性外傷は一過性聴力閾値上昇と音響外傷があるが、
幸いにもなのはの症状は一過性聴力閾値上昇であり、可逆性の聴覚障害であった。
何度も繰り返して聴覚にダメージを与えない限り、安静にしていれば回復する症状だ。
だが、後遺症がないわけではない。耳鳴りは残り、精神的疲労は蓄積していく。
轟音に襲われた直後の状態では、聴覚がそこまで回復しておらず、かなり辛いはずだ。
それでも、なのはは訴えることをやめない。まるで、何かに突き動かされるように。
知り合いの変貌ぶりを見て、改めて事態の深刻さに気づいたのだろう。
なお、彼女の聴覚障害はかなり治まってきていた。
爆発など強大な音響、気圧によって瞬時に聴力が低下する急性音響性外傷は一過性聴力閾値上昇と音響外傷があるが、
幸いにもなのはの症状は一過性聴力閾値上昇であり、可逆性の聴覚障害であった。
何度も繰り返して聴覚にダメージを与えない限り、安静にしていれば回復する症状だ。
だが、後遺症がないわけではない。耳鳴りは残り、精神的疲労は蓄積していく。
轟音に襲われた直後の状態では、聴覚がそこまで回復しておらず、かなり辛いはずだ。
それでも、なのはは訴えることをやめない。まるで、何かに突き動かされるように。
搾り出すように訴え続けるなのはの言葉を、勝が補足する。
「つまり、参加者が集まりやすい場所、例えば島の真ん中とかで八神はやて、または八神はやての情報を持つ者を探す、ってこと?」
「うん。このままエヴァちゃんの回復を待ってじっとしていたら、その間にはやてちゃんが危険な目に合うかもしれない。
そうしたら、きっとヴィータちゃんを止めることはできなくなる。今は、とにかく動くことが先決だと思うの」
「うん。このままエヴァちゃんの回復を待ってじっとしていたら、その間にはやてちゃんが危険な目に合うかもしれない。
そうしたら、きっとヴィータちゃんを止めることはできなくなる。今は、とにかく動くことが先決だと思うの」
ヴィータの行動原理を訴えるなのはは、純粋にヴィータのことを案じていた。
ヴィータに対して拷問を行ったのは、破滅にしか繋がらない彼女の凶行を止めるため。
決して、恨みや憎しみから来る行動ではない。
なのはの気持ちを察したのか、それまで黙っていたアラストールが、大気を震わすような声で確認を取る。
ヴィータに対して拷問を行ったのは、破滅にしか繋がらない彼女の凶行を止めるため。
決して、恨みや憎しみから来る行動ではない。
なのはの気持ちを察したのか、それまで黙っていたアラストールが、大気を震わすような声で確認を取る。
『つまり、八神はやてを探す者とヴィータを監視する者の二手に別れるということだな』
しかしなのはは、アラストールの言葉に頷かなかった。
「ううん、それだけじゃない。はやてちゃんの捜索を始める前にやっておくことがあるの」
なのはは自分の『意志』を提示する。
それは、絶対にヴィータを助けるという意志。
ほんの僅かな可能性も決して見逃さないという、鋼鉄の意志。
それは、絶対にヴィータを助けるという意志。
ほんの僅かな可能性も決して見逃さないという、鋼鉄の意志。
「エヴァちゃんもヴィータちゃんも含めて、皆揃って島の中央部に向かうの。
島の真ん中に拠点を作れば他の参加者と遭遇しやすくなるし、その中に探し人がいる可能性も決して少なくはないと思う。
はやてちゃんが見つかったときに、すぐヴィータちゃんを引き合わせられるようにしておきたいの」
島の真ん中に拠点を作れば他の参加者と遭遇しやすくなるし、その中に探し人がいる可能性も決して少なくはないと思う。
はやてちゃんが見つかったときに、すぐヴィータちゃんを引き合わせられるようにしておきたいの」
その提案に、他の3人は意表を突かれたようだった。
ニケは天井を見上げて悩み始め、勝は俯いて何やらぶつぶつ呟き、インデックスは沈黙を保ち続けた。
皆、考えているのだろう。怪我人を二人も担いで移動することの大変さを。
動けない人間がいるということは、その人間が戦力にならない、というだけのことではない。
当然、その人間を運ぶ役が必要になるし、戦闘時においては庇いながら戦わなければならない。
戦争において『仲間が死ぬこと』より『仲間が動けなくなること』のほうが、数段厄介なのだ。
その反応を予期していたのか、なのはは特に慌てなかった。
気まずい沈黙の中、皆の意見を代弁するようにアラストールが懸念の意を示す。
ニケは天井を見上げて悩み始め、勝は俯いて何やらぶつぶつ呟き、インデックスは沈黙を保ち続けた。
皆、考えているのだろう。怪我人を二人も担いで移動することの大変さを。
動けない人間がいるということは、その人間が戦力にならない、というだけのことではない。
当然、その人間を運ぶ役が必要になるし、戦闘時においては庇いながら戦わなければならない。
戦争において『仲間が死ぬこと』より『仲間が動けなくなること』のほうが、数段厄介なのだ。
その反応を予期していたのか、なのはは特に慌てなかった。
気まずい沈黙の中、皆の意見を代弁するようにアラストールが懸念の意を示す。
『だが、気絶した人間を運ぶとなると、その分人手が削られるぞ。
また、人が集まる場所には危険人物も集まる。そんな危険地帯に怪我人を連れて行くことも納得できんな。
問題はまだある。いつ暴れ出すかもしれないヴィータを、一体誰が運ぶというのだ?』
「私が運ぶ」
また、人が集まる場所には危険人物も集まる。そんな危険地帯に怪我人を連れて行くことも納得できんな。
問題はまだある。いつ暴れ出すかもしれないヴィータを、一体誰が運ぶというのだ?』
「私が運ぶ」
迷いなく言い切るなのは。その言葉には有無を言わせない何かがあった。
彼女は決して他人に甘くない。しかし、それ以上に自分に厳しい。
一言でアラストールを黙らせたなのはは、反論を封じるかのように畳み掛ける。
彼女は決して他人に甘くない。しかし、それ以上に自分に厳しい。
一言でアラストールを黙らせたなのはは、反論を封じるかのように畳み掛ける。
「山小屋から動きたい理由のひとつは、この場所だと八卦炉が使いにくいからなの。出力を出しすぎると崖崩れを起こしちゃう。
山が崩れたらこんな山小屋なんて一発で潰れちゃうだろうし、皆も巻き込んでしまうかもしれない。
人が集まる場所は確かに危険だけど、それはどこでも言えることだと思うの。この島に危険じゃない場所なんて一つもない。
だったら、八卦炉の性能が存分に引き出せて、はやてちゃんの情報があるかもしれないところに行くべきだと思うの」
山が崩れたらこんな山小屋なんて一発で潰れちゃうだろうし、皆も巻き込んでしまうかもしれない。
人が集まる場所は確かに危険だけど、それはどこでも言えることだと思うの。この島に危険じゃない場所なんて一つもない。
だったら、八卦炉の性能が存分に引き出せて、はやてちゃんの情報があるかもしれないところに行くべきだと思うの」
一気に喋りきったなのはの額には、薄く汗が滲んでいた。
その気迫に押されたのか、話を聞いていた3人は暫く沈黙を保った後、
その気迫に押されたのか、話を聞いていた3人は暫く沈黙を保った後、
「……虎穴に入らずんば、ってやつか。一つの賭けになりそうだね」
「私も賛成なんだよ。元々、人が集まる場所に行くつもりだったし」
「つまり、俺がエヴァをおぶることになるのか……って四方八方からの視線が痛い! べ、別にやましい気持ちはないぞ!」
「みんな……」
「私も賛成なんだよ。元々、人が集まる場所に行くつもりだったし」
「つまり、俺がエヴァをおぶることになるのか……って四方八方からの視線が痛い! べ、別にやましい気持ちはないぞ!」
「みんな……」
勝は渋々、インデックスは何とか納得して、ニケは空回り気味のギャグを言いながら承諾した。
勝もインデックスも、隅の安全地帯で震えているような性格はしていない。むしろ、危険地帯にどんどん首を突っ込んでいく性格だ。
ニケも、仲間の捜索より自己保身を優先するような人間ではなかった。仮にも勇者の端くれである。
そんな3人が、最初になのはの提案に乗ることを渋っていた理由はただ一つ。
果たして、エヴァやヴィータを守りながら行動できるのか、ということだ。
その対策を四人+アラストールで練った結果、
勝もインデックスも、隅の安全地帯で震えているような性格はしていない。むしろ、危険地帯にどんどん首を突っ込んでいく性格だ。
ニケも、仲間の捜索より自己保身を優先するような人間ではなかった。仮にも勇者の端くれである。
そんな3人が、最初になのはの提案に乗ることを渋っていた理由はただ一つ。
果たして、エヴァやヴィータを守りながら行動できるのか、ということだ。
その対策を四人+アラストールで練った結果、
『まず、斥候役が罠や敵が潜めそうな場所を潰しながら、島の中央部までの道程を確保する。
このとき、決して残りのメンバーから離れすぎず、敵と遭遇した場合はすぐさま撤退すること。
通る道が安全だとわかったら、斥候役は来た道を戻って残りのメンバーと合流。
その後、気絶している二人を守りながら全員で移動、と、この作戦でいいのか?』
このとき、決して残りのメンバーから離れすぎず、敵と遭遇した場合はすぐさま撤退すること。
通る道が安全だとわかったら、斥候役は来た道を戻って残りのメンバーと合流。
その後、気絶している二人を守りながら全員で移動、と、この作戦でいいのか?』
アラストールが話し合いの結果をまとめ、それに対して皆が頷く。
何人かが先行して安全を確かめ、その後に全員が続くというシンプルな作戦。
保険をかけるとはいえ、動けない二人を庇いながら移動することは避けられず、全員が大きな負担を強いられる。
更に、そこまでやっても決して安全に移動できるとは限らない、細い綱を渡るような作戦。
それでも、動くしかない。いつヴィータが目覚めるかもわからず、今は一分一秒が惜しい状況だ。
何人かが先行して安全を確かめ、その後に全員が続くというシンプルな作戦。
保険をかけるとはいえ、動けない二人を庇いながら移動することは避けられず、全員が大きな負担を強いられる。
更に、そこまでやっても決して安全に移動できるとは限らない、細い綱を渡るような作戦。
それでも、動くしかない。いつヴィータが目覚めるかもわからず、今は一分一秒が惜しい状況だ。
『この作戦には穴がありすぎる。そう多用はできん。
山を抜けたところで適当な施設を見つけたら、そこを拠点に改めて捜索を開始したほうがいいだろう』
「うん、わかってる。でも、まずはこの山脈を抜けなくちゃ」
山を抜けたところで適当な施設を見つけたら、そこを拠点に改めて捜索を開始したほうがいいだろう』
「うん、わかってる。でも、まずはこの山脈を抜けなくちゃ」
斥候役であるなのはは八卦炉を片手に持ち、いつでも使えるようにしている。
作戦提案者のケジメとして、危険な役割である斥候役に自ら志願したのだ。
作戦提案者のケジメとして、危険な役割である斥候役に自ら志願したのだ。
「ニケくん、ヴィータちゃんとエヴァちゃんを守ってあげてね。すぐに戻るから!」
「お、おう! 任せとけ!」
「お、おう! 任せとけ!」
ニケがややぎこちない感じで言葉を返す。
二人の会話を横で聞いていた勝は、少し考えた後、なのはに向かって低い声を出した。
二人の会話を横で聞いていた勝は、少し考えた後、なのはに向かって低い声を出した。
「それじゃ、行こうか。念のためにもう一度言っておくけど……」
「わかってる。八卦炉は『本当に必要な時』にしか使わないよ」
「……わかった」
「わかってる。八卦炉は『本当に必要な時』にしか使わないよ」
「……わかった」
なのはと共に斥候に赴くのは勝。彼も自ら立候補している。
それは、正義感のためだけではない。現時点での勝の最たる目的は、高町なのはの監視だ。
八卦炉に破壊以外の用途があることがわかったとはいえ、危険な武器であることに変わりはない。
譲り渡す相手を間違えれば、即大惨事に繋がりかねない代物である。
だから、勝は危険を承知で先見部隊に立候補した。
『なのはが八卦炉を正しく使えるかどうか』見極めるために。
それは、正義感のためだけではない。現時点での勝の最たる目的は、高町なのはの監視だ。
八卦炉に破壊以外の用途があることがわかったとはいえ、危険な武器であることに変わりはない。
譲り渡す相手を間違えれば、即大惨事に繋がりかねない代物である。
だから、勝は危険を承知で先見部隊に立候補した。
『なのはが八卦炉を正しく使えるかどうか』見極めるために。
※ ※ ※ ※ ※
そして、現在。
「はっ、はぁっ、はっ」
高町なのはは、山を通り抜けるルートを確認し終え、ニケたちが待つ山小屋に向けて走っていた。
地を蹴り岩場を縫う走りは風の如し。光に瞬かず影を射抜く眼光は獣の如し。
追走する勝を置き去りにしかねないほどの早さで、白い少女が走り抜ける。
地を蹴り岩場を縫う走りは風の如し。光に瞬かず影を射抜く眼光は獣の如し。
追走する勝を置き去りにしかねないほどの早さで、白い少女が走り抜ける。
「なのはちゃん、待った! 焦りすぎだよ!」
背後から静止の言葉をぶつけられても、高町なのはは走る速度を緩めなかった。
彼女がここまで必死になっているのには理由がある。
胸の裡に燻る『ヴィータを守らなければならない』という使命感。
彼女がここまで必死になっているのには理由がある。
胸の裡に燻る『ヴィータを守らなければならない』という使命感。
なのはは、ヴィータを傷付けたことに対して後悔はしていない。
あの状況では仕方がなかったことだと思っているし、結果的に誰も命を落とさなかった。
自分の行動は間違っていない。
それでも。それだからこそ。
ヴィータは助けなければならない。必ず主と合流させ、心を元に戻してあげなくてはならない。
高町なのはは、そう決意していた。
本人は気付いていないが、その決意は罪悪感の塊でもあった。
知り合いの皮膚を焼き、肉を抉り、身体を削る。
そんな行為を何も感じず平然と行える者は、もはや人間ではない。
それは、悪魔だ。
そして、幸か不幸か高町なのはは“まだ”人間だった。
どうにか。からくも。かろうじて。
あの状況では仕方がなかったことだと思っているし、結果的に誰も命を落とさなかった。
自分の行動は間違っていない。
それでも。それだからこそ。
ヴィータは助けなければならない。必ず主と合流させ、心を元に戻してあげなくてはならない。
高町なのはは、そう決意していた。
本人は気付いていないが、その決意は罪悪感の塊でもあった。
知り合いの皮膚を焼き、肉を抉り、身体を削る。
そんな行為を何も感じず平然と行える者は、もはや人間ではない。
それは、悪魔だ。
そして、幸か不幸か高町なのはは“まだ”人間だった。
どうにか。からくも。かろうじて。
「はっ、はっ、やっと、着いた……」
大きな角を曲がったなのはの目前に、目的地である山小屋が現れた。
いつの間にか、背後から聞こえていた勝の声も聞こえなくなっている。
知らない間に引き離してしまったのだろう。
ここに来てようやくその事実に気付いたなのはは、そこまで自分が焦っていたのかと愕然とする。
魔力を駆使して飛ぶように駆けるなのはに対して、勝は魔力を有していない。
加えて、子供の体格にとっては大きすぎる魔剣を装備しているのだから、本気で走り合えばどちらが早いかは言うまでもない。
この事態は、なのはの失敗。
ヴィータたちの身を案じるあまり、周りが見えていなかったのだ。積もり積もった精神疲労が原因である。
いくら安全を確認した帰路であったとしても、この分断が致命的な隙であることは疑うべくもない。
本来なら、この時点で自らの行いを振り返るべきなのだが、
いつの間にか、背後から聞こえていた勝の声も聞こえなくなっている。
知らない間に引き離してしまったのだろう。
ここに来てようやくその事実に気付いたなのはは、そこまで自分が焦っていたのかと愕然とする。
魔力を駆使して飛ぶように駆けるなのはに対して、勝は魔力を有していない。
加えて、子供の体格にとっては大きすぎる魔剣を装備しているのだから、本気で走り合えばどちらが早いかは言うまでもない。
この事態は、なのはの失敗。
ヴィータたちの身を案じるあまり、周りが見えていなかったのだ。積もり積もった精神疲労が原因である。
いくら安全を確認した帰路であったとしても、この分断が致命的な隙であることは疑うべくもない。
本来なら、この時点で自らの行いを振り返るべきなのだが、
「後で……勝くんに、謝らなくちゃ……」
それでも彼女は止まらない。
自らの意志を、決意を、貫き通す。
自らの意志を、決意を、貫き通す。
「ニケくんたちは――」
無事だろうか。そう、言いかけて。
山小屋のドアを開けようとして。
そして、聞いた。
山小屋のドアを開けようとして。
そして、聞いた。
『――っきの――なのはは――かったな――』
『――ん。でも――れは――赦がないだけ――』
『――自分のこと――魔って言って――』
(私の、話……?)
『――ん。でも――れは――赦がないだけ――』
『――自分のこと――魔って言って――』
(私の、話……?)
山小屋の中から聞こえてくるのは、ニケとインデックスの話し声。
自分の話をされていると感づいたなのはの手が止まる。ほんの、一瞬の躊躇。
それが間違いだった。
自分の話をされていると感づいたなのはの手が止まる。ほんの、一瞬の躊躇。
それが間違いだった。
『――今まで、色んなモンスターと戦ってきたんだけどさ。八卦炉使って拷問かましたときのなのはは――』
高町なのはとニケが出会ったのは、ただの偶然だ。
島に移動させられたとき、初期位置が近かったというだけの理由。
支給品は互いにハズレ。
出会った直後に、ニケがなのはのスリーサイズを計ろうとした。
その後、ニケはなのはにボコボコにされる。スケベ大魔神という称号を得たのもこのときだ。
ニケがいきなり太鼓を叩き出したこともあった。
思わずツッコミを入れてしまったなのはも、話の流れで何故か踊ることになる。
山の上で踊り狂うなのはと、更に調子に乗って太鼓を叩きまくるニケ。
そして、エヴァに説教される二人。
二人してヘコみ、二人して反省した。
否、ニケは反省していなかった。
『水の剣を使うため』と称して、なのはとエヴァにとてつもなくアホな要求をしてのけたのだ。
当然、ぷんすか怒ったなのはと殺意すら持ったエヴァにボコボコにされた。
……碌なエピソードがない。
友情を深めるシーンも、互いを励まし合う感動のシーンもない。
一緒に行動した時間は、半日にも満たない6時間程度。
それでも、二人は仲間だった。
島に移動させられたとき、初期位置が近かったというだけの理由。
支給品は互いにハズレ。
出会った直後に、ニケがなのはのスリーサイズを計ろうとした。
その後、ニケはなのはにボコボコにされる。スケベ大魔神という称号を得たのもこのときだ。
ニケがいきなり太鼓を叩き出したこともあった。
思わずツッコミを入れてしまったなのはも、話の流れで何故か踊ることになる。
山の上で踊り狂うなのはと、更に調子に乗って太鼓を叩きまくるニケ。
そして、エヴァに説教される二人。
二人してヘコみ、二人して反省した。
否、ニケは反省していなかった。
『水の剣を使うため』と称して、なのはとエヴァにとてつもなくアホな要求をしてのけたのだ。
当然、ぷんすか怒ったなのはと殺意すら持ったエヴァにボコボコにされた。
……碌なエピソードがない。
友情を深めるシーンも、互いを励まし合う感動のシーンもない。
一緒に行動した時間は、半日にも満たない6時間程度。
それでも、二人は仲間だった。
『今まで出会ったどんな悪魔より悪魔らしかったぜ』
ドアノブが、遠い。
【不安定性強集団】
【B-5/山小屋の前/1日目/真昼】
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力消費中、精神疲労大、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、強靱すぎる鋼鉄の決意
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら(ポケット)
[思考]:…………。
第一行動方針:???
第二行動方針:自分の友人(特にはやて)やニケ・エヴァの仲間を探す。そのために、島の中央部に移動して情報を集める。
第三行動方針:エヴァが回復するまでエヴァを、それから無力化したヴィータを護る。
第四行動方針:仲間や情報を集める。特にフェイトは使える知識を持っているはず。
基本行動方針:仲間と共にゲームから脱出。できれば主催者打倒。
相容れない相手も出来るだけ殺さないで無力化する。その為には手段を選ばない?
【高町なのは@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:魔力消費中、精神疲労大、軽度の耳鳴り・聴覚への衝撃による頭痛、強靱すぎる鋼鉄の決意
[装備]:ミニ八卦炉@東方Project
[道具]:クロウカード×1(翔)@カードキャプターさくら(ポケット)
[思考]:…………。
第一行動方針:???
第二行動方針:自分の友人(特にはやて)やニケ・エヴァの仲間を探す。そのために、島の中央部に移動して情報を集める。
第三行動方針:エヴァが回復するまでエヴァを、それから無力化したヴィータを護る。
第四行動方針:仲間や情報を集める。特にフェイトは使える知識を持っているはず。
基本行動方針:仲間と共にゲームから脱出。できれば主催者打倒。
相容れない相手も出来るだけ殺さないで無力化する。その為には手段を選ばない?
【B-5/山小屋/1日目/真昼】
【ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:すけべ大魔神LV.6、魔力大消費、中程度の疲労、左肩に切り傷あり、なのはに隠しきれない恐怖
[装備]:スペクタルズ×8@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、クロウカード『光』、 コエカタマリン(残3回分)@ドラえもん、メタルイーターMX(弾切れ)@とある魔術の禁書目録
[思考]:俺が知ってる悪魔ってマヌケなやつばっかでさー
第一行動方針:自分の仲間となのは&エヴァの友人(八神はやてを優先)を探すため、島の中央部に移動して情報を集める。
第二行動方針:水の剣が使えるか試しておきたい
基本行動方針:とりあえずラスボスを倒す。その過程で女の子の仲間が増えればいいッスねぐへへ
[備考]:ニケとエヴァは、1つの仮説を立てました。その概要は以下の通り。
【ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:すけべ大魔神LV.6、魔力大消費、中程度の疲労、左肩に切り傷あり、なのはに隠しきれない恐怖
[装備]:スペクタルズ×8@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、クロウカード『光』、 コエカタマリン(残3回分)@ドラえもん、メタルイーターMX(弾切れ)@とある魔術の禁書目録
[思考]:俺が知ってる悪魔ってマヌケなやつばっかでさー
第一行動方針:自分の仲間となのは&エヴァの友人(八神はやてを優先)を探すため、島の中央部に移動して情報を集める。
第二行動方針:水の剣が使えるか試しておきたい
基本行動方針:とりあえずラスボスを倒す。その過程で女の子の仲間が増えればいいッスねぐへへ
[備考]:ニケとエヴァは、1つの仮説を立てました。その概要は以下の通り。
※『結界』は空中だけでなく、地中にまで及んでこの島を球形に包み込んでいると考えられる。
この『結界』は外部との念話や、転移魔法を阻害する性質を持つと思われる。
OPで全参加者を転移させたことなどを考えると、ジェダもまたこの『結界』内部にいる可能性が高い。
おそらくは島の地下。
その地下空間と地上の間に、緊急用の通路がある可能性がある。特に怪しいのは城や塔、洞窟など。
この『結界』は外部との念話や、転移魔法を阻害する性質を持つと思われる。
OPで全参加者を転移させたことなどを考えると、ジェダもまたこの『結界』内部にいる可能性が高い。
おそらくは島の地下。
その地下空間と地上の間に、緊急用の通路がある可能性がある。特に怪しいのは城や塔、洞窟など。
【インデックス@とある魔術の禁書目録】
[状態]:それなりの空腹とそれなりの疲労、
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストⅤ、コキュートス@灼眼のシャナ、葉っぱの下着
[道具]:支給品一式(食料-1日分)、逆刃刀・真打@るろうに剣心
[思考]:あれ、小屋の前になのはの魔力が……。
第一行動方針:状況を打破するため情報を集める。(島の中央にある学校を目指す)
第ニ行動方針:シャナと合流
第三行動方針:太った男の子(パタリロ)を警戒
第四行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも。保健室に『たいそーふく』はあるかな?
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。
[備考]:主催者の目的を最後の一人か、この状況を何らかの魔術儀式に使うと考えています。
アラストールと互いの世界に関する詳細な情報交換を行いました。
[状態]:それなりの空腹とそれなりの疲労、
[装備]:水の羽衣@ドラゴンクエストⅤ、コキュートス@灼眼のシャナ、葉っぱの下着
[道具]:支給品一式(食料-1日分)、逆刃刀・真打@るろうに剣心
[思考]:あれ、小屋の前になのはの魔力が……。
第一行動方針:状況を打破するため情報を集める。(島の中央にある学校を目指す)
第ニ行動方針:シャナと合流
第三行動方針:太った男の子(パタリロ)を警戒
第四行動方針:普通の下着、てか服がほしいかも。保健室に『たいそーふく』はあるかな?
基本:誰にも死んで欲しくない。この空間から脱出する。
[備考]:主催者の目的を最後の一人か、この状況を何らかの魔術儀式に使うと考えています。
アラストールと互いの世界に関する詳細な情報交換を行いました。
【エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル@魔法先生ネギま! 】
[状態]:気絶、一見無傷だが命に関わりかねない程に衰弱、魔力消費(空)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録、クロウカード 『希望』@CCさくら
なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)
[思考]:……(気絶中)
第一行動方針:????
第二行動方針:リリスに激しく警戒、というか殺す!
第三行動方針:同じ目的の者を探し、仲間と情報を集める
第四行動方針:ジェダが島の地下に居る、という仮定に基づき、地下空間に通じる道を探す
基本行動方針:ゲームからの脱出。ジェダを倒す。
[備考]:
エヴァンジェリンは、預けられた「なのはの荷物」を一通り調べています。
支給品の説明書も読んでいるようです。
光魔法『カッコいいポーズ』がジェダにも有効かもしれないと考えています
リリスが他の参加者と同じ待遇だと認識しました
[状態]:気絶、一見無傷だが命に関わりかねない程に衰弱、魔力消費(空)
[装備]:フェアリィリング@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品、歩く教会の十字架@とある魔術の禁書目録、クロウカード 『希望』@CCさくら
なのはの荷物(基本支給品、時限爆弾@ぱにぽに、じゃんけん札@サザエさん)
[思考]:……(気絶中)
第一行動方針:????
第二行動方針:リリスに激しく警戒、というか殺す!
第三行動方針:同じ目的の者を探し、仲間と情報を集める
第四行動方針:ジェダが島の地下に居る、という仮定に基づき、地下空間に通じる道を探す
基本行動方針:ゲームからの脱出。ジェダを倒す。
[備考]:
エヴァンジェリンは、預けられた「なのはの荷物」を一通り調べています。
支給品の説明書も読んでいるようです。
光魔法『カッコいいポーズ』がジェダにも有効かもしれないと考えています
リリスが他の参加者と同じ待遇だと認識しました
【ヴィータ@魔法少女リリカルなのは】
[状態]:気絶、魔力消費小、両腕がほぼ動かない程の傷(治癒魔法で治療可能)、
左足にもレーザー火傷、左手爪全剥、幾つかの打撲、聴覚障害軽微
[装備]:「ぬのハンカチ×20即席ロープ」(縛られている)、祈りの指輪@DQ
[道具]:基本支給品
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:………………(精神障害の可能性有り)
第一行動方針:???
基本行動方針:はやてを見つけ出し、守り抜く。
※:肉体強化を行っていた為か、なのはより聴覚障害は軽微です。
[状態]:気絶、魔力消費小、両腕がほぼ動かない程の傷(治癒魔法で治療可能)、
左足にもレーザー火傷、左手爪全剥、幾つかの打撲、聴覚障害軽微
[装備]:「ぬのハンカチ×20即席ロープ」(縛られている)、祈りの指輪@DQ
[道具]:基本支給品
[服装]:普段着(ドクロのTシャツ、縞模様のニーソックス等)
[思考]:………………(精神障害の可能性有り)
第一行動方針:???
基本行動方針:はやてを見つけ出し、守り抜く。
※:肉体強化を行っていた為か、なのはより聴覚障害は軽微です。
【B-5/山脈地帯/1日目/真昼】
【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両手の掌に軽い火傷、腰から背中にかけて打撲
[装備]:フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(ペットボトル一本消費)、勇気ある者の盾@ソードワールド、ドラゴンころし@ベルセルク
[服装]:上半身裸(シャツは引き裂いてしまいました)
[思考]:早ッ!? てか道間違えた!
第一行動方針:高町なのはに着いていき、ミニ八卦炉を任せていいか見極める。というかまずなのはに追いつく。
第二行動方針:殺し合いに乗った人物に危険な武器を渡さない。
第三行動方針:対主催派で使いこなせる者にドラゴンころしを託す。
基本行動方針:殺し合いを止め、ゲームを壊す
参戦時期:????
【才賀勝@からくりサーカス】
[状態]:両手の掌に軽い火傷、腰から背中にかけて打撲
[装備]:フランヴェルジュ@テイルズオブシンフォニア
[道具]:基本支給品(ペットボトル一本消費)、勇気ある者の盾@ソードワールド、ドラゴンころし@ベルセルク
[服装]:上半身裸(シャツは引き裂いてしまいました)
[思考]:早ッ!? てか道間違えた!
第一行動方針:高町なのはに着いていき、ミニ八卦炉を任せていいか見極める。というかまずなのはに追いつく。
第二行動方針:殺し合いに乗った人物に危険な武器を渡さない。
第三行動方針:対主催派で使いこなせる者にドラゴンころしを託す。
基本行動方針:殺し合いを止め、ゲームを壊す
参戦時期:????
≪127: | you-destructiv(前編) | 時系列順に読む | 131:それぞれの限界、それぞれの転向 (前編)≫ |
≪127: | you-destructiv(前編) | 投下順に読む | 129:『』shift≫ |
≪123: | それは狂的なまでに(前編) | 高町なのはの登場SSを読む | 150:The worst selection≫ |
≪123: | それは狂的なまでに(前編) | 才賀勝?の登場SSを読む | 150:The worst selection≫ |
≪123: | それは狂的なまでに(前編) | インデックスの登場SSを読む | 159:決意を胸に秘めて≫ |
≪123: | それは狂的なまでに(前編) | ニケの登場SSを読む | 159:決意を胸に秘めて≫ |
≪123: | それは狂的なまでに(前編) | エヴァの登場SSを読む | 159:決意を胸に秘めて≫ |
≪123: | それは狂的なまでに(前編) | ヴィータの登場SSを読む | 159:決意を胸に秘めて≫ |