The Worst Carnival
地を這うそのスピードはいつになく速い。
その背にしがみつく紅は、振り落とされないようにするのがやっとだった。
「咬りゅ…!速い、速いよっ…!」
しかし咬竜はまったくスピードを緩めない。普段なら少しくらいは落としてくれるのだが。
咬竜は自ら紅を背に乗せた。そして猛スピードでどこかへ向かっている。どこへ、向かっている?
『……知らないよね、腕のない<ヨノワール>なんて』
以前自分が言ったことを思い出す。
「咬竜、もしかして…。」
紅は咬竜が見据え突き進む先を、見つめた。
その背にしがみつく紅は、振り落とされないようにするのがやっとだった。
「咬りゅ…!速い、速いよっ…!」
しかし咬竜はまったくスピードを緩めない。普段なら少しくらいは落としてくれるのだが。
咬竜は自ら紅を背に乗せた。そして猛スピードでどこかへ向かっている。どこへ、向かっている?
『……知らないよね、腕のない<ヨノワール>なんて』
以前自分が言ったことを思い出す。
「咬竜、もしかして…。」
紅は咬竜が見据え突き進む先を、見つめた。
いるの?この、先に。
++
がきんッ!ヤミラミ達が硬質な音に弾かれる。
直前で目を覚ました陸が、左腕で静葉を庇ったからだ。
「陸…!大丈夫なの!?」
「…へいきや…それより…。」
あらかたのヤミラミは弾けたが、1匹だけ、深くその左腕を貫いた者がいた。
「……うそや、ろ。」
宝石の目と鋭い爪は、海のような蒼色。
「…お前…!」
直前で目を覚ました陸が、左腕で静葉を庇ったからだ。
「陸…!大丈夫なの!?」
「…へいきや…それより…。」
あらかたのヤミラミは弾けたが、1匹だけ、深くその左腕を貫いた者がいた。
「……うそや、ろ。」
宝石の目と鋭い爪は、海のような蒼色。
「…お前…!」
「嘘でも真でもいいじゃありませんか。所詮夢ですもの。」
冥は哂う。哂う。
「"みず"タイプからの一撃は、効くでしょう?」
冥は哂う。哂う。
「"みず"タイプからの一撃は、効くでしょう?」
冥は無駄に動く必要などない。ついっと、指揮するように義手を動かすだけでよかった。
大きく隙のできた静葉の背後から、橙の光を纏うヤミラミが飛びかかる。
ぐしゃっ。
しかしそれは直前で、紅に化けたアノニマスの爪に刺し潰された。
「アノニマス!」
「…フーン。ツマンなぁイ。こんナんジャ全然ダーメ。」
そのままざりざりざりっと地を引きずり、大きく振り被る。
「モットモットモットモット甘クなくっちャア…。」
ぶんっと冥へ『なげつける』。冥は『サイコキネシス』で難なく弾いたが、床に転がったヤミラミは尚煌々と光っていた。炎のように。
「…ネェ、ヒカト?」
大きく隙のできた静葉の背後から、橙の光を纏うヤミラミが飛びかかる。
ぐしゃっ。
しかしそれは直前で、紅に化けたアノニマスの爪に刺し潰された。
「アノニマス!」
「…フーン。ツマンなぁイ。こんナんジャ全然ダーメ。」
そのままざりざりざりっと地を引きずり、大きく振り被る。
「モットモットモットモット甘クなくっちャア…。」
ぶんっと冥へ『なげつける』。冥は『サイコキネシス』で難なく弾いたが、床に転がったヤミラミは尚煌々と光っていた。炎のように。
「…ネェ、ヒカト?」
その一言が、静葉の全身を総毛立たせる。
「……ッ」
「けたたっ、言ったデショーシズハ。ちゃあんとミなきゃダメ。」
見たくナイモノを、ネ?
それは逃げ道を断つに十分な一言だった。視て、認めるしかなかった。
そこに宿っているのは消えてしまったはずの、私の大切な、パートナー。
「デキソコナイだけドねェ、コレは。ソウでしョオ?冥。」
冥、と呼ばれたことに一瞬眉をひそめたが、冥はすぐに笑みを広げてみせた。
「ええ、そうですよ。私を護るこのヤミラミ達は、消えた者達の"影"をほんの少し拝借できるだけ。…でも十分でしょう?」
静葉は耳を塞ぎたい衝動に、駆られる。
「貴女達が夢を壊せば壊す程、殺される者達がいて。」
冥はますます口元を、歪めていく。
「彼らの魂はこうして私達や<ダークライ>の玩具にされる…そう理解するには十分でしょう?」
さっと冥が手をかざすと、ヤミラミ達の光が強くなる。
むくりと起き上がったヤミラミ達が静葉達を取り囲んだ。静葉達は3人。ヤミラミ達は、6匹。
「けたたっ、言ったデショーシズハ。ちゃあんとミなきゃダメ。」
見たくナイモノを、ネ?
それは逃げ道を断つに十分な一言だった。視て、認めるしかなかった。
そこに宿っているのは消えてしまったはずの、私の大切な、パートナー。
「デキソコナイだけドねェ、コレは。ソウでしョオ?冥。」
冥、と呼ばれたことに一瞬眉をひそめたが、冥はすぐに笑みを広げてみせた。
「ええ、そうですよ。私を護るこのヤミラミ達は、消えた者達の"影"をほんの少し拝借できるだけ。…でも十分でしょう?」
静葉は耳を塞ぎたい衝動に、駆られる。
「貴女達が夢を壊せば壊す程、殺される者達がいて。」
冥はますます口元を、歪めていく。
「彼らの魂はこうして私達や<ダークライ>の玩具にされる…そう理解するには十分でしょう?」
さっと冥が手をかざすと、ヤミラミ達の光が強くなる。
むくりと起き上がったヤミラミ達が静葉達を取り囲んだ。静葉達は3人。ヤミラミ達は、6匹。
「…愚かしいことを言いますね。」
そこに聞き慣れない声が飛びこんだ。
その瞬間、ヤミラミ達がぐらっとよろめく。静葉達は何も感じないが、ヤミラミ達はどうやら重圧に必死に耐えているようだった。これは、『じゅうりょく』?
静葉達の傍らにたんっと飛びおりたのは、一人のヨノワールだった。冥を見据えてはっきりと物申す。
「ここは夢の世界。生も死もそう見えるだけのまやかしです。夢を壊せば死ぬですって?馬鹿馬鹿しい。目覚めれば全てがあるべき形に戻る、それだけのことでしょう?」
長いグレーのロングコートがふわりとなびいた。黄色の眼帯に隠された右目の代わりに、左の赤い目は冥の妄言を斬り捨てる。
見たことのないヨノワールだ。だが冥は忌々しそうに目を細める。
「…暁<アカツキ>、ですね?お目にかかるのは初めてですが、情報は得ていますよ。」
「そうですか、ならば話は早い。私を相手にして勝てる戦などありませんよ。とっとと引きなさい。」
「はったりがお上手ですね。一人増えたからなんだというのです?」
ふん、と暁は鼻で笑った。
その瞬間、ヤミラミ達がぐらっとよろめく。静葉達は何も感じないが、ヤミラミ達はどうやら重圧に必死に耐えているようだった。これは、『じゅうりょく』?
静葉達の傍らにたんっと飛びおりたのは、一人のヨノワールだった。冥を見据えてはっきりと物申す。
「ここは夢の世界。生も死もそう見えるだけのまやかしです。夢を壊せば死ぬですって?馬鹿馬鹿しい。目覚めれば全てがあるべき形に戻る、それだけのことでしょう?」
長いグレーのロングコートがふわりとなびいた。黄色の眼帯に隠された右目の代わりに、左の赤い目は冥の妄言を斬り捨てる。
見たことのないヨノワールだ。だが冥は忌々しそうに目を細める。
「…暁<アカツキ>、ですね?お目にかかるのは初めてですが、情報は得ていますよ。」
「そうですか、ならば話は早い。私を相手にして勝てる戦などありませんよ。とっとと引きなさい。」
「はったりがお上手ですね。一人増えたからなんだというのです?」
ふん、と暁は鼻で笑った。
「残念ながら増員は一人じゃないんですよね。」
ヤミラミの半数が『リーフブレード』で切り裂かれ、半数が『あやしいかぜ』に呑み込まれた。
ヤミラミの半数が『リーフブレード』で切り裂かれ、半数が『あやしいかぜ』に呑み込まれた。
「やれやれ、追いつくのが遅すぎますよ貴方達。」
「あんないきなり飛んでいかれて追いつけるか!探したんだぞ!」
「…我を手駒扱いとは貴様本当にいい神経してるナ。」
後から現れたのは一瞬樹と見まごったジュプトルと、短い紅髪のミカルゲ。これでちょうど6人だ。
暁は背後をさっと振り返った。
「静葉!」
「え!?…わ、私?」
「そうです貴女以外に誰がいるんです?貴女の事は大体調べがついています。我々と目的は同じでしょう?くたばってもらっちゃ困るんですよ。」
その目を見てようやく静葉は、彼の真意を理解する。
弱気を恥じるようにぐっと頷くと、両手に『みずのはどう』を構えた。陸とアノニマスもそれぞれ爪を構える。
それを見た暁はにっと笑った。
「あんないきなり飛んでいかれて追いつけるか!探したんだぞ!」
「…我を手駒扱いとは貴様本当にいい神経してるナ。」
後から現れたのは一瞬樹と見まごったジュプトルと、短い紅髪のミカルゲ。これでちょうど6人だ。
暁は背後をさっと振り返った。
「静葉!」
「え!?…わ、私?」
「そうです貴女以外に誰がいるんです?貴女の事は大体調べがついています。我々と目的は同じでしょう?くたばってもらっちゃ困るんですよ。」
その目を見てようやく静葉は、彼の真意を理解する。
弱気を恥じるようにぐっと頷くと、両手に『みずのはどう』を構えた。陸とアノニマスもそれぞれ爪を構える。
それを見た暁はにっと笑った。
「それでいい。…さァてゾンビ野郎、命乞いの準備はいいですか?」
ぱんっと拳を打ち鳴らして、暁達は冥へと対峙した。
ぱんっと拳を打ち鳴らして、暁達は冥へと対峙した。
【鏡音リン】 最悪のカーニバル 【オリジナル】 / ライブP