関連 → 人外アパート リビングメイルと苦学生 1・2
ヤンマとアカネ 番外編 859 ◆93FwBoL6s.様
廃棄都市に眠る物資は、その用途が解らないものが多い。
プラスチック製の平べったい箱、ガラス製の筒、矮小な機械、きらきらと虹色に輝く円盤、変な匂いのする液体、などなど。茜が教えてくれなければ、それが何なのかヤンマには一生解らなかっただろう。解ったところで、特に意味もなかったのだが。更に言えば、それらを見つけても何の役にも立たない。家電製品を引っ張り出したところで、肝心の電気が供給されていない。だから、結局、茜がヤンマの手を借りて廃墟から発掘する物資は、食料品や衣料品といった日常の即戦力ばかりになった。
その日もまた、ヤンマは茜が見つけ出したものを回収して家に運んだ。大きなデパートの地下に潜り、探り当てたものだった。おかげで二人ともすっかり埃だらけになり、頭の先からつま先まで真っ白く汚れてしまったが、ここ最近では一番の収穫だった。
帰宅した二人は、まずは体を流した。洗濯したTシャツとジーンズに着替えた茜は、リビングの床に戦利品を広げ、選別を始めた。テーブルに置いたランプから零れる明かりに照らされながら、茜はレトルト食品の賞味期限や、包装の穴などを確認していった。見た目は綺麗に見えても、包装が破損している場合も多々あるのだ。ヤンマには食べられても、茜には食べられないこともある。腐っている食品をご丁寧に保存しておく義理もないし、大丈夫だと思って保存してもいざ開けた時に腐っていたら切なくなってしまう。実際、これまでにもそんなことは何度もあった。その度に茜はひどく落胆し、派手に嘆き、次こそは失敗しない、と意気込んでいた。
ソファーに座ったヤンマは、ぷらぷらと長い腹部の先を振っていた。こればかりは手伝えることもないので、傍観する他はない。いつになく真剣な顔の茜は、レトルト食品や缶詰めや瓶詰めなどを一つ一つランプに翳し、傷が付いていないか確かめていた。
プラスチック製の平べったい箱、ガラス製の筒、矮小な機械、きらきらと虹色に輝く円盤、変な匂いのする液体、などなど。茜が教えてくれなければ、それが何なのかヤンマには一生解らなかっただろう。解ったところで、特に意味もなかったのだが。更に言えば、それらを見つけても何の役にも立たない。家電製品を引っ張り出したところで、肝心の電気が供給されていない。だから、結局、茜がヤンマの手を借りて廃墟から発掘する物資は、食料品や衣料品といった日常の即戦力ばかりになった。
その日もまた、ヤンマは茜が見つけ出したものを回収して家に運んだ。大きなデパートの地下に潜り、探り当てたものだった。おかげで二人ともすっかり埃だらけになり、頭の先からつま先まで真っ白く汚れてしまったが、ここ最近では一番の収穫だった。
帰宅した二人は、まずは体を流した。洗濯したTシャツとジーンズに着替えた茜は、リビングの床に戦利品を広げ、選別を始めた。テーブルに置いたランプから零れる明かりに照らされながら、茜はレトルト食品の賞味期限や、包装の穴などを確認していった。見た目は綺麗に見えても、包装が破損している場合も多々あるのだ。ヤンマには食べられても、茜には食べられないこともある。腐っている食品をご丁寧に保存しておく義理もないし、大丈夫だと思って保存してもいざ開けた時に腐っていたら切なくなってしまう。実際、これまでにもそんなことは何度もあった。その度に茜はひどく落胆し、派手に嘆き、次こそは失敗しない、と意気込んでいた。
ソファーに座ったヤンマは、ぷらぷらと長い腹部の先を振っていた。こればかりは手伝えることもないので、傍観する他はない。いつになく真剣な顔の茜は、レトルト食品や缶詰めや瓶詰めなどを一つ一つランプに翳し、傷が付いていないか確かめていた。
「ふおおおお!」
すると、いきなり茜が奇声を上げた。
「なんだあっ!?」
ヤンマが驚いて仰け反ると、茜は手にした小瓶を掲げた。
「すっごーい! すっごーい! うっわー超ラッキー!」
「な、な、な?」
「な、な、な?」
動揺したヤンマが触角の先を揺すっていると、茜は三角形の黒い小瓶をヤンマに突き付けた。
「これ、ゴディバだよゴディバ! ゴディバゴディバー!」
「ご、でぃば?」
「ご、でぃば?」
なんだ、その不気味な単語は。ヤンマが戸惑っていると、茜はぴょんぴょんと飛び跳ねた。
「暗くてよく見えなかったから手当たり次第に持ってきたけど、こんなのが見つかるなんてマジラッキーじゃーん!」
「や、だからよ、それ、何なんだ?」
「だーから、ゴディバだってば、ゴディバ!」
「だから、それって何なんだよ」
「ゴディバはゴディバだよ、すっごくおいしいチョコレートなんだよ!」
「あ、チョコな」
「や、だからよ、それ、何なんだ?」
「だーから、ゴディバだってば、ゴディバ!」
「だから、それって何なんだよ」
「ゴディバはゴディバだよ、すっごくおいしいチョコレートなんだよ!」
「あ、チョコな」
そう言われれば解らないでもない。やっと納得出来たヤンマは、ソファーに座り直した。
「あーおいしそー、チョコなんてひっさしぶりぃー」
茜は選別作業を中断し、ゴディバの小瓶のキャップを捻り開けた。運良く未開封だったらしく、金属キャップの封が千切れた。蓋が開くと、確かにチョコレートの甘ったるい香りが漂った。だが、ヤンマの記憶にあるチョコレートとは何かが違っていた。薬臭いとでも言うべきか、揮発性の物質が混じっているように思えた。茜はそれを感じていないのか、浮かれっぱなしだった。
「きゃっほー、ゴディバゴディバー!」
呪文のようにゴディバを連呼しながら、茜は小瓶の中身の匂いを嗅ぎ、また歓声を上げた。
「あー、幸せー! チョコ最高ー!」
「ああ、うん、良かったな」
「ヤンマもいる? ゴディバ!」
「いや、俺はいい。前に一度喰わせてもらったが、甘すぎて喰えたもんじゃなかったからな」
「そう、だったら私が全部飲んじゃうね!」
「ああ、うん、良かったな」
「ヤンマもいる? ゴディバ!」
「いや、俺はいい。前に一度喰わせてもらったが、甘すぎて喰えたもんじゃなかったからな」
「そう、だったら私が全部飲んじゃうね!」
茜はにたにたしながら小瓶を口に付け、一口含んだ。途端に、でろりと弛緩する。
「あんまぁーい、マジ最高、生きてて良かったぁー」
茜のだらしない笑みを見ながら、ヤンマはきちきちと顎を軽く擦り合わせた。茜が喜んでいる様を見ているだけで嬉しくなる。この笑顔を見られただけでも、暗くて湿っぽい地下で頑張った甲斐があったいうものだ、とヤンマは内心でにやけてしまった。
茜はきゃっきゃとはしゃぎながら、ゴディバなるチョコレートの液体を味わっていたが、しばらくすると様子が変わってきた。あれほど浮かれていたのに口数が少なくなり、頬が火照っている。瞳も潤んでいて、ヤンマに向いた視線は少し揺れていた。やはり、何かしらの薬品が入っていたのか。心配になったヤンマが腰を上げかけると、茜は肩を細かく震わせ、笑い出した。
茜はきゃっきゃとはしゃぎながら、ゴディバなるチョコレートの液体を味わっていたが、しばらくすると様子が変わってきた。あれほど浮かれていたのに口数が少なくなり、頬が火照っている。瞳も潤んでいて、ヤンマに向いた視線は少し揺れていた。やはり、何かしらの薬品が入っていたのか。心配になったヤンマが腰を上げかけると、茜は肩を細かく震わせ、笑い出した。
「んふふふふふふふふ」
「…どうした?」
「…どうした?」
ヤンマが上右足を伸ばすと、茜は力の抜けた動作で振り向き、ヤンマに飛び掛かってきた。
「ヤーンマッ!」
「うごほあっ!?」
「うごほあっ!?」
その体を受け止め損ねたヤンマは、ソファーごと引っ繰り返った。顔を上げると、茜はヤンマの胸の上に跨っていた。その手には、しっかりとゴディバの小瓶が握られている。頬だけでなく首筋まで赤くした茜は、しなやかに身を曲げてきた。
「ヤーンマ」
「茜、お前、何がどうしたんだよ」
「だぁいすき」
「茜、お前、何がどうしたんだよ」
「だぁいすき」
茜はヤンマに顔を近寄せると、頑強な顎の合わせ目を舐めてきた。
「おい、茜、どうしちまったんだよ?」
ヤンマが茜を押し返そうとするが、茜はヤンマの首に腕を回してきた。
「ヤンマにも、幸せを分けてあげるぅ」
「はい?」
「はい?」
嫌な予感がする、とヤンマは動物的な直感に怯えていると、茜は小瓶に口を付けて液体を口に含んだ。
「んふふふぅ」
茜は笑みを零しながら、ヤンマの顎に唇を押し当ててきた。舌と手で半ば強引に顎を開かれ、唾液と共に注がれた。
「ぐげえっ!?」
途端に、ヤンマは戦慄した。確かに味はチョコレートだが、辛い、熱い、痛い。こんなものを内臓に入れたら焼けてしまう。慌ててヤンマは顎を全開にしてチョコレート味の毒液を吐き出し、舌で出せるだけ掻き出してから、茜の顔を押しやった。
「俺を殺す気かぁああああああっ!」
「えー、おいしいじゃなーい」
「どこがだ! こんなもん、毒に決まってんだろ! 吐け、今すぐ全部出してこい!」
「えぇー、やだぁ」
「やだじゃない、本気でこれはやばいぞ!」
「えー、だいじょおぶだよおー」
「えー、おいしいじゃなーい」
「どこがだ! こんなもん、毒に決まってんだろ! 吐け、今すぐ全部出してこい!」
「えぇー、やだぁ」
「やだじゃない、本気でこれはやばいぞ!」
「えー、だいじょおぶだよおー」
茜はけたけたと笑いながら小瓶を呷って半分ほど飲むと、足下に置いた。そして、Tシャツをまくり上げ、脱ぎ捨てた。
「なんか暑ぅい。ヤンマぁ、冷ましてぇー」
そのまま、茜はヤンマに上半身を密着させてきた。控えめな乳房を覆うブラジャーがずれても気にせずに、身を寄せてくる。押しのけてしまおうか、だが何か勿体ない。ヤンマは茜の火照った体の重みを感じながら、迷うあまりに首を回してしまった。すると、茜は細い腕を伸ばし、ヤンマの顔を両手で挟んで食い入るように見つめてきた。ヤンマの複眼の全てに、茜が映る。茜はエメラルドグリーンの複眼を撫でていたが、キスを落とした。それも一度や二度ではなく、複眼どころか顎にまで及んだ。
「ほんっと、いい男…」
恍惚とした茜は、ヤンマの顎を指先で持ち上げた。
「そう、か?」
ヤンマが曖昧に答えると、茜はつつっと指先で胸部の外骨格をなぞった。
「私ねぇ、顔だけの男じゃダメなの。強くってぇ、タフでぇ、格好良くなきゃダメなの。でも、やっぱりルックスも大事なの」
「どっちなのだよ」
「でもねぇ、ヤンマってば全部合格なのおー。顔も良いしぃ、背も高いしぃ、体だってゴツいしぃ、おまけに空も飛べるしぃ」
「そりゃ、まあな」
「だからねぇ、ご褒美あげちゃうの」
「どっちなのだよ」
「でもねぇ、ヤンマってば全部合格なのおー。顔も良いしぃ、背も高いしぃ、体だってゴツいしぃ、おまけに空も飛べるしぃ」
「そりゃ、まあな」
「だからねぇ、ご褒美あげちゃうの」
茜は背中に手を回してブラジャーを外すと、ヤンマの前に乳房を突き出した。
「ほうら、食べて食べてぇ」
「いや、いきなりそう言われても心の準備ってやつが!」
「んー、じゃあ、その気にさせてあげるぅ」
「いや、いきなりそう言われても心の準備ってやつが!」
「んー、じゃあ、その気にさせてあげるぅ」
茜は腰を上げ、下着ごとジーンズを下げて脱ぎ捨ててしまうと、体を反転させてヤンマの長い腹部の先端を持ち上げた。ヤンマが止める間もなく、茜は生殖器官が収納されている部分に唇を当て、唾液をたっぷり付けながら丁寧に舐め始めた。あの熱を発する毒液が混じっているせいか、いつもの愛撫とは違って刺激が強く、ヤンマはぎりぎりと顎を噛み締めた。
「ほうら、出てきた。可愛いっ」
茜は腹部の先端から現れた生殖器官をつんと突き、待ち侘びたように頬張ると、そのまま喉に届くまで飲み込んだ。ちゅぷちゅぷと粘着質な水音を立てながら生殖器官を口淫しながら、茜はヤンマの腹部に股間を押し付け、腰を揺らしていた。黒く分厚い外骨格の上に、生温い粘液がなすり付けられる。腰を前後に動かしながら、茜は鼻に掛かった喘ぎを漏らした。
最早抵抗する余力を失ったヤンマは、生殖器官に感じる茜の口内の熱さと、腹部に染み入る温度の差に落胆していた。昆虫人間が昆虫人間たるために不可欠な外骨格は、甲冑であり武器でもあるのだが、分厚すぎて感覚がほとんどない。辛うじて温度は解るのだが、感触はまるでダメだ。何かが当たっている、というのは解るが、それが何なのかまでは無理だ。だから、せっかく茜が性器を擦り付けているのに全く解らない。なんで俺って虫なんだろう、とヤンマは無性に悲しくなった。
最早抵抗する余力を失ったヤンマは、生殖器官に感じる茜の口内の熱さと、腹部に染み入る温度の差に落胆していた。昆虫人間が昆虫人間たるために不可欠な外骨格は、甲冑であり武器でもあるのだが、分厚すぎて感覚がほとんどない。辛うじて温度は解るのだが、感触はまるでダメだ。何かが当たっている、というのは解るが、それが何なのかまでは無理だ。だから、せっかく茜が性器を擦り付けているのに全く解らない。なんで俺って虫なんだろう、とヤンマは無性に悲しくなった。
「ん…んぁ、あ…はぁっ…ああっ」
茜は生殖器官から口を外し、唾液と体液の混じった雫を口の端から落としながら、ぐちゅぐちゅと股間を擦り付けてきた。
「も、もう…ダメぇ…あうぅ…ヤンマぁ、ヤンマぁああああ!」
茜は顎を上げて眉根を歪め、一際高い声を上げた。
「ふぁあ…」
満足げにため息を吐いた茜は、ヤンマに向き直り、汗の浮いた肌を外骨格に押し付けてきた。
「ね、ヤンマぁ、ちょうだい。ヤンマのが欲しいのぉ」
舌を出して息を荒げる茜は、達したばかりなので声色が弱かった。懇願されてしまっては、その気にならないわけがない。それに、こちらも収まりが付かない。ヤンマは中両足で茜の腰を持ち上げて浮かせると、長い腹部の先を曲げ、生殖器官を上げた。そして、茜の胎内に乱暴に突き立てた。既にとろけるほど潤っていた陰部は、すんなりとヤンマを受け入れ、奥まで飲み込んだ。
「あ、あぁあん…」
茜はぶるりと身震いし、ヤンマを抱き締めた。
「そう、これ、これぇ…。ヤンマの、すっごく好きぃ…おっきくてぇ、硬くてぇ…」
あの毒液を飲んでいるためか、茜の膣はいつもより温度が高かった。ヤンマは生殖器官を動かし、互いの体液を混ぜた。
「あ、くぅ、あっ!」
茜は涙を滲ませながら頭を振り、痙攣した。どうやら、また達したようだった。
「お前ばっかり良くなってんじゃねぇぞ」
ヤンマは茜を抱えたまま起き上がると、唾液に濡れた半開きの唇の中に舌を差し込み、ぬるぬると蠢かせてやった。茜の反応は増し、舌に噛み付かんばかりの勢いで喘いだ。ヤンマは唯一彼女を感じられる部分を、やれる限り動かした。茜の体温を吸った生殖器官を進め、奥へ奥へと押し込んでいく。それが深さを増すほどに、茜の放つ嬌声は高くなっていく。
「そんなに言うなら喰ってやろうじゃねぇか!」
ヤンマは茜を床に押し倒し、突くたびに震える乳房に軽く噛み付き、黄色く細長い舌を硬く尖った乳首に擦り付けてやる。だが、肌に傷を付けない程度で噛むのは本当に難しい。薄い肌に埋まった顎を緩め、外すと、その形に赤い線が付いていた。甘い毒液と快楽に浮かされた茜は、乳房の噛み傷を気にする余裕もないのか、ヤンマの腰に白い足を巻き付けてきた。
「もっとぉ、もっとちょうだいぃいいっ! いいの、いいの、すごくいいのぉ!」
「ああもう、こんちくしょう!」
「ああもう、こんちくしょう!」
こうなったら、とことんやるしかない。ヤンマは髪を振り乱す茜を押さえ付け、痛みを感じない程度に加減した力で攻めた。透明だった愛液が白濁し、粘り気を増す。ヤンマの生殖器官にも茜の変化は伝わり、ぎゅうっときつく締め上げられた。
「ヤンマぁ…」
三度目の頂点に達した後、茜は小さな手でヤンマの複眼をなぞった。
「ごめんね」
「何がだよ」
「何がだよ」
律動を止めたヤンマが返すと、茜はヤンマを引き寄せた。
「いっつも、私ばっかり気持ち良くて。ヤンマは気持ちいい? ヤンマは私として楽しい? ヤンマの卵、産めなくてごめんね」
茜はヤンマの頭部を二つの乳房の間に押し当てると、ヤンマの短い触覚に唇を付けた。
「だからね、もっともっとしていいよ。ヤンマが出しちゃうぐらい、したっていいんだよ」
「それが、ゴホウビってやつか?」
「うん。だって、私がヤンマにあげられるものは体しかないもん」
「…だが、出したら死ぬんだぞ、俺は」
「それはちょっと困るかも。んふふふふふふふふ」
「それが、ゴホウビってやつか?」
「うん。だって、私がヤンマにあげられるものは体しかないもん」
「…だが、出したら死ぬんだぞ、俺は」
「それはちょっと困るかも。んふふふふふふふふ」
茜は照れ臭そうに笑っていたが、床に転がっているゴディバの小瓶に気付き、手を伸ばしたがヤンマが弾いた。
「あれはもう飲むな!」
「えー、なんでー。甘くっておいしいのにぃー」
「えー、なんでー。甘くっておいしいのにぃー」
不満げに頬を張る茜に、ヤンマは迫った。
「あの調子で来られたら、俺の方が持たないんだよ! 本当に出たらどうするつもりだ! 俺は死ぬんだぞ!」
「むー…」
「というかだな、俺に謝る必要なんてねぇんだよ」
「え、じゃあ、ヤンマも感じるの?」
「多少はな」
「多少じゃダメー! もっともっと感じてくれなきゃ不公平だよー! やっぱり飲むー、でもって攻めるー!」
「攻めるのはオスの仕事だ!」
「やーだー、ヤンマをイかせるのー、中に一杯出してもらうのー、精液ぶちまけてもらうのー、妊娠するのー!」
「だから出したら死ぬって言ってんだろうが! 俺が死んだらヤれなくなるだろうが!」
「やーだー、死んじゃうのはもっとやだー! ヤンマの太くて硬いのでイかせてもらえなくなるー!」
「むー…」
「というかだな、俺に謝る必要なんてねぇんだよ」
「え、じゃあ、ヤンマも感じるの?」
「多少はな」
「多少じゃダメー! もっともっと感じてくれなきゃ不公平だよー! やっぱり飲むー、でもって攻めるー!」
「攻めるのはオスの仕事だ!」
「やーだー、ヤンマをイかせるのー、中に一杯出してもらうのー、精液ぶちまけてもらうのー、妊娠するのー!」
「だから出したら死ぬって言ってんだろうが! 俺が死んだらヤれなくなるだろうが!」
「やーだー、死んじゃうのはもっとやだー! ヤンマの太くて硬いのでイかせてもらえなくなるー!」
やーだー、と幼児のように駄々をこねる茜に、ヤンマは言い返すのもぐったりしてきた。気持ちは嬉しいが、非常に困る。実際、茜に種付けさせるほど精液を出したいとは常々思う。だが、出したら死ぬのだと本能的に解っているので出せないのだ。そんな二律背反にぐらぐらと揺れながら、ヤンマはすっかり拗ねてしまった茜を見下ろし、とりあえずまた攻めることにした。茜の気が済むまで続ければ、問題はないだろうと思ったからだ。しかし、毒液に浮かされた茜は手強く、なかなか満足しなかった。そのため、事が済んだのは東の空がうっすらと白み始めた頃で、茜が疲労で気絶するように寝入るまで繋がりっぱなしだった。
正直言って、戦うよりも辛かった。
正直言って、戦うよりも辛かった。
疲労困憊しつつも狩りと縄張りの見回りを終えたヤンマが帰宅すると、茜が苦しんでいた。
原因は、もちろんあのチョコレートの毒液である。大した量は飲まなかったはずなのだが、飲み慣れないので効き過ぎたのだ。吐き気を伴う頭痛に苛まれている茜は、ソファーの上でぐんにゃりと潰れ、ヤンマが帰宅しても出迎えることすらしなかった。やっぱりあれは毒なんだ、とヤンマは痛感した。ヤンマが茜に近寄ると、真っ青な顔をした茜はヤンマに力なく手を伸ばしてきた。
原因は、もちろんあのチョコレートの毒液である。大した量は飲まなかったはずなのだが、飲み慣れないので効き過ぎたのだ。吐き気を伴う頭痛に苛まれている茜は、ソファーの上でぐんにゃりと潰れ、ヤンマが帰宅しても出迎えることすらしなかった。やっぱりあれは毒なんだ、とヤンマは痛感した。ヤンマが茜に近寄ると、真っ青な顔をした茜はヤンマに力なく手を伸ばしてきた。
「水、持ってきてぇ。喉乾いたぁ」
「ほら見ろ、言わんこっちゃねぇ」
「ほら見ろ、言わんこっちゃねぇ」
ヤンマが呆れると、茜は低く唸った。
「二度とお酒なんか飲まないぃ…」
「全く、どうしようもねぇな」
「全く、どうしようもねぇな」
ヤンマはぼやきながらも、水を持ってくるために外に設置した浄水タンクに向かおうとしたが、羽を引っ張られた。
「ヤンマー…」
茜は焦点の定まらない目でヤンマを見上げ、口元を押さえた。
「吐きそう」
ヤンマが抱え上げようと上両足を伸ばすが、遅かった。茜はソファーから崩れ落ち、そのまま床に胃の内容物を吐き出した。ぐええ、と呻きながら嘔吐する茜を支えてやりつつ、ヤンマは思った。きっと、あのチョコレートの毒液は人間が作った罠に違いない。そうでもなければ、茜はこんなに酷い目には遭わないはずだ。人間の不可解さに悩みながら、ヤンマは苦しむ茜の背を支えた。だが、茜から攻められるのは実に良かった。上に跨られて喘がれるのは、挿入して喘がせるのとはまた違った興奮を感じる。褒められるのも、舐められるのも、口付けられるのも。愛撫されても茜ほど感じられないのは惜しいが、それは体に限ったことだ。心の方は、充分すぎるほど感じている。そうでもなければ、生殖器官が出るわけがない。だが、やはり惜しいものは惜しかった。
一度でいいから、思い切り茜の胎内に精液をぶちまけてみたい。だが、出したら死ぬ。しかし、出さずに死ぬのはもっと勿体ない。ヤンマは至極真剣に考え込んでいたが、うー、あー、とゾンビのように呻く茜に縋り付かれ、外に連れ出して水を飲ませてやった。だが、当の茜がこれでは、当分の間はお預けだ。飲んだばかりの水を吐く茜の背をさすりながら、ヤンマはがちがちと顎を鳴らした。
人間で言うところのため息だった。
一度でいいから、思い切り茜の胎内に精液をぶちまけてみたい。だが、出したら死ぬ。しかし、出さずに死ぬのはもっと勿体ない。ヤンマは至極真剣に考え込んでいたが、うー、あー、とゾンビのように呻く茜に縋り付かれ、外に連れ出して水を飲ませてやった。だが、当の茜がこれでは、当分の間はお預けだ。飲んだばかりの水を吐く茜の背をさすりながら、ヤンマはがちがちと顎を鳴らした。
人間で言うところのため息だった。
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