原文:https://game.udn.com/game/story/122090/8129682
『活侠伝』開発者インタビュー(4):抗えぬ天命に抗う! 『活侠伝』がいかにして「圧倒的不評」から「極めて好評」へと至ったか
3年以上の歳月をかけて開発され、原始鳥熊(Obb Studio)にとって自信作であったはずの『活侠伝』。しかし、発売初日の評価は地獄のどん底へと突き落とされました。一時は万事休すかと思われたものの、わずか半月足らずで評価を「好評」へと覆し、その奇跡的なV字回復のスピードはゲーム業界内でも極めて異例な事例となりました。
本稿では、開発チーム「原始鳥熊」が歩んできた激動の道のりと、今後のアップデートを含む展望について迫ります。
大逆風のスタート、メンタル(心相)はゼロへ
難易度が理不尽に高すぎる、セーブが不便、2周目への引き継ぎ要素がない、ストーリーの展開がダイスの出目に依存しすぎる、一部のシナリオ描写に関する倫理的議論……。
これら数々の問題が噴出した結果、発売初日における『活侠伝』のSteam好評率は一時30%を下回るという悲惨なスタートとなりました。鳥熊の二人は「主人公の顔が醜いことや、人を選ぶゲームデザインであることは自覚していましたが、まさかこれほど壊滅的な批判に直面するとは予想していませんでした」と率直に振り返ります。
シナリオ執筆とコミュニティ運営を担当する熊(ユー)は、発売直後の凄まじい逆風によって「メンタル(ゲーム内のパラメータである“心相”)がゼロに崩壊した」と告白しました。一方で、相方の鳥(シャオ)はネットの嵐に耐える精神力が強く、あまり動揺を見せずにすぐさま山積する不具合の修正作業に取り掛かったと、鳥のタフさを称賛しています。
初日に本作を購入したプレイヤーであれば、その後の凄まじい対応スピードを肌で感じたはずです。開発チームは発売当日の夜に最初の修正パッチを配信し、その後も3日連続でデイリーアップデートを敢行しました。
難易度をマイルドにした「普通モード」の追加、オートセーブ枠の拡張、2周目引き継ぎシステムの導入、一部のランダムイベントをプレイヤーが直接選択可能にする仕様変更など――この開発の命運を分けた「怒涛の4日連続アップデート」は、鳥が不眠不休でプログラミングを行い、独力で成し遂げた成果でした。これにより、『活侠伝』のプレイ快適度は劇的に向上しました。
ゲームシステムが改善されるにつれ、プレイヤーは次第に本作が持つ泥臭くも熱い武侠の物語へと引き込まれていきました。そして批判が収まり、高評価が急増。わずか12日足らずで、Steamの好評率は30%から70%へと急回復し、ステータスを「ほぼ好評」へと押し上げました。コミュニティでは、開発チーム自らがゲームの主人公のように「天命に抗った(逆天改命)」と称賛の声が上がりました。直近30日間の好評率は94%に達し、インディーゲーム界でも屈指の復活劇として注目を集めています。
鳥熊によれば、リリース直後に追加された新機能はすべて鳥がその場で急遽実装したものでした。Steam掲示板のフィードバックを逐一確認し、鳥が解決策を提案して熊の意見を求めた後に作業に移っていたそうです。ネット上で噂された「あらかじめ修正アセットを用意しておき、話題作りのためにアップデートを小出しにした」という見方については完全に否定しました。熊は「あの数日間、鳥が不眠不休で戦ってくれなければ、今頃どうなっていたか想像もしたくない」と語っています。
「早期アクセス(EA)」を選択しなかった理由
「早期アクセス(Early Access、以下EA)」は、Steamでよく使われる販売形態です。開発途中のゲームを有料で提供し、資金を回収しながらプレイヤーの意見を直接反映させて完成度を高めていく手法です。『活侠伝』の評価がV字回復を遂げたことで、多くのファンは「もし最初からEAとしてリリースし、じっくり修正していれば、これほどの炎上は避けられたのではないか」と考えました。
しかし、鳥熊の二人は当初から「EAは行わない」という強い共通認識を持っていました。その理由は2つあります。
- シナリオ重視のゲーム性:『活侠伝』はストーリーテリングを極めて重視しています。もしEAとしてリリースし、数年かけて段階的にアップデートを行う形にすると、プレイヤーはわずかな新シナリオを体験するためだけに、何度も同じ育成パートや既読のイベントを周回させられることになります。ゲームが「完全版」になる頃には、多くの熱心なプレイヤーがすでに飽きてしまっている可能性が非常に高いためです。
- EAが必ずしも成功に繋がるとは限らない:二人の小規模な開発チームにとって、外野の意見に振り回されず、世間から一歩引いて黙々とゲーム制作に没頭することこそが、シナリオのクオリティを最大限に高めるための最善策だったのです。
本作の販売価格はボリュームに対して非常に安価に設定されています。しかし、どれほど本作を愛するファンであっても、発売当初の『活侠伝』が「正式版という名の未完成品」であった事実は否めません。鳥熊はこれについて自戒の念を込めてこう語ります。
「以前『しっかり完成した作品でなければお金を受け取るべきではない、そうでなければユーザーに対して申し訳ない』と大言壮語を吐いていたにもかかわらず、さまざまな現実的制約からこのような形でのリリースとなってしまいました。今なお一部のプレイヤーから許しを得られていないことは、すべて自業自得であると真摯に受け止めています」
(※『活侠伝』の販売価格は、台湾Steam版で369ニュー台湾ドル、日本Steam版で約2,000円と非常にリーズナブルです。)
なお、SNS上では「2023年11月に熊の個人口座の残高が400台湾ドル(約1,800円)未満になった」という投稿が話題になり、資金難による前倒しリリースを懸念する声もありましたが、二人は「会社資金と個人口座は完全に区別されているため、開発会社の資金不足による焦りでのリリースではない」と説明しています。
多くのファンが気にかけている販売本数について、鳥熊は「Steamのレビュー数やSNSの盛り上がりだけでは正確な数字は算出できませんが、身銭を切って作品を応援してくれたすべてのプレイヤーに心から感謝しています」と述べています。現在、二人の「心相(メンタル)」もようやく安定を取り戻し、最後までゲームを完成させる決意を新たにしています。
今後の計画と展望
攻略対象ヒロインの追加
今後は以下の3つのウェーブに分けて攻略ルートの実装を予定しています。
- 第1弾:葉雲裳(よううんしょう)
- 第2弾:虞小梅(ぐしょうばい)および郁竹(いくちく)
- 第3弾:魏菊(ぎきく)および上官螢(じょうかんけい)
※開発スケジュールが許せば、魏菊は第2弾と同時に実装される可能性もあります。
(※小師妹、夏侯蘭、龍湘に続き、今後のアップデートで彼女たちの本格的な個別ルートが順次解放されていく予定です。)
追加コンテンツとIP(知的財産)の拡張
鳥熊は、現在進めているのが『活侠伝』の「第1部」の完成であるとしています。これは上記のヒロインたち(葉雲裳、崆峒派の面々、上官螢)の結縁ルートの補完を指します。これらがすべて完了したのち、「第2部」にあたる「瑞杏(ずいきょう)DLC」の本格的な制作に取り掛かる予定です。このDLCは、現時点では「無料」での配信を予定しています。
『活侠伝』の世界観には、意図的な設定の空白や謎が多く残されており、鳥熊はスピンオフ作品の制作についてもいくつかのアイデアを持っています。
- 『飛侠千里行(ひきょうせんりこう)』:唐布衣(とうふい)、解無塵(かいむじん)、夏侯蘭らの若き日の江湖の旅路を描く外伝。本編では名前が明かされていない2人のキャラクターをダブル主人公に据える構想。
- 『竹之城タワーディフェンス記』:趙活と郁竹の間に生まれた子供たちが、世外桃源である「竹之城」に隠されて育つものの、ある日江湖の者たちに見つかり襲撃を受けるという設定。プレイヤーは様々な罠や施設を駆使するタワーディフェンス形式で生き残りを目指します。道中には、金烏上人(きんうしょうにん)に叩きのめされて正気を失ったかつての武林の達人たちなども登場する予定です。
メディアミックス展開(小説化、アニメ化など)については、実際に複数の企業からオファーが届いていることを明かしました。しかし二人は、「現段階では何よりもゲーム本編を完成させることが最優先であり、続編やIPの展開を語るにはまだ時期尚早です」と強調しています。
シナリオの修正問題について
丐幇の頭領の名を「毛二壮」から「王二壮」へ変更、龍湘がかつて大師兄とキスをしたとされる疑惑描写を趙活とのキスに変更、そして最終決戦後の瑞笙(ずいしょう)の処遇を巡る描写の調整など――。
発売初日からの熱心なプレイヤーであれば、これらのシナリオ変更を巡るSNS上の激しい議論を覚えているはずです。今なお「初期バージョンの尖ったシナリオに戻してほしい」という声や、「2つのバージョンを実装してプレイヤー自身に選ばせてほしい」という意見も根強く存在します。
これについて鳥熊は、プレイヤーの層によって受け入れられる許容範囲が異なったため、当時はパニックになりながらもバランスを取るための緊急措置だったと説明しました。自分たちの急な判断により、必ずしも最善の形での修正にならなかったシーンがあることも自覚しています。そして、「一度修正を加えると、二度、三度と終わりなき修正要求が続き、泥沼化する」という教訓を得ました。
そのため、開発チームは以前発表した「すでに完成しているシナリオについては、これ以上の改変を行わない」という方針を維持します。しかし、現実的な圧力によってやむを得ず変更せざるを得なかった部分については、ゲーム全体が完成した後に、「両方のニーズを満たすことのできる両全の策」がないかを模索したいとしています。
グッズ化計画について
当初の計画では、販売元と協力してゲームのリリースに合わせていくつかの公式グッズ(物理アートブック、ミニフィギュア、GKフィギュアなど)を展開する予定でした。
ミニフィギュアは「ねんどろいど」に近いサイズ感で、当初は趙活と小師妹の2種類を想定していましたが、製造コストの観点から最終的に「小師妹」のみに絞られました。なお、グッズ用のイラストデザインも熊が自ら担当しています。
GKフィギュアについては、クラシックな唐門の衣服をまとった定番バージョンのほかに、市場の需要を考慮したチャイナドレス姿などの別スキン案も検討されましたが、最終的には「やはり唐門の衣装こそが最高である」という結論に至りました。
非常に残念なことに、これらのグッズ化計画はさまざまな現実的要因により、現在は一次停止状態となっています。
筆者が「クラウドファンディングや個人ドネーション(支援金)の窓口を開放してはどうか」と提案したところ、鳥熊の二人は「現在のところ、そうした支援手段を設ける予定はありません」と固辞しました。もし将来的にグッズのクラウドファンディングなどが実現した際には、その時に応援してほしいとのことです。
また、ユーザーの間で要望の多い「セリフ付きのLINEスタンプ」の発売については前向きな姿勢を示しており、プレイヤーが望むのであれば、熊が作業の合間を縫ってイラストを描き下ろしたいと語ってくれました。
苦難を経て知る「侠気」:飛び込んだからには、笑って進もう
些細な冗談から始まった起業の決意、異業種から参入し、人里離れた山で刀を研ぐように開発を続けた4年間。ようやく世に出たものの、一時は不評の泥を全身に浴びることとなりました。しかし、鳥熊の二人は窮地を救ってくれたプレイヤーたちの温かい声援に心から感謝しています。
壮大な江湖の物語は、まだ終わりを迎えていません。しかし、この作品がこの世に生まれたからこそ、プレイヤーたちは忘れていた「武侠の夢」を再び思い出すことができました。不格好な主人公・趙活の足跡を追いながら、悲しみと喜びを共にし、最後には恩讐を晴らして人生を笑い飛ばす――。
この泥臭い江湖は、どこまで広がり続けるのでしょうか。かつて唐中翎(とうちゅうれい)が幼い趙活に授けた教えが、その答えを示しているかもしれません。
「心が屈しない限り、どんなに遠い場所へだって辿り着ける」
鳥熊が歩みを止めず、それを支持するファンが共に歩み続ける限り、彼らの旅はこれからも続いていきます。
(インタビュー全編終了)