エネミー・ラプソディ ◆yX/9K6uV4E
――――絆という、鎖。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「ふう、もうちょっとかな」
三村かな子は一息ついて、そして、目の前に広がる校舎を見つめる。
命令があるなんてビックリしたが、まあ守る必要性があるから。
ちょっと急ぎ目に歩いてきた。
そこで、三人殺す。
「……頑張らなきゃ」
あんまり、気乗りがしないといえばしないが、しなければならない。
プロデューサーを守らないといけないから。
だから、よいしょっとリュックを担ぎなおして、かな子は再び歩き始める。
―――知らぬ誰かを殺す為に。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「…………まあ、そんなものですよね」
「そうね……アンテナも立っていないし」
「……残念だなぁ」
学校の探索を終えて、泉と瑞樹、友紀は駐車場のなかに停められていた、一つのバンの中に居た。
泉が中継車とメドをつけて、彼女達は向かうことを決めた。
何か少しでも、手掛かりがあると信じて。
そして、中継車とメドをつけたバンに泉達は侵入することにした。
「当然、誰も居るわけないですし」
「居たら、居たで困ったけどね」
結局の所、中継車だと思っていたバンは、やはり中継車であった。
ただ、泉達が期待した首輪に対する電波の中継などに使う中継車ではなく
「音声中継車……か」
「……へぇ、川島さんはしってます?」
「まあ、アナウンサーだったからね……ちょっと特殊な中継車よ」
「ふぇー……流石川島さん」
「……友紀ちゃん、その流石って何かしら」
音声中継車といわれる、特別な中継車だった。
バンの扉を開けると、左右には、テープなどが収まっている棚がある。
その奥には、つまみが沢山ついているコンソールとモニターが鎮座していた。
つまみだけでも、沢山あって少し異様で、泉達が見た事がある中継車と全然違う。
「レコーディングとかで、声の調整したり、音楽のバランスを整えるのを、ここでできるわ」
「ふむふむ……」
「それを、リアルタイムで流したり、ライブ会場で音楽を流したりできるわよ」
「……成程」
「友紀ちゃんなら、ライブ会場でライブした事あるから、リハーサルの時とかに、音楽を途中から流してもらったりした事あるでしょ」
「うん!」
「それをやってくれる車よ」
言ってしまえば、収録スタジオが丸ごと車の中に入ったようなものだった。
そんなものが、こんな学校の駐車場に無造作に置かれている。
「……なんでこんなものが?」
「さぁ……何かに使う予定だったとか?」
「なるほど……でも、まだその何かは、解りませんね」
何故、と言うのは泉達には判断できる材料は存在せず。
結果として、わざわざ調べた労力に見合う収穫は無かった。
だからと言って、落胆してる余裕なんて瑞樹達にはない。
「……ねえ、泉ちゃん」
「何でしょうか?」
「……話したい事が、あるんでしょ」
「……そ、それは」
「言ってしまいなさい。その為に入ったんでしょ」
この車にそこまで泉が期待していない事は瑞樹は解っていた。
それは泉がこの車に入った時の素っ気無い反応から、理解できる。
だとするなら、わざわざ入った理由がある訳で。
「話し辛い事なんでしょ?」
「そうなの?」
「それは……そうですけど」
「観念しなさいな……そうでなきゃ何時までたっても進まないわよ」
瑞樹が思うに、話し辛い事だと思ったがドンピシャだったようだ。
泉は観念したように、おどおどと慎重に話す。
「まず今後の事ですが……学校離れ当初の目的通りの場所にいきます」
「そうだね、大体一通りみたし」
「だから、そろそろ次の目的地にいこうと思います」
「目的地は変わらないとすると……なら、其処に新たな目的が加わるって事かしら」
「その通りです……最初にあった放送の時、話した事覚えていますか?」
泉は、中継車の中にある椅子に、腰掛け語りだした。
少し、長くなると言う事なのだろう。
瑞樹は意図を察し、続いて隣の席に座る。
どっこらしょと言いかけたが、寸前で止めた。
それに、友紀が笑いそうだったが、瑞樹は思いっきり睨んでおいた。
「……悪役が居るかもしれないって話?」
「そうです。今、八人の人が亡くなって……今居るのは私たち含めて、残り三十七人。まだ……この中に居ると思っています」
「確かに、まだ半分は切っていないし……それがどうかしたのかしら?」
「そろそろ、私達も、目的地を巡る上で、、もうそろそろ、誰かと会うかもしれないので、他の参加者と積極的に接触を図りたいと思います」
「具体的には?」
「危険も高まりますが、進路にある施設をみてみたりとかですね」
「成程、いいかもね!」
悪役。泉が示した仮定だ。
主催からの刺客と言える、参加者が居ると泉は考えて。
その悪役は依然生きていると思う。
だからこそ、
「……できる事なら、絞り込みたい。誰が『悪役』かを」
「成程ね……とはいえ、殺し合いに反対している参加者の中に紛れ込んでいるって可能性もあるけれどどうなのかしら?」
「あるとは思いますけど……積極的に参加者を殺していくならその可能性低いと思います。そうでなきゃ、刺客としてなりたちませんから」
「ふむ……とはいえ、他のアイドルとあって何か解るのかしら?」
「はい……ねえ、姫川さん……姫川さんは何時頃、この島に連れて来られたか覚えてます?」
何時頃……と聞かれて、友紀はうーんと頭を抱える。
そして、瑞樹も考えて。
「……あれ、よくわかんないや。あやふやな感じ……?」
凄くあやふやな気がして。
そもそも、今が何月何日すら解らない事実に今更ながら驚く。
そうだ、何時つれて来られたか……なんて考えなかった。
「……言われてみれば。そうね」
「私が最期に覚えてる曜日は……水曜日だったかな。で、それ以前に地方に営業に言ったアイドルが居るのも覚えています……姫川さんは?」
「そうだね、私達の中でピンでの仕事が会った子…………が…………」
「……つまり、全員が一気に連れ去れた訳じゃないと考えてるわけね」
「まあ、ある意味当然ですし……その上で、誰が、一番最初に、居なくなったかを考えたいんです」
「成程……そういうことね」
「そういうことです」
その上で、参加者に会っていく。
会って、話をして、出来る限り此処に連れて来られる前の事を思い出してもらう。
そうして、辿った末に……『一番最初に居なくなったアイドル』がいるとするなら。
泉はそのアイドルこそが、悪役だと、考える。
刺客として訓練する時間を考えるなら……それが、一番ありえると思うのだ。
けれど
「悪役探しをして、何か得るものがあるのかしら?」
「……それは。色々対策できるかも知れないじゃないですか」
「ふぅん……まぁ、いいわ。他の参加者と情報を交換しないといけないと言うの事実でしょう。
いいわ……私達が第一目的とするものを忘れない上で、なるべく無理しない程度であって行きましょう」
「……はい」
瑞樹にとって純粋な疑問だ。
悪役を探して、何の得になるのか。
確かに対策が出来るかもしれない。
かといって、対策した所で、訓練をした刺客相手にどれ位意味を成すのか。
果てしなく、疑問で。
実際泉も口を濁していた。
つまり、彼女には何か確信めいたものがあるのだろう。
そう、瑞樹達に隠しておきたい程の、答えがだ。
具体的には
(……もしかして、目星がついているのかもね)
悪役が、誰かという事に。
あくまで推論程度の目星かもしれないのだろうけど。
ある程度、候補は絞っている。其処まできているのだろう。
そして、今、『友紀に話を振った理由』が、其処にある。
友紀も何かを察して、押し黙っている。
「……泉ちゃん」
「はい?」
瑞樹は、くしゃっと泉の頭をなでる。
なるべく、優しく。
出来るだけ、丁寧に。
「な、なんですか?」
「ううん、別に……そんなに悩まなくていいからね」
「……はい」
もしかしたら、言いたかったのかもしれない。
けれど、恐ろしい考えだと自覚してるからこそ、言えなかった。
間違えの可能性が大いにあるから、言えなかった。
彼女は、まだ子供なのだから。
小さい過ちで、何もかも崩したくないと思ったのかもしれない。
(フラワーズ……確かに、一番遠い所で、長くロケしていても違和感が無いアイドル達だからねぇ……)
フラワーズ、それと並ぶくらい人気のアイドル達。
多分、泉が考える候補はその辺り、だろう。
実際まだ、誰も死んでいない。
それが何を意味するかは解らないが。
ただ、友紀も思い当たる事があった。
恐らく誰か前に友紀の前に離れた人がいるのだ。
だからこそ、こう黙っている。
「さて、もう此処には用がないし、行きましょう」
「はい、次は漁港ですね」
「ええ」
とりあえずは目の前の目標をこなして行くしかないのだ。
どんなに辛いものが待っていようと、受け止めるしかないのだから。
立ち上がって、前を進む泉を見る。
やっぱり、瑞樹にとってその背はとても小さく見えて。
(まだ、何か抱え込んでるわね……きっと、これは殺し合いと近くも遠い事で)
泉がまだ悩みを抱えている事に、なんとなく気付く。
だからこそ、支えなきゃいけない。
小さな、子供を。
(やれやれ……苦労を背負い込むのは大人の役目でしょう……なら、私が頑張るしかないわね)
その背中を優しく、抱きしめるかわりに、今は自分が頑張ろう。
それが、大人である瑞樹が出来ることなのだから。
ため息一つ、ついて、瑞樹はその背を追った。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
私は上手く、喋れたのだろうか。
ちょっと、自信が無いな。
もしかしたら意図そのものも、完全読まれたかも知れない。
それなら、それでいいと思った。
考えてるのはあくまで仮定の話だ。
口には、出来ないなと思う。
姫川さんには、断定で言っちゃいけないと思う。
フラワーズ。
今を時めくアイドルグループ。
素晴らしい花達。
………………………………私達の憧れだった。
というと、どうなんだろうか。
一種の目標だったかもしれない。
ニューウェーブとして、さくらと亜子でグループ組んでいた私達にとって。
あんなにも輝ける花は、希望に違いなかった。
同じアイドルとして羨ましくて、何処か悔しくて。
私達が持っていない何もかもを持ってるような気さえしたのだ。
だから、かな。
私が姫川さんに会った時、意地悪めいた事を言ったのは。
案の定、完璧な答えがかえってきて、打ちのめされたのは私だけれど。
仲間、仲間か。
さくらと亜子はどうしているのだろうか。
解らない、解りたくないかもしれない。
でも、もし、此処に彼女達が居たら、私はどうしたんだろうなって。
解らないや。彼女たちがどうしたかとか……考えたくない。
解るのは、今、独り、私は此処に居る。
たった独りで、居る。
そのことがどうしようもなく、怖い。
今、思い出せば、あの囁きは自分でなくて、
千川ちひろの言葉から引き出されたものだった。
ちょっと前に、偶然、立ち話で聞こえたのだ。
―――泉ちゃんが、足を引っ張ってるんですよねぇ……勿体無い。
私達、グループに対して言っていた言葉なのだろうか。
それとも、さくらや亜子に対して?
扉越しだから、解らなかった。
知りたくなかった。
―――自然な笑顔が、まるで、出来てない。
知っている。
知っていた、けど、どうすればいいかわからない。
―――二人で、売り出したほうが、いいと思いますよ?
そんな、声が、最後に聞こえて。
私はそのまま、駆け出して逃げた。
だから、今でも、自分の声で聞こえてくる。
―――お前は親友から、捨てられたんだって。
……違う、違う!
私は捨てられたんじゃない。
あの二人は捨てる訳がないゃない!
仲間だもの、友達だもの……!
……信じたい。信じたいよぉ。
仲間を、仲間達を。
なのに、言葉が出ない。
姫川さんはどうして、そんなに信じられるの?
誰かが殺し合いに乗ってるかもしれないのに。
仲間を、友達を。
私はこんなにも不安でたまらないのに。
――――これが、アイドルとそうでない少女の差?
違う……違うっ!
私は、私はっ!
わ……たし……は……
いいな、羨ましいな。
私は、私も、あんなふうに信じたかった。
仲間も信じられない私が…………
『アイドル』で居られるというの?
私が生きて……何になるの……?
ねぇ……私は『アイドル』なの……?
応えてよ……そうだと言ってよ……さくら……亜子。
あぁ、堪らない……な。
私は――――独りだ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あたし――――
姫川友紀は校門を出て、二人の一歩後を歩いて。
そうして、うつむきながらと自分の考えを纏めていたんだ。
纏まったかって? 纏まるか。
纏まったら、欝めいてなんてしてないし。
胸のどきどきがとまらないんだ。
フラワーズの仲間は全員生きてる。
誰一人欠けちゃいない。
それは、いい。
それは、いいんだけどっ……!
けどさ、けどさ……だったら。
あのメッセージはなんだったの。
校門を出た時に、端末が震えた。
其処に書いてあったのは一つのメッセージ。
【希望の花束の中に、絶望の一輪が混じっている。 正義の花は、何の為に咲き誇る? 咲き誇るための力が欲しいなら――――】
なんだ、何がいいたいの。
こんなんじゃ、全然解りっこないよ。
でもさ、でもさ……バカだけど解るよ。
花束は、藍子ちゃんが好んで言う言葉で。
きっとアタシ達のことだ。
それはいい、でも。
正義の花……向日葵。
アタシがそういわれる事ぐらいちょっとは理解している。
という事はアタシに当てたメッセージ。
それで……絶望の花って……
ねえ……私達の中に、絶望した子がいるっていうの?
藍子ちゃん? 夕美ちゃん? 美羽ちゃん?
それが、フラワーズの一人が、早くからいなくなってた事に影響するっていうの?
もしかして、もう……そういう絶望にあったというの?
ねえ………………ねえ!
そんな……そんな、バカな事ってあるというの?
嘘だ……嘘だっ。
だって、藍子ちゃんも、夕美ちゃんも、美羽ちゃんも。
そんな子じゃない、そんなのあたしが誰よりも知っている。
こんな所でへこたれる子じゃない。
ねえ、どうして……こんな言葉送ってくるのさ。
あたしに力をって、何を。
ちっくしょう、訳がわからない。
嫌だ、皆が絶望に染まるなんて、絶対に嫌だ。
フラワーズは笑って咲き誇ってないと駄目なんだよ。
皆が笑顔で、アイドルでいて。
それなのに、どうして。
あたしは、あたしは……
あたしに力が…………
……力があれば?
力があれば、なんて。
なんで、そんな事考えるの?
惑うな、戸惑うな、あたし。
……大人、なんだから。
大人にならなきゃいけないんだから。
川島さんが言っていた、大人になるって事は受け止める事。
だから、皆がどうであれ、アタシは……受け止めなきゃ。
そう、でなきゃいけないん……だ。
……本当に?
大人って、それでいいの?
ねえ、子供が傷ついてさ、子供が疲れてさ。
そんな事になる前に、あたしは何かしなきゃ駄目なんじゃないのかな?
子供か大人、どちらかが疲れないといけないなら、傷つかないといけないなら。
まず、大人からじゃないかなって。
あたしは思うけど、やっぱり違うのかな。
ちょっと前にちひろさんと交わした言葉がリフレインする。
――――なら、貴方はきっと、アイドルとして、どうにもならないところで、貴方の手で犠牲を出しながら、それでも、護るでしょうね。
そう言って、彼女はもっと言葉を続けて
――――――――――――――――といった。
そうやって、彼女と少し話を交わしてさ……
解る、解ってるよ。
あたしの立場ぐらい、役目ぐらい。
大人として、私がやるべきことは。
でも、あたしはさ。
まだ、よく解らないんだよ。
悩んで、苦しんで。
でも、そうやって、見つけたくて。
でも、皆に絶望なんてして欲しくなくて。
あたしは皆を守りたくて。
あたしは……
あたしの希望は―――――
「……姫川さん?」
「……っ!?」
「どうしました?」
「んやー、なんでも……いこいこ!」
「……そうですね」
気がついたら立ち止まっていた。
二人に呼びかけられて、すぐに駆け出した。
そこで、思考は途切れた。
悩みは消えないけど。
大人って。
あたしがすべき事って。
あたしの答えは―――――
ねえ、皆はどうしてる?
あたしは、今、こんなにも……皆が、気になって仕方が無いよ。
【G-3/一日目 午後】
【
大石泉】
【装備:マグナム-Xバトン】
【所持品:基本支給品一式×1、音楽CD『S(mile)ING!』】
【状態:疲労・空腹】
【思考・行動】
基本方針:プロデューサーを助け親友らの下へ帰る。
0:私は独りだ
1:漁港を調査して、動かせる船を探す。
2:その他、脱出のためになる調査や行動をする。その上で参加者と接触したい
3:アイドルの中に悪役が紛れている可能性を考慮して慎重に行動。
4:かな子のことが気になる。
※村松さくら、土屋亜子(共に未参加)とグループ(ニューウェーブ)を組んでいます。
【姫川友紀】
【装備:少年軟式用木製バット】
【所持品:基本支給品一式×1、電動ドライバーとドライバービットセット(プラス、マイナス、ドリル)】
【状態:疲労・空腹】
【思考・行動】
基本方針:プロデューサーを助けて島を脱出する?
0:私は……?
1:漁港を調査して、動かせる船を探す。
2:その他、脱出のためになる調査や行動をする。その上で参加者と接触したい
3:仲間がいけないことを考えていたら止める。
4:アイドルの中に悪役が紛れている可能性を考慮して慎重に行動。悪役を……?
5:仲間をアイドルとして護り通す? その為には犠牲を……?
※FLOWERSというグループを、
高森藍子、相葉夕美、
矢口美羽と共に組んでいます。四人とも同じPプロデュースです。
※
スーパードライ・ハイのちひろの発言以降に、ちひろが彼女に何か言ってます
【
川島瑞樹】
【装備:H&K P11水中ピストル(5/5)】
【所持品:基本支給品一式×1】
【状態:健康】
【思考・行動】
基本方針:プロデューサーを助けて島を脱出する。
0:色々大変ね。
1:漁港を調査して、動かせる船を探す。
2:その他、脱出のためになる調査や行動をする。その上で参加者と接触したい
3:大石泉のことを気にかける。
4:アイドルの中に悪役が紛れている可能性を考慮して慎重に行動。
5:千川ちひろに会ったら、彼女の真意を確かめる。
※千川ちひろとは呑み仲間兼親友です。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「………………あれ?」
三村かな子が、伝令に従って、学校に戻り、すぐさま探索を開始して。
そして、真っ先に探索するべき場所に、誰も居なくて、彼女はきょとんとした。
可笑しいなと首を捻りながら。
「此処に居ると思ったんだけどな……」
去った後かと思ったが、居た痕跡も無い。
となると、此処の近くまで着ただけなのだろうか。
ちょっと拍子抜けしてしまった。
(急なメッセージだったし……誰を殺せ……というメッセージでもなかったし……んん?)
かな子は首をかしげながら、ずっと此処にあるものを、眺めていた。
それは、かな子の二倍以上もある、ものものしい、金属でできた扉
電子ロックでもかかっているように、画面がついたのが扉の前についていて。
何かを差し込むような口が、三つついていて。
ピッピッと、電子音を奏でてているソレこそが。
千川ちひろ達にとっての、『致命的』な、喉笛だった。
【F-3・学校 ???/一日目 日中】
【三村かな子】
【装備:カットラス、US M16A2(27/30)、カーアームズK9(7/7)】
【所持品:基本支給品一式(+情報端末に主催からの送信あり、ストロベリー・ソナー入り)
M16A2の予備マガジンx4、カーアームズK7の予備マガジンx2
ストロベリー・ボムx3、医療品セット、エナジードリンクx4本、金庫の鍵】
【状態:健康、】
【思考・行動】
基本方針:アイドルを全員殺してプロデューサーを助ける。
0:あれれ?
1:もう少し学校を探索かな? 温泉に戻ろうか?
2:もう二度と顔はとらない。
※【ストロベリー・ボムx8、コルトSAA"ピースメーカー"(6/6)、.45LC弾×24、M18発煙手榴弾(赤×1、黄×1、緑×1)】
以上の支給品は温泉旅館の金庫の中に仕舞われています。
※学校内に、不釣合いな金属な扉が設置されている場所があります。(簡単には見つからない場所にあります)
最終更新:2013年07月05日 09:32