概要
- キャプテンマーベル(後のシャザム)の来歴をこのページでまとめる
裁判
- 1940年、キャプテンマーベル誕生。人気を博す
- 1941年にキャプテンマーベルの発行元フォーセットコミックスはDCコミックスにより「スーパーマンに酷似している」と著作権侵害で訴えられる
- 1939年、DCは露骨にスーパーマンをパクっていた「ワンダーマン」を訴え、発行を差し止めている
- この裁判の間もキャプテンマーベルは発行されていた
- 1953年、裁判で「キャプテンマーベルはスーパーマンの著作権を侵害している」との判決が下される
- しかし具体的にどれほど侵害しているかを検証するのは非常に困難であり、時間のかかる作業であった
- また、53年はかのコミックスコードが制定される前年であり、ヒーローものの売り上げは冷え込んでいる時期でもあった
- このような背景もあって、フォーセットコミックスがDCに和解を申し入れて裁判は終わったと言われている
- フォーセットパブリッシングの子会社であったフォーセットコミックスはキャプテンマーベルの出版停止を期に同年秋に解散
- コミック部門から撤退する事になる
マーベルマン
- キャプテンマーベルはイギリスでも出版を予定していたが、この判決をきっかけとしてキャラクターの使用が不可能となる
- そこで苦肉の策として用いられたのがキャプテンマーベルの設定を名前以外そのまま使ったヒーロー「マーベルマン」であった
- ちなみにマーベルマンの変身呪文は、シャザムではなく「KIMOTA!」である(アトミックの逆読み)
- 1954年、連載開始。 こちらも人気を博し、9年に渡り刊行された
- 1963年、人気低下に従い刊行停止。長く表舞台を去る事となる
M. F. Enterprises社のキャプテンマーベル
- 1966年、小出版社のM. F. Enterprises社が「独自の」キャプテン・マーベルを出版。
- 手足が体から離れて飛び出すロボット。
- ちなみに1号の表紙には、DCと全く関係ない「プラスチック・マン」が描かれている。
- 小出版社故か、長続きはしなかった。
MARVEL社のマーベル
- 1967年、MARVEL Comicsで同名の別ヒーロー「キャプテン・マーベル」が誕生
- この項で語られる各ヒーローとは一切関わりの無い、全くの新規キャラター
- この項で以下に記述されている同名ヒーローも、彼の事を指してはいない
- M. F. Enterprises社のように「キャプテン・マーベル」を使って商売をし、「キャプテン・マーベル」が出るから「マーベルコミックス」だと主張されることを恐れたマーベル社が、独自の「キャプテン・マーベル」を作ったというのが真相らしい。
- DCコミックスがシャザム!を出版するのに合わせて、初代のキャプテン・マーベルを作中で殺す。
- 余談であるが、1982年に黒人女性のキャプテン・マーベルが登場。以下、キャプテン・マーベルのDNAを受け継いだ者(2名)、初代キャプテン・マーベルの元恋人(キャロル・ダンバース、2017年現在のキャプテン・マーベル)へと続く。
- (ここを読むような人には今更だが)2019年に公開されたマーベルコミックスの「キャプテン・マーベル」は、キャロルのことである。
シャザム! DCでの再出発
- 1972年、和解による出版停止から約20年、DCコミックスはフォーセット社からキャプテンマーベルの権利を買い上げ、自社から出版を開始する
- 元の名前ではなく自発的に「Shazam!」と名を変える事となっているが、これは上記訴訟とは別件なので注意が必要(強制されていない)
- DCに参入後、キャプテンマーベルは自らのシリーズを持ち、アニメも放送される事となった
- この頃のキャプテンマーベルはアースSに住み、アース1にいるヒーロー達ともイベントで顔合わせしている
- その後、何事もなく順調に過ごすが、1985年のイベントにて変革を迎える事となる
マーベルマンからミラクルマンへ
- 1982年、「マーベルマン」が新作で復活。ライターは後に有名作家となる、若き日のアラン・ムーアだった
- 革新的なストーリーで賞も取ったが、今度はマーベルコミックスからのツッコミを受け、一時出版を停止する
- 1985年、エクリプス社が「ミラクルマン」と改名して再刊行
- 1996年、不定期連載を続けていたミラクルマンも、エクリプス社の倒産により打ち切りを余儀なくされる
- image社のトッド・マクファーレンが出版権を落札するが、ミラクルマンのアーティストであるニール・ゲイマンが猛反対し、法廷闘争となる
- 長い法廷闘争の末、ゲイマンがMARVELに移籍。長らく読むことが困難だった「ミラクルマン」の権利もMARVELに移る事となる
- 2013年、無事にMARVEL社から再刊行され、打ち切り後の続きも制作された。日本でも、このMARVEL版で翻訳本が発売されている
モダンエイジでのシャザム、及びキャプテンマーベル
- 2011年、DC社の大改革「New52!」により、「シャザム」の名で改めてDC世界に組み込まれる事となる
- 人気を博し、日本でも翻訳本が発売されている。知名度も上がり、DC系のアニメ作品にも登場するようになった
- 以前から暖められていたグラント・モリソンによる新たな作品世界「マルチバーシティ」がスタート
- シャザムがNew52!に登場する一方、旧来のマーベルが登場する「ザ・マルチバーシティ:サンダーワールド」も2014年に刊行された
- マルチバーシティやジャスティスリーグ・ビヨンドでは「キャプテンマーベル」の名前で登場している
現状
- フォーセットコミックスのキャプテンマーベルから始まったヒーローは、現在おおまかに3つに分かれている事になる
- DCコミック上のメインストリームにおける「シャザム」
- DCで昔ながらのキャラクターとして多方面に登場する「キャプテンマーベル」
- MARVELの「ミラクルマン」
- 法廷闘争はあくまで過去のフォーセットコミックスやエクリプス社の頃の話であり、現在、MARVEL・DC両社の間に法的な問題は存在しない
- 現に、MARVELとDCの双方で各々完全に別モノの同名ヒーローが活躍している
- しかも、今ではそのMARVELのキャプテンマーベルは女性であり、特に権利闘争など発生せずに実写映画化まで決まっている
- 2019年、DCの「シャザム」が映画公開、同時期にマーベルの「キャプテン・マーベル」も公開され、”キャプテン・マーベル”が重なるというオチがついた。
最終更新:2019年06月01日 00:31