メンテナンスタイム
まぁ要するに、ほっとけないのである。
なんでこんなことになっちゃったかなぁ、という静葉の問いには大抵この答えが返ってきた。頭の中から。
例えば憧れの先輩が幾度かの自殺未遂の末に入院してしまっても、例えば幼馴染が暴力沙汰の末に強制退学をくらってしまっても、例えば後輩女子に恋敵と認識され会う度悪態をつかれても。
アンタそろそろ人間嫌にならないのか、なんて友達にも言われてしまうが。
要するにほっとけないのである。
どこか安定していない人間がほっとけなくて、つい余計な世話を焼き続けた結果がこれだ。討伐学園生徒会長の机、そこには画用紙でできた自分のネームプレートと山積みの書類があった。あーあー。
役員の犀川は軽やかにアフターファイブ。最近は親学の彼氏さんを迎えに行くのが日課なようだ。これで少しは腰を落ち着けてくれれば、だってとっかえひっかえなんてトラブルも絶えないしお互いのためにも…いけない、またなんか考えこんでた。
そういう訳で今、生徒会室には静葉しかいない。ぽかっと虚ろなような、どこかほっとするような、不思議な気持ちだった。
誰もいないと、何も考えなくていいなぁ。
裏を返すと、誰かのことしか考えれていないということはわかってた。自分のことなんて考えるほどのことはないし。
だって私より、皆の方が大変だものね。
とんとん、終わった書類をまとめてぱちん。ホッチキスの音は反響すらしなかった。午後5時半なんて所詮その程度の静寂だった。
すると。
「あんのくそじじぃ今に見てなさいよーー!!!」
どかぁんっ、と扉が蹴り飛ばされて開いた。回し蹴りなので引き戸がきちんと壊れず開く。びっくりした静葉と学園長・観月の目が合った。
「あら御空木さん、まだ残ってたのね。」
「…せ、先生。ドアが壊れます…。」
「この程度で壊れるようじゃだめよ!憎き新学と戦う私達の砦なんだから!」
意味がわかりません。
やれやれと溜息をつきながら静葉は書類に戻った。
「…随分な量の書類ねぇ。」
呟いた観月に静葉はびくっとした。まずい、心配させちゃったかな。私は全然平気なのに。
しかし観月はまぁいいわと言うと、机の前に回り込んで静葉へにっこり笑った。
「お疲れの会長にグッドニュースよ。」
ぱしん、といい音で机に一枚紙を置いた。静葉はぼんやりそちらを見て目を瞠る。
なんとそれは六条樹の退院診断書の写し。日付は本日付けだ。
「残念ながら親学に復学しちゃうけどね!本当に残念だわ、うちの方がぜったい過ごしやすいのに。」
「あ、あの先生。」
「なぁに?」
「私、こんなこと先生に一言も…。」
観月は悪戯に成功した子どもみたいににぃやり笑った。
「…沖屋焔は転校先で暴力無し、常盤桃は六条の復学で素行安定、だそうよ。」
「!」
「ふふ、大人を甘く見るものじゃないわ。だから子どもは無理に大人にならなくてよろしい。」
ふにっ、と形のいい指が静葉の頬をつっついた。それじゃあね、とひらひら手を振って観月は生徒会室を去る。
…あ、書類手伝ってはくれないんだ。静葉はちょっとがっかりした。でも。
なんでこんなことになっちゃったかなぁ、という静葉の問いには大抵この答えが返ってきた。頭の中から。
例えば憧れの先輩が幾度かの自殺未遂の末に入院してしまっても、例えば幼馴染が暴力沙汰の末に強制退学をくらってしまっても、例えば後輩女子に恋敵と認識され会う度悪態をつかれても。
アンタそろそろ人間嫌にならないのか、なんて友達にも言われてしまうが。
要するにほっとけないのである。
どこか安定していない人間がほっとけなくて、つい余計な世話を焼き続けた結果がこれだ。討伐学園生徒会長の机、そこには画用紙でできた自分のネームプレートと山積みの書類があった。あーあー。
役員の犀川は軽やかにアフターファイブ。最近は親学の彼氏さんを迎えに行くのが日課なようだ。これで少しは腰を落ち着けてくれれば、だってとっかえひっかえなんてトラブルも絶えないしお互いのためにも…いけない、またなんか考えこんでた。
そういう訳で今、生徒会室には静葉しかいない。ぽかっと虚ろなような、どこかほっとするような、不思議な気持ちだった。
誰もいないと、何も考えなくていいなぁ。
裏を返すと、誰かのことしか考えれていないということはわかってた。自分のことなんて考えるほどのことはないし。
だって私より、皆の方が大変だものね。
とんとん、終わった書類をまとめてぱちん。ホッチキスの音は反響すらしなかった。午後5時半なんて所詮その程度の静寂だった。
すると。
「あんのくそじじぃ今に見てなさいよーー!!!」
どかぁんっ、と扉が蹴り飛ばされて開いた。回し蹴りなので引き戸がきちんと壊れず開く。びっくりした静葉と学園長・観月の目が合った。
「あら御空木さん、まだ残ってたのね。」
「…せ、先生。ドアが壊れます…。」
「この程度で壊れるようじゃだめよ!憎き新学と戦う私達の砦なんだから!」
意味がわかりません。
やれやれと溜息をつきながら静葉は書類に戻った。
「…随分な量の書類ねぇ。」
呟いた観月に静葉はびくっとした。まずい、心配させちゃったかな。私は全然平気なのに。
しかし観月はまぁいいわと言うと、机の前に回り込んで静葉へにっこり笑った。
「お疲れの会長にグッドニュースよ。」
ぱしん、といい音で机に一枚紙を置いた。静葉はぼんやりそちらを見て目を瞠る。
なんとそれは六条樹の退院診断書の写し。日付は本日付けだ。
「残念ながら親学に復学しちゃうけどね!本当に残念だわ、うちの方がぜったい過ごしやすいのに。」
「あ、あの先生。」
「なぁに?」
「私、こんなこと先生に一言も…。」
観月は悪戯に成功した子どもみたいににぃやり笑った。
「…沖屋焔は転校先で暴力無し、常盤桃は六条の復学で素行安定、だそうよ。」
「!」
「ふふ、大人を甘く見るものじゃないわ。だから子どもは無理に大人にならなくてよろしい。」
ふにっ、と形のいい指が静葉の頬をつっついた。それじゃあね、とひらひら手を振って観月は生徒会室を去る。
…あ、書類手伝ってはくれないんだ。静葉はちょっとがっかりした。でも。
言わずとも伝わるなんて、贅沢な絵空事だと思ってたのになぁ。
少し嬉しいやら少し情けないやら。でもやっぱり嬉しかったのかもしれない。静葉は久々に肺の空気を吐き出した。
少し嬉しいやら少し情けないやら。でもやっぱり嬉しかったのかもしれない。静葉は久々に肺の空気を吐き出した。