幸福な夢 ◆r39666tJr2
涙が、いつまで経っても止まらなかった。
生理的なものなのか、感情が高ぶっているせいなのか、ミミにはっきりしたことは分からない。
そんなことより、ミミは左目をどうにかしたかった。
痛い。
でも、恐ろしさの方が何倍も強かった。すぐに体から異物を取り出したい。
そんなことより、ミミは左目をどうにかしたかった。
痛い。
でも、恐ろしさの方が何倍も強かった。すぐに体から異物を取り出したい。
そんな気持ちのせいで自然と足が早まる。街は遠い。
涙と片目しかないというハンデで、ミミの視界は最悪だった。
ふらふらと歩いていると、何時の間にか足下には緑しかない。ぼんやりしていて、道を外れてしまったようだった。
道路に戻ろう、と思うがひとつの考えに足が止まる。
涙と片目しかないというハンデで、ミミの視界は最悪だった。
ふらふらと歩いていると、何時の間にか足下には緑しかない。ぼんやりしていて、道を外れてしまったようだった。
道路に戻ろう、と思うがひとつの考えに足が止まる。
……道路は目立つ。また、さっきみたいな人に会ったらどうしよう。
ミミは今、誰よりも人を恐れていた。この島で最初に出会ったのが、酷い姿の死体と殺人者なのだから、無理もない。
ミミは考えて、少し脇道に逸れることにした。
森に入ると、木が自分を隠してくれているような気がして、少し安心する。
ミミは考えて、少し脇道に逸れることにした。
森に入ると、木が自分を隠してくれているような気がして、少し安心する。
急ごう、とミミは目的地の方向だけを見つめた。
それが、ミミから足元の注意力を奪った。前へ前へ、と進む足が何か重い物体に、当たる。
それが、ミミから足元の注意力を奪った。前へ前へ、と進む足が何か重い物体に、当たる。
(え―――?)
まったく予想していなかった衝撃に、ミミは反応できない。体が大きく傾いた。
地面が近づくのを、ミミはスローモーションで眺めるしかない。
ただの小学生が、とっさに受け身なんてとれるはずがないのだ。衝撃を覚悟して、ミミは目を瞑る。
地面が近づくのを、ミミはスローモーションで眺めるしかない。
ただの小学生が、とっさに受け身なんてとれるはずがないのだ。衝撃を覚悟して、ミミは目を瞑る。
案の定、ミミは地面に頭から突っ込んだ。
気がつくと、私は真っ白な場所にいた。
あれ?私、どうしたんだろう。何してたんだっけ。
なんでひとりぼっちなんだろう。パルモン、ママ、パパ、みんな、どこ?
なんでひとりぼっちなんだろう。パルモン、ママ、パパ、みんな、どこ?
辺りを見回しても誰もいない。
「ミミちゃん」
突然、背後から声がして、私はゆっくりと振り返った。
(太一さん……?)
白い空間に、ぼんやりと人が浮かび上がる。
「ミミさん」
「ミミ君」
「ミミ君」
(光子郎君に丈先輩……?)
「無事でよかった」
なんでここに?という考えは、太一さんの言葉に遮られた。
太一さんが、私に向かって笑う。無事?と言葉の深い意味は分からなかったけど、私は頷く。
みんなも無事でよかった!と私の口は動くのだけど、いつまで経っても音にはならなかった。
なにかがおかしい。なにかを忘れているような気がする。
気持ち悪い!
太一さんが、私に向かって笑う。無事?と言葉の深い意味は分からなかったけど、私は頷く。
みんなも無事でよかった!と私の口は動くのだけど、いつまで経っても音にはならなかった。
なにかがおかしい。なにかを忘れているような気がする。
気持ち悪い!
「ミミさん、思い出してください。僕たちは、殺し合いを命じられてこの場所にいるんです」
殺し…合い?光子郎君の言葉がぐるぐると頭を掻き乱す。殺し合いなんて、そんな訳……。
否定したいのに、体の震えが止まらない。脳裏に浮かぶ光景は、その言葉を肯定している。
否定したいのに、体の震えが止まらない。脳裏に浮かぶ光景は、その言葉を肯定している。
私は見た。殺されている少女を。殺した殺人者を。
思い出すだけで、震えが、涙が、恐怖が押し寄せてくる。
殺し合いは、本当に行われているんだ。
怖い。
怖い。
怖い!
死ぬかもしれない。殺されるかもしれない。
仲間が死ぬかもしれない。仲間が殺されるかもしれない。
思い出すだけで、震えが、涙が、恐怖が押し寄せてくる。
殺し合いは、本当に行われているんだ。
怖い。
怖い。
怖い!
死ぬかもしれない。殺されるかもしれない。
仲間が死ぬかもしれない。仲間が殺されるかもしれない。
「安心したまえ、ミミ君!」
(丈先輩……?)
俯いていた私は、その声に顔を上げる。太一さんも光子郎君も丈先輩も、笑顔で私を見ていた。
「俺たちはデジタルワールドを救ったんだ。この世界だって、救えるはずだ。殺し合いなんて、絶対止めてみせる!今はアグモン達はいないけど、みんなで力をあわせればあんな奴に負けるもんか!」
力強い言葉が、恐怖に染まった私の心に響く。デジタルワールドでは、みんなを引っ張ってくれた太一さん。
「太一さんの言うとおりです。僕は脱出方法を探します。きっとどこかに手がかりがあるはずですから」
いつだって、私たちを導いてくれる光子郎君。
「僕はみんなが、こんなことに乗らないように説得してみるよ。僕たち子供には、生きる権利が保障されている。こんなことは、やる必要はないんだ」
頼りない所もあるけど、私をいつも支えてくれた丈先輩。
仲間たちはみんな、このゲームに反抗しようとしていた。
(じゃあ、私は………?)
太一さんたちが、私の言葉を待っている。
私にはなにができるだろう。必死で、あんまり使わない頭を動かした。
―――私は弱い。パルモンがいるならまだしも、今はひとり。優勝なんて無理に決まっている。人を殺すのも怖い。
だったら、どうすればみんなで元の世界に帰れる?考えてみる。
私にはなにができるだろう。必死で、あんまり使わない頭を動かした。
―――私は弱い。パルモンがいるならまだしも、今はひとり。優勝なんて無理に決まっている。人を殺すのも怖い。
だったら、どうすればみんなで元の世界に帰れる?考えてみる。
……そう、答えは最初から分かってた。私をこんな場所に連れてきた、あいつを倒すしかない。
でも、私だけではあいつには勝てない。太一さんたちだって、アグモンたちがいなければただの子供に過ぎない。
答えは出てこない。
でも、私だけではあいつには勝てない。太一さんたちだって、アグモンたちがいなければただの子供に過ぎない。
答えは出てこない。
私は縋るように、仲間を見つめる。
こういう事は、デジタルワールドでもあった。その時は、みんなで意見を出し合って前に進んだ。
今はデジタルワールドの時よりも、過酷だ。
太一さんたちは、何も言ってくれない。私の事をただ見据えている。
こういう事は、デジタルワールドでもあった。その時は、みんなで意見を出し合って前に進んだ。
今はデジタルワールドの時よりも、過酷だ。
太一さんたちは、何も言ってくれない。私の事をただ見据えている。
(私が、考えなきゃいけないんだ。)
私はデジタルワールドでの出来事を思い出す。あいつを、デビモンだと考えてみた。
デビモンを倒した時……私は特に役にたっていない。デビモンは、エンジェモンとみんなで倒したっけ。
これじゃダメだ。
デビモンを倒した時……私は特に役にたっていない。デビモンは、エンジェモンとみんなで倒したっけ。
これじゃダメだ。
次にヴァンデモンを倒した時のことを考える。
あの時は……また、私何もしてない。
手下を倒したり、人質を助けたりはしたけど……私って、実は役にたってなかったのかな。
ちょっとくじけそうになるけど、私は思考を続ける。
ピエモンを倒した時、私は……。
あの時は……また、私何もしてない。
手下を倒したり、人質を助けたりはしたけど……私って、実は役にたってなかったのかな。
ちょっとくじけそうになるけど、私は思考を続ける。
ピエモンを倒した時、私は……。
(仲間を集めて、みんなを助けた!)
ピエモンが最後の軍勢を差し向けてきた時、私と集めた仲間たちはこれを食い止め、太一さんたちはピエモンとの戦いに集中することができた。
ピエモンの時も私は、直接は何もしてないけど、今の状況では、これが一番出来そうだ。
倒し方は、太一さんたちと一緒に考えればいい!
みんなで考えれば、良いアイデアが出てくることを私は知っている。
私の言葉が、聞こえたのかはわからないけど、太一さんは強く頷いてくれた。光子郎君も丈先輩も賛成してくれるように、笑顔を浮かべている。
倒し方は、太一さんたちと一緒に考えればいい!
みんなで考えれば、良いアイデアが出てくることを私は知っている。
私の言葉が、聞こえたのかはわからないけど、太一さんは強く頷いてくれた。光子郎君も丈先輩も賛成してくれるように、笑顔を浮かべている。
(私は仲間を集める!そして、太一さん、光子郎君、丈先輩とみんなであいつを倒して、おうちに帰る!)
そう決めると、随分体が軽くなった気がした。
怖い人もいるけど、それだけじゃないと信じたい。
自分たちとまったく違うデジモンとだって、分かり合うことができたんだから、人同士が分かり合えないはずがないんだから―――
怖い人もいるけど、それだけじゃないと信じたい。
自分たちとまったく違うデジモンとだって、分かり合うことができたんだから、人同士が分かり合えないはずがないんだから―――
ミミが幸せな希望に満ちた夢を見ている頃、島全体に悪魔の声が響き渡った。
そこに呼ばれるのは、ミミの仲間たち三人の名前。
ミミは知らない。
夢の中で出会った仲間たちが、すでにこの世の人でない事を。
そこに呼ばれるのは、ミミの仲間たち三人の名前。
ミミは知らない。
夢の中で出会った仲間たちが、すでにこの世の人でない事を。
……ミミの望みが決して、叶わない事を。
【D-2/森(C-2との境目辺り)/一日目・夜】
【太刀川ミミ@デジモンアドベンチャー】
[状態]気絶中(夢を見ている)頭に大きなタンコブ。左目損失(神楽の左目が入っています。長時間治療していません)
頬に軽度の弾痕。精神回復?
[装備]塩酸の瓶
[道具]支給品一式、ポケモン図鑑@ポケットモンスター、ペンシルロケット×5@mother2
[参戦時期]無印終了後
[思考]太一さん、光子郎君、丈先輩、待っててね!私頑張る!
基本行動方針:みんなでおうちにかえる。
第一行動方針:目と頬の治療の為に街に向かいたい。もし駄目なら次は病院に向かう。
第二行動方針:協力してくれそうな仲間を探して、太一、光子郎、丈と合流。
第三行動方針:仲間(太一達優先)を殺してしまいそうな人は自分が倒す。
第四行動方針:銀髪の少女(グレーテル)にはもう会いたくない。
[備考]頭を強く打ったのと、精神的&肉体的疲労も重なって昼間から気絶中です。
距離感や遠近感に多少のズレが生じています。また、視力が微妙に低下しています。
ずっと気絶していたので、感覚にはまだ慣れていません。
第一次放送を聞き逃しました。
【太刀川ミミ@デジモンアドベンチャー】
[状態]気絶中(夢を見ている)頭に大きなタンコブ。左目損失(神楽の左目が入っています。長時間治療していません)
頬に軽度の弾痕。精神回復?
[装備]塩酸の瓶
[道具]支給品一式、ポケモン図鑑@ポケットモンスター、ペンシルロケット×5@mother2
[参戦時期]無印終了後
[思考]太一さん、光子郎君、丈先輩、待っててね!私頑張る!
基本行動方針:みんなでおうちにかえる。
第一行動方針:目と頬の治療の為に街に向かいたい。もし駄目なら次は病院に向かう。
第二行動方針:協力してくれそうな仲間を探して、太一、光子郎、丈と合流。
第三行動方針:仲間(太一達優先)を殺してしまいそうな人は自分が倒す。
第四行動方針:銀髪の少女(グレーテル)にはもう会いたくない。
[備考]頭を強く打ったのと、精神的&肉体的疲労も重なって昼間から気絶中です。
距離感や遠近感に多少のズレが生じています。また、視力が微妙に低下しています。
ずっと気絶していたので、感覚にはまだ慣れていません。
第一次放送を聞き逃しました。
≪188:破れた誓い、そして… | 時系列順に読む | 191:遥かなるワイミーズハウス(前編)≫ |
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