No Caller ID - nikkeGZ.wiki

NO CALLER ID

開催期間

2022/11/10〜11/24

あらすじ

登場人物

• 指揮官
• アニス
• ネオン
• ラピ
• アンダーソン

要約

1.噂

...

　夜に、ここら辺で携帯を持っていると地上から音声メッセージが届くという噂を耳にし、試してみる男女がいた。
　最初は面白半分で、何も起こらないと思っていたが実際に音声メッセージが届いてしまう。

ノイズとともに、短い音声が聞こえる
「――みんなあつまれ」
「ここ――楽園」

2.発信者不明：A

...

　アンダーソンがカウンターズを招集し、例の噂が広まっていると話す。
誰かのイタズラかと思われた音声メッセージは、発信源がアークではなく明らかに地上からのものであった。
　公的には地上に残った生存者は０人であり、この事件を機にアーク市民が中央政府に真実を求めているため、この問題を解決する必要があった。そこで、アンダーソンは、カウンターズにこの発信源と噂の真相を調査するように命じる。

3.発信者不明：B

...

　進んでいくとラピの端末に音声メッセージが届く。
　その内容は先程までのものと全く同じ内容だったが、ノイズが少なくなり、より鮮明に聞こえるようになっていた。それは、発信源に近づいている証拠であった。

4.期待：A

...

　ネオンのたかが音声メッセージ１つに振り回され過ぎではないかという問いにラピとアニスが答える。第一次ラプチャー侵攻の際に人類は地上からアークへ移動し、それから数十年がたった。ラプチャーの攻撃は、特に人間に対しては執拗で人間を１人も見逃さなかった。
　地上はとても広いのに１人も残っていないということはどうやって分かったのかという問いにまた答える。捜索作戦は継続的に続けられたが、生存者を見つけるどころか、救難信号が来たことすら１度もなく、中央政府は捜索を全面的に打ち切ることを公に発表した。地上をすべて創作し尽くすことなく、生存者は１人もいないということにしたのだ。

5.期待：B

...

　ラピのもとに、再び音声メッセージが届く。
　その内容には「――国」という内容が追加されていた。
　彼女らは、この音声メッセージの目的は生存者を特定の場所に導くことで、その場所は生存者の村ではないかと推測する。
　指揮官やネオンが生存者の存在に期待する中、アニスは、期待するとそれだけ失望も大きくなるとこぼした。

6.青い光

...

　予想よりも日が早く落ちているため、野営をすることに決めたカウンターズ。
　アニスとネオンがデコイを撒きに行き、指揮官とラピのみになり話をする。
　ラピいわく、ラプチャーは人間を執拗に攻撃するため、村規模の生存者集団があったらラプチャーの目を逃れることはできないという。すこし気落ちする指揮官だったが、何事にも例外はあるとラピがフォローすると感謝を述べた。
　しばらくして、アニスとネオンが帰ってくると、ラピが寝ずの番をすることにしてみんな眠りについた。
　そんな中、視線を感じた指揮官は夜間に目を覚ます。ラピに話しかけようとしたところ音を立てないように注意される。どうやら4匹のトラの家族がこちらを見つめていたようだ。静かにしていると、トラたちは去っていった。
　過去には、10匹のトラが1機のニケを無力した例があり、戦闘になれば銃器を使って対応することになり、銃の音を出せばラプチャーとの戦闘を避けられないこともあり、警戒するべき相手であった。

7.誰もいない村：A

...

　引き続き発信源に向かっていたところ、建物が見えた。
　ついでに調査をしようとしたところ、指揮官が違和感に気づく。ラプチャーの足跡が見つからない。奴らは基本四足歩行でかなり重たいため、足跡が残らないわけがない。地面には、人間用の火器の薬莢が落ちていた。どうやら、人間たちは狙撃か砲撃に一方的に蹂躙されたようだった。しかし、もしそうなら死体か白骨があるはずなのに、あたりに死体は見つからなかった。
　彼女らがそんな話をしているところにラプチャーが襲いかかる。

8.誰もいない村：B

...

状況終了。
　ラピが扉が施錠された大きな建物を見つける。
　それは建物下部が沈んでおり、面積の割に重いなにかが内部にあるようだった。
　ラプチャーの可能性を考え、熱源探知したところ反応はなかったため内部に入って調査を進める。内部に入ったところ妙な匂いがした。
　ネオンは内部で、遊園地にて笑っている人々が写った写真を見つける。平和な時代だからこそ自然と出る笑みに憧れを抱き、自分用に持ち帰ろうとしたネオンだったが、地上のものはすべて中央政府に帰属するというラピの忠告により諦める。
　一行は、部屋の中にもう1つの大きな扉を見つけ、ラピが内部を調査し始める。扉が開くと妙な匂いが少し濃くなった気がした。
　ラピがなにか驚くような声を上げると、アニスが合流しようとする。それをラピが来るな！！と大声を出して止めて、部屋から出てきた。ラピは何も語らずここから出ようと言って口を閉ざした。指揮官が事情を訪ねようとすると、アニスに押し切られ一行はここを後にした。

考察

...

9.静かに眠る街：A

...

村から抜け出すと再び音声メッセージが届く。
届いた音声メッセージは、先程までよりも鮮明になっていた。
地面には道路があり、この先には結構な規模の施設があると考えられる。
どうやらここらへんは観光地だったようだ。

10.静かに眠る街：B

...

観光地だから見て回りたいというネオン。
それに対し、止めはしないが、おすすめもしないと語るアニス。
第一次ラプチャー侵攻当時の最新兵器はラプチャーに傷一つつけることができず、人々は逃げ回ることしかできなかった。アークの扉が再び開くことは一度もなかったし、ラプチャーの目は人間に対して悪い意味で盲目的だった。希望を失った人々のうちの一部は、最後に素敵な場所でいい思い出を作って人間らしく死んでいく道を選んだ。
そのため、観光地だからと浮かれて見て回ると見たくないものも見る羽目になるという。
そこに再び音声メッセージが届く。
その内容には人々の悲鳴が追加されていた。

11.みんなが幸せな国：A

...

音声メッセージで人々を集めて新しい住処を作ろうとしたであろう、メッセージの発信者。きっと希望を持っていただろう。しかし、それもラプチャーに皆殺しにされるまでのこと。
すでに全滅が予想される中アニスは、その光景を見たくない、戻ろうと指揮官に言う。
しかし、調査は終わらせなければならない。
一行は、再び目的地へ急ぐのであった。

12.みんなが幸せな国：B

...

音声メッセージの発信源にたどり着くとなんとそこは遊園地だった。
携帯に音声メッセージが届く。
その正体は遊園地のPR用のメッセージだったのだ。
一行が帰ろうとしたところ、観覧車だけが唯一動いていることに気づく。
人間用のアトラクションにニケが乗ることはできないため、みな落胆するが、指揮官は人間であることに気づき、観覧車に乗るよう促す。
あまり乗り気でない指揮官であったが、私たちは乗りたくても乗れない、指揮官が変わりに乗ってくれないと気がすまないと言われ、乗ることに決める。
指揮官が観覧車の頂上から見た地上の景色はアークのそれとはまったく違った。
果てしなく広がる地平線、その光景にいつまであの狭くて暗いところで生きていくのか、と言われているように感じた。

No Caller ID：END

13.嘘のような本当の話

...

アークに戻り、アンダーソンと話をする指揮官。
今までに起きたことを報告し、下がるよう言われ退室する指揮官。
アンダーソンはシフティーを呼び出し、数十年前に閉鎖された遊園地で、観覧車だけが動いていて、ランダムに撒いた音声メッセージがアークに届く確率を問う。
その確率は、0.000以下のありえないものだった。
その確率を見事突破して起こったのか、それとも何かの介入があったのか…
その真相は明らかにならなかったが、たまにはこんなことが起きてもいいと、そう思えたアンダーソンだった。

書き起こし

1.噂

...

◯軽そうな男
あの噂知ってる？

◯華やかな女
何の噂？

◯軽そうな男
地上に人が残ってるって噂。

◯華やかな女
何を言ってるの。

◯軽そうな男
夜の１１時に、ここら辺で携帯を持っていると、
地上から音声メッセージが届くんだって。
もう１０人以上が受け取ってるらしいよ。

◯華やかな女
ああ、それでここに来たんだね。
どうりで入らないわけだわ。

◯軽そうな男
気にならない？

◯華やかな女
…気にはなるけど。

◯軽そうな男
じゃあ、やるぞ。

男は携帯を高く掲げた

◯軽そうな男
……

◯華やかな女
……

◯軽そうな男
……

◯華やかな女
ぷっ！本当、バカみたい。
いつまでそうやって…

ブルルル―

◯華やかな女
あれ？

◯軽そうな男
…本当に届いた。

◯華やかな女
ち、地上から来たの？

◯軽そうな男
そ、それは知らないよ。

◯華やかな女
早く聞いてみましょう。

男は震える手で音声メッセージを確認した
ノイズとともに、短い音声が聞こえる
「――みんなあつまれ」
「ここ――楽園」

2.発信者不明：A

...

「――みんなあつまれ」「ここ――楽園」

◯アンダーソン
…これが最近、アークで特定の条件を満たすと
携帯に届くという音声メッセージだ。
地上の生存者が送っているとの
噂が広まっている。

◯アニス
もう、こんなイタズラ、私でもできるよ。
これを本当に地上からのメッセージだと
信じる人間がいるの？それはおめでたい…

◯アンダーソン
……

◯アニス
え…なにこれ。

◯ラピ
…アークから発信された
音声メッセージではありませんね。

◯アンダーソン
そうだ。
この音声メッセージの発信源は明らかに地上だ。

◯ネオン
…うわ。

◯アンダーソン
正確ではないが、発信地はある程度絞ってある。
だから、君がそこを調査してくれたまえ。

◯指揮官
何を調査すればいいのですか？

◯アンダーソン
本当に生存者がいるかどうか。

◯指揮官
その後は？

◯アンダーソン
それは調査の結果によって変わってくる。
もし、本当にもしも、生存者がいるなら。
アークは新しい政策を
打ち出す必要があるからな。

◯ネオン
公的には地上に残った人の数は０人ですよね？

◯アンダーソン
そうだ。だからこの任務は
君たちが思っている以上に重要だ。
この噂がアークに異常なスピードで
広まっている。
みんな中央政府に真実を求めているのだ。
彼らに答えなくてはいけない。
そのためには調査が必要だ。
では、よろしく頼む。

◯ラピ
地上に到着。
アンダーソン副司令官から
受け取った座標へ移動します。

◯ネオン
どれくらいかかりますかね？

◯ラピ
問題がなければ今日中には
到着するわ。

◯アニス
問題がなければね。

◯指揮官
出発しよう。

◯ラピ
ラジャー。

◯ネオン
走って行きましょうか？
すごく気になるんです。

◯アニス
あなたが指揮官様をおんぶするなら
走って行けるかもね。

◯ネオン
あ、それはイヤです。
師匠重いですもん。
歩いて行きましょう。

◯ラピ
…行こう。

3.発信者不明：B

...

◯ラピ
…ん？

◯アニス
どうしたの？

◯ラピ
……

◯ネオン
お腹が痛いんですか？

◯ラピ
音声メッセージが来た。

◯アニス
…内容は？

◯ラピ
確認してみる。

「――みんな集まれ」
「ここ――楽園」

◯アニス
内容は同じだけど…

◯ネオン
何か音声が鮮明になった気がします、
気のせいでしょうか？

◯指揮官
いや。たしかに鮮明になってきてる

◯ラピ
はい、ノイズが少なくなりました。
この方向で合っているという証拠でしょう。

◯指揮官
どんどん進むぞ

◯ラピ
ラジャー。

4.期待：A

...

◯ネオン
私、聞きたいことがあります。

◯アニス
我慢して。世の中のすべてのことを
知ることはできないから。

◯ネオン
音声メッセージ１つに
振り回され過ぎじゃないですか？

◯アニス
仕方ないでしょう？

◯ラピ
指揮官、前方に建物が見えます。

◯指揮官
①ネオンの話を聞いてあげよう

...

②…話題を統一しよう

...

◯ネオン
じゃあ、私の話に統一しましょう。
私が一番先に言いだしたんですから。

◯指揮官
私も気になる

◯ラピ
……
第一次ラプチャー侵攻の際
地上の人類はアークに移動しました。
それから数十年が過ぎています。
その長い年月の間、ラプチャーは
じっとしてはいませんでした。
地上の文明を破壊し
地上に残った人間を殺しました。

◯アニス
執拗だったそうよ。
特に人間を殺すことには。
施設や資材はまだ地上に残っているものも多い。
でも、人間は１人も見逃さなかった。

◯ネオン
でも、地上はすごく広いでしょう？
１人も残っていないということは
どうやって分かったんですか？

◯ラピ
……

◯アニス
……

◯指揮官
…そう決めたんだろう。

◯ラピ
……

◯アニス
…うん。

◯ラピ
地上はラプチャーでごった返しています。
捜索は用意ではありません。
だからといって諦めたわけではありません。
捜索作戦は継続的に進められましたが、
生きている人間は発見できませんでした。
１人も。

◯アニス
そして救難信号が届いたことは１回もない。
痕跡すらなかった。
だから中央政府は公式発表したの。
地上の生存者は０人。
今後、生存者の捜索作戦は全面的に中止すること。

◯ネオン
じゃあ、今回のように音声メッセージが
届いたのは初めてってことですね。

◯アニス
そうね。

◯ネオン
ふむ、理解しました。

◯指揮官
生存者が見つかったらいいな

◯ラピ
はい。

◯アニス
…そうね。

5.期待：B

...

ブルルル―

◯ラピ
…指揮官。また音声メッセージが届きました。

「――みんな集まれ」
「ここ――楽園」
「――国」

◯指揮官
国？

◯アニス
…実は、最初から気になってたんだけど。
これ、地上にいる生存者を
集める放送みたいじゃない？

◯ラピ
ええ、特定の場所に導く放送みたい。

◯ネオン
あっ、ということは。
生存者たちの村があるかもしれませんね！

◯アニス
…村。

◯ネオン
はい！放送をするくらいなら
ある程度規模があるってことだし、
さっき国って言ったじゃないですか！
これは１００％村です！

◯アニス
……
まあ、そうかもしれないね。

◯ネオン
アニスはあまり嬉しそうじゃないですね。

◯アニス
私は期待しない。
期待するとそれだけ失望も大きくなるから。

◯指揮官
それでも私は期待したい

◯ネオン
私もです。

6.青い光

...

〇ラピ
指揮官。
予想よりも日が早く落ちています。
今日はここら辺で野営しましょう。
絶壁の前なら警戒すべき方向は
正面だけなので、野営に向いています。

◯指揮官
分かった。

◯アニス
じゃあ、私はデコイを撒いておくね。

◯ネオン
一緒に行きましょう。

〇ラピ
うん、お願い。

アニスとネオンがデコイを撒くために移動した

〇ラピ
温度と湿度は良さそうですね。
寒かったり暑かったりしたら言ってください。
食事はどうしますか？

◯指揮官
食事なら大丈夫だ。

〇ラピ
わかりました。

◯指揮官
ラピ

〇ラピ
はい。

◯指揮官
生存者たちの村はあると思うか？

〇ラピ
……
正直に言うと、無いと思います。
あっても壊滅した状態でしょう。
ラプチャーは人間を執拗に攻撃します。
村規模の生存者集団があったら、
ラプチャーの目から逃れることは
できないと思います。
そして人間は、ラプチャーの前では無力です。

◯指揮官
…そうか。

〇ラピ
……
しかし、いつも例外はあります。
非常に低い確率ですが、それでも
この捜索作戦には意味があると思います。

◯指揮官
そうだな。ありがとう

〇ラピ
いえ。

しばらくしてアニスとネオンが戻ってきた
ラピが寝ずの番をすることにし
みんな眠りについた

……

どれくらい寝たのだろう
周りは暗くて静かだ
なのに目が覚めた理由は、
なにか視線を感じたからだ

◯指揮官
ラ…

〇ラピ
シッ―
音を立てないように、ゆっくり動いてください。
私たちを見ています。

◯指揮官
見ているって、何が？

〇ラピ
私の一から１１時の方向です。

ラピが教えた方向を見る
真っ暗な空間が広がっている
その黒い空間の中に、青く光る何かが見える

〇ラピ
見えますか？

◯指揮官
青い光しか見えない

〇ラピ
トラの眼光です。

◯指揮官
トラ…！？

〇ラピ
数は４匹。
成体が２匹、子どもが２匹です。
家族みたいですね。

◯指揮官
…どうすればいい？

〇ラピ
こっちが騒がなければ去るでしょう。
食料を求めているわけではなさそうですので。

暗闇に目が慣れた頃、
トラの姿が確認できた。
３メートルくらいのやつ２匹と
まだ子どもに見える２匹
そして成体がくわえているシカ
トラたちはしばらく私たちを見つめた後
ゆっくりどこかへ去っていった

〇ラピ
状況終了！

◯指揮官
実際に見るのはこれが初めてだ

〇ラピ
私もです。

◯指揮官
①貴重な体験だった

...

◯ラピ
しかし、少し危ない状態でした。

②少し緊張した

...

追記なし

〇ラピ
実際、１０匹のトラがニケ１機を
無力化した例があります。
もし交戦になっていたら銃器を使いますし、
そうなるとラプチャーが集まってくるでしょう。
狩りの帰りで良かったです。
では、寝直してください。

◯指揮官
…もう眠れそうもない。

〇ラピ
…そうですか。

翌日

◯アニス
と、トラ？
なんで起こさなかったの！
私も見たかったのに、トラ！

◯ネオン
トラってなんですか？
なんで朝から騒いでるんですか？

◯アニス
ネオン、トラはね。
すっごく大きいネコだよ。

◯ネオン
…ネコ？
どれくらい大きいんですか？

◯アニス
私たちの２倍くらい？
もしかしたらそれ以上かも。

◯ネオン
なんですって！？
なんで起こさなかったんですか！
私も見たかったのに！

◯アニス
早く行ってトラを連れてきて！

◯ネオン
連れてきてください！

〇ラピ
…出発します。

7.誰もいない村：A

...

◯アニス
…ここ？

◯ラピ
いや、もう少し行ったところ。
でも念の為に簡単に調査しよう。

◯ネオン
ふむ…ここは何もなさそうですね。

◯アニス
うん、本当にひどいね。ラプチャーのやつ、
思いっきり暴れまわったみたいよ。

◯指揮官
何かがおかしい

◯ネオン
え？何がですか？

◯指揮官
ラプチャーの足跡が見当たらない。

◯アニス
言われてみればそうね。
基本四足歩行な上に、
結構重いから足跡が残らないわけ無いのに。
地面はきれいだよ。

〇ラピ
指揮官。
地面を見てください。

カタッ

◯指揮官
薬莢？

〇ラピ
はい。人間用火器の薬莢です。
戦闘があったようです。

◯アニス
…狙撃か砲撃に一方的にやられたみたいだね。

〇ラピ
多分。
ラプチャーの足跡がないからそうだと思う。

◯アニス
じゃあ、早く行きましょう。
こんなところに長居すると気味が悪…
…ちょっと。
……

◯ネオン
えっと…アニス。
今、私と同じことを思っていますか？

◯アニス
えっと、多分。

◯指揮官
どうした？

◯ネオン
その…死体がありません。

◯アニス
遠距離から一方的に蹂躙されたりしたら、
ここに死体か白骨があるはずよ。
ラプチャーは人間の死体には興味ないから。

◯指揮官
高火力兵器の可能性は？

〇ラピ
……
死体を残さないくらいの
高火力兵器の痕跡は見えません。

シュン―
ドォーン！

〇ラピ
！！
全員ハイド！
距離５００！
ラプチャー発見！

◯ネオン
えええ？こっちに来ますよ？

◯アニス
もう！どこから来たのよ！

〇ラピ
エンカウンター！

8.誰もいない村：B

...

〇ラピ
状況終了！

◯アニス
はあ、びっくりした。

〇ラピ
指揮官、あそこを見てください。

ラピが指さしたところには、
固く閉ざされている鉄の扉に
施錠されている大きな建物があった

〇ラピ
建物下部の地面が少し沈んでいます。
面積の割に重いなにかが内部にあるみたいです。

◯指揮官
ラプチャーである可能性は？

〇ラピ
ラプチャーがいるには狭そうですが…
念のために熱源を調査してみます。
……
熱源なし。危険要素はありません。

◯指揮官
調査してみよう

◯アニス
長居はできないよ。
戦うときに音がしたから。
他のラプチャーがいつ集まってくるか
わからない。

ブチッ

鉄の錠を手で引きちぎり、内部に侵入した
…妙な匂いがする

◯アニス
特になにもないわね。
人間たちが住んでいたところみたいよ？

◯ネオン
師匠。これ見てください。

ネオンが指さした先には
壁に飾ってある写真が見えた
すべて色褪せているが
笑っている人々の顔でいっぱいだ

◯ネオン
遊園地で撮った写真みたいです。

◯指揮官
みんないい笑顔だな

◯ネオン
はい、本当に。
私たちもいつか、こうやって笑いながら
写真を撮る日が来ますよね？

◯アニス
それは今すぐにでもできるよ。
笑うのは簡単でしょう？
アークに遊園地もあるし。

◯ネオン
そういうことじゃなくて、
何かこう…平和な時代だからこそ
自然と出る微笑みとか。

◯アニス
はは。そんなのできるわけ無いじゃん。

◯ネオン
師匠。1枚だけもらってもいいですか？

◯指揮官
持っていけ

〇ラピ
地上のものは公式には中央政府に帰属します。
正当な理由があれば所持はできますが
説得はほぼ無理でしょう。

◯指揮官
…だそうだ

◯ネオン
…そうですか。

◯アニス
ラピ、あそこ。

〇ラピ
うん。

部屋の中に大きな扉がもう１つあった
外の扉よりももっと大きくて頑丈に見える

〇ラピ
調査してみます。

キィィ―

扉は金属音を立てながらゆっくり開いた
…妙な匂いが少し濃くなった気がする

〇ラピ
侵入する。

◯アニス
ロボットでも隠しておいたんじゃない？

◯ネオン
お。最終兵器みたいなですか？

◯アニス
指揮官様が実はそのロボットの
パイロットだった！
それでロボットに乗ってラプチャーを倒す…

〇ラピ
！！
これは…！！

◯アニス
ラピ！！
今行く…！

〇ラピ
来るな！！

◯アニス
！！

〇ラピ
…来ないで。
今出るから。
……

◯ネオン
な、なんですか？
何があったんですか？

〇ラピ
…行こう。
ここから出よう。

◯アニス
…うん。

◯指揮官
どうし…

◯アニス
指揮官様。
行こう。

◯指揮官
…ああ

9.静かに眠る街：A

...

「――みんな集まれ」
「ここ――楽園」
「――国」

村から抜け出し、道に沿って移動中、
再び発信者不明の音声メッセージが届いた。

◯アニス
もっと鮮明になったよね。

◯ネオン
あと地面のこれ、
道路じゃないですか？

◯ラピ
そう。自動車の移動経路だったみたい。

◯アニス
じゃあ、この先には結構な規模の
施設があるわけね。
都市があるかもしれないし。

◯ネオン
…本当に生存者がいるんじゃないですか？

◯アニス
もう、そんなはずないって。
すごく広いね。

◯ラピ
観光地だったみたい。

◯アニス
ここも違う？

◯ラピ
ええ、もうちょっと行ったところ。
１２時方向に送信塔。
見える？

◯アニス
う～ん…霧が濃すぎてよく見えないけど、
輪郭はなんとか見えるわね。

◯ラピ
あの辺が発信地よ。
送信塔から音声メッセージを発信している
可能性が高いわ。

◯アニス
じゃあ、もうすぐだね。
早く行こう。

10.静かに眠る街：B

...

◯ネオン
あの、ちょっとだけ見物してもいいですか？

◯アニス
え？

◯ネオン
観光地だから
いろいろ見るものがあるんじゃないですか？

◯アニス
止めはしないけど、おすすめもしないよ？

◯ネオン
？？

◯アニス
アークに選ばれなかった人間たちに
果たして何ができたかな？
当時の最新式兵器は
ラプチャーに傷１つつけられなかった。
対抗する意味がないレベルだったはず。
残った選択肢はアークの扉がまた開くまで
ラプチャーから逃げ回るか、
隠れて生きる場所を確保するくらいだけど。
言ったとおり、ラプチャーの人間への敵意は
悪い意味で盲目的だった。
アークの扉はあれから一度も開いてないし。
希望が全く見えないあの状況で、
ほとんどの人間は絶望するか
自ら息絶える道を選んだけど、
一部は観光地を訪れたの。
素敵な場所でいい思い出を作って、
人間らしく死んでいく道を選んだ。

◯ネオン
……

◯アニス
街が綺麗だよね？
みんなが自分の空間で
静かに眠っているからだよ。
だから観光地だと浮かれて
あっちこっち見て回ると、
いろんなものを見ることになるわよ。

◯ネオン
…はい、大人しくしています。

◯ラピ
…行きましょう、指揮官。
目的地まであと少しです。

◯指揮官
ああ、行こう。

ブルルル―

◯ラピ
…え？
音声メッセージが…
再生します。

「――みんな集まれ」
「ここ――楽園」
「――国」

◯アニス
もう、また同じものでしょう？

「ザザッ…」
「きゃあああ！」
「うああああ！！」
「助けて、助けてー―！！」

◯ラピ
！！

◯アニス
…何？

◯ネオン
な、なんですかこれは。
ひ、悲鳴じゃないですか？

◯指揮官
…急ごう

◯ラピ
…ラジャー。

11.みんなが幸せな国：A

...

◯アニス
くそっ、こうなると思った。
生存者の村があっても、ラプチャーの奴らが
放っておくわけ無いでしょう。

◯ネオン
でも、もしかしたら…

◯アニス
悲鳴を聞いたでしょう？
音声メッセージまで送って
人を集めたんでしょうね。
希望を失った人たちは
そのメッセージを聞いて集まったはず。
新しい住処を作ろうって。
希望を持ってたでしょうね。
ラプチャーが皆殺しにする前までは。

◯ネオン
……

◯アニス
指揮官様。
もう戻ろう。
あまり見たくない。

◯ラピ
調査は終わらせなければならない。

◯アニス
行っても私たちにできることはないよ。

◯ラピ
魂を慰めるくらいはできるから。

◯アニス
……

◯ネオン
……

◯指揮官
どんどん進むぞ

◯ラピ
はい。

◯アニス
もう…！
本当、行きたくない。

12.みんなが幸せな国：B

...

◯アニス
…何ここ。

◯ネオン
遊園地ですね？

◯アニス
いや、それはわかるけど。
地上に残った人類最後の村じゃなかったの？

◯ラピ
……
まさか…

ブルルル―

その時、私の携帯に音声メッセージが届いた
…再生してみよう

「子どもたちみんな集まれ！」
「ここは楽しい楽しい楽園！」
「みんなが幸せな国！」
「ハッピーファンタジーランド！」

◯アニス
……

「世界一速いジェットコースター！」
「きゃあああ！」
「世界一速いウォーターライド！」
「うああああ！！」
「世界一揺れるバイキング！！」
「助けて、助けて――！！」
「全部ハッピーファンタジーランドにあるよ！」

◯アニス
……

◯ネオン
……

◯ラピ
……

◯アニス
え…じゃあ、
遊園地の広告音声メッセージが、
偶然アークまで流れたわけ？

◯ラピ
そうみたいね。

◯アニス
……
よし。じゃあ帰ろう。任務終わり。

◯ネオン
えっ、まだ電力が残っているみたいですけど
ちょっと遊んじゃだめですか？

◯アニス
バカなこと言わないでよ。
まだ作動しているものがあるわけ無いでしょう？
そもそも、人間用のアトラクションに
私たちは乗れないんだから。

◯ラピ
私たちは無理でしょう。

◯ネオン
あ、そういえば。
師匠は人間ですよね？
えっと…これ、何と読むんですか？

◯ラピ
アイントゥバイン。
世界一大きい観覧車らしい。
…高さ３００メートルだって。

◯ネオン
わあ！それはすごいですね！
師匠！これにしましょう！

◯指揮官
…危ないんじゃないか？

◯ネオン
今動いているのはこれだけだから
他に選択肢がありません。

◯指揮官
乗らないという選択肢もある

◯ネオン
もちろんそうですけど、
もったいないですよ。
なんと世界一大きい観覧車ですよ！
ワクワクしませんか！？

◯指揮官
……

◯ラピ
指揮官、いつ電力が切れるかわかりません。
乗るか乗らないか決めてください。

◯アニス
私なら乗る。

◯ネオン
私たちは乗れないから師匠だけでも
乗ってくれないときが済みません。

◯指揮官
…分かった

ガタン、ガタン

キイ、キイ

観覧車は不気味な音を立てながら上っていく
しばらく上がり、ようやく頂上に達したとき
地上が見えた
アークで見たものとは違う
果てしなく広がる地平線は
私にこう言っているようだった
いつまであの狭くて暗いところで
生きていくのか、と

No Caller ID：END

13.嘘のような本当の話

...

◯アンダーソン
…では、この件はこうまとめよう。
遊園地が発した音声メッセージが
アークまで流れてきたと…
不思議なことだな。
すべての電力が落ちたのを
確認してきたと言ったから、
二度と同じことは起きないだろう。
遊園地で他になにかなかったか？

◯指揮官
大観覧車に乗りました

◯アンダーソン
……
観覧車に？

◯指揮官
世界で一番大きい観覧車でした

◯アンダーソン
…そうか。
楽しかったか？

◯指揮官
はい。楽しかったです。

◯アンダーソン
そうか。ではもう下がってよろしい。
シフティーくん。

◯シフティー
数十年前に閉鎖された遊園地で、
観覧車だけが動いていて、
ランダムに撒いた音声メッセージが
アークに届く確率は？

◯シフティー
ちょっとお待ち下さい。
……
えっと…0.000…

◯アンダーソン
ふむ、それ以上聞くまでもないな。
その確率を突破して起こったのか。
…なにかの介入がない限り、そんなことは…
……
まあ、いいだろう。
この件はここでおしまいにしよう。
お疲れ様。
たまには、こんなありえないことが
起きてもいいだろう。

Tips

• 中央政府はメッセージの発信源が地上でも、発信地をある程度絞ることができる。
• 公的には地上に残った人の数は０人。地上は広く、捜索しきれないのにそのように発表されたのは、数十年の間救難信号は一つもなく、痕跡すら見つからなかったから。
• ネオンいわく指揮官は重い。おんぶしたくないらしい。
• ラプチャーは人間を執拗に殺そうとした。地上に施設や資材は残っていても、生きた人間は一人も見つからない。
• ラプチャーは人間の死体には興味がない。
• １０匹のトラがニケ１機を無力化した例がある。もし交戦になった場合、銃器を使うことになり、そうなるとラプチャーが集まってくるため危険な存在。
• 地上のものは公式には中央政府に帰属する。正当な理由があれば所持はできるが、説得はほぼ無理。
• 観光地には人間の死体が多い。逃げ場をなくし、ラプチャーに対抗するすべを持たない人々は、最後に素敵な場所でいい思い出を作って死んでいったためだという。
• ニケは重いので、人間用のアトラクションには当然乗れない。

上へ