ぶろぅく・ぶろうくん
土砂降りの雨が泥を更に濡らして行く。見回しても周りに何もなくなったその場所に、カイオーガは一人で立ち尽くしていた。
ハガネールが使ったのは<いやなおと>と<だいばくはつ>。普通のポケモンなら耐えきれないであろう大きなダメージは確実に刹に襲いかかった、だが、それでも自分は死んでいない。
それは当然と言えば当然のことだった。だって神は、“望みを叶える”と言ったのだから。
ハガネールが使ったのは<いやなおと>と<だいばくはつ>。普通のポケモンなら耐えきれないであろう大きなダメージは確実に刹に襲いかかった、だが、それでも自分は死んでいない。
それは当然と言えば当然のことだった。だって神は、“望みを叶える”と言ったのだから。
土砂降りの雨は、まだ降り続く。
地面に倒れ伏したグラードンはもうじき目覚めるだろう。目覚めたらまた、走ろう。そう思っていたときだった。
地面に倒れ伏したグラードンはもうじき目覚めるだろう。目覚めたらまた、走ろう。そう思っていたときだった。
雨で霞む目線の先に揺らぐ影があった。ここからでは見えにくいが、橙の色は何とか確認できる。向こうもこちらに気付いてはいるようだが、状況は同じ。霞んだ視界では相手のぼんやりとした影程度しか把握できない。
どうしたものか、影はゆっくりとこちらに近づいているらしい。邪魔をする気なのだろうか、さっきのハガネール達の様に。
どうしたものか、影はゆっくりとこちらに近づいているらしい。邪魔をする気なのだろうか、さっきのハガネール達の様に。
ならば、殺してしまおう。
刹が翳した右側の鰭から、強い水流が放たれる。影に向かってぶれること無く撃たれた<ハイドロポンプ>は、霞さえも切り裂いた。ゆらり揺らめいた靄の中に居たモノ。
刹は突然、全身をなぞるような寒気に襲われた。
同時に、地を叩いていた雨が少し和らぐ。辺りを覆っていたものが少し去り、影のシルエットをより鮮明に映し出す。
刹は突然、全身をなぞるような寒気に襲われた。
同時に、地を叩いていた雨が少し和らぐ。辺りを覆っていたものが少し去り、影のシルエットをより鮮明に映し出す。
其処に居たのは、そう、例えるなら、自分ですら到達しない域にいるであろう存在、
そうだ、あれは、
その思考を遮ったのは、雨すらも寄せ付けぬ炎。
刹は、熱い炎に包まれた。
刹は、熱い炎に包まれた。
*
また、少しの時が過ぎた頃。陸が目覚めたその瞬間耳に届いた音に、陸は飛び起きる。隼の様な瞳を光らせ標的を見つけると、陸は強く地面を蹴り出した。
後ろから追う陸の気配を感じながら、ぼろぼろになった着物を見つめながら、刹は再び考える。
自分は神に頼んだ、グラードンに殺されたいと
神は確かに、その願いを叶えた。
事実、ハガネールのだいばくはつも大したダメージではなかったし、それ以前のすなあらしもあやしいひかりも驚異ではなかった。
そして、あの男の炎も。
神は確かに、その願いを叶えた。
事実、ハガネールのだいばくはつも大したダメージではなかったし、それ以前のすなあらしもあやしいひかりも驚異ではなかった。
そして、あの男の炎も。
だけど、だけれど。
いくらダメージを感じないと、受けないと言っても、例えば左胸に腕を突っ込まれて、例えば脳の中をかき回されて、無事でいられるわけがない。
いくらダメージを感じないと、受けないと言っても、例えば左胸に腕を突っ込まれて、例えば脳の中をかき回されて、無事でいられるわけがない。
つまりはそういう事だ。
あの男は、手段としてそのような選択も選ばないわけではないと、なにがなんでも兎に角自分を殺そうと、した。
強い殺気なんて簡潔な言い方じゃ彼を何割も表現出来ない。殺人鬼なんて言葉は、優しすぎる。
あの男は、手段としてそのような選択も選ばないわけではないと、なにがなんでも兎に角自分を殺そうと、した。
強い殺気なんて簡潔な言い方じゃ彼を何割も表現出来ない。殺人鬼なんて言葉は、優しすぎる。
願わくば、もう二度と出会いたくない。
*
「憎しみと怒りと悲しみと喜びと愛と夢と記憶と真実と理想」
「どんなに素敵な色の絵の具があっても、多くと混ざれば黒になるもの」
「どんなに素敵な色の絵の具があっても、多くと混ざれば黒になるもの」
クレセリアは吐き出すように、呟いた。その瞳が見下ろすのは、橙の<悪魔>。
教会を、鋼を、神を、さえ、打ち砕く想いが次に目指す場所は既に明確だ。いや、正しく言えば、悪魔は最初からそこしか目指してはいない。彼の目には、元々それしか見えていない。
教会を、鋼を、神を、さえ、打ち砕く想いが次に目指す場所は既に明確だ。いや、正しく言えば、悪魔は最初からそこしか目指してはいない。彼の目には、元々それしか見えていない。
「付き合うわ、お嬢ちゃん」
何も手出しは出来ないけれど、ただ見守らせて欲しい。
殺されるにしろ生き延びるにしろ、あの時の貴女の瞳に過った何かを、見せて欲しい。
その中に、悪夢を振り払う何かがあると信じている。
殺されるにしろ生き延びるにしろ、あの時の貴女の瞳に過った何かを、見せて欲しい。
その中に、悪夢を振り払う何かがあると信じている。
「……過信かしら?違うわよね」