彼女ヲ救出セ
『…というわけだからさ、気をつけてよ、君たちも』
「NEETなんかに心配されなくても、ルイはわかっている」
『君の心配なんかしないよ、私は』
「トウガンの心配だろう、それもルイはわかっている」
「NEETなんかに心配されなくても、ルイはわかっている」
『君の心配なんかしないよ、私は』
「トウガンの心配だろう、それもルイはわかっている」
受話器の向こうでため息が聞こえた。
『君たちまで…あのひとを苦しめないで、…私にはできない』
「トウガン、そんなに酷いのか」
『………私じゃ駄目なんだ、わからない…どうすればいい…!』
「男が泣くな、鬱陶しい。ルイは切るぞ」
「トウガン、そんなに酷いのか」
『………私じゃ駄目なんだ、わからない…どうすればいい…!』
「男が泣くな、鬱陶しい。ルイは切るぞ」
強制的に会話を終了させた。街と島を隔てる海は、今日は大荒れだ。
今まで毎日マキは街まで飛ぼうとしたけれど、今日は飛ばなかった。
三角の波が風にあおられて、轟々とうねり、狂っている。
ルイはケータイを仕舞い身震いをして、小屋に小走りで駆け込んだ。
もともとトウガンが修行の時に寝泊りする、ただそれだけのための小屋だ。
生活に最低限のモノしか、ここには無い。けれど今はそれで十分。
電気も火も、彼らポケモンにとってみれば、易く使える。
今ここには4人。ルイとコウ、それにグンジョウとマキ。
いつの間にか4人の担当はすんなり決まっていた。ルイは街との連絡係だ。
今まで毎日マキは街まで飛ぼうとしたけれど、今日は飛ばなかった。
三角の波が風にあおられて、轟々とうねり、狂っている。
ルイはケータイを仕舞い身震いをして、小屋に小走りで駆け込んだ。
もともとトウガンが修行の時に寝泊りする、ただそれだけのための小屋だ。
生活に最低限のモノしか、ここには無い。けれど今はそれで十分。
電気も火も、彼らポケモンにとってみれば、易く使える。
今ここには4人。ルイとコウ、それにグンジョウとマキ。
いつの間にか4人の担当はすんなり決まっていた。ルイは街との連絡係だ。
(「気をつけてよ」、ね)
気をつけても、無駄ではないのだろうか。眠るなというなら、ひどい話だ。
警戒、それを、あのラトが怠るだろうか。ミラだって、妙な気配には誰より敏感なのに。
それでも彼らは得体のしれない何者かに蝕まれ、眠りから醒めない。
(ルイにはきっと、できないだろうな…)
3人が眠りこけているところへそっと潜り込んで、目を閉じる。眠りはすぐに訪れた。
気をつけても、無駄ではないのだろうか。眠るなというなら、ひどい話だ。
警戒、それを、あのラトが怠るだろうか。ミラだって、妙な気配には誰より敏感なのに。
それでも彼らは得体のしれない何者かに蝕まれ、眠りから醒めない。
(ルイにはきっと、できないだろうな…)
3人が眠りこけているところへそっと潜り込んで、目を閉じる。眠りはすぐに訪れた。
*
「………?」
辺りが一面、真っ白だ。
見渡しても白以外の色が見当たらない。
白は嫌いではないけれど、ちょっと白すぎて、まぶしい。
「誰かいないのか?」
「いるとも」
声は背後からかけられた。素早く振り返って身構えるが、相手は襲い掛かってくる気配は見せない。
真っ黒い衣装、白い長い髪、同じく長い真紅のマフラー、それに青い目の不審者だ。
「…なんだ、お前は」
「この世界の水先案内人、とでも言うかね…しかし遅かったな、眠れなかったのかい」
「別に、何しに来た」
「私は君の願いを叶えに来たのだよ」
心臓がどきりとした。ねがい…? でも、 の願いは……願いと呼べるようなものは。
「面倒くさい…お願いしなきゃだめ?」
「出来ればしてもらったほうが、楽でいいがね」
ぐらりと揺れる頭に、繰り返される声。
『――私じゃだめなんだ』
『あの人を助けたいのに』
『どうして――』
「 じゃだめだ、 じゃ助けられない、助けられるのは一人だけだ」
「ふむ?」
ゆっくり瞳を閉じた。まだ、『彼』の声は、言葉にはならないけれど、聞こえていた。
だって、あの人を助けられるなら、助けたい。
辺りが一面、真っ白だ。
見渡しても白以外の色が見当たらない。
白は嫌いではないけれど、ちょっと白すぎて、まぶしい。
「誰かいないのか?」
「いるとも」
声は背後からかけられた。素早く振り返って身構えるが、相手は襲い掛かってくる気配は見せない。
真っ黒い衣装、白い長い髪、同じく長い真紅のマフラー、それに青い目の不審者だ。
「…なんだ、お前は」
「この世界の水先案内人、とでも言うかね…しかし遅かったな、眠れなかったのかい」
「別に、何しに来た」
「私は君の願いを叶えに来たのだよ」
心臓がどきりとした。ねがい…? でも、 の願いは……願いと呼べるようなものは。
「面倒くさい…お願いしなきゃだめ?」
「出来ればしてもらったほうが、楽でいいがね」
ぐらりと揺れる頭に、繰り返される声。
『――私じゃだめなんだ』
『あの人を助けたいのに』
『どうして――』
「 じゃだめだ、 じゃ助けられない、助けられるのは一人だけだ」
「ふむ?」
ゆっくり瞳を閉じた。まだ、『彼』の声は、言葉にはならないけれど、聞こえていた。
だって、あの人を助けられるなら、助けたい。
『 はこんな土臭いところはいやだ…かえりたい』
『まあそう言うな、案外楽しいものかもしれんぞ』
『もし駄目だったら? もし がまたかえりたくなったら?』
『責任持って送り届けてやろう、でも…わたしはお前と遊びたいな』
柄にも無くそんな言葉でほだされてしまい、以降ずっと付き添ってきたひとだ。
しあわせに、なるべきひとなのだ。
「 は…… は、あのひとを助けたい」
「構わんかね、それで」
囁き声は甘く優しい。
「例えそれが、悪魔との契約であったとしても」
「 は、助けたい。『ふゆ を しあわせにしたい』。」
その声は、誰のものか。
「良いだろう、君が望むなら、君はそれを手に入れる…」
『まあそう言うな、案外楽しいものかもしれんぞ』
『もし駄目だったら? もし がまたかえりたくなったら?』
『責任持って送り届けてやろう、でも…わたしはお前と遊びたいな』
柄にも無くそんな言葉でほだされてしまい、以降ずっと付き添ってきたひとだ。
しあわせに、なるべきひとなのだ。
「 は…… は、あのひとを助けたい」
「構わんかね、それで」
囁き声は甘く優しい。
「例えそれが、悪魔との契約であったとしても」
「 は、助けたい。『ふゆ を しあわせにしたい』。」
その声は、誰のものか。
「良いだろう、君が望むなら、君はそれを手に入れる…」
足元が崩れるような感覚に襲われて、思わず目を開けたけれど、何も見えない。
暗闇が支配した世界。だけど、ちゃんと、感じる。見える。
暗闇が支配した世界。だけど、ちゃんと、感じる。見える。
空が赤い。
目元はなにかで覆われているようで、触るとごわごわした。
見えないけれど、ちゃんと見える。白くて細い指、風になびく黒い前髪。衣装は自分の趣味で黒くしてしまったようだけれど。
見えないけれど、ちゃんと見える。白くて細い指、風になびく黒い前髪。衣装は自分の趣味で黒くしてしまったようだけれど。
「『まほろは、探しに行く。そして、助ける』」
この声。仮初の身体でも、成さねばならないことがある。
どこか感覚の遠い身体を操って、『幻』は颯爽と街を歩き出した。
この声。仮初の身体でも、成さねばならないことがある。
どこか感覚の遠い身体を操って、『幻』は颯爽と街を歩き出した。