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さがせさがせ

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nightmareofmio

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声をかける人かける人、みんなどこかゆらゆらしていて奇妙だ。
知らないと言って脅えるように逃げたり、
逆に掴みかかってきたり、
まるっきり無視したりする。
そして答えた誰一人として『冬』を知らなかった。
自分さえ『冬』が何者かわからないのだから仕方ないのかもしれない。
でも、いや、見つけなくちゃならないんだから頑張らないと。


ぽつんと小奇麗な家を見つけた。聞き込みのターゲットに決定。
塗装のはげたドアをノックノック、出てきた美人にとりあえず口許は笑顔を。
「あのうお尋ねしても宜しいでしょうか」「宗教勧誘ならお断りしますけど」
「ちがいますちがいます、幻は人探しをしてるだけです」「はぁ」
美人は目をぱちくりした。妙なものを見るような目で人を見る。
「鉄、お客さんですか」
奥にミイラ男が二人見える。青いのと黒いの。あと隅のほうにもう一人黒いの。
「あーうん、お客さん上がります?」
「いえ、お尋ねしたいだけなので結構です」
営業スマイルはまだキープ中。しかしこれからがやっと本題に入るところ。
「『冬』という人をご存知ありませんか?」「しらない…よなぁ?」
美人は部屋を振り返った。青ミイラが首を振る。隅からはか細い声で返事があった。
黒ミイラはドアの向こうの、幻の背後を見ていたけど、しらないと言った。
ごめんなさいという美人に礼を言う。いつまでこんな問答を繰り返せばいいのか。
「そうでしたか、ありがとうございますお邪魔しました」
黒ミイラが声を上げた。
「鉄、逃げてください!」
「ん? おあ!?」
美人が避けるのが遅れたら恐らく幻ごとぶっとばされただろうけれど、幻も避けたので損害は門柱だけだった。
爪の腕が頭上をびゅんっと薙ぎ払う。
背後には舌打ちをする影、背中に骨のツバサが生えている。
「んだよ、お前」「……そっちが何、幻に何の用だ」
「お前見てるとボッコボコにしたくなる」「そんな物騒な」
言うか言わないかのうちにもう一度頭上で風が鳴いた。
美人は奥へ引っ込んで台風でも来た時のように皆をあつめている。
これ以上他人の家をどうこうするのも申し訳ないので、大きく飛んで家から離れた。

「…殺したくなる何だこれマジでイライラするほんとお前なんなんだよ」「幻のセリフだ、そんなこと」
骨ドラゴンは加速して距離を詰めてくる。頭を庇ったら左腕が逝った。
血が遠慮なくぶしゃっとかそんな音で出てきて、視界に赤くまだらが出来た。
痛くはないけど動かせないのがいやだ。
腕を捕まれたまま電流を流す。ドラゴンは一瞬で手を引いた。
「いて、人間じゃないのかよ」「人間だよ、幻は…でも幻は人間じゃない」
左腕が持ち上がらない。でも、一本あれば電撃を放つには十二分。
「先を急ぐんだ」
球電がぎゅんっと飛んだ。ドラゴンにブチあたると綺麗に広がった。
「"でんじほう"!?」
ばりばりぱりぱりと綺麗に青い火花がはじけて、ドラゴンは氷付けになったように固まった。
言葉も吼えられなくなってぱくぱく金魚を演っている滑稽な姿に敬礼。
「アデュー、哀れなドラゴンゾンビ」
幻は地面を華麗に蹴った。探し続けなくっちゃあ、ならないのだ。
左腕はぶらぶらするけれど、まあ、痛くないしそのうち治るだろう。
まだまだ先は遠い見通し、しかしこれより開幕也。


一方で嵐の去った鉄宅。
「あの男、二つにぶれて見えましたが」
冥は鉄に問いかける。
「…ふつーの男だったぞ? 目は包帯でぐるぐるだったけど」
「包帯?」
ますます不可解な疑問が増えていく。
「…翼、だいじょうぶかなあ」
飴の呟きも紅の脅えた呼吸音も。それ以外はぜんぶぜんぶ静寂できれい。

(青い、美しい目をしていた気がしたけれど)
疑問も静寂で、問いかけすら存在しないから答えも静寂だった。


他方どことも知れないまっくらくらがり路地の奥。
振り下ろした鉄槌の断末魔に縋りついて、ゆらり延びた影が立っていた。
「まほろはどこにいるのかなあ」
その答えは何れ、明白に。






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