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YOU往MY進?

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YOU往MY進?

あれから舞浜歩は、公園内を探しに探しても何もなく。
もう杏奈はここから離れたのだなとケリをつけた彼女は、街中をあてもなく探していた。
そうして時間だけが流れて――そして、彼女の歩みが止まった。


「……そん、な」

静かな空間の中で、その声だけが空しく響く。
――静かな、というよりも、静かになった、といった方が正しいだろうか。
彼女が立っていた場所には、ついさっきまで一人の男性の声が響き渡っていたのだから。

「………」

震える手を無理矢理抑え付けて、おそるおそる携帯端末を操作する。
確か、その声は……聞き馴染みのある、あの声はこんな事を言っていた筈だ。
『この放送の内容は、携帯端末で確認する事ができる』と。

その内容は、にわかには信じがたかった。
嘘だ、と言い切れるならどれだけよかったか。
あるいは、聞き間違いならどれだけよかったか。
そんなあまりにもちっぽけな一抹の望みに、縋りつく。

「嘘だろ……?」

けれど、そんな気持ちをあっさり打ち砕くように画面は現実を映した。
死亡者一覧というページに、ずらりと見慣れた名前が並び、最後には【残り38人】と。
あまりにも淡々と、それは記述してあった。

「なんで……」

信じられない。
12人も死んでしまった、だなんて。
はっきりと理解してみても、そんな感情が頭から離れる事はない。
真みたいな強い子が、こんなに早く死ぬなんて。
翼や茜や美也だって、ひょっこり生き残ってても、こんな状況に比べたら全然おかしくないのに。
はっきりとその死体を見た筈の奈緒だって、ありえないって事ばかりが浮かぶ。
みんな、みんな死んだのか。もう二度と、話す事さえできないというのか。
そんな話、信じろなんて言う方が無茶だ。


それに。

何より。



「なんで、なんでこんなに殺されてるんだよ……ッ!」

それだけ手にかけた誰かがいる事が、信じられない。


誰かが死ぬって事は、それだけ誰かが殺したって事だ。
もちろん事故とか自殺とか、そういうのもあるだろう。
けれど、それで12人も死ぬ筈がない。
どれだけ否定したくても、そこには確かな『殺意』がある。

かつて仲間だった皆が、今は殺しあっている。
その事実がなによりも認めたくない、非情な現実だった。

「ヂュッ、ヂュッ!」
「ハム蔵……」

打ち震える歩を、その肩からハムスターのハム蔵が声をかける。
相変わらず、何を言おうとしているのかは分からない。
ただ、その姿には既視感があった。
ここに連れてこられた最初の頃、気落ちしていた自分に声をかけてきたその姿と。

「……でも……こんなの、すぐに立ち直れないよ……」

それでも、弱気な声は抑える事ができない。
こればかりは、些細な問題じゃないのだ。もう、取り返しがつかない程に進んでしまっている。
それを仕方ないと考えて気持ちを整理できる程、歩は器用な人間じゃない。
どうしても、足を止めてしまう。

「………」

沈黙が、続く。
何分が、永遠にも感じられる。
ハム蔵という存在がいても、舞浜歩は今一人でしかなく。
その心に渦巻くマイナスな感情は、吐き出される事もなく沈殿していく。
このままでは、よくない。そんな事は分かっていても、行動に移せない。

「………………」

そんな中、埒が明かないと行動を移したのは。


「……ヂュッ!!」

小さい、小動物の方だった。


「あっ、おい!」

歩の肩から飛び降りて、ハム蔵はそのまま何処かへ駆けていく。
それに一手遅れて歩が呼びかけても、止まる気配はない。

「ちょっと……!」

口で止まらないなら、直接止めるしかない。
ある程度離れた時にやっと気付き、歩は追いかける。
ハム蔵が曲がり角を曲がり、歩が遅れてそこへ進む。

「あれ……おいおい、何処行ったんだ…?」

しかし、曲がった先に見た光景には誰もいなかった。
元々ハムスターは小さく、少しでも身を隠したりしたら探すのは結構困難だ。
ハム蔵の飼い主である響がよく探していたのが、印象に残っている。
だからこそ、こんなところではぐれたりしたら再会するのは絶望的だと言うのに。
歩はそんな事を思いながらも、あたりを見渡す。

……動く姿は見えない。もしかして、方向を間違えたか?
そう思って、後ろを振り向く。

「………?」


その瞬間、そんな彼女の元に聞こえた、ちいさな物音。

カラカラカラ…という音が、段々と遠ざかっていく。

一体、何の音だろう。そう思ってさっき見た方向に目線を戻すと。




「ヂュッ、ヂュヂュッ…!」


そこには、スケートボードを華麗に乗りこなすハム蔵の姿が!



「な……っ!?」

歩は、驚いた。それはもう驚いた。
何故そこにスケートボードがあるのかというのもそうだが、それ以上にその上にハムスターが乗っているという光景もまた謎だ。
日常生活のうちでそんな姿を見る事すらあるはずないのに。

「おい、ちょっ…!」

なんて、関心してる場合じゃない。
何の目的があって滑っているのかはわからないが、見つけたならば止めないと。
そう思い、呆れつつも駆け寄っていく。

「ヂュッ……!」

が、追いつけない。
その速度はだんだんと早くなり、ちょっと速足になった程度では追いつけそうにない。
一体どうして…と考える間もなく理解する。
坂だ。坂を転がるスケートボードは、目に見えるように早く加速していく。

「まて、待てって! くそっ……!」

このままじゃ、追いつけない。
となれば、もっとスピードを出すしかない。
歩は意を決して、全力で駆ける。

「なんなんだよ、このぉっ!」

走る、走る。ただ全速力で、駆け続ける。
体を動かすと、不思議と落ち込んでた気分が吹っ切れるように感じて。
そして、それと同時に心の底から……苛立ちが、湧いて出てきた。

どうして、こんな事をしてるんだ。
こうやって追いかけてる事もあるけれど、それ以上に、もっと根本的な事。
なんでこんな理不尽な事に巻き込まれなくちゃいけない。
そして、どうしてこんな事に恐怖したり、うじうじ悩んだりしなきゃいけないんだ。
走る足、振る腕、握る拳。その全てに力が入る。

「みんな、みんな……こんな、おかしい事ばっかり……っ!!」

怒り、そしてそれ以上に悔しさもにじみ出てくる。
こんな身勝手な事で、築き上げてきた友情を壊された事に。
さっきまで心の奥底に沈んでいた黒い感情が、はっきりした形になって発散されていく。
全力で走り抜けながら、思いの限り、叫ぶ。


一度放された距離。けれど、それは段々と縮まっていく。
息を切らして走り続け、あと一歩と言ったところで。


「こん……のぉぉぉっ!!」


強く足をけり、飛び込んだ。


「………っ、たぁ……」
「ヂュッ」


体中が、ずきずきと痛む。
固い道の上に飛び込んだのなら、当然の結果だろう。
そして伸ばした腕の先、その指は――しっかりと、スケートボードを掴んでいた。

「お前なぁ…」

顔を上げると、歩の目の前できょとんとしているようにこちらを見るハム蔵の姿。
元はと言えば、こんな風に道の真ん中で倒れているのもこいつのせいだというのに。
けれど、不思議と恨む気持ちはなかった。むしろ晴れやかな、すっきりした気持ちになっていた。

「励ますにしても、もうちょっと方法選べよな…このっ」

ハム蔵に一発、でこぴんをかます。わざとらしくこけたその姿にまた笑う。
うじうじしていても仕方ない。閉じこもっていたって、何も解決はしない。
考えてみれば、当たり前の事だ。そして立ち直るきっかけもまた単純。
全力で体を動かして、溜まってた思いをぶちまけてしまえば、案外ふっきれるものだ。

ハム蔵がそこまで考えてやったのか、なんてわからない。
冷静に考えれば、そんな事あり得るはずがない、で終わりなのだけど。
けど、なんだかそんな気がしてならない。
ハムスター相手に何を考えてるんだか…と、歩は自分で自分に苦笑していた。

「…響は、まだ生きてる。お前も会いたいよな」

ハム蔵の飼い主は、歩ではない。
そして、本当の飼い主は未だ生きている。
だったら、さっさと会わせてやらないといけない。
それに、見失った望月杏奈の事もそうだ。
まだまだやる事は山積みだ。もう落ち込んでる暇もないらしい。

「しかしなぁ…これは…」

目の前でもう動く事のない板を見て、歩は何とも言えない表情を浮かべる。
どこかのスポーツ用品店からでも拝借してきたのだろうか。思えば、ある事自体は不思議ではない。
けれども、果たしてこれが使えるかと言えば、首を傾げざるを得なかった。
かさばるし。少し名残惜しそうに悩んで、このスケートボードは置いておく事に決めた。

「よしっ」

気を引き締め直し、おもむろに立ち上がる。
その体をハム蔵が駆け上がって、肩に乗った。
そしてハム蔵は、歩に声をかけるように一声、鳴く。

「へぇ……遊園地、かぁ」

気付けば、そこはもう南街を出ようかといった場所。
伸びる道の先を見やると、そこには華やかな空間が薄らと見えていた。
走っていた間に、結構な距離を進んでいたらしい。

「………」

そこに遊園地があるという事は、知っていた。
遠くから見ても目立つ、ファンタジーな施設の数々。
それを改めて確認して、歩はうーん、と唸る。

当たり前だが、こんな状況で遊園地を前にはしゃぐつもりはない。
彼女がここで考えるのは、ここに人が集まるのかどうかだ。
場所としては、島の端。けれど、多分この島の中でも有数の施設だろう。
杏奈もそうだが、他にも誰か集まっているかもしれない。

「……よし」

どうせ、アテは全くないんだ。
そう意を決して、歩はそこへ踏み入れる決意をした。



    *    *    *

舞浜歩が、その遊園地の門へと向かう決意をした時同じく。
その門の奥には一人の女性と――三つの死体が、あった。

「……、………」

彼女がここで静かにうなだれて、もうどれくらい経っただろう。
当人も、分かっていない。ただ、そんな事さえ理解するのが、嫌だった。

もう何も、考えたくなかった。
もう何も、向き合いたくなかった。
起きてしまった事を、残酷な変化を、受け入れる事を拒絶していた。

辛い現実が、科せられた罪が。
その小さな体と心には、あまりにも重くて。

心が壊れないために、ただ何も考えないようにするしかなかった。


……なのに。


空から響いた『あの人』の声は、そんな逃げ道も許さない程に冷酷に事実を伝える。
沢山の人が死んだ。あそこにいた三人も……もちろん、茜ちゃんも。誰かに殺された。
……そして。


「莉緒、ちゃん…?」

彼女の知らないところで、大切な人が死んでいたという事も。


「………っ」

ぐらり、と視界が揺れる。
すんでのところで持ち直すも、その思考は何も立ち直っていない。

百瀬莉緒。同じシアターの仲間で、このみとは特に仲の良かった女性だ。
何故か、と言えば。年齢が近かった…ぐらいだろうか。
全体的に若い、未成年ばかりの765プロシアターで数少ない、酒でも交わして腹を割って話せる相手。
他の仲間の子達とは違う、オトナの話題で笑い合った。
そんな仲であり、一歳違いとはいえ、彼女はかわいい妹分だった。

けれど。
もう、彼女はこの世にはいない?
大人であるこのみには、それを『理解できない』なんて逃げ道はもう存在しない。
錯乱する一方で、冷静にそれを事実として認識する自分がいてしまう。


一体、なんで、どうして。




「……わたし、が」


何も、しなかったから?


「……………ぁ」


全て、すっと理解してしまった。
分かって、しまった。
起きてしまった現実と、自分の罪を。

もう、彼女の脳裏にかつての思い出は、光景は映らない。
記憶の中にしかない笑顔すら、もう見えない。
暗闇に飲まれ、消えてしまった。

代わりに残ったのは、ただの虚無感。
何にもない、からっぽの心。
失ったものはあまりにも大きくて、そこを埋めるものはなにもない。
だから、気力もなくて。立ち上がる意思さえも、ない。


「……ごめん、なさい」


誰にいうでもなく、小さくかすれた声で呟き。

ただ放送が終わった後も動けず、ずっとへたりこんで、うなだれていた。




    *    *    *


「………ッ」

それから、どれくらい経っただろうか。
ふと聞こえた、ひきつった声。
それを認識してもなお、何も感じる事はなかった。


    *    *    *


その光景をみた時、アタシは思わず頭を抱えそうになった。

目の前には、重ねられた三つの死体。
そして、生きてはいるのだろうけどうんともすんとも言わない人。
このみさんだ。見た目は小っちゃい女の子みたいだけど、実はすっごい頼りになる大人な女性。
……の筈なんだけど、今のこのみさんにそんな雰囲気はまったくない。

「………………」

畜生。なんだってこういう光景にばかり出くわすんだ。
心でいろんな悪態をついてみても、言葉は一向に出ない。
積み重ねられた死体、なんていう光景が言葉を詰まらせてた。
野々原茜二階堂千鶴ジュリア
誰が誰だかすぐにわかる。そしてその全員が、さっき放送で呼ばれた…死んだ、人。
それを証明するように目の前のみんなはぴくりとも動かなくて、それがとても不気味で、怖かった。

「えっ、と……」

ちらりと、このみさんの方をみやる。
このみさんの方も、アタシがいる事に気づいているはずなのに、何も反応してくれやしない。
頭の中で、嫌な想像がよぎる。
ついさっき、おんなじようなシチュエーションに出会ったばかりだ。どうしても、考えちゃう。

――このみさんが、みんなを殺した、なんて事。


「こっ、このみさん!」

意を決して、声をかける。
ともかくとして、話を聞いてみなきゃなにも始まらない。
真実を知るのは、怖いよ。けど…前に進まなきゃ、何も始まらないんだから。
言葉をかけても反応は返ってこない。けれど、聞こえてないって事はない、はず。

息を吸って、単刀直入にアタシは聞いた。

「…これ、このみさんが……やった、のか?」


その言葉にも、このみさんは頭を上げてはくれない。
けど、理解はしたみたいだ。
力なく。でも、はっきりと首を横に振った。
……違うらしい。とりあえず、ほっと胸をなでおろした。

「じゃあ、一体誰が?」

となれば、次に気になるのは手をかけた犯人だ。
だって、自殺って事はないわけだし。考えたくないけど、やっぱり手をかけた誰かはいるんだ。
そんな疑問にも、このみさんは首を振って応えた。それもわからないらしい。
となると、このみさんもアタシみたいにここで見つけただけ、って事なのかな。
…なんだか、それだけじゃないぐらい気落ちしてるんだけど、それも教えてくれそうなテンションじゃなさそうだ。

「……あの、さ。ここに杏奈こなかった?」

思いつく疑問と言えば、今自分が追っている子の事だ。
もしかしたら、杏奈もこっちに来てるかもしれない。
けれど、それに対する返答もNO。めぼしい成果はなさそうだ。

「そっか……」

さて、だったらどうしたもんか。
聞きたい事はまだないわけじゃないけど、とりあえず重要な事は聞いた。
悲しいけど、これ以上は何も得るものはないみたい。
けれど、だからといってこのまま時間を潰してても、ねぇ。
となれば、どこか別の場所に探しにいきたいんだけど。
ただ、こんな状態のこのみさんを置いていくのは、ちょっと気が引けるんだよね…。



「うーん……」

悩みつつ、とりあえずアタシも腰を下ろす。
地べたに座るのがどうこうだなんて、今更気にしてらんないよね。
考えなきゃいけないのは、このみさんをどうしようかなって事と……あと、杏奈だ。

「やっぱ、まだ街の中なのかなぁ…」

このみさんは、杏奈なんて見てない、みたいな反応だった。
まぁ、こんな状態だし見逃してるって事もありそうだけど、ひとまず信じるとして。
だったら、こっちの方向には来てないって事になる。
もしそうなら、まだ公園の近くにいるのか、それとも別の方向から離れちゃったか…。
どちらにしろ、追いかけるなら一旦戻らないといけないんだけど。

「………」

ちらりと、このみさんの方を見てみる。
うなだれてるその表情はわかんないけど、なんとなーくは分かる。
動くにしろ動かないにしろ、このみさんにどうするかを話さなくちゃいけないんだろう、けど…。

ああ、近くでハム蔵の視線を感じる。
分かってる、分かってるよ。このままじゃいけないことぐらい、百も承知だよ。
けど、こんな状態のこのみさんにどう声をかけろってのさ。
アタシの知ってるこのみさんって人は、もっとこう、いつも自信満々で、
そして見栄っ張りで、いざという時に頼りになる人だったのに。
今のこの人には、そんな面影が全くないんだもん。
どうすれば元気を取り戻してくれるか、なんて考えもつかない。情けないなんて言ってくれるなよ。

「ほんと……、……?」

そうやって誰にいうでもなく言い訳じみた事を考えてたら、このみさんの『持ってるもの』に気がついた。
なんだか、ちょっとごつい機械のようなもの。
えっと、なんて言うんだっけ……そう、トランシーバー?
二つあって、それぞれで通信する為の機械、みたいなものだよね、確か。

「……このみさん、それって……」

それが気になったアタシは、このみさんに声をかける。
だって、これが通信するための機械なら、対になるものも多分あるよね?
それは、どこなんだろう。もしかしたら、ないのかもしれないけど…。
とか思ってたら、その言葉に初めてこのみさんが頭を上げた。

「……茜、ちゃん…?」

そして、自分の手に持っていたそれを見つめて、そうつぶやく。
茜? それって、野々原茜の事だよね、多分。
あの、あそこでもう動かなくなった。その茜が、もう片方を持ってたって事なのかな。
…でも、さっき見た限りじゃあそれっぽいものはなかったけどなぁ。
じゃあ、もう片方はどこに行ったんだろう。

……誰かが持っていった、とか?


「………あっ」

そんな事をふと考え付いて、アタシは気付いた。

茜に会って――茜を殺したヤツが、今それを持ってる可能性が高いって事。

そして、このトランシーバーで連絡がとれるんじゃないか、って事を。


「…………」


このみさんも、同じ事に気づいたみたい。
ただ茫然と、その機械を見つめてる。
これ、結構ヤバい事なんじゃないのか?
あの三人の仇と連絡が取れる、なんて。

「……っ」

でも、それがわかったからって『じゃあ連絡取り合ってみよう』なんて、気軽に言えなかった。
このみさんの事もそうだけど、アタシだって…なんていうか、怖かった。
もし連絡をすれば、それに出た誰かが、殺し合いに乗っている奴って事なんだ。
そして、それは確実に――アタシ達の仲間だった、誰か。

そうだ、十分現実を理解していたはずのアタシにも、まだ実感し切れていない事があったんだ。
ずっと考えたくないって、すんでのところで目を逸らしていた事。
仲間が、仲間を殺した。そしてその殺した仲間が、この島にいるっていう事に。

それを認めるには、覚悟を決めるしかない。
そう、もう取り返しのつかない事が起きてるっていうのは分かってるんだ。
実際に、もう動かない皆の姿も見た。あとは、その『乗ってる奴』の存在を認識するだけなんだ。
今まで以上に、残酷な現実。とってもつらい、けど…。


「…………」


アタシは伏し目がちに、このみさんを見やる。
このみさんは、どう思ってるのかな。
三人を殺した奴を、憎んだり、恨んだりしてるのかな…復讐したいって、思うのかな。
……アタシはどうしたいかなんて、わかんないよ。
いざ、仲間を殺した仲間に出会って、どうしたいのか、なんて。
今度こそ、アタシは頭を抱えた。
こんな判断の瀬戸際に立たされて、アタシは―――



    *    *    *



あんだけ、信じた道だったのに。




【一日目/日中/H-1 遊園地・入場門】

【舞浜歩】
[状態]健康
[装備]突っ張り棒、砕石、雑誌(腹部、背部に一冊ずつ)
[所持品]基本支給品一式、ショッピングセンターで調達してきた商品(わさび含む)
[思考・行動]
基本:死にたくない。でも、殺し合いにものれない。どうするかなぁ
1:トランシーバーで連絡を取る…?
2:出来る事なら杏奈を探して、助けてあげたい……できるのか?

馬場このみ
[状態]健康
[装備]
[所持品]支給品一式、トランシーバー、ランダム支給品(1~2)
[思考・行動]
1:???

【ハム蔵】
[状態]健康
[装備]なし
[思考・行動]
基本: ???


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