奈落は地下深くにある監獄である。
そんな奈落に珍客が来ていた。マヤ・ガラム───ヤマ及び閻魔の神格を降ろす巫女である。辺りを見まわし何故か門を迂回しようとするマヤ目掛けて、それぞれ馬の耳と牛の耳と角が付いたガラの悪い看守二人が勢いよく駆けつけた。
「「お疲れ様ですっ!!!!マヤの姉さん!!!!」」
駆けつけた勢いのまま最敬礼をする2人を見て、マヤは顔を顰めた。
「その姉さんって言うのやめろ…俺は今日仕事で来たんだ」
そう言われた二人は顔を見合わせる。
「じゃあ、例のヤツ引き受けてくれるんですね!?」
「ありがとうございます姉さん!すぐご案内します!!」
やめろと言われてなお姉さんと呼ぶ看守の神装巫女に連れられて、マヤは苦笑しながら奈落へ降りて行った。
「で、俺を呼んだってことは相当手こずってるんだな?」
坂を降りながら、マヤは口にする。
「そうなんスよ姉さん!奈落(ココ)が出来た頃からいるみたいなんですけど、とっくに刑期満了してるクセにシャバに出る気ないみてェで」
「殺し合い(楽しい運動)の時間でもすみっこで体育座りしてるンすよ。大人しいヤツだけど、なんかスゲー昔に村1個消し炭にしたみたいっス」
マヤに課せられた任務は出所を拒む囚人の説得である。交互に話す看守の話を聞きながら、マヤは一言だけ言った。
「………ソイツ、強ェのか?」
「「メチャクチャ強い」」
2人は性格に難があるが奈落の看守を任されている。看守であり戦いのエキスパートの2人が言うなら相当であろう。説得がメインだが、状況に応じて戦うことになるかもしれない。マヤは静かに笑みを浮かべた。
「楽しみだな」
最下層のとあるエリアにいる囚人番号4番。後にイリーガル・パニッシャーズに加入するにあたり『穂村 灯』の名を与えられた巫女であった。
おまけ
ガラの悪い看守2人は牛頭馬頭の神装巫女。いつも喧嘩ばかりしているが息の合った戦闘で亡者や囚人をシバく。
閻魔の巫女(マヤ、天華など)の事を姉さんと呼び舎弟を自称している。
口が悪く血の気が多い。だが危険人物ばかりの奈落にはそれが適任かもしれない。