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無邪気の楽園

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無邪気の楽園

「はぁ……。結局、誰もいなかったなぁ……」

放送局の探索を終えた雪歩は一人、ロビーで休息を取っていた。
アイドルとして活躍していた頃によく訪れていた放送局なら誰か来ているかと思ったが、当てが外れてしまった。
水族館で縮こまっている内に皆どこかへ行ってしまったのだろうか。
まさか皆既に殺されてしまって――

「そんなわけ……ない……よね?」

ありえない。
わかってはいるが、どうしても不安を拭い去れない。
現に最愛の友人、菊地真は凶弾に倒れ、命を散らした。
仲間が無事に生きている保障など、どこにもないのだ。

「早く皆を探さなきゃ……!」
「雪歩さん、何してるんですか?」
「ひゃあぁっ!……あ、あれ?なんだ、星梨花ちゃんかぁ……」

声をかけてきたのは箱崎星梨花だった。
不意に背後から話しかけられ心臓が飛び出そうになったが、なんとか落ち着きを取り戻す。

「はいっ。あ、あの、私、雪歩さんに聞きたいことがあるんです」
「え、な、何かな?」

この状況で聞くことといったら十中八九、殺し合いに乗っているか否かに関する質問だろう。
雪歩は当然殺し合いに反対だが、星梨花はまだわからない。
彼女の言葉を固唾を呑んで待つ。



「あの、『ころしあい』って、いったい何をするんですか?」



「…………え?」

信じられない言葉が返ってきた。

「プロデューサーさんの説明じゃよくわからなくて……私は何をすればいいんでしょうか?」
「何をすればって……」

そんなことはこちらが聞きたい。
プロデューサーの意図が全くわからないのは雪歩とて同じことだ。
だが星梨花は、この凄惨なイベントの趣旨すらもわかっていないように見える。

「と、とにかく、殺し合いなんて絶対やっちゃだめだよ……」
「え?だめなんですか?でもプロデューサーさんが――」
「それでもだめ。殺し合いなんて悲しいよ……真ちゃんだって、社長だって、あんなことになっちゃうし……」
「社長……?あ、そういえば!さっきはどうして社長さんの顔が消えちゃったんですか?」

頭がくらくらしてきた。
社長の最期も、星梨花は手品か何かだと思っていたのだ。

星梨花はどこまでも純粋だった。
人間が、ましてや仲間同士が命を奪い合うことなど考えすらしないのだろう。
彼女の中にはきっと、皆が手を取り合い、笑い合う世界しか存在しない。

「社長、どうしてあんなことになっちゃったんだろうね……」

何故彼が死ななくてはならなかったのか。
自分に言い聞かせるように、星梨花の質問に答える。

「雪歩さんでもわかりませんか……」
「ごめんね、星梨花ちゃん。私もプロデューサーを探すから、よかったら一緒に聞いてみない?」
「そうですね。では一緒にプロデューサーさんを見つけましょう!」


無垢な少女に、血に染まった世界は似合わない。
曇りなき瞳を濁らせてしまわないように。
美しい心が汚れてしまわないように。

彼女だけは何としても守り抜こう。
助けられなかった命の分までも。


【一日目/午前/C-8 放送局】

【箱崎星梨花】
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]基本支給品一式、不明支給品(1~2)
[思考・行動]
1:無知。今行われてるイベントの詳細を誰かに聞く。
2:雪歩と一緒にプロデューサーを探す。

萩原雪歩
[状態]健康
[装備]なし
[所持品]支給品一式、ランダム支給品(1~2)
[思考・行動]
1:プロデューサーさんを止めて、償ってもらう
2:真ちゃんの分も、真っ直ぐに生きたい
3:四条さんが危険だという事を伝えていく
4:星梨花ちゃんと一緒に行動。殺し合いには巻き込みたくない

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 ハミングロード   萩原雪歩 


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