ぐっどないと・まい_
ベッドの上にぺたんと座り込み、澪は外の景色を眺めていた。赤い空からちらちらと舞う雪は、白い。
澪がいる家の中は、今まで訪れた中では抜群に綺麗な家だ。豪華と言うほどではないが、生活に必要なだけの家具は完全な状態で残っている。いや、“残した”のだっけ。
澪がいる家の中は、今まで訪れた中では抜群に綺麗な家だ。豪華と言うほどではないが、生活に必要なだけの家具は完全な状態で残っている。いや、“残した”のだっけ。
…まぁ、どうでも良いか。澪は窓の向こうを向いたまま、名前を呼んだ。
「牢」
だが返事は返ってこない。何かが動くような物音も全く聞こえない。
「牢?」
再び名前を呼びながら今度は振り返る。誰もいない。
…逃げたか死んだか殺しにいったか。どれだろうか。それ以前にいつからいなかったのだろう。
…逃げたか死んだか殺しにいったか。どれだろうか。それ以前にいつからいなかったのだろう。
澪は仏頂面をしながらベッドから降りる。逃げてたら殺してやる、死んでたら焼いてやる。そう思いつつ、木製のドアを開いた。
目の前に広がる路地にはうっすら積もる雪。くるりと回りを見渡そうとして、すぐ隣に誰かがいることに気づいた。自分より頭一個分ほど高い位置からの視線によって。見上げると意外に近くにあった牢の顔に、澪は一瞬だけたじろいだ。
目の前に広がる路地にはうっすら積もる雪。くるりと回りを見渡そうとして、すぐ隣に誰かがいることに気づいた。自分より頭一個分ほど高い位置からの視線によって。見上げると意外に近くにあった牢の顔に、澪は一瞬だけたじろいだ。
「…何やってんの」
「見張り」
「見張り」
牢はいつも通りの簡潔な答え。だがその単語で思い出した、そういえば見張りを任せておいた気がしないでもない。それにしても、だ。
「…あんた、寒くないの?」
「一応、バクフーンだから」
「一応、バクフーンだから」
とは言っても、どうにも大丈夫な風には見えない。彼は確かバクフーンのわざは使えなかったはずだし、私ほど強い人間ではない。
「私今から寝るんだけど」
「うん、おやすみ」
「そうじゃなくて」
「うん、おやすみ」
「そうじゃなくて」
澪は大きくため息をついた。牢が右手に握っていた鉄パイプを奪い取ると、澪は建物の中へと入っていく。
「牢も来るの!」
苛々しているのだろう、鉄パイプが空を切る音が聞こえる。中に入ると、澪は部屋のある側面に設置された暖炉の前に立っていた。
澪は暖炉に未使用のまま置かれている薪をざっと見下ろしてから、白い指をぱちり、鳴らす。途端、積まれてあった薪は勢いよく火を吹いた。
澪は暖炉に未使用のまま置かれている薪をざっと見下ろしてから、白い指をぱちり、鳴らす。途端、積まれてあった薪は勢いよく火を吹いた。
「牢はそこで見張ってるのよ、いい?」
そう言って澪が鉄パイプで差したのは、部屋のほぼ中心に置かれたソファー。鉄パイプをソファーに放ると、澪はさっさとベッドの中に潜る。
「ちゃんと見張ってなさいよ、そこで」
「うん」
「起こしたらただじゃおかないから」
「…澪」
「何よ」
「うん」
「起こしたらただじゃおかないから」
「…澪」
「何よ」
牢は此方側に向けられた澪の綺麗な髪に、そっと声をかけた。
「ありがとう」
う、と言い終わったのと同時に、ベッドからはブーツが片方ずつ牢の方へと飛んできた。だがもう澪は何も言わず、暖かそうな布団にくるまったままだった。
牢はブーツを床に揃えてから、ソファーにゆっくりと腰かける。
その僅かな音が聞こえたのを確認してから、やがて布団の中で澪は瞳を閉じた。
牢はブーツを床に揃えてから、ソファーにゆっくりと腰かける。
その僅かな音が聞こえたのを確認してから、やがて布団の中で澪は瞳を閉じた。