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第14話

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第14話

「くぴぴ。その龍殺しが、完全なでっち上げってなくだらない落ちじゃぁねぇよな?」
 リュカが腕を組み、くぴぴをにらむ。
「そんなくだらない落ち、くぴぴが用意するわけないじょ」
 くぴぴが少し怒った様に言う。なかなか可愛い…などと言っている場合ではない。本気で暴かれたら、まずい。早くなんとかしないと。しかし、ミラクルに龍二人を止められるほどの力は無い。
「くくくっ、怒った顔がまた可愛いねぇ」
「そんなことどうでも良いじょ。早く推理するじょ」
「もう、できたぜ。これから名探偵リュカ様の名推理を披露してやろう。と、言っても簡単すぎてつまらないがな」
 リュカは無駄に、右に五歩移動した。意味は、無いのだろう。
「俺は回りくどいのは嫌いだ。答えを先に言うぜ」
 今度は左に五歩移動して元の位置に戻る。十分に、回りくどい。
「お前側にも龍が居た。そういうことだな、ロクデナシ」
 ミラクルは答えない。肯定するわけにはいかない。龍を倒すのに龍を利用したなど、もしも肯定してしまえば、龍殺しの名誉は一気に消え去る。政権交代を叫ぶ輩まで出かねない。
「本来龍が特定の人間に肩入れするなど、言語道断だ。分かるよな? 秩序も糞もねぇ。龍が味方に付いた人間ってのはある意味最強だ。均衡なんて言葉が無意味に思えてくるぜ。もしも仮に龍が特定の人間に肩入れしたら、その龍は討伐される。俺みたいにな。しかし何事にも例外ってのが居てな」
 ミラクルは答えない。もっともリュカは、ミラクルの答えなど期待してないようだが。
「その例外、特別ってのは最悪だ。そいつは何度も特定の人間に肩入れしやがる、が、一度も討伐されてねぇ。それはなぜか。全てを統べる天照の龍のお気に入りだからだ」
 ミラクルは答えない。
「くくくっ、特定の人間に肩入れするような愚かで自己中心的な龍は、後にも先にも二人だけだ。一人はこの俺。そしてもう一人は、雷鳴の龍リオ」
 今度こそ、今度こそ、心臓が、飛び出すかと思う程の、衝撃。しかしそれでも、それでも、ミラクルは答えない。
「正解だな、ロクデナシ。顔に書いてあるぜ。くくくっ。さぁて続きだ。ロクデナシ、お前はリオの好みじゃない。リオの好みは、もっと誠実で真面目で正義感の強い男か…めちゃめちゃ顔の良い男だ。つまりリオの力を使ったのはお前じゃない。リオの力を利用しようと言い出したのは、お前だろうがな」
 まだ、続けるというのか。名誉の為に隠蔽した、リオの存在を暴露して尚、まだ続けるというのか。もし、もう一つの方に行き着けば、やっかいすぎる。今現在ですら、とんでもなくやっかいなのだから。
「つまり龍殺しの人数は、最低でも二人プラスリオってことになる。が、まぁリオのことだ、壱から拾まで全てを引き受けたわけでもないだろうな。取り付いたんだろ? これがまぁリオが天照に好かれている理由でもあるが、リオは特定の者に取り付いて、自分の力を貸すことができる。今回も、そうだろうな」
 その通り。まったくの正解。正解すぎる大正解。しかしミラクルは答えない。
「これで最後だ。龍殺しの人数はたぶん三人以上プラスでリオだ。一人目はロクデナシ、二人目はリオを使った奴。三人目は死霊術師。誰でも知っていることだが、龍に効率よくダメージを与えるには、魂を使った攻撃が良い。もっともそれで、龍を倒せるか、と聞かれれば答えは無理、だがな。建前上だけでも、死霊術師は必要だ」
 これで最後…ならばもう一つには、アレの存在には、辿り着いていない。安堵。
「では死霊術師がリオを使った可能性。これはありえないな。龍は基本的に死霊術師が嫌いだ。自分達にそれなりとはいえ、痛い思いをさせることができるからな。リオがマゾだってんなら、それもありだが、あいつは違う…たぶんな。死霊術師がめちゃめちゃに顔が良かったとしても、力は貸さないだろう。ちなみに俺は、死霊術師を見かけたらとりあえず殺すことにしてる。まぁ今の俺が殺しても、くぴぴが蘇生させるからあまり意味はないがな」
 黙って聞いていたくぴぴが、ぱちぱちぱちっと手を叩く。
「さすがだじょ。でも龍殺しの人数はリオ入れて六人だじょ」
 六人…その言葉で、ミラクルは確信した。この女は、くぴぴは、全て、知っている。アレの存在も。アレの為に犠牲になった梨紅の存在も。その梨紅を、隠蔽したことも。
 表向きには、龍殺しは四人。ミラクル、システィーナ、ロラン、ディスレイファン。隠蔽したのが二人、リオ、梨紅。名誉の為に隠蔽したリオ。アレの存在が表に出て混乱するのを防ぐため、と皆を言いくるめて隠蔽したのが梨紅。本当はいずれアレを利用しようと考えているが。
「正確な人数までは俺でも無理だ。まぁ三人以上プラスでリオっての当たってるから良いじゃねぇか」
 くくくっとリュカが笑う。
「まぁ、良しとするじょ」
 くぴぴが、ミラクルを見つめる。勝ち誇ったような、顔で。ミラクルの神経を、逆撫でするかの様に。
 いずれ、どうにかして、くぴぴを眠らさなくては。はっきり言って、邪魔だ。
「さぁて、俺はそろそろ限界だ。これでも封印されてる身でね。ぼちぼち眠るぜ。おい青年、名前を聞いておこう」
 それは尚徳に向けられた発言。尚徳、さっきのリュカの推理を、どう思っているのだろうか。どちらにしても、聞いたからには、消すしかないのかもしれないが。
「尚徳です、リュカ様」
「よーし尚徳、命令だ。俺の娘はしばらく意識が戻らねぇ。起きるまで守れ。もちろん起きてからも守れ。いいな?」
「承知いたしました」
「俺の娘の意識が戻るのは、そうだな、数時間か…数日か。今回は死んだわけじゃねぇし、ダメージ負ったわけでもねぇから、たぶん数時間だ。よろしく頼んだぞ」
「はい」
 尚徳は、いつの間にかリュカの家来になっていたらしい。消すのは、まずいか。殺し屋という職業上、ぺらぺらと話すとは思えないが、とりあえずは現状維持か。

to be continued

コメント

  • 最高っ! でも姫、戯言の影響受けすぎwww -- ティンカーベル♪
  • 戯言じゃなくて雪国の影響だと何度言ったら(ry --
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