その日の帰宅中、お嬢様はとても落ち込んでいる様子でした。
龍によって趙商会が関与しているビルが破壊されたのです。
龍はお嬢様が迅速に退治されましたが現場への到着が遅れ、お嬢様が駆け付けた頃にはビルはもう倒壊していました。奇跡的に死者は出ていません…今の所はでございますが。
龍はお嬢様が迅速に退治されましたが現場への到着が遅れ、お嬢様が駆け付けた頃にはビルはもう倒壊していました。奇跡的に死者は出ていません…今の所はでございますが。
「不甲斐ないばかりですわ。ワタシがもっと早く到着していれば…」
そう言ってお嬢様は龍を討伐したあと、ヒュギエイアの杯中国支部で治療中である負傷者の方々に声を掛けていらっしゃいました。
そう言ってお嬢様は龍を討伐したあと、ヒュギエイアの杯中国支部で治療中である負傷者の方々に声を掛けていらっしゃいました。
趙商会は世界から見ても有数の親巫女企業として知られています。化粧品から兵器まで幅広い商品を取り扱っており、スポンサーとして巫女様及び巫女様に関連する施設に多額の支援をしています。
これらの行いは民衆から高い指示を得ていますが、良く思わない者たちもいます。
龍教会や龍奸衆などの、反巫女組織です。不買運動やデマの流布などは可愛いもので、酷いものだと趙商会の関連施設がテロの標的になったりします。
龍教会や龍奸衆などの、反巫女組織です。不買運動やデマの流布などは可愛いもので、酷いものだと趙商会の関連施設がテロの標的になったりします。
商会独自の情報網と手練れの警備隊により未然に防ぐことが多いのですが、龍を使われると流石に困難になります(今回の龍災害は人為的な物かは現在調査中です)
それに、お嬢様は哪吒太子の巫女である為巫女狩りにも狙われてしまいます。彼女たちが所有するリストによるとお嬢様はシンクロ率が比較的高い巫女として、様々な施設を支援する趙商会の嫡子として多額の懸賞金が掛けられているそうです。
私が巫力拒絶体質でなければ───私に巫女の力があれば、お嬢様の力になれたのでしょうか。
そんな事を考えていると、車窓を見つめるお嬢様に声を掛けられました。
「ねぇタオスウ。なぜ趙商会が巫女サマの支援をするのか知ってる?」
私は困惑しました。長年"そういう物"だと思っていたからです。
「巫女の権能が利益に繋がるから…」
「それもまぁ、ある意味正解ではあるのかしら?
…昔、遠いご先祖サマの想い人が巫女になったそうよ。少しでも想い人の力になりたかったご先祖サマが始めた商いが、趙商会の始まり…だと言われているそうですわ」
「それもまぁ、ある意味正解ではあるのかしら?
…昔、遠いご先祖サマの想い人が巫女になったそうよ。少しでも想い人の力になりたかったご先祖サマが始めた商いが、趙商会の始まり…だと言われているそうですわ」
「動機が思ったより不純ですね」
「ピュアといって差し上げて」
「ピュアといって差し上げて」
お嬢様は続けます。
「ご先祖サマはその方と結ばれはしなかったけど、約束をしたそうですの。この国に平和が訪れるまで、この国を護れるようお互い頑張ろうと。姿形を変え千年近く経った現在でも平和とは言えないけれど…ご先祖サマはその想いを子孫に託したのですわ。その巫女サマは今でもこの国を護り続けているのだから」
千年近くこの国を護り続けていると言われている『臨界者』。最早御伽噺として語り継がれている巫女。
「そのお方は…」
「そのお方は…」
そう言うとお嬢様は小さく微笑みました。
「ワタシも一度母上に聞いた事があるだけだから、真実は定かではありませんわ。
でもリィエンは巫女が好きよ。それに早くこの国────この世界がの皆んなが幸せに暮らせるよう祈っておりますの。その為には強くなって、巫女サマ方と力を合わせなければなりませんわね!」
「ワタシも一度母上に聞いた事があるだけだから、真実は定かではありませんわ。
でもリィエンは巫女が好きよ。それに早くこの国────この世界がの皆んなが幸せに暮らせるよう祈っておりますの。その為には強くなって、巫女サマ方と力を合わせなければなりませんわね!」
丁度リムジンが屋敷に到着しました。
行きますわよ、タオスウ とリムジンから降り屋敷に向かって歩くお嬢様を私は追いかけます。
行きますわよ、タオスウ とリムジンから降り屋敷に向かって歩くお嬢様を私は追いかけます。
ふと旬の時期より少し早く、桃の香りがした気がするのでした。