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ツインズ・ブレイズ

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二対の諸刃







「っは…ア……」

ずる、ずる。体ごと引きずるようにして、荒い息のまま、翼は歩いていた。
背中の羽は無残にへし折れ、片方はぶらんと垂れ下がって落ちそうになっている。満身創痍のまま、ずるずるとひたすらに歩き続けた。腕に抱いた飴の体は軽い。それがまた、厭な感情を呼び起こす。


「飴…、どうしちまったんだ…。」


翼が生きている以上、飴は死んではいない。
それだというのに飴は息ひとつ、脈動ひとつせずに、ただぐったりと横たわっていた。
あのときからずっとそうだ。空を堕ちた。何度も何度も。それだのに死ぬことはなくて、きっとそれは二人の拍動がずれてしまったからなのだろうと、最後には人の手も借りた。結局死ぬことは無かった。事実、翼は血だまりの中ですぐに起き上がった。

けれど、飴が、目を覚まさない。


「飴、駄目だ…俺たち、一緒に死なねーと…!」


ずる。また脚を踏み出す。どこへ向かうでもない、ひたすら、前を目指す。



ずるり。




ふと顔を上げると、景色は一変していた。

何もかもが純白に包まれた世界の中に、真っ黒い影のような塊が浮かんでいる。それはぐるぐると形を変えて、動き回っていた。何物ともつかないめちゃくちゃな肉団子。牙と思えば爪になり、腕と思えば脚になる。有象か無象か人か獣か、それすらもわからない。あっけにとられて見ていると、ずんと上に伸び上がったそれは、奇怪な音を立てはじめる。それが鳴き声だと理解するのに時間を要した。絶叫、絶唱。意味を成さない音の洪水。


びゅんッ!

翼の頬をかすめて、漆黒の鞭がしなる。一瞬のことで反応すらできなかった。ただその行く先を見届けるよう、弾かれたように振り返る。そこには、人が一人、立っていた。逃げろ、と叫ぶ前に、鞭は容易くその人影に到達する。ごしゃり、と厭な音がした。



鞭が、真っ二つに裂けていた。


「早く帰れ。ここへ来てはいけない。」

言うが早いか、怪物の鞭を切り裂いた剣を構え、人影は怪物へ突進していく。怪物は怯まずに大質量の炎を吐き出した。しかしその時には、高く飛んだ彼は炎を避けて、怪物に剣を突き立てている。ほんの少し衣装のはしが焦げたが、そんなことは意にも介さない様子でそのまま剣を引きずった。大きく切り裂かれた怪物は咆えたが、すぐに裂かれた部分が繋がっていく。今度は爪のような切っ先を持った鞭が、彼を弾き飛ばした。空中に投げ出された彼を、鞭が捕える。――飲み込もうとしている。翼は直感した。しかし、どうやったのか、鞭が途中で千切れた。解放された彼は翼の目の前へ降り立った。そして知る。彼が手にしていたのは、剣などではなかったことを。



それは、鉄錆に汚れた、スコップだった。


「何をもたもたしてる、すぐに引き返せ。わたしが居る間は、奴もお前たちを飲めない。」
「…あんた、えっと…、冬…だろ。何を…、」
「わたしは冬じゃない。」

飛び掛る鞭を、凶器の一振りで薙ぎ払う。

「わたしは、彼が見ていた夢の残骸にすぎない。お前たちはそうなってはいけないんだ。」
「でも…こいつは…ここは何だ? あんたはここで何してる? 帰るってどこにだよ?」
「質問が多い。とにかく元来たほうへ走れ。」

がぎんッ。スコップの柄で攻撃を受け止める。ぎちぎちと鎬を削りあう"冬"と怪物。しかし怪物の腕はひとつではない。無数の鞭が、他方から"冬"めがけて飛び掛る。今度こそ逃れられない。"冬"の姿は完全に黒に溶けてしまった。翼はただ呆然とその一連の流れを見ていた。走れ。"冬"の警告が頭に響く。でも、足が竦んでしまって、動けない。


怪物が、翼を"見た"。

目も無い口もない。けれどもそれは、確実に翼を見て、笑っている。ゆっくりと、脅えきった翼に触手を伸ばす。
それが翼に届きかけた刹那、怪物は真っ二つに裂けた。中から"冬"が飛び出してくる。絶叫する怪物に背を向け、翼を怒鳴りつける。

「早く行けと言っているんだ!」
「あ…でも…飴が…」
「ああ?」
「飴が目を覚まさない!!」

"冬"はぎっ、と唇を噛んだ。

「飲まれたか、あるいは、"あちら"に付いたのか…。いずれにせよ、もう駄目だ。」
「意味わかんねぇ! わかるように説明してくれ!」
「お前の理解なんかどうでもいい。お前は"どうする"。」


びゅっ、と、左手にスコップを振り上げる。襲い掛かった鞭がぶつかり、真っ二つに割れて、"冬"の前と後ろに落ちた。


「使徒を気取るか、革命に酔うか。」



「選べ、"翼"。見ない振りなど、神は赦さない。」









気が付けば、もとの赤い世界へ走り抜けていた。腕に抱いていたはずの飴は居ない。かわりに、目の前に立っていた。翼を見ると、小さく笑う。少し、不気味な色で。


「翼。もう俺、疲れちまった。」


――『でも俺たちもう疲れちゃったんだ』。冬に呼びかけた飴の姿が再生される。飴は、腐蝕した腕を持ち上げて、翼を呼んだ。千切れた包帯が絡みついた、無残な姿で。


「だから俺、カミサマにお願いした。『もう死なせてください』って。したら。」


無数の包帯が、真っ直ぐに翼に飛び掛る。ぎっちりと絡み付いて、翼の動きを封じ込む。いつのまにか眼前に迫った腕が振りかぶられ、渾身の"アームハンマー"が炸裂する。効果は今ひとつ、のはずなのに。包帯が引き千切れるほど弾き飛ばされた翼は、血反吐を吐いて倒れこむ。


「翼を殺せって言われた。だから悪いけど、俺、お前殺すわ。」
「おい…ふ…ッざけんなよ…。」
「マジだよ俺。二人で死のうって言ったの、まっきだし。」


ゆらりと立ち上がった翼に、余裕そうな笑みを見せる。翼は構えた"ドラゴンクロー"で、絡みついた包帯を断ち切る。そして、そのまま飴に突進した。"ドラゴンテール"で飴を弾き飛ばし、翼は大きく羽を広げる。

「それがお前の答えか、飴。」


――『使徒を気取るか、革命に酔うか。』


「じゃあ俺が、直々にお前をブチ殺してやる。それまで精々、カミサマのお茶汲みしてろ。」

ばさっ。飛び立った翼の姿は、すぐに世界に飲み込まれた。
飴は暫くその空の向こうを眺めていたが、にやりと笑って、やがて姿を消した。




Final飴

遅咲きの親衛隊加入。翼たんをブッ殺し隊。
翼たんをブッ殺せたらなんでもいい。翼たんをブッ殺せるなら足だって舐めます。
包帯を使った攻撃ができるように。緊縛プレイが得意。
ちなみに包帯に絡めとられてあれこれされると魂もってかれて影にされます。

Final翼

今更ながら革命軍加入。飴たんをブッ殺し隊。
飴たんをブッ殺せたらなんでもいい。飴たんをブッ殺せるなら触手プレイも厭わない。
基本スペックは変わらず。でも技のレンジが広いうえ空中戦も可能。
革命軍の光明になるだろうか。飴たん次第である。




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