ああろみお、
金色の美しい髪は、持ち主が歩くたびに緩やかに揺れる。長い睫毛の向こうに見える赤い瞳は時折妖しく輝いた。
歩く姿すら優雅に見え、赤い空も乾いた地面すらも彼女専用のステージ。
歩く姿すら優雅に見え、赤い空も乾いた地面すらも彼女専用のステージ。
そんな彼女の瞳は、視界のほんの端の方に映った人影を逃がさず。
*
「あーぁ、本当ムカつく」
澪はぱんぱんと手を叩き、大きくため息をつく。足元にひろがる焦げた地面には、炭と化した何か、“モノ”。
「あんなきったない顔しちゃって、その癖こんな首飾り付けて」
その中に唯一、煤に汚れながらもわずかにきらりと輝く宝石。しゃがみこみ拾おうとして、動きを止める。前屈みになっていた体を元に戻し、くるりと後ろを向いて名を呼んだ。
「牢ー、それ取ってくれない?」
「うん」
「うん」
牢と呼ばれた男は、鉄パイプを持っていない方の手で首飾りを拾い上げる。鉄パイプを地面に転がすと、不要な汚れを綺麗に、丹念に拭き取る。すると、埋め込まれていた宝石は元の綺麗な輝きを取り戻した。
「澪、これで」
「ありがとう、牢」
「ありがとう、牢」
澪は嬉しそうに、顔いっぱいに微笑む。無邪気な、先程までからは想像できない様な愛らしい笑顔。
牢は首飾りを自分の手が澪の手に触れないように滑らせた。
…うっかり触れてしまえば、澪の機嫌を大いに損ねる事となる。それはできることなら、いや、絶対に避けたい。
そう思いながら眺めていた彼女の顔が、急速に冷え込んだ。
汚いものでも見るような目で、すぐそこの崩れた廃屋の影を見据える。
…うっかり触れてしまえば、澪の機嫌を大いに損ねる事となる。それはできることなら、いや、絶対に避けたい。
そう思いながら眺めていた彼女の顔が、急速に冷え込んだ。
汚いものでも見るような目で、すぐそこの崩れた廃屋の影を見据える。
「…何かあった?」
「……今は、イラナイのよね」
「……今は、イラナイのよね」
何が、とは聞くまでもない。
何で、とも聞くまでもない。
何で、とも聞くまでもない。
牢は鉄パイプを拾い上げ、澪の顔を再度覗く。
「…澪、行ってくるよ」
「ふふ、ありがとう牢」
「ふふ、ありがとう牢」
『ダイスキ』
その言葉を背に受けながら、牢は獲物までゆっくり、真っ直ぐに歩いていく。
どうせ逃げない、逃げられない。
その男は澪の姿のみを見つめていた、だからそれが遮られるまで気づかなかった。
隣にいた牢が一歩ずつこちらに近付いてきて、その鉄パイプが大きく振りかぶられ、そして、
どうせ逃げない、逃げられない。
その男は澪の姿のみを見つめていた、だからそれが遮られるまで気づかなかった。
隣にいた牢が一歩ずつこちらに近付いてきて、その鉄パイプが大きく振りかぶられ、そして、
ぐしゃり。
*
「澪、さっきの首飾りは?」
「綺麗だったけど、なーんか飽きちゃった…ねぇ、牢。どうせ歩くなら、女のいない場所を探しましょうよ」
「女のいない所?」
「ついでに綺麗な場所だったら言うことないのに…」
「…あるよ、きっと」
「そうよね、それに、無かったら作らせれば良いわ。
ね?牢」
「そうだね、澪」
「綺麗だったけど、なーんか飽きちゃった…ねぇ、牢。どうせ歩くなら、女のいない場所を探しましょうよ」
「女のいない所?」
「ついでに綺麗な場所だったら言うことないのに…」
「…あるよ、きっと」
「そうよね、それに、無かったら作らせれば良いわ。
ね?牢」
「そうだね、澪」
姫の横を、騎士が歩く。
二人の間の僅かな隙間は、気づかぬフリをしながら。
二人の間の僅かな隙間は、気づかぬフリをしながら。