Rebelion
ぱぁん。ひとつの殴打音が響き、尾を引いて消えていく。
良い音が響き渡ったのは、冬が拳を掌で受け止めたからだ。
踏ん張った足も衝撃を受けて地面を滑る。けど、受け止めきっていた。
静葉が驚く様子はなかった。きっと冬を見据えるだけ。
その視線を受け止め、にやりと笑んだ冬は高笑った。
踏ん張った足も衝撃を受けて地面を滑る。けど、受け止めきっていた。
静葉が驚く様子はなかった。きっと冬を見据えるだけ。
その視線を受け止め、にやりと笑んだ冬は高笑った。
「――グハハハハハッ!!!いい拳だな、でも足りないぞ。」
「…そうみたいですね。」
「…そうみたいですね。」
くすっ。自分でも無意識に、静葉が微笑んだ。
それを見てますますにかりと笑う冬。それはそれは、楽しそうな笑みだった。
「要らん悩みはふっきれたみたいだな。いい戦いっぷりだよ静葉。うちのジムに挑んで欲しいぐらいだ。」
「じむ…ですか?」
「…そうか、知らんならいい。」
ジムを知らないということは野生のポケモンか、もしくは自分の知らない世界から来たのだろう。いずれにせよ、夢が醒めれば二度と会うことはなさそうだ。
それならそれでいい。今は此処にいる。冬はひどく高揚していた。
こんなに純粋に楽しく手を合わせるのは、いつぶりだろうか。
ひゅんひゅんっと冬はスコップを回すと、両手で静葉へと構えた。
「さぁ、まだまだ動けるんだろう?かかって来い!」
に、と静葉も不敵に笑んだ。いつからか忘れていた、依頼へ取りかかる時のような笑み。
「――ええ、行きますっ!」
それを見てますますにかりと笑う冬。それはそれは、楽しそうな笑みだった。
「要らん悩みはふっきれたみたいだな。いい戦いっぷりだよ静葉。うちのジムに挑んで欲しいぐらいだ。」
「じむ…ですか?」
「…そうか、知らんならいい。」
ジムを知らないということは野生のポケモンか、もしくは自分の知らない世界から来たのだろう。いずれにせよ、夢が醒めれば二度と会うことはなさそうだ。
それならそれでいい。今は此処にいる。冬はひどく高揚していた。
こんなに純粋に楽しく手を合わせるのは、いつぶりだろうか。
ひゅんひゅんっと冬はスコップを回すと、両手で静葉へと構えた。
「さぁ、まだまだ動けるんだろう?かかって来い!」
に、と静葉も不敵に笑んだ。いつからか忘れていた、依頼へ取りかかる時のような笑み。
「――ええ、行きますっ!」
その時。
「ッがあああああああああああ!!!!」
岩の向こうから叫び声が響いた。
叫び声は次々と上がる。どれも違う人間の物だ。さっきまでとは別種の、騒然とした空気が岩壁から伝わってきた。
異常事態の、空気。
叫び声は次々と上がる。どれも違う人間の物だ。さっきまでとは別種の、騒然とした空気が岩壁から伝わってきた。
異常事態の、空気。
たぁんっ。何かが岩壁を飛び越えてきた。
血染めの刀を携えたその人影に、静葉も冬も目を瞠った。
血染めの刀を携えたその人影に、静葉も冬も目を瞠った。
「―――樹君ッ!?」
着地するや否や、樹は二人へと斬りかかってくる。
懐に飛び込まれた冬は、動揺していたのか反応が遅れた。刃が、閃く。
「ッが…!!」
「冬さんッ!!」
樹の動きは止まらない。崩れる冬を一瞥すらせず、舞うように静葉へと斬りかかった。
間一髪で避けた静葉は、すれ違う時に気がついた。
樹の口元に浮かぶ、三日月のような笑みに。
「…ッ違う、君は…!」
懐に飛び込まれた冬は、動揺していたのか反応が遅れた。刃が、閃く。
「ッが…!!」
「冬さんッ!!」
樹の動きは止まらない。崩れる冬を一瞥すらせず、舞うように静葉へと斬りかかった。
間一髪で避けた静葉は、すれ違う時に気がついた。
樹の口元に浮かぶ、三日月のような笑みに。
「…ッ違う、君は…!」
びたり。樹が止まった。静葉達に背を向けて。
その姿には奇妙な圧力があり、静葉も、腹の傷を押さえる冬も目を離せない。
「…けた、」
"彼"は、
笑った。
その姿には奇妙な圧力があり、静葉も、腹の傷を押さえる冬も目を離せない。
「…けた、」
"彼"は、
笑った。
「けたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたたッッッ!!!!!!!!」
姿は変わらない。だが染みが広がるように、色が変貌していった。
たなびくポニーテールは茶緑から赤色に。
剣の柄も紅葉するように赤へ。
巻いているスカーフは薄い茶色へと変わり。
着ている黄緑色の衣服は、青みがかった緑へと変わった。
たなびくポニーテールは茶緑から赤色に。
剣の柄も紅葉するように赤へ。
巻いているスカーフは薄い茶色へと変わり。
着ている黄緑色の衣服は、青みがかった緑へと変わった。
振り向いてらんらんと光る、金の瞳だけ共通した。
色違いの樹が、そこにはいた。
色違いの樹が、そこにはいた。
「…そうか、悪夢の"本質"までも写しとったか。写し身の子や。」
響き渡る笑い声に耳を浸しながら、ダークライは穏やかに笑む。
響き渡る笑い声に耳を浸しながら、ダークライは穏やかに笑む。
悪夢に擬態していたアノニマス。
姿や表面上の性質のみならず、本質にまで擬態した今、彼は"悪夢"そのものと成った。
悪夢が私のための食事を、"負の感情"を用意してくれるものであるならば。悪夢と成った彼も、その役目に従うだろう。
より多くの"負の感情"を、絞り取るべく動くだろう。
御覧。彼は酷くわかりやすく、狙う生贄を公言している。
姿や表面上の性質のみならず、本質にまで擬態した今、彼は"悪夢"そのものと成った。
悪夢が私のための食事を、"負の感情"を用意してくれるものであるならば。悪夢と成った彼も、その役目に従うだろう。
より多くの"負の感情"を、絞り取るべく動くだろう。
御覧。彼は酷くわかりやすく、狙う生贄を公言している。
…今のダークライに、悪夢を制御する力は無い。
望むとも望まざるとも、唯見守るだけ。楽しいのか物悲しいのか、どちらとも取れる笑みをダークライは浮かべた。
「…王子。やはり、君に与えられた時間はあまり無いようだよ。」
望むとも望まざるとも、唯見守るだけ。楽しいのか物悲しいのか、どちらとも取れる笑みをダークライは浮かべた。
「…王子。やはり、君に与えられた時間はあまり無いようだよ。」
滅茶苦茶に暴れるアノニマスの猛攻を、避けながらも静葉は向かっていった。
「アノ君…ッ!お願い、止まってアノ君…!!」
理由など知る由もない静葉は、一時的な暴走だと思っている。
とにかくその足を止めなければ。足を凍てつかせるために、静葉は気を集中させ『ふぶき』を構えた。
だが。樹の素早さを得たアノニマスは、瞬時に静葉の懐へ飛び込む。
目を瞠る静葉。その目に向かって、アノニマスの手が伸び。
「アノ君…ッ!お願い、止まってアノ君…!!」
理由など知る由もない静葉は、一時的な暴走だと思っている。
とにかくその足を止めなければ。足を凍てつかせるために、静葉は気を集中させ『ふぶき』を構えた。
だが。樹の素早さを得たアノニマスは、瞬時に静葉の懐へ飛び込む。
目を瞠る静葉。その目に向かって、アノニマスの手が伸び。
左の目を、抉り取った。
「―――――――――ッッッ!!!!!」
絶叫が迸った。びちゃ、びちゃびちゃびちゃッ。眼窩から噴き出して地を浸す赤い鮮血。
膝をつく静葉の前で、アノニマスは抉り取った眼球を楽しげに見る。そして口に放り込んだ。ぐちゃ、にち、にちゃ。生の臓器が噛み砕かれ咀嚼されるおぞましい音。
二人揃って願いを叶えなければ夢から出られない樹と静葉。願いの効果なのか、無意識にだが、お互いの位置がわかる二人。
静葉を喰らったアノニマスの脳裏に、樹の映像が映った。
絶叫が迸った。びちゃ、びちゃびちゃびちゃッ。眼窩から噴き出して地を浸す赤い鮮血。
膝をつく静葉の前で、アノニマスは抉り取った眼球を楽しげに見る。そして口に放り込んだ。ぐちゃ、にち、にちゃ。生の臓器が噛み砕かれ咀嚼されるおぞましい音。
二人揃って願いを叶えなければ夢から出られない樹と静葉。願いの効果なのか、無意識にだが、お互いの位置がわかる二人。
静葉を喰らったアノニマスの脳裏に、樹の映像が映った。
「……見ィつケタv」
呟いたアノニマスは踵を返し、駆けていく。それは幻が駆けていったのと同じ方向。
歯を食いしばった静葉が立ちあがる。追わなくては。がんがん痛む頭の奥で、本能が叫んだ。アノニマスを追わなくては、きっと大変な事になる。
冬は大丈夫だろうか。こんな時でも左目を押さえながら、冬の様子を伺う。
静葉の様子に冬は目を見開いたが、きっと見据えて顎でしゃくった。行け、と。
歯を食いしばった静葉が立ちあがる。追わなくては。がんがん痛む頭の奥で、本能が叫んだ。アノニマスを追わなくては、きっと大変な事になる。
冬は大丈夫だろうか。こんな時でも左目を押さえながら、冬の様子を伺う。
静葉の様子に冬は目を見開いたが、きっと見据えて顎でしゃくった。行け、と。
ふらつく身体も足も無理矢理動かして、静葉が駆けていく。
その背中を、冬が見送った。
その背中を、冬が見送った。
以降、アノニマスを誰も使役できなくなります。
主に樹の元で樹を精神的に追い詰めますが、
つけいる心の隙が大きい人はアノニマスに狙われるカモネ。
主に樹の元で樹を精神的に追い詰めますが、
つけいる心の隙が大きい人はアノニマスに狙われるカモネ。