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革命

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mato4869

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革命


あれほどの高さから落下しても、気絶で済んだ樹は案外と丈夫なようだ。
彼が目を開けたのは岩が砕ける音と振動で。
程なく、その目覚めは決定的となった。

「あっははははははははははははははははは!!!!」

女の哄笑が響いた。
がばっと瓦礫の海から身体を起こせば、荒れ狂うあられの中、青い燐光に包まれた岬が滅茶苦茶に暴れまわっていた。
腕を足を爪を牙を、ありとあらゆるものを振り回して栞達を襲う。
哄笑は未だ続いたまま。彼方に吹っ飛ばされていた栞達がふらつきつつ起き上がった。
「あいった、なんですかこの女!さっきまでこんな速くなかったですよう!」
「見てわかれ馬鹿、『げきりん』だ!一気に仕留めないと死ぬわよ!」
二人は二手に分かれて走る。岬を左右から挟む形で、栞は『かみなりのキバ』を、薫は『ドレインパンチ』をそれぞれ構えた。
だが岬の方が一寸早く。岬を中心に鋭い石片が全方位に放たれる。
直撃した二人はずたずたに裂かれた。石の群に阻まれ前も見えない。
気づけば岬が薫のすぐ隣にいた。目を庇っていた薫の左腕を、ひょいと無造作に手にとってそして、
ごき ぶちぶちぶちッ
文字通り引き抜いた。吹きあがる鮮血。悲鳴を迸らせた薫は地に崩れた。
「薫!薫!!」
「邪魔。」
駆け寄ろうとした樹は光線に腕を撃ち抜かれる。撃たれた腕は凍りつき、後ろの壁と融合していた。
「ふふっ、ねぇレイ何処ぉお?早く来て、待ってるんだから、邪魔なゴミはきれぇいにお掃除して待ってるんだからぁあッ!」
メガトンパンチメガトンキックがむしゃらやつあたりばかぢから。動かない薫を岬はひたすらに蹂躙する。飛びかかってきた栞も『がんせきふうじ』で地に組み敷き、同様の蹂躙を加える。
その度に血が、血が、血が。赤く黒く地面にぶちまけられる。
飛んできた薫の腕が樹の目の前に落ちる。神経が、引ッ掻かれる感触がした。
「やめろもうやめてくれ!頼むから…!」
駆け寄ろうにも庇おうにも、氷で縫いとめられた身体は動かない。もがき暴れるがびくともしない。
―――木枷と紫の手抑えつけられた身体為すすべなく吹きあがる血の海と
―――『御覧なさい。』
自分の手を千切る勢いで樹はもがいた。ぼろぼろ零れる赤い雫、無色の雫。気づくことはない。
「…何?おまえ、かなしいの?」
ゆらりと岬が振り向いて、樹へと歩み寄った。いつしか燐光は消えていた。代わりに焦点の合わない一対の目が、にたり歪んだ笑みを作る。
「馬鹿だねぇ、全部おまえのせいなのに。ほらみて、みぃんな死んじゃった。ねぇ誰のせい?みんなが消えてしまったのは誰のせい?」
腕のちぎれた薫が転がっていた。
身体の折れた栞が転がっていた。
どす黒い血だまりが広がっていた。
呼吸の消えた静寂が広がっていた。
ねぇ 誰の せい?
気づけば憎悪に満ちた青い瞳が、まっすぐ樹を貫いていた。
「返せよ…。」
混乱した岬の目は、樹によく似た男を視ていた。
「レイを……返せよ。」

…ばちばちばちばち。
まとわりつく岩を『でんじふゆう』でひきはがして。傷だらけの十字架を杖に栞が立ち上がった。
十字架から火花が爆ぜる。爆ぜた火花が腕に伝わる。小さな体躯いっぱいに『じゅうでん』される。
駆けた。
残り僅かな力を振り絞って、栞は岬へと駆けた。
「ッあああああああああああああああ!!!」
悪を悪で制圧せよ。暴力を暴力で根絶せよ。
玉条が牙を剥く。憎しみが咆哮をあげた。
この男を、この"男"を殺さなくては!
気づいた岬が栞へ手を向ける。『だいちのちから』が迫り来た。しかし栞の足を包む電気がそれを受け流す。
雷光の速度で栞は駆けた。
十字架がひときわ輝く。岬の白い喉を、捉えた。


振り抜いた十字架。
白いワンピースが、真っ二つに裂けた。


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