21世紀深夜アニメバトルロワイアル@ウィキ

2つの想い

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2つの想い ◆5YzaoxPYTw 氏



銃弾よりも深く。
刃よりも鋭く。
声は如何なる武器よりも徹底的に心を打ち砕く。


その始まりは放送前のことだった。


私は何をやっているのだろう。

アインは声に出さず自問する。
服や髪に纏わり付いた粉末を払い落としながら、消防署の壁に背をつけて空を見上げた。
青白い、虚空を見ていた。
不意に流れたそよ風に、ショートカットの黒髪が揺れる。

マリアの乗る自動車はもう見えない。
この情けないザマはなんだ。
この馬鹿馬鹿しいくらいの醜態はなんだ。
全身を包む不快感はなんだ。

わからない。
マリアに悪意が察知されていることは予測できていた。
疑われているだろうことは承知の上だった。
だから気づかれて、逃亡を選択されたこと、それ自体はいい。
しかしあまつさえ殺意を看破された挙句に、無様にも取り逃がすとはどういうわけだ。
相手が多少、鉄火場に慣れていることは分った。ただの一般人でない事は理解した。

とはいえ、だ。
”ただの一般ではない程度”の素人を、
しかも丸腰で武器も扱えないような少女を殺し損ねるほど、己は低機能ではなかったはずだ。
思い上がりやただの自信ではなく、自分の実力とマリアの正しい実力を計算しなおした結果の話だ。

馬鹿げている。これでは初手から全てが無意味だろう。
求められているのはファントムとしての役割。
マスターが用意した新たな手駒が表の兵だとするならば、アインは裏の兵。
知られてはならない殺意の影、
暗殺者と言う大前提があっさりと崩れてしまった。

無様。

いまの状況を言い表す言葉は他にあるまい。
笑ってしまいたくなるほどの間抜けを晒していた。
しかしアインは自嘲すら浮かべす、やはり無表情のままで、これからの行動を計算し直していく。

事態の挽回を図るなら、今からでも追いかけてマリアを消した方が良いだろう。
重々承知だ。

急務ではない、彼女がそうそう長く生きられるとはやはり考えられない。
彼女の代わりもこの島にはまだいるだろう。
所詮相手はただの少女。放置しておいてもさほどの危険はない。

とはいえ、一応危険の芽は摘んでおくべき。
ひとまずの行動目標としては悪くない。
揺らいでしまった自分の心にけじめをつける意味でも。


しかし相手は車、追うことは可能か。
可能であるとアインには即答できる。
僅かな痕跡から追いつめてみせる。

心を冷え切らせていく、もう一度。
切り替える。
今度は上手くできた。
完全に切り替えることが出来た。

もう失敗はしない。
二度と心を乱したりはしない。

あんな少女に。
あんな言葉に。
こんな――物に。

アインは手に残ったあやとりを、少女の名残をきつく握り締めながら決した。
次は殺す。
その思いこそが、いまだ揺れ続けていることの証明なのだと、気づくことも出来ずに。


私は何をやっているのだろう。

トリエラは声に出さず自問していた。
構えていた銃剣を下ろし、誰もいない市街地の歩道で、ため息をつきながら空を見た。
青白い、朝の空を見ていた。

ピノッキオの姿はもう気配すら見えない。
これは失態だ。
これはミスだ。
自分の力不足が引き起こしたことだ。

やれやれとため息がこぼれ落ちる。
そもそも、警察署の屋上に至るまでに仕留め切れなかったことが失敗だった、と分析する。
最初は相手側に勝算があって、あの場所まで引き付けられたのだと考えていたけれど。
考えてみれば、もとより敵は戦いに消極的だったのだ。
ならばその狙いが逃走ただ一つであったことに、もっと早く気づくべきだったのだろう。

「フェイクの痕跡にでも引っかかったのかしらね……」

目標を追い続け、ここまで来たもののいまだ追いつけない。
敵がただ逃げただけ、とは限らない。こちらを撒くためにあらゆる手段を凝らしたはずだ。
罠の可能性だって多大にある。
自分がまったくの逆方向に来ている可能性もある。
もう追うのを止めて、あの怪しい女性のところに戻ってみるか。
それも放棄して、第一守護目標たるヒルシャーの捜索を開始するか。

正直、こんなことをやっている場合なのか、という疑問がトリエラの中にもある。
いくら任務だったとはいえ、この不可解な現状はピノッキオを殺したところで何も解決しないのだ。
それならば別のことに、例えばヒルシャーのために、
脱出の為の手がかりを探すなり、やることはたくさんあるはずだ。

「さて、と」

比較的に条件付けが少ない義体であるトリエラは、その程度の思考が働くほどに達観している。
しばらく考えながら市街地の歩道を進み、これから始める行動をまとめた。

「やっぱり、あいつを追い続けるかな」

結果、いま一番近くにある目標を遂げるべきだと判断した。
トリエラは他の義体よりも条件付けが緩く、冷静さを持ち、達観している。
だからこそ、より義体らしく行動しようとするのだ。
あくまで任務に忠実に、融通を利かせず、義体である事に徹する少女だった。

「必ず見つけて、今度こそ任務を達成する」

完遂したと思っていた殺害任務。
しかしそれが為されていないと知ったならば続けよう。
一度命じられた任務か何があろうと完遂するのが勤めなのだから。

「だからそれまで、無事でいてくださ――」

彼女にしては珍しく、
そんな素直な言葉をここにいない彼に向けようとした時だった。
背後に、轟く銃声を聞いたのは。

「――――ッッァ!?」

そして次の刹那、鋭い衝撃がトリエラの背中に突き刺さった。


早朝の市街地にて、静寂を打ち砕くように鳴らされた発砲音が一つ。

「なっ……に……ッ!?」

前のめりにたたらを踏んだトリエラから、驚愕の声が発せられる。
不意に背中を襲った衝撃によって、身体が大きく前方に傾くのを感じ取った。
しかしこの程度、義体の身ならば踏みとどまれる。
体勢の崩れた全身を支えきり、振り返りながら両手で構えたウィンチェスターM1897を背後に向かって発砲した。

閑散とした市街地に、再び銃声が轟く。
今度は一度目よりも大口径、より大きな音だ。
市街地全体に漂っていたどこか透明な空気を叩き壊して、これより戦場へと作り変える。

身体を反転させ終え、トリエラは背後の襲撃者を見極めようとした。
しかし、捉えきることが叶わない。
トリエラが見たものは、歩道と道路の間に植えられていた一本の植木が、ウィンチェスターの散弾によって大きく抉られる光景と。
今しがた、歩道から脇の喫茶店へと飛び込んでいく敵の足。

「――そこかッ!」

トリエラは迷わず駆け、追った。
敵が逃げ込んだ喫茶店の入り口のガラス戸へと、散弾を一発、二発、とぶちかます。
銃口から吐き出された銃弾は拡散し、鉄塊の雨となりて難なく扉を破砕した。
粉々に砕けて弾け飛ぶガラスの破片がトリエラの身にも降りかかるが、頓着せずに三発目を撃ち放つ。
それはさながら暴風の如き破壊の侵略。
店内に配置されていた机をひっくり返し、椅子を跳ね飛ばし、カーテンをズタズタにして、壁を貫き粉砕する。
数秒前は洒落た店内であったのに、一瞬にしてもう見る影もない有様だ。

しかしそこまでやっておいて、トリエラの表情は苦いものであった。
仕留め切れていない確信がある。反撃の気配が感じて取れる。
だから一度飛び引き、喫茶店の外壁に身を隠した。
その直後、銃弾が店内から飛び出し、トリエラのすぐ横を掠めていく。

「……馬鹿な」

荒い息を吐く。
新たな銃弾をウィンチェスターに込めつつ。
トリエラが思わず呟いたのはそんな一言だった。

自分の背中を片手で触る。
その指を見ると、べったりと赤い液体がこびり付いていた。
何が起こったのかなどと考える必要もない。
背後から撃たれていたのだ。

普通の人間ならば間違いなく即死の一撃。
叩き込まれた一発の弾丸は体内で止まっている。
トリエラの身体の防御性が貫通を防ぎ、だからこそ生きている。
普通の人間では致命となる攻撃も、彼女の命は奪えない。

けれど、トリエラはこの攻撃に、撃たれるまで気づくことが出来なかった。
いつの間に接近されていたのか。
少し考え事をしてはいたが、油断した覚えなどない。
撃たれた程度では死なないからと言って。撃たれる事を容易く許すような、温い訓練を受けてはいないと自負している。
万全の体勢で動いていたはずだ。この不意打ちを受けた要因はトリエラ自身の中に無い。

つまり、単純な話だ。
敵の驚異的な暗殺の手腕。
気づかれず、気づかせず殺す。
その技術によって為された必殺。

「強い、みたいね」

銃を強く、握りなおす。
どうやら仕事が増えてしまったらしい。
一瞬、敵はピノッキオかと思ったが、どうやら違う。
店内に散弾を撃ち込んでいた数間に見えたシルエットは、自分と同じか、もう少し上くらいの年齢の少女だった。

正体不明の敵、戦力は未知数。
けれど退く理由はない。
むしろここで仕留めなければ、トリエラが守るべき人物が危険に晒される可能性がある。

敵の居場所は限られているし、目算は付いている。
おそらく、店内奥のカウンターに身を隠しているのだろう。
そこ以外に先の掃射をやり過ごせる場所は存在しない。

ここで倒してみせる。
少女はその意志を決め、店内へと飛び込んだ。


その数秒前。
トリエラの読み通り。
喫茶店内部、カウンターの内側に彼女はいた。

馬鹿な。

そのトリエラの言葉が彼女――アインに聞こえていたとすれば。
おそらく彼女は「こちらのセリフだ」と心中で毒づいたことだろう。
馬鹿げているのはいったいどちらの方か。

確実に殺した。その筈だった。
慎重に慎重を重ねあわせながら接近を成し遂げた。
必殺の間合いから、ベレッタの銃撃を少女の心臓に叩き込んだ。
にも拘らず、敵は踏みとどまり撃ち返してきた。

心臓を撃たれて死なぬ人間などいない。
現実的に考えて、例外があるとすれば防弾チョッキを着込んでいた場合くらいだろう。
しかしそれは無いと、状況が示した。
でなければ着弾の瞬間、トリエラの背中から吹き上がった血液の説明がつかない。
ならば非現実的に考えて、例外があるとすれば、それは相手が人間ではなかった場合に他ならない。

マリアを追っていた途中、偶然捕捉した金髪でツインテール、褐色の肌が特徴的な少女。
その足運び、武器の扱い方、目の配り方。
全てが常人ではないと告げていた。
銃器を持って戦うために教育、さらには調整されたような無駄のなさ。
まさにアインと同一の気配があった。

何にしても、利用対象には当たらず、交渉にも危険が伴う相手。
周囲に人影もなし。
そして何よりも殺せる確信があったからこそ、アインは殺害に踏み切った。

「……」

その結果がこの有様である。
咄嗟に身を隠すことが出来たから良かったものの。
死なない可能性を考えていなければ、殺し返されていたかもしれない。
銃弾が通じなかったのはこれが始めてではない。その経験が活きたのだ。

僅か数時間前に戦った天使にも、拳銃の攻撃は無効化されていた。
けれど先の戦いでは逸らされていたが、今回の場合は銃弾が命中している。
この差が何に繋がるのか。
完全なる無効化ではないとしても、致命の攻撃に至る事が出来なければ、アインの不利は揺るがない。
敵の有利を崩しえない。

だからこそ、まず活路を見つけなければ。
見つからなければ、生き残る道は開かれない。

▽ ▼ ▽

突入戦とは呼吸が要にある。
中にいる仲間やサポートしてくれる味方。
共に動く全ての呼吸を読み、合わせて踏み込むことで、より効果的に作戦を遂行できる。
この時、相対する敵もまた例外ではない。トリエラはこの点を良く心得ていた。

丁度アインがカウンターから顔を覗かせた瞬間に合わせて、店内に踏み込みをかける。

室内戦、最初の一撃はトリエラが放った銃弾であった。
荒れた喫茶店を再度揺らす轟音と共に。カウンターの石材が砕け飛ぶ
すんでの所で身を屈めたアインの頭上を数発の鉛球が通過していった。

未だ入り口付近のトリエラにとって、アインが身を隠す石製のカウンターまでは距離がある。
遮蔽物の有無により位置的な優劣はあちらに劣っている。
武装の差ならこちらに軍配が上がると言えど、甘く見るつもりはない。
ショットガンの間合いに持ち込むことを最優先として立ち回る。
セオリー通りに、迅速に有利な距離へと詰めていく。

トリエラは銃を連射しながら、前方へと一直線に疾走した。
最大効率の弾数使用でアインの動きを封殺しながら、ぐんぐん距離を詰めていく。
既に装弾数五発中の二発を放ってしまっているが、かまわない。
残りの三発でカタをつけんと走りこむ。


しかしアインとてそれをただ待つはずがない。
トリエラの銃器、ウィンチェスターM1897はポンプアクション式の散弾銃。
一発一発の威力は盛大なものであるが、連射力では他の種類の銃器に比べて低い部類だ。
ここに、アインが付け入る隙がある。

幾度目かの銃撃の瞬間。
突き出したトリエラの手の平が握ったフォアエンドを引き寄せる僅かな隙に、
カウンターからアインの腕が飛び出してきた。

敵前に晒された右腕。
カウンターの上で水平に伸ばしたアインの右手が拳銃――ベレッタM92FSを握っている。
アインはカウンターの内側にて。
沈めた姿勢からほんの少しだけ腰を浮かせ、
狙いを付けるために頭の四分の一ほどをカウンターの影から晒し、片目だけでトリエラの姿を捉えた。
床につけた左足と右膝で全身のバランスを制御する。

「……!」

反撃の三連射が放たれた。
ベレッタの銃口が閃光を放ち、鉛の礫がトリエラを喰らうべく飛翔する。

「ちぃっ!」

やむをえず、トリエラは前進を打ち切った。
アインの腕が見えた段階で既に真横に跳んでいた。
カウンターへ四発目の散弾を撃ち返しながら、回り込むようにそのまま右に走る。
結果、アインの反撃は先ほどまでトリエラがいた辺りの空間を貫くに留まり。
それに対抗するトリエラの反撃は、再び伏せたアインの頭上を掠め、更に奥の食器棚を砕いただけに終わった。

しかしカウンターから伸ばされたアインの腕は完全に引っ込まない。
直接目視せずとも足音から位置を予測しているのか、銃口だけが目でも付いているかのように旋回しながらトリエラを追う。
右へと逃げるトリエラの足元の床が撃ちぬかれ、散乱していた木材が跳ね上がる。
敵の銃口がこちらを捉えきる前に位置を誤魔化すことは不可能。
そう判断したトリエラは咄嗟に床を転がって、近場に合った柱の裏側に飛び込み、追いすがる銃弾をやり過ごした。

「まだ遠いっ……」

柱を抉る銃弾の音を聞きながら、しゃがんだ体勢でトリエラは思考する。
距離は、ほとんど詰まった。
けれどもあと少しだけ足りない。
近接戦に持ち込んでしまえば、拳銃が主武器の相手にこちらが負ける要素はありえない。
あと少し、あともう少しだ。その少しをどうやってゼロにするか。
思考しつつリロードを済ませる。

そして、トリエラは一つ息を吸い込み、柱から飛び出してウィンチェスターを構えた。
狙いは、カウンターよりも僅かに手前の床だった。
再び店内を揺るがす銃声。
度重なる散弾の命中によって積もっていた椅子や机、カウンターなどの木材石材の破片が巻き上がる。
更に続けてカウンター奥の食器棚を銃撃し、中に収められている食器を砕き、その下にいるであろうアインの頭上に降らせた。
疑似的な煙幕と間接攻撃。いまこそ、一気に距離を詰める。
二歩三歩四歩、絡め手が効果を発揮したのだろう予想通り敵の銃撃は来ない。
ここまで来ればこっちの間合いだ。ノーガードで突き進む。トリエラはカウンターに足をかけ、登り、そして。

「…………!」

しかし覗き込んだ遮蔽物の内部に、アインは既にいなかった。
見えたものは無人の床。
積み重なった割れた食器類。
そして、その上にポツンと残された、一発の手榴弾。
当然の如く、ピンは抜かれている。

「やられたっ……!」

トリエラは振り上げていた銃剣を引き戻すよりも早く。
何よりも優先して後ろへ飛ぶことを選んだ。
渾身の力でカウンターを蹴り飛ばし、跳躍する。
その瞬間、これまでの戦闘で最大級の轟音が響き渡った。

トリエラは腕をクロスして、顔面を守る体勢のまま後方に吹っ飛んだ。
背中への衝撃。
それが床に落ちた衝撃だとすぐに理解し、そのままゴロゴロと床を転がって追撃から逃れるべく移動する。
入り口付近まで自分が飛ばされたことを認識し、体のダメージを確認する。
トリエラの咄嗟の判断はどうやら間に合ったようで、服が煤けはしたが深刻なダメージは未だない。


一方で、アインは小休止など挟まない。
トリエラが食器棚を狙い撃った時には既にカウンターから抜け出して、左の壁際の柱に潜んでいた。
そこから手榴弾を投げ込んだ後は、仕留め切れなかった対敵を狙い打つべく拳銃のリロードを済ませ、
床を転がるトリエラへと追撃する。

追ってくる連射撃に、
トリエラはひっくり返っていた大き目のテーブルの内側に転がり込む。
木製のテーブル一つでは盾として不十分、むかってくる銃弾は貫通するも、それには頓着しない。
姿が隠せれば、それで十分だ。

「あああああああッ!!」

テーブルの足を二本、両手で掴み。
食いしばるような声と共に力を込める。
少女ではありえない怪力でもって、四人用のテーブルを持ち上げた。
流石に驚愕するアインの顔面に向けて、思い切りぶん投げる。

「…………っ!」

横に転がって避けるアインを仕留めるべく。
トリエラは床からウィンチェスターを拾い上げる。
今度こそ逃がさない。
その意志で銃口を前へと向けた瞬間だった。

「なっ!?」

トリエラは虚を突かれることになる。
アインは逃げるどころか、こちらへと一直線に駆けて来る。
ベレッタをトリエラの膝と胸部と顔面に一発づつ、薙ぎ払うように撃ちながら。
自殺行為だ。
普通の人間相手ならそれで十分に殺すことが出来るだろうが、トリエラは義体の身体を持つ。
正面きっての撃ち合いで勝てる見込みなどないだろう。
銃弾への対抗策として、トリエラは左腕を顔の前にかざしながら、右腕でウィンチェスターを突きつけた。
アインが放った銃弾は全てトリエラに命中したものの、やはりどれも致命打には至らない。
膝と胸部、左腕に銃創が刻まれただけだ。

チェックメイト。トリエラは引き金を引く。
しかしアインも食い下がる。
発砲の一瞬前。
足が一本欠けた状態の椅子がアインに蹴り上げられ、飛来し、トリエラが握るウィンチェスターに激突した。
装着していた銃剣が仇になり、またトリエラが両手ではなく片手で銃を支えていた事も相まって、射線が強制的に押し上げられる。
アインから僅かにずれる射線。その直後にウィンチェスターは発砲した。
散弾の雨を潜るように、姿勢を低くしてアインは走り続ける。
頭上を通り過ぎていく幾度目かの散弾を見送って、自ら間合いを詰め切り。
臆す事無く腰を捻り、トリエラへと回し蹴りを打ち込んだ。
正確にはトリエラの右手が掴むウィンチェスターへと。

「やらせないッ!」

トリエラはそれに、顔の前に翳していた左手で応戦する。
伸び上がってくる蹴りを裏拳で払う。
重い音が鳴った。
十分に溜め込んでから放たれた蹴りが、裏拳の初速によって迎撃された。
例えるならば全速力の自転車と発進したばかりのバイクが激突したかのような威力の格差だった。
アインは弾き返された足を床へと戻しつつ、その足に仕込んでいたナイフを左手で抜き取る。
そのままの距離で飛来したトリエラの蹴りを上半身と首を捻って回避。
反撃として、ナイフをトリエラの顔面に向けて突き出していく。
だがこの体勢では、その更に次にくるだろうウィンチェスターの銃剣による一撃を、確実に避けられない。

「――――!!」

瞬間、ウィンチェスターを投げ捨てたトリエラの右手が、アインの左手首を掴み取っていた。

「――――!!」

みしみしと音が鳴るくらい締め上げられたアインの手から、ナイフが零れ落ちそうになり。

(こいつ……まさか……!)

けれど、手首から力が抜けきる前に、トリエラの背には悪寒が走り抜けていた。

(義体の……)

滑るような動作で、アインの右手が動いていた。

ペレッタの銃口が緩やかな軌道を描き。

(弱点を突くつもり……!?)

トリエラの眼球に合わせられた。

「――!!」

義体、唯一の急所。
人体と言う構造を持つ以上、眼球だけはどうやっても脆くなる。
その先に続く脳へと、攻撃を通してしまうのだ。

ベレッタの引き金が絞られていく。
トリエラの右手はアインの左手を留める為に動かせない。
蹴りの対応として動かしてしまっていた自分の左手を戻そうとするが。
果たして間に合うのか自分でも分らない。
間に合えば勝てる。
しかし間に合わなければ、敗北となる。

(……くッ!)

咄嗟の判断。
トリエラは掴んだままのアインの左腕を思い切り引きよせた。
義体が発現する力の全てをじかに敵へと伝えてやる。
そのまま身体を反転させて、アインの胴体に自分の肩を差し込んだ。

「……っ!!」

獣の顎に食いつかれ、引き込まれるように、アインは大きくバランスを崩す。
ベレッタから発せられた銃撃はトリエラ頭の横を通り過ぎ、天井だけを撃ち抜いた。

「らああああああッ!」

アインの体が持ち上がり、そのままトリエラの全身の力によって投げ飛ばされる。
砲弾のように。少女の体は喫茶店奥に向って宙を飛んだ。
空中ではアインにも為すすべはなく。
速度を維持したまま背中から食器棚に直撃し、

「か……はっ……!」

うめき声と共に、アインはカウンターの内側に落下した。


意識を保つ事に全力を尽くした。

ここで落ちたらアインの負けだ。
それだけは揺るがない。
だから彼女は途切れそうになる意識を全力で繋ぎとめる。

勝てる。

その確信がアインにはあった。
天使との戦いの時とは違う、確かな勝算がある。
だから撤退など選ばないし敗北などもっての他だ。

起きろ。
起きて準備をしろ。
勝つために、戦うために、生きるために。
自分に言い聞かせて奮い立たせる。

――だって、あの人はまだ戦っているのだから。

その想いが、唯一の希望が。
とっくに凍てついたはずの心に火をつける。

「く……あ……」

アインはゆっくりと身体を起こす。
割れた食器の上に落ちたせいか、体のあちこちが切れていた。
痛みに意識を回す。そうする事でおぼろげな意識からの覚醒を果たす。

(放送が、鳴ってる……)

ようやく耳に飛び込んでくる女性の声に意識が及んだ。

第一回定時放送。

現在までの死者の発表と、禁止エリアの発表。
今はどうやら死者の発表を行なっているらしい。
けれど今はそれ以上に重要な事がある。

まだ戦いは終わっていない。
このカウンターの向こうにいる敵との戦いがある。
アインが殺すか、殺されるまで終わらない。

敵の殺し方はもう分った。
攻撃が命中するにも拘らず、死なない少女。
その弱点は十中八九、眼球だ。
複数の事象がこれを物語る。少女自身が示した近い。

アインが戦闘のさなかに行なったベレッタの三連射。
敵の膝、胸部、顔面。その三箇所を同時に狙った攻撃。
いずれも人体急所。
天使にも同じ攻撃を行い、弱点を探ろうとしたが失敗に終わった。

しかし今回、これに対して敵は唯一、顔面だけを腕で守っていた。
あの時、敵は顔面への攻撃をも無視して銃を両手で掴んでいれば、アインを殺せていたかもしれない。
それでも顔面の守護を優先した。
しかも方法は片腕で守るという、明らかに範囲の足りない盾を用いたものだった。
この不可解、ならば逆に考えて、片腕で足りる面積が急所だとすればどうか。

という予測に基づいて、アインがナイフの一撃を眼球を狙って加えようとしたところ。
敵は銃を手放してまで止めにかかった。
極めつけに銃で狙えば、最早隠すつもりも無く対応してきたのだ。
明らかにその部分だけ敵の意識が違った。

なるほど幾ら頑丈とは言えども、人の形をしている以上はその部分が脆くなるのも頷ける。
これで確定だ。
顔面、高い確率で眼球に対して、敵は肉を切らせて骨を絶つような戦法が使えない。

こちらが敵の弱点を知ったことは悟られているだろう。
敵は今まで以上の警戒をもってぶつかってくるはず。
近接戦の力勝負で勝ち目が無いのも思い知らされている。

それでも勝てる。
近接戦において。一瞬でいい。
敵の不意を突いた上で、こちらが手数で上回りさえすれば、暴いた急所に一撃を叩き込むことが出来れば勝てる。
合計四本の手足に拳銃とナイフ一本。切り札の手榴弾を温存するとなると確かに不可能だろう。
しかし切り札はまだある。
手数を増やし、敵の防御を突破するという一点ならば、これ以上ないほどの奥の手が。

だから行こう。
行って倒す。
行って殺す。
今、この身はそれだけの為にある。

身を取り巻くものは、辛くて苦しいことばかりの世界だった。
今も、闇だけが目の前に広がっている。
だけどまだ生きているから。
自分も、もう一人の自分であるあの人も、生きている。
辛いばかりの世界でも、そんな世界のどこかで、彼はまだ戦っているのだ。
ならば自分も生きないと。戦わないといけない。
たった一つの希望をくれた彼がこの世にいる限り。
自分の意志で、生きることができる。
それだけがアインにとっての希望だった。

光は胸に仕舞って、目には殺意だけを灯す。
もう準備は整った。
今こそ、決着をつけよう。

そう、意を決して。
アインがカウンターの上に手をかけようした途端の事だった。

それが聞こえたのは。

「――――ぇ?」

聞くまいとしていたのだろう。
無意識のうちに、意識から追い出そうとしていたのだろう。
けれど最終的には、無視する事も出来なかったのだろう。
アインは自分の全思考が漂白されていくのを感じていた。

第一回定時放送。

死者の発表。

吾妻玲二。

彼の名が呼ばれることの意味。

銃弾よりも深く胸を抉られる。
刃よりも鋭く心に突き刺さる。
その声は如何なる武器よりも徹底的に、少女の心を打ち砕いた。


荒い息を吐きながら銃を拾い上げ、トリエラはもう一度柱に身を預けた。
流れてきた放送を聞きながらも、気を抜くそぶりは見せない。

大丈夫だ。勝てる。もう少しだ。

自分に言い聞かせるように繰り返す。
酸素を吐き出して、また吸い込む。その繰り返しを何度も行い。
気持ちを落ち着けていく。
残弾の確認、損傷の確認、状況の確認。
再戦準備を整える。

敵はまだ倒れていないだろう。
だから戦わなければならない。
撤退などもっての他だ。

(ヒルシャーさん……)

消費した分の銃弾をウィンチェスターに込めていく。

(ヒルシャーさん……私は……)

戦況はほぼ振り出しに戻った。
敵との距離は数メートル。
阻む物は木製の柱が一本と、石製のカウンターが一つ。
警戒しなければならないものは。

(私は……怖くなんかありませんよ……)

義体の弱点が知られていること。
知られていること自体が問題なのではない。
問題は敵が知った上で、的確に狙ってくるという脅威性だ。
敵は強い、ではそろそろ済まなくなってきた。
あの少女は間違いなく、身体上は普通の人間だ。
力勝負で終始自分が圧倒していたことが証明になる。
だからこそトリエラはあの少女をより脅威と見なす。
生身単独で義体と勝負に持ち込めるほどの実力者など、それこそピノッキオくらいしか見た事がない。
先ほどの攻防。
まかり違えば殺されていたかもしれない。
少なくとも銃口が片目の視界を覆った瞬間には本気で死を感じさせられた。

(むしろ、幸せなくらいです)

だが、勝てる。勝てるとも。
もう負ける道理がない。
次で殺す。同じ手は二度も食わない。
そして、こちらはまだ奥の手を残している。
今度こそ確実に、仕留めてみせる。

(私はいま、あなたの役に立てている)

死が迫るのを感じる。常に感じている。
トリエラ自身が戦いに身を投じるまでも無く、どうせこの身は長くない。
機械の肉体はトリエラに強さと同時に短命を確約していた。
それでも、怖くはない。むしろ希望を感じてすらいた。
今、戦っている。彼のために戦っている。彼の役に立っている。
その事実がこの胸にある限り、何も怖くない。

(きっと……あなたの役に立ってみせる)

必要とされている限り、体が動く限り戦える。
義体の少女達共通の理念。
ここで命を燃やせるならば、本望であるとすら思えていた。

けれども、同時にトリエラは決めていることがある。
精一杯生きること。
守るべき彼は絶対に守る。役割を果たす。そのために生きる。それは当然として。
けれど同時に、手抜きはしないと決めていた。
出来うる限り彼の意に添えるように、こんな時に彼が何を望むのかを考えて動く。
本当に彼の為というならば、それくらい出来て当然なのだ。

「だから、死にませんよ」

だからこんな所ではまだ死ねない。
命を燃やすのは今じゃない。
精一杯生きて、彼に褒めてもらってから。
満足して死ぬのはそれからだ。

準備は完了した。
後は挑むだけ。
挑み、そして、勝利するだけだ。

そう、トリエラが意を決して。
柱の影から飛び出そうとした瞬間の事だった。

それが聞こえたのは。

「…………ぇ?」

何も意図せぬ間に、両の腕から力が抜けていた。
ウィンチェスターがするりと両手から零れ落ち、床に銃剣が突き刺さった。
けれどトリエラは見向きもしない。
金縛りなったように、全身が膠着する。

ただ目を見開いたまま、ゆっくりと両手が頭部に伸びていく。
耳を押さえながら、金髪の髪をクシャリと掴んだ。

「そんな……」

自分の中で様々な思いが燃え上がり、吐き出される前に燃え尽きる。
強烈な吐き気と、眩暈が襲い来る。激痛が脳を締め付ける。
けれど一番心を満たしたのは、何もない、ただの空虚感だった。

「そん……な……」

やがて足も力を失った。
柱に背を付けたまま、滑り落ちるように座り込む。
何もかも、一切が無に還るようだった。

すべてが終わる。
こんなにも呆気なく。
こんなにも唐突に。
子供の玩具を壊すくらい簡単に。

トリエラの精神は動きを止める。

第一回定時放送。

死者の発表。

ヴィクトル・ヒルシャー。

彼の名が呼ばれることの意味。

銃弾よりも深く胸を抉られる。
刃よりも鋭く心に突き刺さる。
その声は如何なる武器よりも徹底的に、少女の心を打ち砕いた。


トリエラは時間の感覚がよく分らなくなっていた。
あれからどのくらい経過したのか。
自分はどれくらいここに留まっているのか。

ずっと柱に身を預けていた。
身体に力が篭らない。
何をしようという気にもならない。

理由は分りきっている。
彼が死んだから。
ヴィクトル・ヒルシャーを失ったから。
ただ一人の”兄妹”が、代えの効かないただ一つの希望が失われたからだろう。

「ああ……」

ここには記憶を消してくれる人も、眠らせてくれる人もいない。
他の義体ならば、パニックを起こして自らを撃ち殺していたかもしれない。
事実トリエラがそうなる可能性も十二分にあったのだ。
だけどトリエラは死ぬ気にもなれなかった。

「そっか……まだ終わってないから……」

いま彼女が生きているのはきっと。
彼女が義体の中でもかなり精神的に落ち着いている傾向があり、自分を客観視できたことと、
そしてなによりも、まだ残された任務を全うしていないからだろう。

「まだ……任務は終わってない……」

もう何の生きる希望もない。
兄を失った義体は義体としての機能を失うに等しい。
つまり正しい任務の遂行が不可能になる。
そして、少女が喪失の記憶を持ちながら生きていくことは非常に難しい。
けれどここに一つ、為されていない任務があるとすればどうか。

「あいつを……殺してない……だから……」

兄が死んでも、生前の任務はまだ生きている。
それがトリエラにとって生きる理由になりえた。

「ははは……」

虚しい笑いが口から漏れていた。
理由があるからなんなのだろう。
人に生きる理由があろうとも、希望が無ければどこまでも空虚だ。
理由だけで生きられるほど心は単純ではない。

もう二度と会えない。
二度と彼に触れることも、触れてもらうことも出来ない。
ぬいぐるみを貰う事も、名前を呼んで貰う事も出来ない。
その事実が胸を締め付けるだけ締め付けて、空虚感だけを残して去っていく。

「ヒルシャー……さん……」

トリエラにとって彼は必要な人物だった。
名前をくれた。存在をくれた。生きる希望をくれた。
それだけは揺るがない事実だった。
だから彼を失ったいま、今までのように生きていけるほど、彼女は強くない。


「……」

立ち上がる。
力ない動きで銃を掴み、ふらふらと歩き出した。
戦いを終わらせるために、そして全てを終わらせるために。

カウンターの向こうにいるであろう敵にものもとへと進む。
理由があるから死ねないけれど。
希望がないなら生きていたって仕方ない。

どうせこんな心で戦いを続けたところで、結果は分りきっているのだから。
ならば行こう。楽になるために、死神のとろに行こう。

カウンターに手をかけて、足をかけて上り、向こう側を覗き込んだ。
銃を構えて、力の入らない指をトリガーに引っ掛ける。
そして、見た。

「……どう……して……?」

ガラスの破片が散らばった床に、力なく横たわる少女。
四肢を投げ出して、完全に戦意喪失している敵の姿を。





どうしてと聞かれても困る。
アインはぼんやりした意識でそう思った。

ただ、なにも出来なくなっただけだ。
戦う事も、立ち上がることも、なにもかも億劫になった。
アインが胸に秘めていた唯一の希望は打ち砕かれた。
もう、何もしたくない。

生きる理由はある。
サイスマスター。彼が与えてくれる。いままでもこれからも。
理由だけならば幾らでもくれるだろう。
だけど、もう希望がない。
吾妻玲二。彼が死んでしまったから。もうこの世界にいないから。
一人では生きられない。
彼のいない世界になんて、生きていたくない。

決して自分の意志を捨てない彼の強さに憧れていた。
彼がいたから、希望があったから、今まで生きてこれたのだ。
だけどもう、彼はいない。
空っぽの自分に意志をくれた。憧れをくれた。
殺しの道具じゃない、一人の人間としての名前をくれた。
ただ一つの希望をくれた彼は、もういない。

理由があるから死ぬ気にはならない。
そもそもアインは自分の意志一つでは誰も殺せない。
サイスマスターの命令があったからこそ、誰でも殺すことが出来たのだ。
だけど今、自分ひとり殺すことが出来ない。それほどに本来の彼女は弱い。

だからここで、終わらせて欲しいと願う。
上から真っ直ぐに向けられる銃口に。金髪の少女が放つ銃弾で幕を引いて欲しいと。
けれどいつまで待っても終わりは来ない。
少女がやりやすいようにと、ベレッタを突きつけるけれど、それでも銃声は鳴らなかった。

「どうして……?」

今度はこちらが聞きかえす。
どうして撃たない。どうして終わらせてくれないのだろう。
それを聞いたとき、アインにも分ってしまった。
少女にも伝わったらしい。

互いに、同時に、銃を下ろす。

すべてが無駄だと知ったのだ。
幕引きなんて、この相手には期待できない。なぜなら。

「そう、あなたも……失くしたのね……」

この瞬間、二人はまったくの同時に、希望を失い。
理由だけが残ったのだと。
生かされているだけの、空っぽな存在なのだと。

二人は同じ存在だと、知ったのだから。

▼ ▽ ▼


荒れ果てた喫茶店の内部に、二人の少女がいた。
石製のカウンターを一つ挟んで、背中合わせに床に座っていた。
生きる理由と銃だけを抱えて、少女達はそこにいる。
互いに、互いへの害意や敵意は死に絶えている。
もっと大事なものを失ったから。そんなことはもう、どうでもよくなってしまった。

「ねえ、あなたは……」

背を付けたまま、金髪ツインテールの少女、トリエラが口を開く。
向こう側の少女に告げるようで、その実自分自身に告げるように。

「あなたは……どう思います……?」

それを聞いた。

「もしも願い事が、一つだけ叶うとすれば……」

トリエラが何を指して言ったのかは明白だろう。
優勝、その見返りとして支払われる報酬。
本当かどうかも分らない。その言葉。

「……そうね」

返事は返された。
反対側で、背を付けたまま、黒髪ショートカットの少女、アインは答える。
たった一つ、願いが叶うとすれば――

「私には分らない。あなたは……?」
「私にも……分りません」

二人とも、答えは出せなかった。
もし彼を生き返らせたとして、それが望みなのか。
彼が望まない方法で、彼を取り戻しても良いのか。
自分はそれで満たされるのか。
かまわないと思うようで、何かが違う気もする。

ハッきりとした事はひとつだけ。
ただ嘘であればいいのにと、二人は矛盾した願いを抱いていた。
この放送、彼の死が嘘であればいい。
嘘にするのではなく、最初から嘘であってくれれば、どれ程に救われたことだろう。



希望を失った二人の少女。
差し伸べられた一つの言葉。

果たしてそれは、新たな希望に為りえるのか。


【一日目 F-3 市街地の喫茶店内 朝】



【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:膝、胸部、左腕に銃創、空虚感
[装備]:ウィンチェスターM1897(3/5)@GUNSLINGER GIRL、M1897用のバヨネット@GUNSLINGER GIRL
[道具]:基本支給品×1、予備弾×5、ランダム支給品0~2(確認済)
[思考]
基本:任務を果たす
1:願いが叶うとすれば……
2:ピノッキオを探す



【アイン@Phantom ~Requiem for the Phantom~】
[状態]:背中に切り傷、空虚感
[装備]:ベレッタM92FS残弾(2/15)飛び出しナイフ@現実、核鉄「バルキリースカート・アナザータイプ」@武装錬金 
     紐@現実
[道具]:基本支給品、手榴弾セットx2、ハンディトランシーバー@現実
[思考]
基本:どのような形であれ、サイスマスターを勝利させる。
1:願いが叶うとすれば……。
2:利用できる者は利用し、このゲームを有利に進める。
3:使えない者、マスターに害ある者はリスクに応じて速やかに排除する。
4:マスターの優勝または脱出に繋がる情報を得る。
5:マリアを追う。
※サイスマスターとは今後の方針などを事前に決めました。
※第二部からの参戦。


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049:座敷童子の親心 アイン 0:[[]]
050:クロマティ 逃げた先にも クロマティ トリエラ

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