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かみさまこばなし

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神様小話




赤いマフラー、黒い衣装。
透き通る白髪はふわりと揺れます。
彼の名はダークライ。この世界の神様です。

神様ですから、彼には何でもできます。

例えば今、そこに居る神父様。
彼は今しがた、その神父様を蘇らせたところです。
この夢は、死人にも優しいのです。
不都合な記憶はさっぱり消して。
この夢の中を満喫できるように。
ダークライはいつだって誰にだって、楽しんでほしいのです。


道を行く群れを見つけました。
まるで葬列のようです。光がたくさん群れています。
やがて、群の前に大きな蛇が現れました。
蛇は群に突っ込んで、ぱくぱくと片っ端から食べてしまいました。
ひとりの男がそれを見て笑っていました。蛇を優しく撫でながら。
ダークライはにっこり笑って、二人が出会えたことをお祝いしてあげました。


とある家の様子を見に来ました。
ここではよにんが、仲良く暮らしています。
ダークライの近くを、一機の小柄な戦闘機が飛んでいきました。
家の窓から歓声が上がります。幸せそうな笑い声が聞こえます。
家の中も覗いてみました。
はじめは馴染まなかったよにんが、仲良く食卓を囲んでいます。
ずっと笑わなかった青年が、嬉しそうに微笑んでいました。
ダークライはとても満たされた気分になりました。


男と女を見かけました。
そこは二人っきりの世界なので、ダークライといえど立ち入ることはできません。
二人は触れ合うことはできません。それがダークライとの約束でした。
けれど二人は互いに互いを慈しんでいたので、決して不幸せではありませんでした。
しかし、幸せでもありません。
どちらかが動かなくては、どうにもなりえません。
ダークライは期待しながら、二人を見守っています。


気になっていたので、ある人のところへ行きました。
彼は、一人で二人です。
あるときはあちら、あるときはこちら、と入れ替わって生きています。
まとめて願いを叶えるのは、容易ではありませんでした。
しかし、ダークライは神なのです。
ダークライにできないことはありません。
彼はちゃんと機能しているようです。ダークライはほっとしました。


ほっとしたら、すこし眠たくなりました。
しかし、休むわけにはいきません。
ダークライが止まれば、世界は止まってしまいます。
そんなことを望むのは、だれも居ません。


ダークライは細い道へやってきました。
そこでは一人の男が蹲っています。
耳を塞いでいました。彼はなんでも聞こえてしまいます。
けれど、ダークライの声は聞こえません。
だいじょうぶかい、と優しく声を掛けても。
すこし可哀想に思いましたが、それでも、彼の願いは叶っています。
ダークライはあえて手を加えたりしません。
それでは面白くないからです。


面白いと思ったら、自分からちょっかいを出します。
たとえばこの男は、ダークライのお人形。
悲鳴をあげて逃げる獲物を、冷たい刃物で殺します。
彼は楽しそうに笑って、それから、泣き出しました。
それでも彼は不幸せではありません。
行動を起こすかぎりは、いずれ想い人に会えると信じていたからです。
ダークライは彼を可愛がるように撫でました。


ダークライは、ある女の子のところへやってきました。
彼女が変わりつつあることを、ダークライだけが知っていました。
その時が楽しみなので、こうして時々姿を見にきます。
傍に男が居ました。暗い影がたくさん、尾を引いています。
ダークライは笑いました。
もう何度目だろう。ダークライは笑います。
そしてその影を引きちぎって、優しく彼を生かしてやるのです。


世界はそんなふうにぐるぐるといつも動いています。
ダークライは夢を見る暇もありません。
たくさんの人が彼を待っているのです。
ダークライは彼らの目に成ります。声に言葉に、身体の代わりに。
ダークライは悪夢です。悪夢は神、神は即ち彼そのもの。

ダークライは、赤い空をつうっと駆けていきました。







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