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  • 朋也「軽音部? うんたん?」 冬②

自分用SSまとめ

朋也「軽音部? うんたん?」 冬②

最終更新:2011年05月09日 18:31

meteor089

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管理者のみ編集可

朋也「軽音部? うんたん?」

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191:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:11:45.76:+UZ/pLeq0


朋也「…よし」

生活必需品と衣類、学校関連の教材などをまとめ、スポーツバッグに詰め終わる。
長年暮らしてきた、この家…実家を出るための荷造りだった。
俺は芳野さん経由で、個人家主の物件を紹介してもらっていたのだ。
普通なら、現高校生の段階で審査が通るはずもないのだが…
そこは個人家主のメリットで、大家さんに融通してもらえていた。
敷金、礼金は、冬休み中の貯えがあったので、楽に払えた。
当面の生活費は、今も放課になるとたびたび仕事に呼び出されていたため、その給与で卒業までは賄える見込みがあった。
抜け目のない布陣に見えるが…ひとつ問題があった。
アパートに移ってしまうと、朝、平沢姉妹と一緒に登校できなくなってしまうのだ。
といっても、2月になれば自由登校になり、学校に行く必要もなくなるのだが。
授業日数も残り僅かだったので、いい頃合だと思い、転居が決まる前、唯には話をしておいた。
すると、卒業まではこの家にいて欲しいと請われた。けど、俺が首を縦に振ることはなかった。
確かに、ここにいれば唯と一緒に居られる時間が増える。とくに一月中は。
でも、2月、授業がなくなって自習するだけの状態になると、話が変わってくる。
唯が登校するのは、部室で勉強するためだ。俺には唯と一緒に居たいという動機しかない。
だが俺が部室に居ても、なんの役にも立てないどころか、気を散らせてしまうばかりだ。
それに、ただ黙って勉強を眺めているだけというのも、かなり味気ない。ナンセンスだ。
そういう事情もあり、距離というどうしようもない理由を作って茶を濁すつもりだった。
いや…それも綺麗ごとか。一番の理由は…やっぱり、親父と離れたかったからに他ならないのだから。

朋也(いくか…)

パンパンに膨らんだバッグを三つ肩に掛け、下の階に降りた。

―――――――――――――――――――――

いつものように親父は居間で転がっていた。


193:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:13:13.31:jpDSDOMkO


朋也「なぁ、親父」

小さく上下する肩に触れる。

親父「ん…」

寝言か何かよくわからなかったが、親父が小さくうめいた。

朋也「俺、家を出るから…」

それを一方的に目覚めたと判断して、俺は話を始めた。

朋也「ひとりで元気にやってくれよ…」

それだけを伝えて、俺は親父のそばから離れる。
そして、玄関へ…
ぎっと背後で床がきしむ音がした。
振り返らざるをえない俺。

朋也「おはよう」

平成を装う。

親父「朋也くん…どこかへいくのかい」

朋也「アパートだよ。就職の見込みがあるから、保護者印なしで貸してくれるとこがあったんだ」

親父「就職、決まったのかい?」

朋也「ああ」


194:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:13:52.21:+UZ/pLeq0


親父「それは、おめでとう。でも…寂しくなるね」

親父「朋也くんは… いい話し相手だったからね」

走って逃げ出したかった。

朋也「こっちにも都合があるんだよ。わかってくれ…」

押し殺した声でそう言う。
最後は…最後まで平静でいよう…。

親父「そうだね…」

朋也「じゃあ、いくから」

俺は背中を向ける。

―――――――――――――――――――――

いつも帰る場所だった家。
今だけは、違う。
どれだけ時間がかかるかわからなかったけど…
いつかは戻ってこれる日がくるのだろうか。

朋也(こんなにも、後ろ向きな俺が…)

朋也(逃げ出しただけじゃないかっ…)

だから最後にこう告げた。


195:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:14:25.61:+UZ/pLeq0


朋也「さよなら、 父さん」

俺は歩き出した。

―――――――――――――――――――――

一月も終わろうかというその日。
放課後になると、俺はいつものようにすぐ下校していた。
最後に部室へ顔を出したのは、就職報告へ行った時だ。
あれ以来俺は直帰するようになっていた。

―――――――――――――――――――――

朋也「あ…」

外に出ると、雪が降っていた。
珍しいものだと思った。
こらから本降りになるのだろうか。
明日の朝には積もっているだろうか。
これからはどうしようか。
今日は仕事が入っていない。
春原もまだ戻ってきていない。
早く帰って来てくれればいいのに…。
最後の時間はどう過ごそうか…。
就職が決まってしまったふたりでも…馬鹿できるだろうか…。
できるだろう…俺たちは本当に馬鹿だったから。

―――――――――――――――――――――

いろんなことを考えながら、俺は門を抜け、坂を下る。


196:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:15:41.40:jpDSDOMkO


その先に…彼女はいた。

朋也「よう…なにやってるんだ、坂上」

桜の木をまっすぐに見つめるその横から声をかけた。

智代「ん…おまえは、あの時の」

朋也「覚えててくれたのか」

智代「それはそうだろう。おまえの助言で私は副会長に鞍替えしたんだぞ」

朋也「そうだったな。で、こんな寒い日に棒立ちして、なにをしてたんだ」

朋也「なにか面白いことでもあるのか」

智代「ただ桜の木を見て感慨にふけっていただけだ。私と、真鍋会長で守ったここの木たちをな」

朋也「そっか。じゃあ、達成できたんだな、おまえの目的」

智代「ああ。とても長くかかった。けど、なんとかここまで漕ぎ着けた」

智代「これも、真鍋会長の力添えがあったからだ」

智代「私一人の力じゃ絶対に成し得なかったと思う」

智代「それだけこの学校は広く、深い構造の中で動いていたことがわかったんだ」

智代「真鍋会長からノウハウを教わっていなかったら、きっと誰も私についてきてくれなかっただろうな」


197:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:16:03.67:+UZ/pLeq0


朋也「そっか」

ということは…こいつも、あの特殊な生徒会に染まってしまったのだろうか。
でも、そんな風には見えない。初めて会った時の純粋な瞳を、今も持ち続けていたから。

智代「だから、おまえには感謝している」

智代「あの時、事を急くあまり状況が見えていなかった私を客観的に諭してくれたおかげで、冷静になれたんだ」

智代「ずいぶんと遅れたが、今礼を言っておく。ありがとう」

なんのけれんみもない透明な言葉。
生徒会内にいて、ドロドロした裏を見てきた人間が、こうも穢れなくいられるものだろうか。
普通ならスレてしまうだろう。
そうならないのは、こいつの持って生まれた器の大きさが成せるわざかもしれない。
まさに将来への展望が期待される大器だった。

朋也「まぁ、助力できたんなら、俺も後味がいいよ」

朋也「俺はもともと、真鍋に肩入れする腹積もりでおまえに副会長を勧めただけだったからな」

智代「そうなのか。おまえは、結構ドライな奴だったんだな」

智代「あの時、熱心に説得してくれたから、もっと熱い男かと思っていたんだぞ」

朋也「まぁ、そういう利害が絡んだ話には決まって裏表があるもんだ」

智代「そういうものか…」

朋也「ああ。だけど、おまえはこれからもまっすぐでい続けてくれよ」


198:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:17:52.76:jpDSDOMkO


朋也「俺、そういう奴好きだし…それに、結局はそれが一番正しくて一番強いだろうからな」

智代「まっすぐか…それは、単純そうでいて、その実難しそうだな」

朋也「おまえなら簡単だよ。そのままのおまえでいればいいだけだからな」

智代「私はまっすぐなのか?」

朋也「ああ、すげぇ直線だ」

智代「そうか…じゃあ、おまえにも好かれているというわけだな?」

朋也「ん、まぁ、そうだな」

智代「なら、私は私でいられ続けるよう精進していこう。おまえに好かれるというのも、悪くない気分だからな」

朋也「そりゃ、光栄だな。そんじゃ…もう話すこともないし、俺、行くな」

智代「うん、それじゃあ」

別れ、その場を去った。
帰り道…不思議と胸がすっとしている自分がいた。

―――――――――――――――――――――

2月になり、自由登校期間に入った。
俺はもちろん学校に用なんかあるわけもなく、アパートの自室で時を過ごしていた。
仕事がある時以外は基本暇だった。
春原さえいれば、最後になにか大きな馬鹿をやってもよかったのだが…。
就職活動が難航しているのか、それとももう決まって実家でゆっくりしているのか…


200:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:21:13.38:jpDSDOMkO


とにかく、あいつはまだ帰ってきていなかった。

朋也(いい加減帰ってこいよな…何様のつもりだ、あの野郎…)

朋也(部屋に家庭ゴミ分別せずに捨てちまうぞ…)

………。

朋也(はぁ…)

―――――――――――――――――――――

唯「やっほー、朋也っ」

朋也「唯…」

数日経った頃、唯がアパートを訪れてきた。

唯「朋也~会いたかったよぉ」

よろよろとこちらに近づいてくると、ぎゅっと強く抱きしめられた。

唯「5日ぶりくらいだよねぇ」

朋也「そうだな」

言いながら、頭を撫でる。

唯「私、今しあわせぇ~」


201:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:21:38.46:+UZ/pLeq0


朋也「ああ、俺もだけど…」

勉強はいいのだろうか…もう試験までちょっとしかないはずだ。

唯「ほんとに?」

顔を上げる。

朋也「ああ」

唯「えへへ、じゃあね、いいものあげる」

朋也「いいもの?」

唯「うん。あ、上がっていい?」

朋也「ああ、いいけど」

―――――――――――――――――――――

唯「わぁ、一人暮らしって感じだね」

部屋に上がると、周りをキョロキョロと見回しながら見たまんまなことを言う。

朋也「まぁ、一人で暮らしてるけどさ…あ、そこ適当に座ってくれ」

座布団を放って渡す。

唯「うん」


202:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:22:51.05:jpDSDOMkO


そして、小さめのテーブルを囲んで、対面に座った。

朋也「で、いいものってなんだ」

唯「それはねぇ…」

鞄を漁る。

唯「これだよぉ」

中からハート型の箱を取り出していた。

唯「ちょっと早いけど、バレンタインでーのチョコレートだよ」

朋也「お…サンキュ」

受け取る。
そういえば…バレンタインデー当日には既に町を出て、現地のホテルに宿泊してるんだったか…。
思い出しながら、開封する。
そして、一口かじってみた。
甘さは極力抑えてあって、食べやすかった。

朋也「うん、うまい」

唯「よかったぁ。朋也、甘いの苦手でしょ? だから、ちょっと工夫してみたんだよね」

唯「それが勝因かなっ」

朋也「工夫って?」


203:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:23:22.45:+UZ/pLeq0


訊きながら、もう一口かじる。
すると、ピリッとした痛みが舌に走った。

朋也「痛っ…」

唯「えーとね、超タバスコをところどころ混ぜて、気づかないようにそっと舌を麻痺させて、甘さを感じないようにしたのです」

朋也「いや、無理やりすぎるだろ…んなことしなくても普通にうまいのに、台無しだぞ」

唯「えぇ? そっかぁ…やっぱり、早苗さんの領域には届かないなぁ、私…」

頼むからあの人をリスペクトするのはやめてくれ。

朋也「まぁ、いいけどさ…。それで、勉強の方は、順調なのか?」

唯「ん? んー、ぼちぼちかな」

朋也「そっか。ま、体壊さないように頑張れよ…っても、おまえは風邪とかとは無縁そうだよな」

唯「そんなことないよ。去年の創立者祭ライブの時なんか、直前で風邪引いちゃったし」

朋也「そうなのか?」

唯「うん。だからさ、今度熱が出たら、朋也が看病してね?」

朋也「じゃあ、キスして風邪移してくれよ。人に移せば直るっていうしな」

唯「そしたら、今度は朋也が風邪引いちゃうよね。そうなったら、また私がちゅーして風邪もらってあげるね」

朋也「じゃあ、また俺がキスして風邪もらうよ」


204:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:26:42.63:jpDSDOMkO


唯「そしたら、また私がちゅーしてあげる」

朋也「ラチがあかないな…俺たちの間でいったりきたりしてるだけじゃん」

唯「あはは、そうだね。永久機関の完成だよ」

朋也「こうなったら、なにかを媒介にして、そこに移ってる間にループから抜け出すしかないな」

朋也「例えば、春原の奴に咳を浴びせ続けて、空気感染させるとかしてさ」

唯「それ、媒介っていうか単純に春原くんに移っただけだよね」

朋也「まぁ、ループから脱出するって大義名分があるんだから、大事の前の小事ってやつだ」

唯「あはは、もう、相変わらず春原くんの扱いがひどいね」

朋也「よしみってやつだよ。もうずっとそういうやり取りを繰り返してきたからな、俺たちは」

唯「そっか…なんかいいね、親友と作り上げてきた関係って」

朋也「おまえも、軽音部の奴らとそうしてきただろ」

唯「うん、そうだね。みんな大好きだよ」

朋也「おまえたちは綺麗な感じがしていいよな。俺たちなんか、ただの腐れ縁だぜ」

唯「いいじゃん。切ろうとしても、切れないんだから、すっごく強いよっ」

唯「だからさ、私と朋也も腐ろうよっ。っていうか、みんないっしょに腐って、いつまでも一緒だよっ」


205:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:28:56.97:jpDSDOMkO


朋也「ただのゾンビだろ、それ。すげぇ嫌な景色が浮かんだんだけど」

朋也「おまえが腐乱死体になって『み゛ん゛な゛ぁ゛~腐ろ゛う゛よ゛』って手招きしてる感じでさ」

唯「えぇ!? そんなの嫌だよっ! やっぱり腐りたくないっ」

朋也「だよな。つーか、腐るなんて俺が許さねぇよ。おまえはめちゃ可愛いから、ゾンビ化はもったいなすぎる」

唯「えへへ、ありがとう」

屈託のない笑顔をくれる。俺も同じように表情を緩めた。

朋也「ま、それでさ、学校行く途中だったんだろ?」

唯は制服で、その上からコートを着込んでいた。

朋也「そろそろ、勉強しにいった方がいいんじゃないか」

これ以上一緒にいれば、いつまでもぐだぐだと会話していそうだったので、そう切り出した。

唯「えー、もうちょっとお話してたいよっ」

朋也「それは、試験が全部終わったらゆっくりしよう。今は勉強頑張れよ。あとちょっとだろ」

唯「うー…じゃあ、終わったら、遊ぼうね?」

朋也「ああ、いいよ」

唯「この部屋にも、泊まりに来ていい?」


206:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:29:18.15:+UZ/pLeq0


朋也「え…おまえ、それは…」

唯「だめなの?」

朋也「いや、だってさ…俺、一人暮らしだぞ? それに、俺たちは付き合ってて…そこに泊まるってことは…」

唯「えっちなこと?」

朋也「あ、ああ…俺、手出さない自信がない」

唯「朋也になら…いいけどな…」

朋也(う…)

マフラーに少し顔を埋め、上目遣いでそう言った。
これは…もしかして、今まさに手を出してもいいのだろうか…
この部屋には、俺と唯だけしかいなくて…唯は、乱暴にいってしまえば俺のもので…
ごくり…

朋也(って、なに考えてんだよ、俺は…)

こんな大事な時期に変なことはできない。
それに、俺はまだ、ただの高校生であって、責任なんて取れやしないのだから。

朋也「いや…やっぱ、だめだ。泊まるのはナシだ」

唯「え~、なんでぇ? ケチぃ…」

朋也「おまえが満足するまで遊びに付き合うから、それで納得してくれ」


207:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:30:13.78:jpDSDOMkO


唯「う~…わかったよ…」

朋也「ほら、立て」

唯「うん」

お互い立ち上がる。
そして、玄関に向かった。

唯「うんしょ…」

靴を履き終え、こちらに向き直る。

唯「じゃあ、またね、朋也」

朋也「ああ。チョコレートもらっといて、なんのもてなしもできなくて悪かったな」

唯「じゃ、今もてなして?」

言って、目を瞑り、顎を上げる。

朋也「え…キス?」

唯「それしかないでしょ~?」

朋也「ま、そうだよな…じゃ…」

身をかがめ、唇を合わせた。

唯「えへへ」


208:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:30:42.46:+UZ/pLeq0


目を開けて、満足そうに微笑む。

唯「じゃあ、私行くよ」

朋也「ああ」

ドアを開け、外へ出て行く。
俺はその背を見えなくなるまで見送っていた。

―――――――――――――――――――――

2月の中旬。すべての試験を終え、唯たちは受験勉強から解放されていた。
後は合格発表を待つばかりだった。
その間、約束通り俺と唯は町に出てデートを重ねた。
学校に行き、また部室で茶会を開いたりもした。
刻々と近づいてくる終わりをすぐそばに感じながらも、俺は夢中になって最後の時を楽しんでいた。

―――――――――――――――――――――

春原「はぁ、にしても、疲れたよ…」

2月も下旬に入り、ようやく春原が凱旋してきた。

春原「ったく、圧迫面接なんかしてきやがってよぉ、あの面接官、プライベートであったらぶっ飛ばしてやる」

土産話を語るというより、愚痴をこぼしてばかりで、しきりに悪態をついていた。
やっぱり、こいつも俺と同じで苦労していたのだ。

朋也「ま、いいじゃん、決まったんだからさ。俺はおまえがプーのまま帰ってくるんじゃないかと思ってたからな」


209:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:32:29.93:+UZ/pLeq0


春原「僕だっておまえが就職きっちり決めてるとは思ってなかったよ」

春原「それも、芳野さんと同じ職場なんて、なおさらね」

朋也「あの人とはなんか縁があるみたいだな」

春原「おまえがうらやましいよ。芳野さんが上司なんてさ」

朋也「かなり厳しいぞ、あの人。それに、おまえも知ってると思うけど、きつい仕事だしな」

春原「そういや、そうだったね。おまえ、よく続いてんね」

朋也「今はバイトだからな。仕事内容も単純だし、それほど時間もこなしてないしな」

春原「それでも、あん時と同じくらいのことやってんだろ?」

朋也「まぁな」

春原「じゃ、十分すごいじゃん」

朋也「そっかよ」

春原「ああ。僕はやりたいとすら思わないからね」

春原「ま、それはいいんだけどさ、明日からなにする? なんか、記録より記憶に残ることしようぜっ」

朋也「そうだな、じゃあ、学校にでも行くか」

春原「あん? なんでだよ? せっかく自由なんだから、んなとこ行ってもしょうがないだろ」


210:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:34:01.91:jpDSDOMkO


朋也「いや、つっても、部室だよ。今、あいつら全員試験終わって、毎日だらだらしてんだぜ」

春原「ああ、そういうこと。いいかもね、久しぶりにムギちゃんに会いたいし」

朋也「部長もおまえに会いたがってたぞ。おまえの帰りはまだかまだかってうるさかったからな」

春原「マジで? ははっ、けっこう可愛いところあるじゃん」

春原「よぅし、明日は久々にかわいがってやるかぁ」

朋也「おいおい、せっかく内定出たのに、取り消されちまうぞ、んな性犯罪起こしたら」

春原「誰も犯そうとなんかしてねぇよっ!」

―――――――――――――――――――――

律「なぁ、岡崎。あのバカってまだ地元にいんの?」

あくる日の午後。
昼休みにあたる時間、部室で茶をすすっていると、部長がそう尋ねてきた。
これを訊かれるのは何度目だろうか。

朋也「きのうやっと帰ってきたよ」

律「え、マジで?」

朋也「ああ。今日ここに顔出すって言ってたから、そろそろ来るんじゃないか」

律「そ、そっか…」


211:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:36:46.48:jpDSDOMkO


言って、カチューシャを一度はずし、またかけ直すと、髪を整え始めた。

澪「なんだ、律。ずいぶんと乙女じゃないか」

律「な、なにがだよ…」

紬「ふふ、久しぶりだもんね。一番可愛い自分で迎えてあげたいんだよね?」

律「は、はぁ? 意味がわからん…」

唯「まぁたまた~、りっちゃんはぁ」

律「な、なんだよ…そんなじゃないってのっ」

がちゃり

春原「よーう、久しぶり」

噂をすればなんとやら。陽気な声を伴って春原が現れた。

唯「春原くん、お帰りっ」

紬「お帰り、春原くん」

澪「お帰り」

梓「お久しぶりです、春原先輩」

春原「おう、この僕が帰ってきてあげたよ」


212:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:37:17.08:+UZ/pLeq0


律「なぁにを偉そうに。誰も頼んでねーっての」

春原「あん? なんだよ、おまえが一番寂しがってたって聞いたぞ、僕は」

律「岡崎、おまえか?」

朋也「ああ、そうだけど。間違ってないだろ」

律「大間違いだっつーのっ! こんなヘタレ野郎いなくて結構だっ!」

春原「あんだとこら、デコてめぇっ!」

律「デコ言うなぁーっ!」

部長が席を立ち、毎度おなじみ、ふたりの言い争いが始まる。
ブランクを感じさせないほど勢いよく罵声が飛び交っていた。

澪「はぁ…やっぱりこうなるんだな、あのふたりは…」

梓「もう、名物ですよね、軽音部の」

唯「あずにゃん、この伝統を受け継いでいくんだよ?」

梓「遠慮しておきます。それは、この代だけで終わりにした方がいい負の遺産ですから」

春原「おまえ、しばらく見ない間にまた額が広がったよね」

律「ああ!?」

春原「今度からちょっと広がるごとに逐一報告して来いよ、ははっ」


215:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:44:38.90:jpDSDOMkO


律「ざけんな、ボケ原! おまえなんか、髪の色がどす黒く変色しててキモイくせにっ」

春原「これが普通の色だろっ!」

律「次は何色になるんだ? う○こ色か? ついにうん○と一体化して本来の姿に戻るのか?」

春原「てめぇっ!」

やむ気配のない罵倒の応酬。
確かに、負の遺産と言われても仕方ないくらいにあさましい。

律「死ね!」

春原「生きるなっ!」

でも、このふたりだけは、その渦中にあって、常に生き生きとしていた。
こいつらにしかわからないなにかがあるんだろう、多分。

―――――――――――――――――――――

また少し時間が流れ、2月も残すところ数日だけとなった頃。
ついに全員の合格発表が終わった。

梓「うう…みな゛さん、おめ゛でとうございま゛す゛…ぐす…」

律「おまえが泣くなよ、梓…」

唯「あずにゃん、いいこいいこ」

中野の頭を撫でる。


216:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/09/26(日) 11:45:39.08:+UZ/pLeq0


梓「よかったです…本当によかったでう…全員第一志望に受かって…うう…」

澪「奇跡的だったよな、ほんとに」

紬「みんな頑張ってたからね。神様がみててくれたのかしら」

春原「いや、違うよ。神様っていうか…ムギちゃん自体が天使なんだよ」

紬「ふふ、ありがとう」

律「ばーか、いくらムギをよいしょしても振り向いてもらえねーって」

春原「うっせぇ、勝負はまだこれからだ」

律「アホか。もう卒業するし、終わるだろ。タイムオ~バ~、残念でしたぁ」

そう…もう、あとは卒業するだけだった。
残された時間は、ごく僅かだ。
俺と唯の関係も…そのエアポケットのような、刹那的な間でしかいられない。

春原「最終日に校門をくぐるまであきらめねぇよっ!」

律「んとにしつけーな、おまえは…」

―――――――――――――――――――――

3月。その日はやってきた。

春原「桜だったら、もっとそれらしいのにね」




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