上向きコルト
親衛学園、屋上。
不良だらけのこの学校は、屋上を閉め切ってある。万が一があってからでは遅いのだ。
ところが2年生・鷲見 空、屋上は彼の居住スペースと化していた。恐らく当学器用さナンバーワン、錠前なんてあっと言う間劇場なのだ。空はけっしてサボり魔ではなかったが、晴れた日の、嫌いな授業のときと昼休みはいつもここにいた。真っ青な空を見上げるか、拳銃の手入れをする。銃刀法ナニソレおいしい?
不良だらけのこの学校は、屋上を閉め切ってある。万が一があってからでは遅いのだ。
ところが2年生・鷲見 空、屋上は彼の居住スペースと化していた。恐らく当学器用さナンバーワン、錠前なんてあっと言う間劇場なのだ。空はけっしてサボり魔ではなかったが、晴れた日の、嫌いな授業のときと昼休みはいつもここにいた。真っ青な空を見上げるか、拳銃の手入れをする。銃刀法ナニソレおいしい?
細く滑らかな指でドライバを回し、丁寧にネジを外していく。パーツをひとつひとつ分解して、継ぎ目に油をさしてはめ込む。弾をチェックして、フル装填。がちゃ、と安全装置を外して、真っ直ぐに構える。視線の先には、屋上に繋がる唯一の扉。それが勢いよく開いた。
「だ・あ・り・ん! メール見たあ~…わっちょっと狙わないでっ」
「見た。消した。それからお前のアドレス着拒にした」
「ひどい! せっかくカワイくデコメったのにー!」
「見た。消した。それからお前のアドレス着拒にした」
「ひどい! せっかくカワイくデコメったのにー!」
明らかに違う制服を着た男。彼は親学生ではない。隣町くらいの距離にある廃墟学院の生徒会長・美杉 鉄。なんでも廃学⇔親学の往復のためだけに原付免許を取得したらしい。
「じゃ~ん! おべんと作ってきちゃったぁ♪」
「知ってた。お前の弁当のために俺は朝飯抜いた」
「えっそんなに俺のおべんとたのしみだったの俺カンゲk「違う。量多すぎる。残したら勿体ないだろうが」
「知ってた。お前の弁当のために俺は朝飯抜いた」
「えっそんなに俺のおべんとたのしみだったの俺カンゲk「違う。量多すぎる。残したら勿体ないだろうが」
きゅんきゅんしている鉄を横目に、空は銃の安全装置を戻した。動作確認完了。鉄はその様子をじっと見つめる。
「だありん…カッコいい…」
「お前にコルトの魅力なんか喋ってもわからんだろうな」
「…ごみん、わからんにゃ」
「お前にコルトの魅力なんか喋ってもわからんだろうな」
「…ごみん、わからんにゃ」
眉毛を八の字に垂らした鉄を見て、空は微かに微笑んだ。黙ってりゃあイケメンで、美人で。ひょっとして誰かこの男を待ち侘びている人がいるんじゃないのかとか、考えてしまう。
(俺が呼んだわけでも、弁当頼んだわけでもないがな)
嫉妬している誰かに言い訳。譲れと言われたらこの席くらい譲ってやる。基本的に孤独大好きなのだ。
「だありんあーん」
「自分で食えr…むぐっ」
「自分で食えr…むぐっ」
いつの間にか弁当箱を広げていた鉄は、箸先の卵焼きを空に押し付けてくる。半ば強引に口に押し込まれた黄色で甘い半熟卵。別に甘いものは嫌いじゃない、ただ甘すぎる。空は微妙な表情のまま卵焼きを咀嚼した。
「おいしいね~」
どこがだこの野郎押し付け弁当するくらいなら好みくらい把握しとけ俺は完熟のが好きだ!
全部視線にこめたけれど、鉄はにこにこ笑っているだけだ。恐らくいままでそうだったように、明日も明後日も卵焼きは甘い半熟だろう。じゃあなんで文句言わないかって、明日を期待しているように見えるほうが嫌だからだ。
全部視線にこめたけれど、鉄はにこにこ笑っているだけだ。恐らくいままでそうだったように、明日も明後日も卵焼きは甘い半熟だろう。じゃあなんで文句言わないかって、明日を期待しているように見えるほうが嫌だからだ。
「………はあ」
「どちたのだありん、から揚げもあるよっ」
「…ああ」
「どちたのだありん、から揚げもあるよっ」
「…ああ」
まったく何がしたいのか。恋人恋人したいなら手を繋ぐとかキスするとか、もっといろいろやり方はあるだろうに…。弁当持ってきて二人で食べるだけ、って。空は頭を掻いた。その先を期待しているわけじゃない。でも、空とて年頃の男子なのだ。そして鉄は、男に見えない美人。
「だありん、頬っぺたついてる」
白い指先でそっと、撫でられて、
「…~~~~!!!」
「ちょっと、だありんどこいくのううう!?」
「ちょっと、だありんどこいくのううう!?」
ツンデレも、楽な仕事じゃない。