わらってわらって!
三角関係の方がいっそ楽なのかもしれないね。紅は最後のミートボールを口に運びながら、そう考えた。目の前で繰り広げられた弁当ぶちまけの回収も終わり、昼休憩ももうすぐ終わる。そんな頃。
うちの生徒会長はどうにも人間を惹き付ける魅力があるらしい。この教室の中だけでも被害者は少なくとも二人。弁当をぶちまけた張本人と、それに、自分。
でも本人が愛してやまないのは、二人のうちどちらでもない。生徒会長である美杉が口を開けば、8割の確率でそれは親学のダーリンののろけばなし。飽きないのかと思うくらい、ダーリンののろけばなしを延々とするのだ。その度に被害者2号の冥は内心が分かりやすい微笑を浮かべ、自分は、やっぱり鉄は綺麗だなぁとか思いながら受け流す。(実際話は半分も聞いてませんゴメンナサイ。)
しかし、いい加減話を聞くだけなのにもうんざりしてきた訳で。別に鉄のことが嫌いなんじゃない。要するに、だぁりんに対する嫉妬。無口だからって何も考えてない訳じゃないんです。
でも本人が愛してやまないのは、二人のうちどちらでもない。生徒会長である美杉が口を開けば、8割の確率でそれは親学のダーリンののろけばなし。飽きないのかと思うくらい、ダーリンののろけばなしを延々とするのだ。その度に被害者2号の冥は内心が分かりやすい微笑を浮かべ、自分は、やっぱり鉄は綺麗だなぁとか思いながら受け流す。(実際話は半分も聞いてませんゴメンナサイ。)
しかし、いい加減話を聞くだけなのにもうんざりしてきた訳で。別に鉄のことが嫌いなんじゃない。要するに、だぁりんに対する嫉妬。無口だからって何も考えてない訳じゃないんです。
そんなことを考えているうちに昼休憩がついに終わってしまい、授業になってもどこかぼんやりした心持ちで話を聞いていた。放課後の生徒会公務でもほとんど会話はせずに、鉄を眺めたり何となく風にもたれ掛かってみたり。(そしたら風に頭叩かれた。痛かった)。
そして帰宅時間。
僕は、携帯電話を手にとった。
僕は、携帯電話を手にとった。
◆
次の日のお昼。
紅が弁当箱を持って入った部屋にはいつも通り冥と風、それに何故か、鏡と龍一がいる。少しだけ怖いからちょっと遠回りをして、紅は冥の隣に座る。
「…鉄、もう行っちゃった?」
「いいえ、まだ来てませんよ」
紅が弁当箱を持って入った部屋にはいつも通り冥と風、それに何故か、鏡と龍一がいる。少しだけ怖いからちょっと遠回りをして、紅は冥の隣に座る。
「…鉄、もう行っちゃった?」
「いいえ、まだ来てませんよ」
鉄はいつも、一度この教室に来てから親学に行く。何となくおあずけを食らっているような感覚になるのは気のせいじゃない、はず。しばらく待っていると勢いよくドアが開いた。楽しそうな笑顔を浮かべた鉄が部屋に飛び込んでくる。
「相変わらず元気ですね、鉄」
「ちょうげんきよ!冥も紅も風も相変わらず可愛いなーよしよししたげる!」
「ちょうげんきよ!冥も紅も風も相変わらず可愛いなーよしよししたげる!」
弁当を持ったまま冥にぎゅうと後ろから抱きつく。くすぐったそうに笑う冥は、本当に幸せそうだ。続いて隣にいる紅にも抱きつき、黒い髪に指を絡ませる。
やがて紅は小さくあ、と声をあげ、そしてちょっとためらってから、鉄の顔を見上げた。
やがて紅は小さくあ、と声をあげ、そしてちょっとためらってから、鉄の顔を見上げた。
「……鉄」
「なぁに紅たん」
「…今日、一緒に親学行っても、いい?」
「なぁに紅たん」
「…今日、一緒に親学行っても、いい?」
硬直したのは冥。でもそんなことなど気づくはずもない鉄は、首をかしげた。
「ん?いいけど、あんまり楽しくないかもよ?」
「そうじゃないの、僕も、今日親学の人と約束してるから…一緒に行って、帰るだけでいいから」
「…もしかしてこの前の園端さん、ですか?」
「そうじゃないの、僕も、今日親学の人と約束してるから…一緒に行って、帰るだけでいいから」
「…もしかしてこの前の園端さん、ですか?」
冥の口調がぎこちない。紅は控えめに頷いて、冥の方は見ずに答える。
「…ごめんなさいしたら、今日、おかず持ってきてあげるって言われた…から。でも、親学は怖くて、あんまり行ったこと無いから……鉄と一緒に、行きたくて」
「ふんふん、なるほどなるほど。じゃあ一緒に行こっか!迷子なったら大変だし」
「えっあの、紅「…うん、一緒に」
「ふんふん、なるほどなるほど。じゃあ一緒に行こっか!迷子なったら大変だし」
「えっあの、紅「…うん、一緒に」
冥の言葉を遮るようにして立ち上がった。笑顔を浮かべる鉄。彼の指を握りしめて僅かに微笑む紅。お花がふわふわ飛び交うような桃色の空気。
去り際、開いたドアを通り過ぎる直前。紅はくるりと振り返り、未だあっけに取られる冥の名前を呼んだ。鉄に向けるそれとは明らかに類いの違う笑みを、浮かべながら、
去り際、開いたドアを通り過ぎる直前。紅はくるりと振り返り、未だあっけに取られる冥の名前を呼んだ。鉄に向けるそれとは明らかに類いの違う笑みを、浮かべながら、
「いってきます」
。
紅がぱたんとドアを閉じると、生徒会室からまた僅かに騒がしい声と音が聞こえた。紅はでも、気にしない。
紅がぱたんとドアを閉じると、生徒会室からまた僅かに騒がしい声と音が聞こえた。紅はでも、気にしない。
…鉄の一番になれないのは、世界が引っくり返ったって変わらないこと。
だったらせめて、二番目くらいになりたい。それとも、鉄にとって二番も三番も十番も同じなのかな。でも少なくとも、あの人には、手は出させない。
ダーリン以外のひとに、好きになんか、させてやらない。
だったらせめて、二番目くらいになりたい。それとも、鉄にとって二番も三番も十番も同じなのかな。でも少なくとも、あの人には、手は出させない。
ダーリン以外のひとに、好きになんか、させてやらない。